コレクション展2 BLUE

2021年11月20日(土) - 2022年5月8日(日)

インフォメーション

期間:

2021年11月20日(土) - 2022年5月8日(日)
10:00〜18:00 (金・土曜日は20:00まで) 展示室6のみ4月17日(日)まで

会場:

金沢21世紀美術館
展示室1〜6、レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》、アニッシュ・カプーア《L’Origine du monde(世界の起源)》、ジェームズ・タレル《ブルー・プラネット・スカイ》

料金:

一般 450円(360円)
大学生 310円(240円)
小中高生 無料
65歳以上の方 360円
※( )内は団体料金(20名以上)
※美術奨励の日(会期中の毎月第2土曜日)は金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)。
※前売り券の販売はありません(当日窓口販売のみ)。

休場日:

月曜日(ただし11月22日、2022年1月3日、1月10日、3月21日は開場)、11月24日(水)、12月29日(水)〜2022年1月1日(土)、1月4日(火)、1月11日(火)、3月22日(火)


市民無料の日:
美術奨励の日:会期中の毎月第2土曜日(12月11日、2022年1月8日、2月12日、3月12日、4月9日)
金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

光のスペクトルにおいて、赤の長い波長がまっすぐ進むのに対し、青の短い波長は四方に拡散し、空間のなかに溶け込んでゆきます。手につかむことのできない空や水に象徴されるように、青はその深みにおいて認識される色であり、それゆえに古代より人々の憧憬の念を掻き立ててきました。地上に目を移しても、青い色をした自然物は非常にめずらしく、ラピスラズリは洋の東西を超えて珍重されてきました。また、かつて映画監督のデレク・ジャーマンが「ブルーは目に見える闇の色」と語ったように、青は光と闇、生と死のあわいに現れる色でもあります。そして人々が内省へと向かう今にあって、青は私たちの心にもっとも浸透する色と言えるかもしれません。
本展覧会では、金沢21世紀美術館のコレクションを中心に、絵画、彫刻、工芸、映像といったジャンルを横断しながら、国内外のさまざまな文化圏の作家による多様な青の表現を紹介します。また、当館の恒久展示作品であるレアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》やジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》、アニッシュ・カプーアの《L’Origine du monde(世界の起源)》にも新たな光を当てることになるでしょう。そして、招へい作家として、青い色彩と光が印象的なドローイング・アニメーションを制作してきた画家/映像作家の石田尚志の作品も展示します。それぞれの作家が織りなす青の世界を、ぜひ体感してください。

関連プログラム

キュレーターズ・トーク

登壇:横山由季子(金沢21世紀美術館アシスタント・キュレーター)
日時:①11月20日(土) 14:00〜14:30
   ②2022年1月9日(日) 14:00〜14:30
   ③2022年4月16日(土) 14:00〜14:30 ※中止となりました
会場:レクチャーホール
定員:各回50名(先着順、事前申込み不要)
料金:無料

石田尚志 「青い小さな家」公開制作

日時:2022年3月17日(木)〜27日(日) ※3月22日(火)は閉場
    10:00〜12:00、13:00〜17:00 ※時間は変更の可能性あり。
   ※3月17日(木)は13:00〜17:00のみ
   ※3月20日(日)は10:00〜12:00のみ
   ※3月21日(月・祝)は10:00〜12:00のみ
会場:プロジェクト工房
定員:プロジェクト工房内が混雑した場合は入場をお待ちいただくことがあります。
(事前申込み不要)
料金:無料
※完成した作品は、3月29日(火)より展示室5で展示します。

小林康夫 講演会「青の美術史」

登壇:小林康夫(東京大学名誉教授)
日時:2022年3月21日(月・祝) 14:00〜15:30
会場:シアター21
定員:70名(要事前申込み)
料金:無料

プレイベント 石田尚志×足立智美

パフォーマー:石田尚志(画家/映像作家)、足立智美(音楽家)
日時:10月16日(土) 16:00〜19:00
会場:市役所側広場(雨天の場合は情報ラウンジ)
定員:混雑時は観覧をお待ちいただくことがあります。(事前申込み不要)
料金:無料

関連イベント

  • 撮影:宮崎誠

    オリジナル「イメージメニュー」
    「イメージメニュー」は、展覧会「コレクション展2 BLUE」のイメージにあわせてつくられた、味覚と視覚で楽しめるメニューです。展覧会鑑賞後のもうひとつの楽しみにぜひお試しください。和菓子は数量限定にてご用意しています。

    金沢の和菓子の名店「𠮷はし菓子所」が作った、本展出品作をイメージした上生菓子を、当館のカフェレストラン "Fusion21"で提供いたします。
    また、カフェレストラン"Fusion21"では、BLUE展の青に着想を得たドリンクもご用意いたします。
    本展覧会とともに「美術館で第2の感動」をガラス張りの開放的な空間でお楽しみください。

    詳しくはこちら

出品作家(アルファベット順)

  • 通期 2021年11月20日〜2022年5月8日
    レアンドロ・エルリッヒ / 石田尚志(招へい作家) 《絵と窓の間》
    アニッシュ・カプーア / ローズマリー・ラング
    ピーター・ニューマン / 志賀理江子 / ジェームズ・タレル
    ※ローズマリー・ラング / ピーター・ニューマン / 志賀理江子は4月17日(日)まで

    前期A 2021年11月20日〜2022年2月20日
    リュック・タイマンス / イー・イラン

    前期B 2021年11月20日〜2022年3月27日
    舟越桂 / 塚田美登里

    後期A  2022年2月22日〜5月8日
    フランシス・アリス / 福本潮子 / 杉本博司

    後期B 2022年3月29日〜5月8日
    ヤン・ファーブル
    石田尚志(招へい作家) 公開制作作品「青い小さな家」

展示室解説

  • 舟越桂《冬にふれる》1996
    © FUNAKOSHI Katsura
    photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

    展示室1:青の時間

    前期B 舟越桂 FUNAKOSHI Katsura
    1951年岩手県(日本)生まれ、東京都在住。
    後期B ヤン・ファーブル Jan FABRE
    1958年アントワープ(ベルギー)生まれ、同地在住。

    昆虫学者のファーブルは、夜が昼へと、闇が光へと移行する、詩的な静寂の時を「青の時間」と呼びました。それは、夜行性動物が眠りにつき、昼行性動物が目を覚ますまでのひとときです。季節にすると、「青の時間」は動物たちが冬眠し、春に目覚めるまでの時期にあたるでしょう。前期は舟越桂による青い衣服をまとった半身の人物像《冬にふれる》、後期はヤン・ファーブルによる、Bicの青のボールペンで画面全体を覆った《コノハムシ》を展示します。素材やモチーフ、フォルムは違えど、いずれも、静謐な不動性の内に、生の躍動を秘めている作品です。青が象徴的に用いられたこれらの作品によって、「BLUE」の展覧会は始まります。

  • 福本潮子《霞の幔幕》2002
    © FUKUMOTO Shihoko
    photo: KIOKU Keizo

    展示室2:青の奥行き

    前期A イー・イラン YEE I-Lann
    1971年コタキナバル(マレーシア生まれ)、クアラルンプール在住。
    後期A 福本潮子 FUKUMOTO Shioko
    1945年大阪府(日本)生まれ、京都府在住。
    杉本博司 SUGIMOTO Hiroshi
    1948年東京都(日本)生まれ、東京都、ニューヨーク(米国)在住。

  • 続く展示室は、青の奥行きを感じることのできる空間です。前期に展示するのは、東南アジアの伝統的なろうけつ染めによるイー・イランのバティック作品「オラン・ブサール・シリーズ」。国家のアイデンティティと強く結びついたバティックという技法と、権力者(オラン・ブサール)として描かれる人間たちを通して、本作品は茫洋と広がる東南アジアの青い海にひそむ、因襲的な権力構造に批判的なまなざしを投げかけます。
    後期は、杉本博司の《日本海 礼文島》と福本潮子の《霞の幔幕》を合わせて展示します。空と海を半分ずつ写した杉本の「海景」は、モノトーンであるがゆえに、青の精神的な広がりを感じさせます。福本の藍染の幔幕は、ゆらめく藍のグラデーションによって、たなびく霞の中で見え隠れする山々の情景と、抽象的な空間の奥行きを浮かび上がらせるでしょう。

  • フランシス・アリス《無知の果て》1997
    © Francis ALŸS
    photo: SAIKI Taku

    展示室3:静寂の青

    前期A リュック・タイマンス Luc TUYMANS
    1958年モルツェル(ベルギー)生まれ、アントワープ在住。
    後期A フランスシス・アリス Francis ALŸS
    1958年アントワープ(ベルギー)生まれ、メキシコ・シティ(メキシコ)在住。

    前期に展示するのは、日常にひそむイメージを絵画化してきたリュック・タイマンスの作品。見ることの不可能性を示唆する《No.7 針》と、現代においても大きな力を持つイエズス会のシンボルを描いた《二重の太陽》は、ともに青という色彩を通して、視覚を超えた領域を仄めかしています。
    後期は、「歩くこと」をテーマに活動してきたフランシス・アリスによる寓話的な絵画を壁にランダムに配置します。「デジャ・ヴュ」シリーズの一部であるこれらの作品は、青く荒涼とした風景の中に、奇妙な姿で歩く人や動物が浮遊し、夢や幻影のような光景を生み出しています。見る人を深い内省へと誘う静寂に満ちた両者の作品には、彼らの故郷でかつて栄えた、フランドル美術の青の伝統を見ることができるかもしれません。

  • 石田尚志《絵と窓の間》2018
    [映像] 4k ビデオ(サイレント)4分33秒/16mmフィルム(サイレント) 2分16秒
    [絵画]アクリル絵具、水彩、チョーク、キャンバス
    © Takashi Ishida, Courtesy of Taka Ishii Gallery

    展示室4:光と闇のあわい

    石田尚志 ISHIDA Takashi
    1972年東京都(日本)生まれ、同地在住。

    画家/映像作家の石田尚志を招へい作家として迎え、映像インスタレーション《絵と窓の間》を大空間に展開します。4分33秒のプロジェクション映像と、約半分の長さの16ミリフィルムの映像、そして映像の中に登場する1点の絵画で構成される本作品は、重層的な青と白のドローイングによって貫かれています。絵と窓という2つの矩形の間で現れては消えていく有機的な線や幾何学的なフォルムに、窓からの光や激しく明滅する光が重なり、描くことと見ることが凝縮された、絵画と映像の根源的な時間へと私たちへと誘います。今回の展示では展示室の窓や、光を反射する床も作品に取り込み、青い光と闇で満たされた空間を出現させます。

  • 塚田美登里《Colony》2002
    © TSUKADA Midori
    photo: SAIKI Taku

    展示室5:青のプリズム

    前期B 塚田美登里 TSUKADA Midori
    1972年岐阜県(日本)生まれ、富山県在住。
    後期B 石田尚志 ISHIDA Takashi
    1972年東京都(日本)生まれ、同地在住。

    展示室5では、前期に塚田美登里のガラス作品を展示します。細胞の集まりを意味する《Colony》と、月の満ち欠けを意味する《Wax and Wane》は、透明なガラスの中にいくつもの流動的な青い筋が封じ込められた作品です。これは熱と反応して青く溶けた銅箔で、それはまるでプリズムのように、光を受けて青い色彩を乱反射します。
    後期は、石田尚志が2022年3月にプロジェクト工房で行う公開制作で制作予定の新作を展示します。近年石田が取り組む立体アニメーションの手法によって「青い小さな家」を作り出す試みで、光庭の中にあるガラス張りの展示室という空間から構想されました。入れ子状の小さな家が放つ青は、果てしなく広がる青い空や宇宙へと拡散してゆくでしょう。

  • 志賀理江子 シリーズ「螺旋海岸」より
    《螺旋海岸36》2010
    © SHIGA Lieko

    展示室6:異界への開かれ

    ※4月17日(日)まで
    志賀理江子 SHIGA Lieko
    1980年愛知県(日本)生まれ、宮城県在住。
    ローズマリー・ラング Rosemary LAING
    1959年ブリスベン(オーストラリア)生まれ、シドニー在住。
    ピーター・ニューマン Peter NEWMAN
    1969年ロンドン(英国)生まれ、同地在住。

    最後の展示室では、目に見える世界の先に、異界への開かれを予感させる作品を展示します。志賀理江子の「螺旋海岸」シリーズは、2008年に宮城県に移り住んだ作家が、土地とそこに生きる人々の身体に肉薄することで生まれました。写真によって固定されたイメージには青い光が写り込み、人々の営みや自然の背後にひそむ生の外側の世界を感じさせます。
    ローズマリー・ラングの写真「フライト・リサーチ」シリーズと、ピーター・ニューマンの映像「フリー・アット・ラスト」は、いずれも空中に身を投じた人物を捉えた解放的な作品です。前者では無垢からの変容を暗示する花嫁衣装を着た女性が、シドニー郊外のブルーマウンテンズ上空に浮かび、後者ではスカイ・ダイビングをするダイバーが、自己の内面へと向かう瞑想であるヨガのポーズを取っています。どこまでも続く青空の中、生の極限状態に置かれた彼らの身体は、この上ない自由を獲得しているかのようです。

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クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]

協力:

株式会社 Slacktide