期間:
2019年5月18日(土) - 2019年9月23日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
2019年5月18日(土) - 2019年9月23日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
金沢21世紀美術館
展示室1〜6
毎週月曜日(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開場)、7月16日(火)、9月17日(火)
■ 本展観覧券
一般=1,200円(1,000円)
大学生=800円(600円)
小中高生=400円(300円)
65歳以上の方=1,000円
■「大岩オスカール 光をめざす旅」 展との共通観覧券(5月18日〜8月25日)
一般=2,000円(1,600円)
大学生=1,400円(1,100円)
小中高生=700円(600円)
65歳以上の方=1,600円
■「現在地:未来の地図を描くために[1]」 展との共通観覧券(9月14日〜9月23日)
一般=2,000円(1,600円)
大学生=1,400円(1,100円)
小中高生=700円(600円)
65歳以上の方=1,600円
※( )内は団体料金(20名以上)及び前売りチケット料金
◯チケットぴあ
TEL: 0570-02-9999
Pコード:
[本展観覧券]769-552
[現在地:未来の地図を描くために[1]との共通観覧券]769-693
◯ローチケHMV
TEL: 0570-000-777
Lコード:
[本展観覧券]55367
[現在地:未来の地図を描くために[1]との共通観覧券]54417
○EVENTIFY(ファミリーマートグループ)
ファミリーマート店内Famiポートにて直接お買い求めください。
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800
金沢21世紀美術館では2006年度から現在に至るまで約2,939件の粟津潔作品・資料の寄贈を受け、調査を続けてきました。2007年度には、受贈作品のうち1,750 点を一挙に公開し、粟津の活動に関わった多数の表現者による証言、ワークショップ、パフォーマンスを展開する企画展「荒野のグラフィズム:粟津潔展」を実施しました。その後、2014年度から2018年度まで全5回シリーズで開催した「粟津潔、マクリヒロゲル」では、パフォーマンスや建築、写真などをテーマに調査を行い、多角的に粟津の世界観を紹介してきました。
粟津潔没後10年に当たる2019年、これまでの調査研究の成果として粟津潔展を再び開催いたします。本展では、粟津潔ご子息である粟津ケン氏を企画監修に迎え、粟津作品に貫かれる民衆へのまなざし、そして「社会をいかにデザインするか」という視点から、粟津のデザインの本質を明らかにしていきます。それはまた今を生きる私たちにとっても今後の社会を考える上で重要な視点となるはずです。さらに本展にあわせ、粟津潔アーカイブを全件データベース公開し、一部の作品についてはオープンデータ化もすすめています。まさに今、展覧会というメディアを通して、複製こそヒエラルキーのない「民衆のイコン」であるとした粟津の精神をマクリヒロゲルことに挑みます。
●展覧会の構成(pdf)
●出品リスト(pdf)
開催日:9月21日(土) 14:00〜15:30(開場13:30)
会場:シアター21
料金:一般 1,000円 / 友の会会員 900円(入場時要会員証)
※8/24販売開始予定
開催日:8月3日(土) 14:00〜(60分程度を予定)
会場:金沢21世紀美術館 光庭(粟津潔展会場内)
参加費:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)※事前申込み不要
粟津潔が制作した「ピアノ炎上」という16mm映画に触発されて活動を始めた上野雄次が、粟津潔に捧げる花いけのパフォーマンス。 表現者とは何者なのか? 活動家とは何者なのか? 粟津潔の生涯をトレースする行為、パフォーマンスを刮目せよ。
※13:30からレクチャーホールにて粟津ケン氏(本展企画監修者)の解説とともに粟津潔映像作品《ピアノ炎上》(1973年)を上映します。
出演:梁説(ヤン・ソル/東九条マダン実行委員長、立命館大学先端総合学術研究科博士課程)×
古川美佳(朝鮮美術文化研究、女子美術大学非常勤講師)
日時:2019年7月6日(土)14:00-15:30
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
定員:80名(事前申込み不要、先着順)
参加費:無料
日時:7月3日(水) 19:00-20:00(18:30開場)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21
音楽、エッセイ、コミックなどで活躍する韓国ソウル生まれのマルチ・アーティスト、イ・ランによるふたり編成のライブ。その真摯で嘘のない言葉やフレンドリーな姿勢、思考、行動で日韓両国で話題となり共感を生んでいる楽曲の中から粟津展にあわせていくつかを演奏します。歌詞の日本語訳あり。
チケット料金:一般 2,000円 / 友の会会員 1,800円(6/8販売開始)
チケット取扱:ミュージアム・ショップ、チケットぴあ(Pコード:642-994)、ローソンチケット(Lコード:54693)
※未就学児入場不可
※友の会会員は入場時要会員証提示
※開場時間になりましたら、チケットに記載の整理番号順にご入場いただきます。
出演:<トーク>
笹久保伸(秩父前衛派)×
椹木野衣(美術評論家、多摩美術大学美術学部教授)
<パフォーマンス>
秩父前衛派(笹久保伸:guitar、KOJI ASANO:laptop)
日時:2019年6月8日(土)
トーク 14:00〜15:00
パフォーマンス 15:30〜16:30
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール、展示室6
出演:粟津ケン(本展企画監修者)×
軸原ヨウスケ(デザイナー、本展グラフィックデザイン担当)
日時:2019年5月18日(土) 14:00〜15:30(13:45開場)
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)
1929年東京都生まれ、2009年神奈川県川崎市にて逝去。独学で絵・デザインを学ぶ。1955年、ポスター作品《海を返せ》で日本宣伝美術会賞受賞。戦後日本のグラフィック・デザインをけん引し、さらに、デザイン、印刷技術によるイメージの複製と量産自体を表現として拡張していった。1960年、建築家らとのグループ「メタボリズム」に参加、1977年、サンパウロ・ビエンナーレに《グラフィズム三部作》を出品。1980年代以降は、象形文字やアメリカ先住民の岩絵調査を実施。イメージ、伝えること、ひいては生きとし生けるものの総体のなかで人間の存在を問い続けた。その表現活動の先見性とトータリティは、現在も大きな影響を与えている。
戦後日本の復興期に活躍したデザイナー粟津潔は、亀やカラスなど日本の土着的なモチーフに着目し、原色を大胆に使ったデザインで知られる。しかし、作品に一貫するのは、社会に対する深い眼差しである。多くの思想家・活動家たちが粟津潔にデザインを依頼し、粟津はその仕事に誠実に取り組んだ。ベン・シャーン(1898-1969、リトアニア生まれ)に影響を受けていた粟津は、デザインは、客観的に事実を赤裸々に示すのではなく、心に届く感傷を表現することこそ重要だと考えていた。粟津がデザインに向き合う姿勢の原点がここにある。
戦後の荒れ野原のなか12歳で働き始めた粟津潔は、映画を見ることと絵を描くことを楽しみに生きていた。終点のない山手線車内で毎日のようにスケッチしていた粟津の眼は、社会をたくましく生きるひとたちに向けられていた。《海を返せ》は、日本宣伝美術会の入選作で、社会性をデザインした作品として大きな注目を集めたが、1960年の世界デザイン会議でハーバード・バイヤーが社会に対するデザインの役割を提議して以降、粟津の社会への意識はますます強くなっていく。国家的なプロジェクトが次々に開催され、デザイナーとしての活躍の場が急激に増えていく一方、デザインが画一化されていくことに危機感をもった粟津潔は、『デザイン批評』の発行や、美共闘(美術家共闘会議)の支援など、社会的な活動を強めていく。
サンパウロ・ビエンナーレに出品された作品。粟津潔は、油絵の具を用いて、複製化されるための原画やイラストレーションを1点に集め、コラージュするように制作した。サンパウロの会場では、シルクスクリーンの版を持ち込み、写真にとったこの作品をまたシルクスリーンにおきかえ、会場の床に刷り込んだ。モチーフになっているのは、指紋、地図、印鑑、阿部定、解剖図、鳥、モナリザ、辞典の一頁など粟津が繰り返し用いてきた「民衆のイコン」である。「民衆」とはこの社会に暮らすひとりひとりのことであり、かけがえのない存在としての個人である。粟津は、複製メディアは芸術作品からアウラが剥奪されているとしたヴァルター・ベンヤミン(1892-1940、ドイツ生まれ)に対し、芸術創造によって剥奪されていたアウラは複製メディアのなかにあり、礼拝的価値があるとした。粟津の信念の結晶としての絵画がこの《グラフィズム3部作》である。
どのようなデザインでも粟津潔の個性が際立つからか、商業的なものを手がけることは少なかった粟津だが、演劇や映画、書籍の装幀などは数多く手がけている。台本や原稿を読み込み、自分なりの解釈を加え、新しいイメージを提示し作品の魅力を増幅させる。それはまさに多くのクリエイターとの協働作業であったといえるだろう。そして粟津がさらにこだわったのは、ポスターや書籍が一般の人の生活の場に広がっていくことであった。日常のなかにデザインがあることこそ粟津にとって重要だった。
太宰治の『津軽』に憧れ、撮影された写真を展示する。『津軽』は単なる紀行文ではなく、精神的な故郷を書いたものである。精神的な故郷こそ自分たちの現在を大きくささえている世界だと感銘を受けていた粟津は、「人間生活のフォト・ドキュメント」を撮るため青森県にむかい、そこで暮らし働く人たちを写している。初期のスケッチに通じる市井の人々に向けられた粟津潔の深い眼差しがここにある。
「デザインになにができるか」と問い続けた粟津潔は、1960年に建築評論家の川添登、若手建築家の菊竹清訓、黒川紀章らと「メタボリズム」を結成、「環境デザイン」という言葉を用い、社会の変化に合わせて有機的に成長する都市や建築にも関わるようになる。津山文化センターの壁面レリーフと内庭もそのひとつである。外壁のモチーフは「メタボリズム」として描いた生物体の形態を雲に見立てたもの。内庭は、津山市内に打ち捨てられていた瓦を集め、それを立てて埋め込み、1つ1つの瓦に水子の魂を見て、川に流されていくイメージを作りだした。漫画《因果説話 すてたろう》はこの制作からインスピレーションを得て生みだされた。
阿部定、海亀、印鑑の群れ、胎児の群れ、H2O Earthman、無名なる漁師など土着的なモチーフを多用する粟津潔の表現を、文芸美術評論家の針生一郎は「民衆のイコン」と呼んだ。これらの「民衆のイコン」こそヒエラルキーなく拡大する図像だとしてこだわりつづけた粟津潔。これらイコンの数々を壁一面に展示する。また、粟津潔の精神は今も生き続けていると語る粟津ケン氏が選びだした、粟津スピリットを現在独自に体現しているとも言える秩父前衛派の作品と、韓国の民衆運動を支えた在日朝鮮人二世・梁民基のコレクションを朝鮮美術文化研究者の古川美佳氏、梁民基のご息女で東九条マダン実行委員長の梁説氏の監修のもと展示する。
秩父前衛派はペルーから帰国した音楽家・笹久保伸を中心に埼玉県秩父市にて始めたアート運動/コレクティヴである。秩父の民俗・文化人類学、歴史・郷土史、民間伝承・民謡・地域性・ムラ・環境などを独自に調査し、秩父地域が持つ根源的な前衛性、呪術性、神話性を再発見した笹久保伸は自らの足元を掘ること、アイデンティティを掘ることに執着した地域調査を第一フィールドとし、第二フィールドを作品という形でアウトプットする活動を続けてきた。近年は破壊される秩父の神の山「武甲山」を取り巻く環境問題にフォーカスした作品を制作している。笹久保伸は「すてたろう組曲」を作曲し、ギタリストとして自ら演奏し、出版も手がけている。
韓国の民衆版画は、1970年代後半から80年代の韓国民主化運動と呼応した「民衆美術」の作家たちによって制作された。木版画は変革運動に応える民衆の「抵抗の武器」であり、文化の根を探るメディアとして機能した。こうした木版画が海を越え、日本にもたどりついた。韓国民衆文化運動のひとつ「マダン劇(広場の演劇)」を日本に紹介し、大阪・東京・京都を中心に文化運動を実践していた在日朝鮮人二世・梁民基(1934―2013)が版画を入手し、弾圧厳しい隣国の民主化を支援したからである。当時、木版画を担って日本を往来した洪善雄(1952―)の新旧作品をはじめ、民衆の典型を示した呉潤(1946―1986)、農村や工場等の現場を刻んだ金鳳駿(1954―)、光州民衆抗争を伝えた洪成潭(1955―)、韓国の女性美術運動を牽引した鄭貞葉(1962―)らの作品を展示する。これらは時代の息吹であり、梁民基ら在日韓国・朝鮮人が「みずからの文化の創造」を試みた軌跡である。それは第三世界へ意識を向け、芸術分野の境界をとりのぞき、社会と対峙した粟津潔の精神と響きあう。そしてその活動は次世代の梁説らによる京都「東九条マダン」に受け継がれ、粟津潔の創作と共鳴しつつ、まさにこの場でも現在進行中である。
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
株式会社ムラヤマ
津山市、 凸版印刷株式会社 印刷博物館、 株式会社ピクトリコ
韓国民衆版画展示監修:
古川美佳、梁説
企画監修:
粟津ケン