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金沢21世紀美術館

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EXHIBITION展覧会

コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the Islands 航路 - 島々への接続

2022年11月3日(木・祝) -
2023年3月19日(日)

インフォメーション

期間:
2022年11月3日(木・祝) -
2023年3月19日(日)
10:00〜18:00 (金・土曜日は20:00まで)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室1〜4、13
料金:
一般 450円(360円)
大学生 310円(240円)
小中高生 無料
65歳以上の方 360円

※( )内は団体料金(20名以上)
※当日窓口販売は閉場の30分前まで
※WEB販売はありません(当日窓口販売のみ)。
休場日:
月曜日(ただし1月2日、9日は開場)、12月29日~1月1日、1月4日、1月10日

市民無料の日:11月3日

美術奨励の日:会期中の毎月第2土曜日(11月12日、12月10日、2023年1月14日、2月11日、3月11日)

金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

概要

沖縄復帰50周年にあたる2022年、金沢21世紀美術館では、現代美術の側面から沖縄について、そして歴史的にも沖縄と海洋で交流のあったアジア、とりわけ東南アジア地域やオセアニア地域の作家の表現を通して、この地域特有の島嶼性という観点に着目した展覧会「コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the Islands 航路 - 島々への接続」を開催します。古来より海は島と島を隔てる「壁」であり、一方で島と島をつなぐ「道」でもありました。かつての琉球王国は、現在のインドネシア、マレーシア、タイなどと交易し、文物が行き交う経由地となり、様々な人や物が出会う場となっていました。海を巡る沖縄や周辺諸国の歴史をたどれば、そこには各地との豊かな交流と、時には対立する厳しい現実という両側面が存在していました。人が移動するほど、言語や人種、ルーツ、文化、性、常識といった互いの差異が顕在化します。そのようななか、作家たちは目の前の現実を真摯に見つめ、応答しています。
本展覧会は、沖縄や東南アジア・オセアニア地域で固有に育まれた文化、そして決して目を背けてはならない歴史を土台に生まれた現代の表現を7名のコレクション作家と3名の招へい作家の作品によって紹介します。さらに、島々で育まれた多様性と、海洋を巡る他地域からの影響にも目を向け、海を隔てて存在する島と島とが、そしてそこに住まう人々がどのような関係を築いてきたのか作品を通して考察するものです。

関連プログラム

フォーラム・アール ~これからを話そう vol.2 高橋そよ(琉球大学人文社会学部 琉球アジア文化学科 准教授) 生きものをめぐる―琉球弧の生物文化多様性の視点から
日時:2022年12月10日(土)14:00 ~ 16:00(開場13:45)
会場:レクチャーホール
定員:80名(申込先着順、11月10日(木)10:00より申込みフォー
ムにて受付開始)
参加費:無料
聞き手:野中祐美子(金沢21世紀美術館アシスタント・キュレーター)
絵本を読もう & 1ページ・サロン
●絵本を読もう 毛利悠子 特別展示とともに
時間:11:00〜11:40
対象: 子どもからおとなまで (幼児は保護者同伴)
定員:先着4組
読み手:小孫ちさと (ライブラリアン)
作品案内:木村健 (エデュケーター)

●1ページ・サロン コレクション展「Sea Lane」とともに
時間:16:45〜17:25
対象: 小学生からおとなまで
定員:先着4組
読み手:大西洋子(ライブラリアン)
作品案内:野中祐美子(キュレーター)
国際シンポジウム:沖縄と東南アジア諸国における現代美術の現状
本シンポジウムでは、本展覧会出品作家のチャールズ・リム・イー・ヨン、阪田清子の 2 名のアーティストによる 2 部構成で実施しました。

【中止のお知らせ】「SEA STATE:シンガポールにおける島嶼性と国家の関係」
【本トークイベントは都合により中止となりました】
お申し込みいただいた方には別途ご連絡差し上げます。申し訳ございません。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

出品作家(姓のアルファベット順)

イザベル&アルフレド・アキリザン、チャールズ・リム・イー・ヨン、ミヤギフトシ、阪田清子、照屋勇賢、宇良京子、ジュディ・ワトソン、柳瀬安里、イー・イラン、ザイ・クーニン
※出品作家は変更になる場合があります。

招へい作家プロフィール

Photo by Toni Cuhadi.
courtesy of STPI – Creative Workshop &
Gallery, Singapore

チャールズ・リム・イー・ヨン

1973年シンガポール生まれ、シンガポール在住。オリンピックなどに出場するセーリングの選手として活動したリムは、水や海洋に関する深い知識や経験を背景に、「海」という視点からシンガポールの社会や政治状況、生態系や環境に対して多角的に言及する「SEA STATE」という一連の作品を2005年より発表している。継続して制作する「SEA STATE」は、様々な国際展で発表され、2015年の第56回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、シンガポール館においてその集大成が公開された。

阪田清子

1972年新潟県生まれ、沖縄県在住。美術家。沖縄県立芸術大学美術工芸学部准教授。「不確かな立ち位置の集合体」をテーマに、家具や日用品・自然物などを素材として用い、日常を問いただすインスタレーション作品を発表。
近年の主な展覧会に、「Sugar and Salt」SoolSoolCenter(2021/韓国)、「ゆきかよう舟」ホテル アンテルーム那覇 GALLERY 9.5 NAHA(2020/沖縄)、「Present Passing: South by Southeast」Osage Gallery(2019/香港)など。

宇良京子

1975年沖縄県生まれ、同地在住。沖縄県立芸術大学講師。沖縄の伝統的な染色技法を取り入れながら、独自の視点と方法によって新しい紅型表現に取り組み、伝統をつないでいく取り組みをしている。近年の主な展覧会に、『復帰』後 私たちの日常はどこに帰ったのか展」佐喜眞美術館(2022/沖縄)、「テキスタイルの未来形in宝塚2021」宝塚市立文化芸術センター(2021/兵庫)、「線の誘惑 型染展」染・清流館(2021/京都)など。

展示構成

ミヤギフトシ《How Many Nights》2017年

隔たりと関係性

海という隔たりがあるからこそ守られてきた文化や歴史がある一方で、隔たりがあるゆえに遠く、憧れの対象になるものもある。ミヤギフトシは個人的な経験や記憶に基づいて「沖縄」と「セクシュアル・マイノリティ」を軸に、沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることの可能性を探り続けてきた。ここで紹介する作品は、女流作家のロマンスを軸に、戦争によって大切な人との別れを経験した女性たちがそれぞれの境遇と思いを日記につづる物語である。人種や文化の違いを超えて、自由を求め、同時に挫折を経験するという個人的な人生の物語から、
それぞれのナショナリティとアイデンティティが交差し、大きな物語を仰ぎ見る美しく叙情的な物語である。現代における国籍や人種、言語、年齢、セクシュアリティ、コミュニティといった社会の中に存在する「隔たり」と「関係」について考える。

【主な出品作品】
ミヤギフトシ《How Many Nights》2017年

照屋勇賢
《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭カラドサチドー2008》
2008年
金沢21世紀美術館蔵 
photo: KIOKU Keizo

豊かさを求めて

沖縄は第二次世界大戦前後から出稼ぎ労働の多い土地であった。出稼ぎ者は肉親や村民から盛大な見送りを受け、「モウキティクーヨー!」(儲けておいでよ!稼いできなさい!の意)と声をかけられた。かつて照屋が暮らしていたニューヨークのアパート近隣には様々な国からの移民がそれぞれのコミュニティを作って暮らしていた。作品《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭カラドサチドー2008》の映像にある小さな国旗を掲げた紙製の手作りの船が道端の消火栓からあふれた水の流れに乗って進んでいく様子は、豊かさを求めて新しい国・アメリカ合衆国を目指した人々の姿に重なるものがある。ますます加速化する地球規模での移動は、作品が発表された20世紀末よりももっと複雑で流動的で、国家間だけはなく、コミュニティ間の小さな移動も頻繁に起きるようになった。

【主な出品作品】
照屋勇賢《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭カラドサチドー2008》2008年

上:ジュディ・ワトソン
《グレートアーテジアン盆地の泉、湾(泉、水)》2019 年
金沢21世紀美術館蔵 
photo: KIOKU Keizo

下:宇良京子《海》2018年

民族と土地の歴史

アジア・オセアニア地域の島々の多くは、その豊かな自然や文化とは対照的に、強大な権力や国家によって植民地化の歴史を余儀なくされてきた。ジュディ・ワトソンは、オーストラリア大陸北部のノーザンテリトリーにルーツを持つ先住民ワーニー族の血を引く。土地を追われ文化を破壊された先祖の歴史は、ワトソンに多大なる影響を与えている。イー・イランは、ニュージーランド人の母とシノ・カダザン(マレーシア・サバ州のカダザン族と中国系との混血児)の父との間に生まれ、複数の民族にまたがる自身のルーツに迫りながら、見る者に東南アジアの豊潤で多様性に富んだ歴史を想像させる。沖縄で生まれ育った照屋勇賢と宇良京子は、琉球王国時代からの伝統的な染色技法を用いて沖縄のアイデンティティによりながら、これからの沖縄について考える。

【主な出品作品】
ジュディ・ワトソン《グレートアーテジアン盆地の泉、湾(泉、水)》2019年
イー・イラン《オラン・ブサール・シリーズ 私掠船の帝国と彼らの勇ましい冒険》2010年
宇良京子《海》2018年
照屋勇賢《遥か遠くからの未来より》2015年

ザイ・クーニン
《夜の死に揺れる舟》2015 年
金沢21世紀美術館蔵 
photo: KIOKU Keizo

ルーツとルート

ザイ・クーニンは幼少期からの自身の流浪の生活を顧みて、海の上に住む漂海民たちの歴史や暮らしに強い関心を寄せている。自分はどこから来てどこに向かうのかというルーツとルートに関わる歴史や物語は、彼が変わらず追い求めているテーマであり、移動が常態化した現代社会の中にあって、グローバル化によって失われつつある固有の文化やアイデンティティに関わる問題と大いに重なりあい、アジア諸国における近代化への途上を語るうえで欠かせない論点である。シンガポールは、現代では都市化が進んだ国として知られるが、領土は60以上の島々から成り、マレー語、タミル語、中国語、広東語、英語など、使われる言語も様々で、異なる民族が交わる場所として文化的多様性を維持している。しかし、近代化の途上で顧みられることのない歴史は、国の成り立ちはおろか、どこにも足跡をとどめず人々の記憶にも残らない。ザイは、失われた文化やアイデンティティと同様に人類共通の「闇」に光をあて、殺りくや死といった普遍的なテーマを内省的に取り扱っている。

【主な出品作品】 ザイ・クーニン《夜の死に揺れる舟》2015年

柳瀬安里《光のない。ー私の立っているところから》2016-2017年

当事者と非当事者、加害者と非加害者

沖縄の基地問題を考える時、そこにはいつも当事者と非当事者、加害者と非加害者との関係が横たわっている。柳瀬安里の《光のない。-私の立っているところから》は、エルフリーデ・イェリネク(1946年、オーストリア生まれ)が東日本大震災とそれに伴う原発事故を受けて書き上げた戯曲『光のない。』を柳瀬自身が暗唱しながら沖縄高江のヘリパッド建設工事ゲート前を歩いている映像作品である。柳瀬は本文中の「私たち」が一体誰なのかを確かめるために、東日本大震災で問われていた当事者と非当事者、加害者と非加害者との関係性を、沖縄の基地問題と重ね合わせ、無視できない現実を直視すべく高江の地を選んだ。現実の出来事が起きている場所「沖縄」で、テキストが生々しく目の前の出来事と結びつき、戯曲の主題を福島から沖縄へと拡張している。福島や沖縄の問題にとどまることなく、世界で起きているあらゆる出来事に対し問いかける。

【主な出品作品】 柳瀬安里《光のない。ー私の立っているところから》2016-2017年

イザベル&アルフレド・アキリザン
《移動:もうひとつの国》2014 年
金沢21世紀美術館蔵 
photo: KIOKU Keizo

移動とコミュニティ

イザベル&アルフレド・アキリザンは、2006年に出生地マニラからブリスベンへ移住したことを契機に「家」をテーマとするプロジェクトを開始した。《移動:もうひとつの国》は、経済効率を優先する現代社会と、ダム湖の底に沈んだ家と共にあった人々の暮らしを表象している。発展や進歩と言い換えられる資本主義による無限の拡大は、文化や慣習、価値観にも影響を与えていることを、批評的に捉えている。
阪田清子は新潟に生まれ、大学への進学をきっかけに沖縄へ移住した。様々な日常的な素材と自然物、写真によるイメージを組み合わせて制作される作品は、日本と沖縄との間で自身が揺れ動きながら感じるあつれきや、日々の生活の中での実感をそのイメージの出発点としている。貝殻や渡り鳥の羽を使用した今回の新作では、沖縄という島に移住した自らの姿を重ねて、外から内へと入る難しさとそれでも生きていくために必要なコミュニティについて考える。

【主な出品作品】
イザベル&アルフレド・アキリザン《移動:もうひとつの国》2014年
阪田清子《Hair Brush No.11》2017年

阪田清子《Hair Brush No.11》2017年

チャールズ・リム・イー・ヨン
《SEASTATE 8:the grid, whatever wherever whenever》
2014-2021年
Produced at STPI – Creative Workshop & Gallery, Singapore
© Charles Lim / STPI
Image courtesy of the Artist and STPI

島嶼性と国家

オリンピックなどに出場するセーリングの選手として活動したチャールズ・リム・イー・ヨンは、海洋に関する深い知識や経験を背景に、「海」という視点からシンガポールの社会や政治状況、生態系や環境に対して多角的に言及する「SEASTATE」という一連のシリーズを2005年より発表している。シンガポールはマレー半島南端のシンガポール島と60以上の小さな島々で構成される国である。1965年の建国以来、シンガポールは国土を50平方マイル以上拡大してい
る。シンガポールにおいて、小さな島々は都市国家の埋め立ての対象となり、国の豊かさや強さと引き換えに、島固有の自然や文化、歴史といった様々なものを失った。リムは、そうしたシンガポールの現実を洗練された映像作品やインスタレーションで痛烈に批評する。

【主な出品作品】
チャールズ・リム・イー・ヨン
《SEASTATE 8:the grid, whatever wherever whenever》2014-2021年

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
協力:
株式会社アイ・オー・データ機器
マグペイントジャパン株式会社
助成:
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業