アペルト17 SCAN THE WORLD [NEW GAME]

2022年10月1日(土) - 2023年3月19日(日)

インフォメーション

期間:

2022年10月1日(土) - 2023年3月19日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館
長期インスタレーションルーム

料金:

無料

休場日:

月曜日(ただし10月10日、31日、1月2日、1月9日は開場)、10月11日(火)、11月1日(火)、12月29日(土)〜1月1日(日)、1月4日(水)、1月10日(火)

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

SCAN THE WORLD(STW)は、石毛健太(1994年、東京都生まれ)とBIEN(1993年、東京都生まれ)の2名のアー ティストが中心に行っている、ハンディスキャナで街をスキャニングするプロジェクトの総称です。STWは路上表現の現在形のうちの一つであり、同時に誰もが参加できる新しい遊びでもあります。
本展[NEW GAME]では、金沢21世紀美術館の長期インスタレーションルームが、STWに参加するための集合場所へと変貌します。そこには古代遺跡より出土したかのような巨大な石碑が浮遊し、来訪者にSTWの方法を伝えています。そして、この石碑を解析・研究するように、STWの過去の実践だけではなく、新たな参加者との未来の実践が展示されます。
また、STWはウェブサイトを制作します。このウェブサイトは今回の展示の中心であり、これまでに実践されてきた遊びと、これからの遊びをつなげるプラットフォームでもあります。ここでは誰もが街のテクスチャのデータをアップロード・鑑賞することができます。世界中の場所や人がイメージと遊びを共通項につながることができるのです。
石毛健太とBIENは金沢に長期滞在し、会期中の半年間、参加者を募りながらSCAN THE WORLDを実践し続けます。STWは、まちに開かれ、金沢21世紀美術館をスタート地点にして、まだ見ぬプレイヤー達とともに、現在進行形の路上の遊びとしての進化を続けることでしょう。



scan-the-world.net
2022-
In Cooperation with: Konel inc.
Design: NUMATA Sou

関連プログラム

作家ステイトメント

  • SCAN THE WORLDは当初、イベントに出展する際にZINEを制作するためのプロジェクトでした。普段からZINEやグラフィックを作るために使っている家庭用複合機のスキャナを外に持ち出したら面白いのではないかと思い、見つけたポータブルなハンディスキャナを片手に夜の渋谷を一晩練り歩いたのです。
    ハンディスキャナを持って街に出ると、そこかしこに魅力的なイメージがあふれていることに気づきます。古びた外壁や、看板、地面、草木、ゴミ、標識、車、自販機、銅像、様々なイメージの集積で街は作られています。また、ハンディスキャナを使い、それらのイメージを収集するときに、そのモノ自体に自らの身体をもって接触する必要があります。そのため、面白そうなイメージを見つけたらその場に行かなければならない上に、その人の身体性がスキャンイメージに個性として表われます。実践を通してそれらのことに気づくにつれて、これを自分たちだけの制作として終わらせるのではなく、ルールを作り、街を使った開かれた遊びとしてのプロジェクトとするべく、STWは続いてきました。
    街、ひいては世界には様々な素材があふれています。それらを今一度確認し、利用することで普段見ている世界を人知れず遊び場に変えられるのではないでしょうか。
    そうして今回、SCAN THE WORLDは以前よりも、もう少し開かれたルールを設けて金沢を訪れます。そこは様々な人と交流することを目的としています。この機会に是非、一緒に街で遊びましょう。

    BIEN


    SCAN THE WORLDは、自分たちで考えた遊びにBIENがつけた名前だった。アフリカの飢餓と貧困を解消するため、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが作詞・作曲した世界的名曲、『We Are The World』から思いついたらしい。「よくわからないけど面白いからそれでいいんじゃないか」みたいに決定した記憶があるが、せっかくの機会だしこの名前についてもう少し掘り下げてみたい。
    「scan」という単語について調べると、その語源はラテン語の「よじ登る」を意味する「scandō」らしい。その後、ラテン語が各ヨーロッパ言語へ借用されていく中で、ラテン語詩韻律の上昇・下降を精査する「scannen(詩の韻律を調べる、注意深く精査する)」に意味が転じていったようだ。そこからさらに後年になり電子機器が登場することで、「scan」はようやく我々が普段から使用している「デジタルな情報として取り込む」という意味になる。
    単純な人間の行動を指す言葉が、時代を経るにつれ、古典への情熱と共にまなざすという意味を、科学の発展に伴い電子機器で情報を取り込むという意味を獲得していったようだ。
    高速・大量に情報が飛び交う情報化社会が到来して久しい現代、あるいはスキャンされた情報も飛び回っていることだろう。しかしインフォデミック、フィルターバブル、情報格差等々……大変シリアスな問題の中で我々のまなざしはかえって閉ざされつつあるようにすら思う。
    その渦中にSCAN THE WORLDは直接に世界を見て触れる喜びへ再度思い至るため、壁をよじ登り、注意深く観察し、デジタルな情報を取得する遊びを実践したい。

    石毛健太

  • 《SCAN THE WORLD [STAGE: COLLECTIVE BEHAVIOR]》2018
    photo by たまえ

スキャン・ザ・ワールドの方法 How to scan the world

  • 家の外に出ること
    Go outside

    注意深く見ること
    Look carefully

    触れること
    Touch and Feel

    これまでとこれからを想像すること
    Picture what has been and what will be

    昼と夜の違いを知ること
    Notice the difference between day and night

    イメージを持ち帰ること
    Bring home images

    歩いて
    Keep walking

    気楽に
    Take it easy

  • 展示風景
    撮影:木奥惠三

作家プロフィール

  • SCAN THE WORLD

    2018年より活動を開始したSCAN THE WORLD(STW)は、アーティストの石毛健太とBIENが主導するハンディスキャナで新しい遊びを考えるプロジェクトの総称。これまで開催した2回の展覧会「SCAN THE WORLD[STAGE: TELEPHONE GAME]」(TOH、東京、2021)、「SCAN THE WORLD[STAGE: COLLECTIVE BEHAVIOR]」(FL田SH、東京、2018)にて、新たな路上の遊びを提示してきた。

  • 石毛 健太(いしげ けんた)

    1994年生まれ。美術家、エキシビションメーカー。2018年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻壁画研究領域修了。作家個人の活動に加えて、プロジェクト主体の活動、SCAN THE WORLD、Urban Research Group、インストールメンツに携わる。ニュータウン育ちをバックボーンに、都市や郊外についての再考や物語の読み替えをテーマに制作。近年の主な参加展覧会に「生きられた庭」(京都府立植物園、2019)、「水の波紋展2021」(ワタリウム美術館、東京)、「ストレンジャーによろしく」(金沢アートグミ他、2021)などがある。

  • BIEN(びえん)

    1993年東京都生まれ。ストリートカルチャーやアニメーション、フィギュアなどの表現に影響を受けた独自のドローイングに基づく、抽象絵画やインスタレーション作品を制作しています。人が生み出した文字や記号、マンガやアニメのキャラクターなどの形を躍動的な線でなぞり直し、ストリートカルチャーやアニメーションの文化が持つ様々な表現様式を受け継ぎながら、記号的な意味の解体と再構築を試みています。近年の主な参加展覧会に「理由なき反抗」(ワタリウム美術館、東京、2018)、「PARALLEL ARCHEOLOGY」(OIL by 美術手帖ギャラリー、東京、2020)、
    「DUSKDAWNDUST」(PARCEL,HARUKAITO by island、東京、2021)などがある。

「アペルト」シリーズとは

  • 「アペルト」は、若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会のシリーズです。金沢21世紀美術館は世界の「現在」とともに生きる美術館として、今まさに起こりつつある新しい動向に目を向けています。作家とキュレーターが作品発表の機会を共に創出し、未来の創造への橋渡しをします。国籍や表現方法を問わず、これまで美術館での個展や主要なグループ展への参加経験は少ないが、個展開催に十分な制作意欲を持ち、アペルト実施以後のさらなる飛躍が期待できる作家を紹介していくものです。
    ※「アペルト(aperto)」は、イタリア語で『開くこと』の意味。

関連リンク

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クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

協力:

Konel Inc.
株式会社JSP
株式会社Slacktide