期間:
2018年11月3日(土) - 2019年5月6日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)※展示室6のみ、会期11/10(土)〜2019/5/6(月)。ただしスイミング・プール地下にはお入りいただけます。 ※展示室13のみ、会期11/3(土)〜2019/3/3(日)ほか、一部展示替え有。
2018年11月3日(土) - 2019年5月6日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)※展示室6のみ、会期11/10(土)〜2019/5/6(月)。ただしスイミング・プール地下にはお入りいただけます。 ※展示室13のみ、会期11/3(土)〜2019/3/3(日)ほか、一部展示替え有。
金沢21世紀美術館
展示室1〜6、13
一般=360円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上の方=280円
※( )内は団体料金(20名以上)
月曜日(ただし12月24日、1月14日、2月11日は開場)、12月25日(火)、12月29日(土)〜1月1日(火)、1月15日(火)、2月12日(火)
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800
アジアからあふれ出る様々な表現は、土地の歴史や文化と密接に結び付きながら、伝統と急速なグローバル化の間での模索や試行が続いています。ポスト工業化や技術革新の波にもまれながら、「人間はどこに向かって行くのか」という普遍的な問いを投げ掛ける作品を中心にご紹介します。
会期前半はス・ドホ《家の中の家ー 1/11スケールー原型》を展示します。 これは彼がアメリカに留学して初めて暮らした縮尺1/11の洋風建築の中に、 よく見ると、幼少期に韓国で過ごした間取りが埋め込まれています。ザイ・クーニンは、マレー族がイスラム化する前の文化の様相を明らかにしようと、初代のマレー王ダプンタ・ヒャン・ジャヤネサに関する研究と創作実践から成るプロジェクトの集大成を発表します。宇治野宗輝《プライウッド新地》のサウンド・スカルプチャーは、レトロな雰囲気を色濃く残した日常品の「都市」が出現します。ここ近年、2020 年のオリンピック・イヤーに向けて、昭和の高度経済が成長した時代のような熱気を帯びて日本全体が熱病に冒されているようです。宇治野の作った動く都市は、ユーモラスな動きとともに物質文明に激しく問い掛けているように感じられます。照屋勇賢の《遥か遠くからの未来より》では、沖縄出身で現在ニューヨークを拠点にしている照屋が伝統的な琉球着に、ジュゴンや軍事用ドローン、沖縄の110人以上の人々のモチーフを染めあげた作品を提示します。ジュン・グエン=ハツシバは、政治や社会の大きなうねりの中で犠牲となった、名もない人々の姿を美しい映像で表現しています。2001年から発表している難民や少数派の映像作品から10 年後、2011年に東北の被災された方々に捧げる近作も紹介します。
「アジアの風景」と題して、アジア地域から世界を見続け、変成する現代社会を照射する作品をセレクトし展観します。
粟津潔、マクリヒロゲル5 粟津潔のブック・イラストレーション
粟津潔の調査展示を行う「マクリヒロゲル」シリーズの最終回として、粟津潔の本の挿絵、特に子どもに向けたイラストレーションの世界をご紹介いたします。粟津作品は大人を対象にしたものがほとんどですが、数は多くないものの絵本や童話などの挿絵も手掛けています。子どもだろうとこびない大胆な構図と色彩で描かれ、ペン画では線描の繊細さ、配色の妙が際立っています。初期作品の平野威馬雄著『レミは生きている』(1958 年)の挿画は、ベン・シャーンの影響が見てとれますが、「あいのこ」としての生き方に苦しむ主人公の表情が幾多にも表現される秀作です。また、吉増剛造著『さわる』(1983 年)は、ふわふわと水の中を漂っているような不思議な感覚の本ですが、印刷とは異なる原画の白地に描かれた美しい水彩画の色彩に驚かされます。原画にはおそらく粟津自身と思われる印刷の指示も書き込まれており、手描きの原画から印刷へと展開する際の思い切りのよさも見られます。粟津潔の子どもたちへの柔らかなまなざし、また「印刷」を存分に楽しむ粟津ならではのスタイルも感じていただける展覧会です。
日時:4月20日(土) 15:00頃からの予定
場所:授乳室向かい
プログラムは状況により予告なく変更される場合があります。
先着順に即興イベントの鑑賞が可能です。事前予約は受け付けておりません。
日時:11月10 日(土)14:00~(1時間程度)
12 月8日(土)14:00~(1時間程度)
2019 年1月12日(土)14:00~(1時間程度)
集合場所:レクチャーホール前
会場:金沢 21世紀美術館 展示室1~6、13
担当キュレーター:立松由美子、立花由美子
料金:無料(ただし、当日の本展の観覧券が必要)
※11月10 日、12 月8日、2019 年1月12日は美術奨励の日(金沢市民であることを証明できるものをご提示いただくと、コレクション展は無料で観覧いただけます)
※都合により、イベント内容を変更する場合があります。最新情報は当館ウェブサイトにてご確認ください。
1980 年広島県生まれ同地在住。
2007年に武蔵野美術大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。人物像を主に油彩で描き,その多くは自分自身の家族写真を元にした肖像画である。直線が印象的な動きの激しい絵筆のストロークは、全身を使った画家の身体の動きを感じさせ、自由な色彩は画家の感情や感覚といった心の作用を想像させる。2014 年には「ノスタルジー &ファンタジー:現代美術の想像力とその源泉」(国立国際美術館、大阪)、「絵画の在りか」(東京オペラシティアートギャラリー、東京)など国内の主要な美術館のグループ展にも出品した。
(展示期間:2019年 3月12日ー5月6日 ※予定)
1973年沖縄生まれ、ニューヨーク(アメリカ合衆国)在住。
多摩美術大学、メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アートを経て、2001 年スクール・オブ・ビジュアル・アーツ修了。歴史やアイデンティティといった問題を、独自の視点で軽やかに表現する。出生地、沖縄の複雑な歴史を振り返り、一面的には捉えることはできない事物へ強い関心を寄せている。
1964年東京生まれ、東京在住。1988年東京芸術大学卒業。
90年代より、電気製品を用いたサウンドスカルプチャー「Love Arm」シリーズを制作・発表。2004年からは、大量消費社会が急速に拡大した20世紀後半以降、最も重要な技術は「回転するモーター」にあるとし、アートを通じた「物質世界のリサーチ」を標ぼうしている。モーターを援用した家電製品や自動車、家具、中古レコードなど、世界中どこにでもある日常的なモノと技術をDIYで組み合わせた、サウンドスカルプチャー/パフォーマンスのプロジェクト「The Rotators」に取り組む。日本のみならず世界各地で個展を開催、また、ビエンナーレや企画展にも多数参加している。
※金沢21世紀美術館コレクション以外からの出品
1980 年神奈川県生まれ、ニューヨークを拠点に活動。2007年にコロンビア大学大学院で美術の修士号を取得。笹本晃は、個人的な経験を元に問題を提起し、心理学や自然科学、物理学、数学理論を参照しながら、パフォーマンスとインスタレーションを融合させるユニークな実践で知られている。2017年にThe Kitchen、2016 年にスカルプチャーセンターで個展を開催。またコチ・ムジリス・ビエンナーレ、上海ビエンナーレ、恵比寿映像祭、光州ビエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど国際展に参加。
ザイ・クーニンは幼少期からの自身の流浪の生活を顧みて、海の上に住む漂海民たちの歴史や暮らしに強い関心を寄せている。ザイが生まれたシンガポールは、現代では都市化が進んだ国として知られるが、領土は60以上の島々から成り、マレー語、タミル語、中国語、広東語、英語など、使われる言語も様々で、異なる民族が交わる場所として文化的多様性を維持している。しかし、近代化の途上で顧みられることのない歴史は、国の成り立ちはおろか、どこにも足跡をとどめず人々の記憶にも残らない。《ダプンタ・ヒャン:知識の伝播》は、そうして失われてしまった民族の歴史について思いを馳せ、海は豊かだが、必ずしも運命の渦から逃れられる場所へと導いてくれるものではないことを語る作品である。ここではシンガポールとインドネシア北西部、マレー半島南部の海域に暮らす海の民オラン・ラウ(OrangLaut)の歴史を参照しているが、それは自身の出自を探索する行為に匹敵する。表面を蜜蝋で覆い、これ以上、歴史が失われることがないように時間の流れを封印しているかのようである。
※金沢21世紀美術館コレクション以外からの出品
1968 年 東京(日本)生まれ、ヒューストン(アメリカ)在住。 日本人の母とヴェトナム人の父と共に、ヴェトナム戦争末期の1974 年から1年間ヴェトナムに移住後、日本へ帰国。その後、家族で渡米し美術大学を卒業、1997年にヴェトナムに活動拠点を移す。自身の取り巻く環境を強く意識し、米、蚊帳、豆炭、シクロなどアジアの食材や
身近な物を使ったインスタレーションや映像を制作。ヴェトナム 戦争後、変遷する政治・経済の狭間に置かれた個人の生活、彼らの葛藤や苦悩、希望、生へのエネルギーなどが複雑に織り混ざった世界を表現する。
(展示期間:11月3日〜2019年3月3日)
1962年ソウル(韓国)生まれ、ロンドン(英国)、ニューヨーク(米国)、ソウル在住。家(ホーム)、物理空間、移動、記憶、個人、集団などへの問いに対して、ドローイング、映像、彫刻など多様なメディアを用いて作品を発表している。かつて作家自身が住んだ韓国、ニューヨークなどの家を原寸大で再現した布の彫刻作品が最
もよく知られている。身体的・比喩的な形の空間の展性に関心を持ち、身体がその空間とどのように関係し、存在し、相互作用するのかを考察する。特に家庭の空間と、特定の場所、形、歴史を持つ建築を通じて、ホームの概念を表現する方法に興味を持つ。作家にとっては、私たちが居住する空間にも心理的なエネルギーが含まれてお
り、地理的な位置にとらわれない、記憶、個人的な経験、安心感を示し、作品で視覚化する。
(展示期間:11月3日ー 12月24日)
1964 年シンガポール生まれ、同地在住。
音楽、ヴィデオ、パフォーマンス、彫刻、ドローイング、インスタレーションなど、様々な手法によって、東アジアの海域を国家国境と関わりなく往来する人々の歴史に思いを馳せる作品を発表。枝や糸など日常的な素材を用い、抽象的なイメージで力強いメッセージを伝える。自身の過去作を蜜蝋で固めるなど、時間と空間を埋める身体行為
も重要な関心事である。
(展示期間:12月26日~2019年 3月10日)
1980年浙江省(中国)生まれ、北京(中国)在住。
チェン・ウェイは中国の一人っ子政策、改革開放政策以後に生まれた「80 後」世代を代表するアーティストの一人として、劇的な経済成長と空前の不動産投資ブームが創り出した中国社会の幻像と実態とのギャップを、主に写真やLEDというメディアを用いて写し出し、社会に対する個人の視点の在りかや、世界と個人との関係を客観的かつ鋭敏に問い直している。
(展示期間:12月26日ー 2019年 3月10日)
1971年埼玉県(日本)生まれ、沖縄県在住。1992年より写真作品の制作を開始。1994年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1995年、同学大学院芸術 学研究科映像芸術専攻を中退し、同年の個展にて《潜る人》シリーズを発表。野口の作品には被写体との微妙な距離が作り出す浮遊感と透明感が漂う。また、野口は、視界に入った光景を撮るのではなく、むしろ自身が求めるイメージに向かって視点を定めていく。こ うした制作姿勢は《フジヤマ》以降、野口の制作の主 流となり、数々のシリーズ作品として結実する。
(展示期間:12月26日ー 2019年 3月10日)
1929年東京都生まれ、2009年神奈川県川崎市にて逝去。
独学で絵・デザインを学ぶ。1955年、ポスター作品《海を返せ》で日本宣伝美術会賞受賞。戦後日本のグラフィック・デザインを牽引し、さらに、デザイン、印刷技術によるイメージの複製と量産自体を表現として拡張していった。1960年、建築家らとのグループ「メタボリズム」に参加、1977年、サンパウロ・ビエンナーレに《グラフィズム三部作》を出品。1980年代以降は、象形文字やアメリカ先住民の文字調査を実施。イメージ、伝えること、ひいては、生きとし生けるものの総体のなかで人間の存在を問い続けた。その表現活動の先見性とトータリティは、現在も大きな影響を与えている。
「アジアの風景」出品を契機に発行された初の日本語(英語バイリンガル)作品集。
ザイ・クーニンの初期から現在までの活動を大きく3つのフェーズに分け、彼の関心や興味がどのように変遷または発展してきたかを紹介しています。長年の朋友である音楽家の 齋藤徹(てつ)氏書き下ろしのエッセイも収録されています。布クロス・カバーで美麗な装丁の上製本。
著者:ザイ・クーニン(著)、齋藤徹(著)、オオタファインアーツ(著/編集)
出版者:オオタファインアーツ
発行予定日:2019年1月11日
販売価格:1,800円(税別価格)
判型:A5変型
表紙:カードカバー
ページ数:84ページ(表紙含む)
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
公益財団法人野村財団