期間:
2021年6月15日(火) - 2021年11月3日(水・祝)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
2021年6月15日(火) - 2021年11月3日(水・祝)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
金沢21世紀美術館
展示室1〜6
一般 450円(360円)
大学生 310円(240円)
小中高生 無料
65歳以上の方 360円
※観覧券販売は閉場の30分前まで
※( )内は団体料金(20名以上)
※前売り券、WEBチケットの販売はありません
月曜日(ただし8月9日、9月20日、11月1日は開場)、8月10日(火)、9月21日(火)
市民無料の日:
美術奨励の日:会期中の毎月第2土曜日(6月12日、7月10日、8月14日、9月11日、10月9日)
市民美術の日:11月3日
金沢市民の方は本展を無料でご覧いただけます(要証明書の提示)
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800
日々の暮らしの中で、自分たちの力ではどうにもすることができないことがたくさんあります。そうしたことに直面するとき、人々は特定の神仏や森羅万象に宿る神々に思いを告げたり、自分自身の心に問いかけることで、自分だけでは到達することのできない果てしない宇宙に身を浸し、その超越的な力をたよりに、日々の変わらない幸せを願いながら生活を営んできました。私たちの暮らしに寄り添うように、昔も今も私たちの日々の近くには様々な祈りや宗教、内省的な営みがあります。
美術や音楽、そして踊りといった芸術の1つの源泉もこうした日々の営みのそばにありました。見ることのできない世界を現前させる芸術は、人々を果てしない宇宙へと導くメディアとしての機能を担っていました。そうした芸術の役割は、時代が変わっても私たちが日々の安寧を願い暮らし続ける限り、形を変えて現代美術にも表れているのではないでしょうか。本展では、当館のコレクション作品を中心に「宗教」「祈り」「内省」をテーマに現代美術を読み解きます。
この展示を通じて、さまざまな「宗教」「祈り」「内省」の形から垣間見る世界中のあらゆる文化を見つめる機会を持つことで、今日の美術に新たな視点を示すばかりでなく、そうした多様な宗教文化への理解を促す機会となることも期待します。
期間:2021年10月30日(土) 15:00〜16:00
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
定員:約40名(事前申込不要、先着順)
ジャナン・ダグデレン
ファブリス・イベール
加藤泉
草間彌生
アナ・メンディエータ
向井山朋子+レニエ・ファン・ブルムレン
シリン・ネシャット
ゲルハルト・リヒター
ピピロッティ・リスト
武田竜真
ボグラールカ・エーヴァ・ゼレーイ
1960年イスタンブール(トルコ)生まれ、ウィーン(オーストリア)在住。20歳でウィーンに渡り、今でも同地で暮らすダグデレンは、「故郷」や「家」をテーマとし、軽やかでありながら強いメッセージを発する作品を制作する。イスラム圏のブロック建築や宗教建築、美術やカリグラフィーなど、自身の出生地域の文化ルーツへの参照をもとに、しなやかな感性で作られた造形が特徴的である。国境、民族、文化などに関する人間の帰属やアイデンティティの観点が、作品において批評的に提示される。
本展で展示する《アット・ホーム・ドット》は、作家のルーツであるイスラム教圏における伝統的な建築を、抽象化した546個の磁器の球体で表現するドーム付きの家で表現する。
1961年ルソン(フランス)生まれ、パリ在住。社会との関わりに強い関心を持ちながら、オブジェ、ドローイング、絵画、映像、パフォーマンスなど様々な形式を用いて活動する美術作家。平凡な日常行為に疑問を投げかけ、新たな視点を切り開く作品を制作。個人放送局の運営、「UR(無限責任)」という名の会社を設立してのマルチプル販売、他のアーティストの支援など、メディアや美術を流通させる制度の変革にも取り組む。
収蔵後初めて展示される本作は、新しいコミュニケーションが育まれる装置として作られた作品で、テレビスタジオに見立てられたこの場から様々な議論や関係性が広がっていく作品である。本展ではこの作品を通じてあらゆる宗教文化の垣根を越えて人々が対話する場が生み出される。
1969年島根県(日本)生まれ、東京都在住。1992年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2000年代以降、国内外の個展・グループ展での発表、特に第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2007年)への招待出品で注目される。
加藤が描く大きな頭、小さな手足、丸みが強調されたお腹を持ち、離れ気味な丸い目がどこか遠くを見つめる表情が印象的なプリミティブな人体像は、原始的な芸術やアニミスティックな信仰をも想起させる。2000年代半ばからは木彫彫刻も手掛け、また近年ではソフトビニール等の異素材も取り入れつつ、不思議な生命感を漂わせる立体作品も制作している。本展では当館が所蔵する加藤の代表的な人物像を一堂に展示する。
1929年長野県(日本)生まれ、東京都在住。50年以上にわたって創作活動を続ける草間彌生は、国内外の美術に多大な影響を与えてきた作家である。1950年代初頭より国内で作品を発表し始め、1957年に渡米。その後、活動の拠点をニューヨークに据え、インスタレーション作品や様々なパフォーマンスを展開していく。1973年に本格的に日本に帰国し、現在に至る。幼い頃からの自身の体験を絵に表すことを原点に、大規模な平面、立体、空間作品を展開し、特に、反復的で増殖的なドットや網の表現は、草間独自の世界像である。
本展で展示する《I’m Here, but Nothing》は、ブラックライトによって発光する無数のドットによって空間が覆い尽くされたインスタレーション作品で、まるで鑑賞者自身も消えていくかのような無限の世界が現れる。
1948年ハバナ(キューバ)生まれ、1985年ニューヨーク(米国)にて逝去。社会主義体制への移行に伴い、12歳でアメリカに移住。当時新しい美術分野の教育拠点となりつつあったアイオワ大学で美術を学び、自らのリアルな身体が繰り広げるパフォーマンスを記録した写真や映像作品の制作を始める。彼女にとって故郷キューバの代替地であったメキシコ滞在をきっかけに、自らの民族的アイデンティティとともに、古代文明、土着文化の伝統を強く意識し、これらの文明や伝統に見られる図像を作品内に取り込んだ「シルエッタ・シリーズ」として知られる連作に取り組み始める。これらの傾向を集約し、そこから飛躍する活動を1970年代の前半より生涯を通じて行い、自らの活動を「アース・ボディ・ワーク」と呼んだ。
本展で出品する作品の1つ《魂、ファイヤーワークのシルエット、オアハカ、メキシコ》は自らの身体を象ったオブジェが燃え尽きる模様を捉えた映像作品で、彼女の制作の特徴を端的に表した作品である。
オランダ、アムステルダム在住のピアニスト/美術家。1991年国際ガウデアムス演奏家コンクールに日本人ピアニストとして初めて優勝、村松賞受賞。近年は従来の形式にとらわれない舞台芸術やインスタレーション作品を発表。日本とオランダ、自身のあるいは他者の身体性、セクシャリティ、演奏と記憶などをテーマに異なるテーマを横断し侵犯しながら共存をめざす作品の演奏・制作を続けている。
本作は2018年オランダ・テルスヘリング島のウーロル・フェスティバルでの世界初演後、高知県立美術館、神津島にて行われた《雅歌(GAKA)》をもとに作成された映像作品である。レニエ・ファン・ブルムレンによる映像が、音楽、踊り、歌、祈りを交えた新しい儀式の形を新たな映像作品として浮かび上がらせる。
1957年ガズヴィーン(イラン)生まれ、ニューヨーク(米国)在住。1974年に渡米、大学で美術を学ぶ。卒業後、ニューヨークに移り、拠点とする。1990年、渡米後初めてイランに戻り、1979年の革命後の祖国の状況に触発され、特に女性を取り巻く状況を主題とする作品制作を始める。1993年、殉教を題材に、チャドルに身を包まれた女性を撮り、目や手のひらなど体の露出部分にペルシャ語を書き加えた写真シリーズ「アラーの女たち」を発表。1996年から映像を用い、3部作といわれる音と映像によるインスタレーション作品《荒れ狂う》(1998年)、《歓喜》(1999年)、《熱情》(2000年)を発表。2009年《女たち》でヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞。
本展では映像作品《歓喜》制作時に撮影された一連の写真作品を展示する。《歓喜》は3部作の1つで、イラン人作家モニル・ラヴァニプールによって書かれた『アール・イ・ガルク』(溺死を恐れぬ果敢な人)という小さな村での黙示録的な物語から着想を得て制作された。
1932年ドレスデン(ドイツ)生まれ、ケルン在住。東ドイツで美術教育を受けた後、西ドイツ旅行中に出会った抽象表現主義に強い影響を受け、ベルリンの壁のできる半年前にデュッセルドルフへ移住。1962年に新聞の写真をもとにした《机》を発表。以後、あらゆる存在を反映する基盤として「シャイン」(光、見せかけ、仮象)をテーマに、高度な絵画技術をもって多様なスタイルを行き来しながら、可視性と不可視性、写真と絵画、現実と虚構との境界を行き交い、「見ること」を探求し続けている。
本展で展示する《8枚のグレイ》は「ミラー・ペインティング」シリーズの代表作で、グレイの色が施された8枚の大ガラスが鑑賞者に「見る」という行為を促す。吸い込まれるような作品を見ることを通じて、鑑賞者は自分自身をも見つめることになるだろう。
1926年ニューヨーク(米国)生まれ、1987年同地にて逝去。図形譜とよばれる、五線譜ではなく、自由な図形を用いて書かれた楽譜の発案者として知られる。ジョン・ケージとならび、20世紀のアメリカ実験音楽を代表する作曲家の一人で、日本の現代音楽にも極めて大きな影響を与えた。音楽に限らず、文学・美術の領域の芸術家との交流を重ね、特に抽象表現主義の作家との交流は、代表作の1つ《ロスコ・チャペル》(1971年)の作曲に繋がった。
本展で出品する作品《ロスコ・チャペル》は、1971年ヒューストン(米国)のメニル・ファウンデーションの依頼で制作された曲で、マーク・ロスコが描く14枚の絵画を設えた8角形の瞑想室に捧げられた。本展では、当館コレクションのゲルハルト・リヒター《8枚のグレイ》の空間とあわせて、没入感のある空間を作り出す。
1962年ラインタール(スイス)生まれ、チューリヒ在住。グラフィック・デザイン、写真、ヴィデオ、アニメーション等多岐にわたる分野の習得、さらにロックバンド活動等の経験がピピロッティ・リストの作品の独自性を際立たせる。体の部分を極端にクローズアップさせ、また故意に歪ませ不快感を煽るアングル、ラディカルでコミカルな人の行動の描写と、ポップで流動的な色彩に満たされた映像・音楽とが融合した表現が特徴的である。
当館の恒久展示作品の1つで展示ゾーンのトイレに設置されている《あなたは自分を再生する》は、トイレという誰もが必要とする浄化の場所を神聖な空間(聖堂)と見立て、30センチメートル四方の祭壇である。鑑賞者はトイレという日常の場にいながら、神秘的な世界に身を置くこととなる。
1988年熊本県天草郡生まれ、ベルリン在住。2013年、多摩美術大学卒業後に渡独。ドレスデン美術大学にてマルティン・ホナートとカールステン・ニコライに師事し、2020年、同大学マイスターシューラー課程修了。隠れキリシタンの地の1つである天草地方で生まれ育った背景から、宗教や信仰の移動と変化、またそれらを運ぶ/受け入れる人の営みに関心を寄せる。人類学的視点を介在させ、歴史や美術史への再解釈を行いながら、絵画、立体、インスタレーション、映像といった様々なメディアを用いて、今日の多様な世界が内包する共通言語を探求している。
本展では自身のルーツに立ち返り、隠れキリシタン信仰をテーマに新作を制作する。
1993年ブダペスト(ハンガリー)生まれ、現在同地在住。ハンガリーのカポシュヴァール大学で写真を学んだ後、国立モホリ=ナジ芸術大学で修士号を取得。今日のスピリチュアリティや変容する宗教のあり方を、写真作品の制作を通じて探求している。2018年、New East Photo Prizeのファイナリストに選出されたほか、Pécsi József Photography Grantを獲得。2020-2023年、ハンガリー芸術アカデミースカラシップを獲得。活動の幅を広げている。
本展出品の《Seekers》は、現代社会とスピリチュアリティの今日の関係性を探った作品で、世俗的な社会にありながらも未だ残る今日の宗教的イメージを映し出そうとする。
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
公益財団法人野村財団