すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー

2024年11月2日(土) - 2025年3月16日(日)

インフォメーション

期間:

2024年11月2日(土) - 2025年3月16日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館

料金:

一般 1,400円(1,100円)
大学生 1,000円(800円)
小中高生 500円(400円)
65歳以上の方 1,100円
※本展観覧券は同時開催中の「コレクション展」との共通です
※( )内はWEB販売料金と団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで

休場日:

月曜日(ただし11月4日、2025年1月13日、2月24日は開場)、11月5日、12月29日~2025年1月1日、1月14日、2月25日

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

見知らぬ他者に、おそるおそるさしだす手。
いっしょに踊りませんか?
「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」展は金沢21世紀美術館の開館20周年記念として開催されます。当館の年間テーマである「新しいエコロジー」は社会や精神、情報を含む総合的なエコロジー理論であり、本展はこのテーマに基づきアーテイストの鋭敏な感性と観察のもとに制作された作品を展示します。さらに本展では、同じヴィジョンを共有する科学者や哲学者などの研究者とも協働し、専門的な調査結果や理論を視覚化、可感化 することで、感覚を通した学び(Sensory Learning)としてみなさまに伝えます。
アートは美と技によって見えないものを見えるようにする魔術です。一方で、デジタル化によってすべてが記号化された現代では、見えているものを見えにくくする魔術としても機能します。脱記号(脱言語)化された価値観の転換は、脱人間中心主義にもつながります。 動物や植物や身近に転がるあらゆるモノたちを含む複数のヒューマニテイの可能性を探る方 法はなんでしょうか?かつて私たちは言葉が生まれる以前、身体の動きや意味なき音声によって互いに分かり合い、相互扶助、共生をしていました。それは目を合わせ、手をあわせ、リズムを共有し、共振すること。それはつまり「踊る」ことでした。動植物も人間も隔てなく協働し交感する。またセンサーや先端の技術で調査したデータに感情や感性を吹き込む。あるいはデジタルと物質の間を行き来する転移の過程で語られる未知の物語。そして物質の魔術的な変容がみせる驚き。すべてのものが動き出し、つながり、変わりながら踊りはじめます。 ダンスのためにさしだす手は、世界規模の課題に対する一当事者としてのアクションの第一歩 です。そうして、共に踏むステップはコンビビアルな社会の創造、次の世紀に向かうリズムを奏でます。
辺境を含めたアフリカ、南アメリカ、アジア、欧米の 60 組 10 以上の国と地域の芸術家、クリエイターが集い、美術館空間の中でお互いにダンスを踊るように、生きることの美しさを感受するための知恵と生命を分かち合いましょう。禅を研究した鈴木大拙、また相互関係に重 きをおいた西田幾多郎を生んだこの金沢の地で、自然や見えない存在との交感を通して、みずからもエコロジーの一端にいることを確信してもらえたら。すべてのものを包摂するヴィジョンが共生のプラットフォームとなります。
はい、わたしでよろしければ。

展覧会キュレーター
長谷川祐子
エマヌエーレ・コッチャ
池田あゆみ
本橋仁

関連プログラム

国際シンポジウム「新しいエコロジーをめぐるディスカッション:ダンスを踊る、リズムを探して」

金沢21世紀美術館が本年度掲げるテーマである「新しいエコロジー(社会や精神的環境も含めた総合的な環境)」。このテーマに対応し国際シンポジウム「新しいエコロジーをめぐるディスカッション:ダンスを踊る、リズムを探して」を開催します。
日時:11月2日(土)13:30~17:00(開場13:00)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21
定員:150名(先着順)
日英同時通訳付

「音の風景-めぐる、たどる、はせる-」

NHKでは1985年に放送開始したラジオ「音の風景」の制作をはじめ、日本や世界各地でさまざまな「音」を録音・保存してきました。日々の暮らしの風景や祭りの活気、多様な生き物たちの息吹、絶えず変わりゆく大地の姿をとらえた音の記録は10万点を超えます。
NHK金沢放送局では、「すべてのものとダンスを踊って-共感のエコロジ-」展に連動し、石川県や北陸地方で収録した音源を含む“自然との共生”をテーマに選んだ100の音源を体感できるインスタレーションを展示します。
会期:2024年12月3日(火)~2025年3月16日(日)
9:00〜22:00(1月2日、3日は18:00まで)
※2024年12月29日(日)〜2025年1月1日(水・祝)は休場
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA東側 マイケル・リン作品前休憩コーナー
入場料:無料
主催:NHK金沢放送局 NHK金沢放送局 076-264-7001(平日:午前10時~午後6時)
協力:金沢21世紀美術館
特別展示「音の風景」ホームページ

キュレーターによるギャラリーツアー

日時:
会場:
集合場所:
参加無料、事前申込不要

もっと踊ろう!共感のエコロジー 「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」連携企画について

  • イベント、展覧会、それにダンスまで!みなさんと同じく、エコロジー/共生/感性をテーマに掲げるイベントでつながり、地域のもつ可能性を考えませんか?
    地球が抱える諸処の問題を、人間や動物にいたるすべての生き物とダンスするように乗り越えたいという思いから、金沢21世紀美術館では11月2日より「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」という展覧会を開催します。
    この目的にあわせ11月から来年3月にかけて北陸三県で行われる展覧会やワークショップ、パフォーマンスなど様々なアートイベントとの連携を図りたいと考えています。それぞれの活動を繋げ、お互いに交流し、語り合うことで、地域全体でこの課題に向き合う機会にしたいと考えています。
    ご参加いただける企画は「もっと踊ろう!共感のエコロジー」という連携プログラムとさせて頂き、それらと本展が一緒になって、双方に活動を発信することで、地域の潜在的な文化資源についてエコロジーの観点から再発見されること、またそうした知見が集まることを目指します。

    詳細はこちら

出品作家(姓のアルファベット順)

  • マリア・フェルナンダ・カルドーゾ、道念邦子、オラファー・エリアソン、フォルマファンタズマ、
    AKI INOMATA、エヴァ・ジョスパン、カプワニ・キワンガ、ステファノ・マンクーゾ、
    オトボン・ンカンガ、PNAT、Rediscover project実行委員会、ティネ・ソールキア・レイングォー、アドリアン・ヴィシャル・ロハス、佐藤浩一+梅沢英樹、新城大地郎、床州生、ソーレン・ソールキア、YANTOR

    [アマゾンなどの作家]
    エファシオ・アルヴァレス、ヤイーラ・エウアナ、フロリベルタ・フェルミン、シェロアナウェ・ハキヒュイ、
    クレメンテ・フリウス、ジャイダ・イズベル、エステバン・クラッセン、イバン・フニ・クイン、アセリーノ・フニ・クイン、バネ・フニ・クイン、ヤカッ・フニ・クイン、オズヴァルド・ピトエ、ジョゼッカ・ヤノマミなど

    [北西海岸先住民の作家]
    フプクアットチュ(ロン・ハミルトン)、リチャード・ハント、サイモン・ルーカス、ティム・ポール、
    アート・トンプソン、ショーン・フーノック

    [イヌイットの作家]
    アニングネーク、ソロシルツ・アショーナ、アヴァーラキアック・アヴァラキアク、イクシラック、トマシー・イルフミア、カンゲルユアック、キーレーメウミー、コケーヤウト、ジョシー・ナッパツク、ジェシー・オーナルク、ジョシー・P・パピアルク、ピツィウラク、オショーチィアク・プッラット、パドロ・プッラット、ルーシー・ケンノアヨアク、イカユクタ・トゥンニッリー、ウクパティク

    [東アフリカの作家]
    Kalembo、ノエリ、ピーター

    [プロジェクト]
    アニマ・レイブ:存在の交差点で踊る
    (総合地球環境学研究所、能作文徳、常山未央、保良雄、澤崎賢一、ガラージュ、藤枝守 他)

    [ワークショップ]
    マヤ・ミンダー

作家紹介

アマゾンなどの作家

  • アマゾン地域に住む先住民の芸術家
    アマゾン地域に住む先住民の生活と文化は、長い間、彼らを取り巻く複雑な生態系との共生関係から生まれてきました。アグロフォレストと呼ばれる農耕と森の相互扶助的な共生方法と、コミュニテイを一定のスケールに維持するために、人口を分散することは、いずれも森を養う知恵でした。しかし、16世紀初頭にポルトガルによる植民地支配がブラジルに到来すると、彼らの土地に対する組織的な排除、追放、搾取の歴史が始まり、それは現在も続いています。書き文字をもたない口承文化であった彼らの生活のなかに、元来絵画表現はありませんでした。宣教師がもたらした絵画表現をとおして、彼らは自らの文化の継承および文化的政治的ア イデンティティを主張し、かつ絵画を売ることで生活の糧とするようになりました。フェルトペンやボールペンを使って、紙に緻密なイメージを描いた作品は、森やまわりをとりまくものとの交換とつながりを表しています。これをつなぐシャーマンも重要な主題となっています。 彼らには「自然」という言葉がありません。すべてのものが「人間」でありそれぞれがパースペ クテイブをもっていると考えているのです。このマルチヒューマニテイの宇宙観が作品のポエ テイクスと純度の高い緊張感を保っているといえるでしょう。

  • ジョゼッカ・ヤノマミ《Hwei xapiri Konori apatarɨ xapiri pë kãe wai yëɨ, ai xapiri pënë ihuru a tëhurupëhë hamë ãriãha kõahenë pë pihi kãe yëahërae huruma. Inaha xapiri pëha kuanë yanomãe thëpë haromaɨ he. Omoãri anɨ ihuru a tëhuruu makii, ɨnaha yamakɨha kurae hurunɨ ihuru yama a haromari》2011
    The Museu de Arte de São Paulo
    © Joseca Mokahesi Yanomami

    ジョゼッカ・ヤノマミ/Joseca Yanomami

    1971年、ブラジル、ロライマ州カトリマニ県上部生まれ。 アマゾナス州テラ・インディヘナのワトリク(デミニ)在住。
    2000 年代初頭から木彫りの動物を彫り、シャーマンや神話の場面を描き始めました。彼のドローイングは、幼い頃から聞かされてきた神話やシャーマンの詠唱に登場する存在や場所、 エピソードを丹念に想起させるものといえます。重要なシャーマンの息子ですが、彼自身はシャーマンではなく、古代のシャーマンの聖歌に語られる幻視に基づいて、人間や動物の姿 をしたシャピリのシャーマン補助霊を描くのが一般的です。彼の絵は、シャーマン以外の人々には通常見えない物語を描き、彼の民族の宇宙観を共有し広めることを目的としています。また、ヤノマミ・フツカラ協会から出版されたヤノマミの伝統に関する本の挿絵も描いています。

  • ジャイダ・イズベル《ジャガーの懺悔》2021
    個人蔵
    Courtesy of Millan, São Paulo and Galeria Jaider Esbell de Arte Indígena Contemporânea.
    Photo: Filipe Berndt
    © Jaider Esbell Estate

    ジャイダ・イズベル

    1979 年生まれ、2021年死去。
    イズベルはアーティスト、キュレーター、アクティビストとして活動しました。異なる民族の土着アーティストたちによるアートシステムの確立に貢献し、自身が「Artivismアーティヴィズム」と呼ぶ活動を行ってきたイズベルは、芸術的創造と土着の権利および土地所有権の擁護を結びつけました。オブジェやパフォーマンス、絵画やドローイングなど、さまざまなメディアを用いて、伝統的な物語やマクシ族の宇宙論 に登場する多様な存在のヴィジョンを表現しました。 これらのイメージは、独自の宇宙を構成しており、多様な知識と理解の把握と対話から出発して、世界の再構成と癒しの可能性を示唆しています。

北西海岸、イヌイット、アフリカの先住民の芸術

レクチャーホール

  • 佐藤浩一+梅沢英樹/Koichi Sato + Hideki Umezawa

    梅沢英樹:1986 年 群馬県生まれ
    佐藤浩一:1990 年 東京都生まれ
    《Echoes from Clouds》は、環境の中で知覚する感覚や、自然現象の複雑性への関心をもとにサウンドやオブジェ制作を行なう梅沢と、自然環境と産業・消費社会の関係についてリサーチやフィールドワークを行い、映像や音、香りなどを複合的に組み合わせた作品を制作する佐藤との協働により制作されました。本作は映像、音、香りで構成されたインスターレション作品で、水によってつながる「都市と自然の関係」を主軸としつつも、背後にある社会や自然環境に潜在する不安な要素を描きだします。場面は山から都市へ水の流れを追って展開しますが、途中、河川氾濫や海面上昇によって沈んだ埋没林や、繰り返し登場する霧が、 不確かさや不安を感じさせます。画面映像からずれていく梅沢のフィールドレコーデイングの音もしかりです。佐藤は資生堂と共同して「Mist from artificial lake(人工湖からの霧)」と名付けられた「消毒された冷たい水」をイメージした香料を開発しました。これは浄水場や人工湖など都市に来る途中で消毒され人工化していく都市の水をイメージしています。会場空間にただよう香りは、私たちにとっての「自然」の水とは何かを考えさせます。

交流ゾーン

  • [プロジェクト] アニマ・レイヴ 存在の交差点で踊る
    無生物、植物、動物、そして人間それぞれ異なる存在は、その違いゆえに補い合い、ひとつの生命の網を編み上げています。日本の霊長類研究の先駆者である今西錦司(1902-1992) は、生命とは一つの存在から分化し、現れる構造の連なりであると語りました。私たちが直面する環境問題への深い理解もまた、人間と自然を対立させるのではなく、動植物、微生物、原子レベルの物質、そして長い時を刻む鉱物やサンゴなど、自然と人間の” あいだ” の移り行くすべての「アニマ」と、言葉を介さないコミュニケーション(応答・交換・生成)を通じて得られるものです。 金沢21世紀美術館と総合地球環境学研究所(地球研)が協働するこのプロジェクトでは、 アートを媒介とし、異なる存在との” あいだ” に出現する身体を通じた共感関係の構築を試みます。研究者たちもまた、アーティスト同様に鋭敏な感性を持ってフィールドに出向き、そこで得られる気づきや感動は、論文という形では伝えきれないものが少なくありません。このプロジェクトは、そうした研究者の探求の悦びと感動を、言葉を超えたアートとして表現し、共有することを目指します。地球環境を単なる知識として捉えるのではなく、そこに生きるすべ ての存在との繋がりを感じ、研究者・アーティスト・建築家・キュレーターがそれぞれの視点を交差させつつ創作の方法を探求してきました。地球研のいくつものプロジェクトから、土 /島と水/サンゴの三つのキーワードを取り上げて、多様なアニマとの共存を確認し合う作品とそこから生まれる対話を、期間中の変容するインプログレスな形で育てていきます。生命の持つ共鳴と狂騒に身を委ね、存在が交わる場所で、ともに踊りませんか?

    総合地球環境学研究所
    総合地球環境学研究所(地球研)は、2001年に京都府京都市に創設された国立の研究所です。地球環境問題を「人間 humanity」と「自然 nature」の関係はどうあるべきか、という広い意味での人間文化の問題として、文理融合の研究により根本からとらえ直そうとしていま す。研究者は研究室に留まらず、世界中のフィールドに出ていき、社会の人々と協力して課題をあぶり出し、新しい枠組みと解決方法を見出すために活動しています。 地球研では、国際公募により提案された研究を、3~5年間の研究プロジェクトとして実施するプロジェクト方式で推進しています。これまでに43の研究プロジェクトが研究を終了しており、現在9つの研究プロジェクトを進めています。
    アニマ・レイヴ/クレジット
    総合地球環境学研究所 | 山極壽一、阿部健一、吉川成美
    有機物循環プロジェクト | 大山修一
    Sustai-N-ableプロジェクト | 林健太郎
    LINKAGEプロジェクト | 新城竜一、高橋そよ、久保慶明、安元純
    SceNEプロジェクト | 渡邊剛、山崎敦子、重定菜子
    参加アーティスト | 保良雄、澤崎賢一、ガラージュ、藤枝守
    建築家 | 能作文徳、常山未央
    キュレーター | 長谷川祐子、本橋仁
    協力 | 総合地球環境学研究所(上廣環境日本学センター)三菱ケミカル株式会社

    [ワークショップ]
    マヤ・ミンダー

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クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

助成:

令和6年度 文化庁 我が国アートのグローバル展開推進事業、日本万国博覧会記念基金、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
※予定を含む

協賛:

エルメスジャポン株式会社、株式会社メルコグループ、アルスコンサルタンツ株式会社、株式会社テクニカルアイ、株式会社 エイ・エム、ワイドクラフト株式会社、エステックホールディングス株式会社、株式会社Tocasi、株式会社LINNAS Design、OMO5金沢片町 by 星野リゾート、デロイトトーマツグループ、、株式会社太陽テント北陸、株式会社 中川ケミカル、Veuve Clicquot

協力:

総合地球環境学研究所 上廣環境日本学センター、国立民族学博物館、在日オーストラリア大使館、株式会社資生堂、三菱ケミカルグループ株式会社

後援:

駐日ブラジル大使館、在日イタリア大使館、趣都金澤、北國新聞社