ジェフ・クーンズ × ベルナルド

2022年4月9日(土) - 2022年9月11日(日)

インフォメーション

期間:

2022年4月9日(土) - 2022年9月11日(日)
10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館 デザインギャラリー

料金:

無料

休場日:

月曜日(ただし7月18日、8月15日は開場)、7月19日(火)、8月16日(火)

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

ジェフ・クーンズ(1955年、ペンシルバニア州ヨーク生まれ、ニューヨーク在住)は、ポップカルチャーのアイコンをはじめ、人々の目を引き付ける日常的な表象を用いた作品により世界のアートシーンをリードしてきました。本展では、フランスのリモージュを代表する磁器ブランドのベルナルドとの協働によって精巧に作られたクーンズの代表作「セレブレーション」シリーズをご紹介します。
オリジナルの「セレブレーション」シリーズは、1990年代半ばに制作されたクーンズにとって重要な作品です。パーティを彩る動物型のバルーンという安価で軽やかなモチーフが、鏡面仕上げのステンレススチールによる巨大な彫刻となって現れるとき、低俗さと高級さ、純粋さと魅惑、はかなさと永遠という対極的なコンセプトが作品の中で重なり合います。それは、1年の中の特別な1日を祝うだけでなく、生のサイクルを祝う作品でもあります。
80年代より陶器を素材とした作品を手がけてきたクーンズは、今から10年前、「セレブレーション」シリーズを磁器によって再現するというプロジェクトをベルナルドに依頼しました。磁器の街として名高いフランスのリモージュで1863年に創業されたベルナルドは、精巧な職人技による卓越した品質を守り続ける家族経営のブランドです。しかし同時に、創造性と技術革新の最先端をゆく姿勢により、これまで国際的に著名な現代アーティストたちとのコラボレーションも行ってきました。透明感のあるカラフルな色、全体の微妙なバランス、そしてとりわけ作家が強く求めた、光を反射する滑らかな表面……複雑かつ入念にデザインされたクーンズの作品を忠実に再現するにあたり、ベルナルドのモデラー、装飾家、釉薬職人たちは、新たな専門技術の開発に取り組みました。
クーンズとベルナルド、新たなことに挑戦し、完璧を追求し続ける両者の姿勢と、職人たちの技術が結実した作品を、ぜひご高覧ください。

作家プロフィール

  • photo: Chris Fanning, ©Jeff Koons

    ジェフ・クーンズ Jeff Koons

    1955年、ペンシルバニア州ヨーク生まれ。1980年代に現代アート界で脚光を浴びて以降、ポップ・アートやコンセプチュアル・アートの関心と手法をポピュラーカルチャーと融合させ、時に物議を醸しながらも、常に魅力的な独自のイコノグラフィーを創造し続けています。クーンズの作品にはしばしば日用品がモチーフとして用いられ、「自己受容」と「超越」をテーマに展開されます。クーンズの作品は世界中で展示され、数多くのパブリック・コレクションやプライベート・コレクションに収蔵されています。ニューヨーク在住。

  • ベルナルド BERNARDAUD

    1863年にフランスのリモージュで創業し、現在も家族で経営を担う伝統磁器ブランド「ベルナルド」は、卓越性、優れた品質、精密さというコアバリューを守りながら、創造性と革新性の最先端に立ち続けています。常に変化し続ける磁器産業において、先進的な技術を開発し、磁器製造の芸術と科学における技術的な限界を押し広げ続けています。国際的に有名な現代アーティストとのコラボレーションも、このメゾンの最高水準へのこだわりがあってこそです。

主な展示作品

  • ジェフ・クーンズ《バルーン・ドッグ(ブルー)》2021
    磁器、40×48×15.8cm
    BERNARDAUD, ©Jeff Koons

    バルーン・ドッグ(ブルー)

    20世紀を代表する作品として高い評価を得ているクーンズの「セレブレーション(Celebration)」シリーズの一つ《バルーン・ドッグ》(1994-2000)の磁器限定版。オリジナルの《バルーン・ドッグ》は、高さ3メートルを超えるステンレス鋼の彫刻作品で、犬型の風船をモチーフとしています。祝祭日や記念日にパーティ・グッズとしてよく楽しまれる風船は、幼少期の記憶や無邪気な遊び心を呼び起こします。こうした人生の一瞬の喜びを象徴するものを作品として永続化することで、子ども時代の純真で無垢な体験に、より深い象徴性を与えています。

  • ジェフ・クーンズ《ダイヤモンド(レッド)》2020
    磁器、31.8×39.3×32 cm
    BERNARDAUD, ©Jeff Koons

    ダイヤモンド(レッド)

    「セレブレーション」シリーズの一つ《ダイヤモンド》(1994-2005)の磁器限定版。オリジナルの《ダイヤモンド》は、透明なカラーコーティングを施した鏡面仕上げのステンレス鋼で、高さ2メートル近い大型彫刻作品です。本作品は、ダイヤモンドでお祝いする記念日のような「輝き」だけではなく、生命の源である「創造の瞬間」を現したものでもあります。1970年代後半に制作された「インフレータブル(inflatable)」シリーズ以来、40年以上にわたりクーンズ作品に繰り返し登場する、鏡のような反射面は、周囲の環境だけでなく鑑賞者を映し込み、作品と鑑賞者が互いに切り離せない関係にあることを示唆しています。

  • ジェフ・クーンズ《バルーン・スワン (マゼンタ)》2017
    磁器、24.1×16.4×21cm
    ©Jeff Koons

    バルーン・スワン(マゼンタ)

    白鳥の形をした風船から着想を得て制作された《バルーン・スワン》(2004-2011)の磁器限定版。オリジナルの《バルーン・スワン》は高さ3メートルを超える大型彫刻で、マゼンタ、赤、紫、青、黄の5色で展開されています。“白鳥”は、クーンズが9歳の時に初めて制作した磁器作品の一つで、優美な首の角度を定めるのに1年半を要したほど作家にとって重要なモチーフです。クーンズは、本作品について「正面から見ればトーテム的で男性的、横から見れば女性的」であるとし、「古典作品をほうふつとさせ、性の調和を明確に示した」ものであると言っています。

  • ジェフ・クーンズ《バルーン・ラビット (バイオレット) 》2017
    磁器、29.2×13.9×21cm
    ©Jeff Koons

    バルーン・ラビット(バイオレット)

    ウサギ型の風船から着想を得て制作された《バルーン・ラビット》(2005-2010)の磁器限定版。オリジナルの《バルーン・ラビット》は高さ4メートルを超える大型彫刻で、青、マゼンタ、紫、赤、黄の5色で展開されています。ペンシルバニア州中南部の農村地域に生まれたクーンズは、春のイースターの時期になるとウサギの風船で家々を飾り、周囲を喜ばせていた近隣住民の大らかさや心の豊かさに感銘を受けたと言います。「花とうさぎの形の風船」(1979)、「ラビット」(1986)などの代表作でも分かるように、ウサギのモチーフはクーンズ作品の中でも重要な位置を占めています。

クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

協賛:

BERNARDAUD JAPAN K.K.(ベルナルド)