期間:
2014年9月13日(土) - 2014年10月13日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
2014年9月13日(土) - 2014年10月13日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
金沢21世紀美術館
展覧会ゾーン
月曜日(ただし、9月15日、10月13日は開場)9月16日
「美術が野を走る:粟津潔とパフォーマンス」との共通観覧券
一般=360円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上=280円
※( )内は団体料金(20名以上)
※ 前売券販売はありません。
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800
2014年度、「透過と反射」に続くコレクション展のテーマは「感光と定着」です。この2つの言葉は光をとらえ、像をつくるまでのプロセス、つまり「写真」を指しています。
写真は絵画や彫刻に比べると新しい表現領域です。「今、ここ」を留めおきたいという強い願望は、光の作用によって化学的な変化を引き起こす方法を、さらにはその変化を像として定着させる方法を編み出しました。1826年にニエプスが最初の写真画像をつくりだすことに成功し、続く30年代にはダゲールとタルボットがそれぞれ別の方法で、写真の実用化に道を開いて以来、現在まで約180年にわたって絶え間ない進化を遂げてきた写真。化学や工業といった技術的な発展と、あるいは社会情勢や美術の動向と深く結びつき、独特の歴史をつくってきました。
当館では「1980年以降に制作された新しい価値観を提案する作品」を、作品収集の大きな柱としていますが、この「1980年以降」は特に写真にとって極めて大きな変化が訪れた時代なのです。デジタル技術の進化は暗室作業に代わる新たな画像加工の方法を容易にし、フィルムからデジタルへの移行はカメラそのもののメカニズムに大幅な変更を加えました。
もちろん大きな変化が初めてというわけではありません。180年余の歴史の中で写真は幾度と無く革新の時期を迎えました。例えば1920年代から30年代にかけて、コンパクトカメラの開発やフィルムの改良、そして印刷技術との連携などを通して、写真に革新的な状況がもたらされましたが、「1980年以降」はそれを超えるような変革でした。こうした過渡期に、はたして写真家やアーティストは、光をどのように扱い、そして定着させてきたのでしょうか、あるいは写真をどう捉え、写真を用いてどのような表現をつくりだしてきたのでしょうか。今一度、彼らの取り組みに注目し、当館のコレクションから選んだ写真作品を展観します。
本展担当キュレーターが作品の見どころをご紹介します。
日時:10月11日(土) 14:00〜
集合:金沢21世紀美術館 レクチャーホール前
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)
※「粟津潔、マクリヒロゲル 1 美術が野を走る:粟津潔とパフォーマンス」と同時開催です。
日時:10月11日(土) 15:00〜(約40分)
集合:金沢21世紀美術館 授乳室前(キッズスタジオ横)
料金:無料
対象:子どもから大人まで(幼児は保護者同伴)
1962年東京生まれ。現在、東京在住。写真家。
1999年、写真集『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞。写真の記録性や再現性といったメディアの特徴を捉え、「写真とは何か」を意識した作品を発表している。作家の主体性とコンセプトを重視したホンマのアプローチは、写真が事実を忠実に記録するドキュメンタリーとしての役割を越えて、絵画や彫刻同様に、美術において自律性を得た表現であることを示している。
1965年カール・マルクス市(旧東ドイツ、現ケムニッツ)生まれ、ベルリン(ドイツ)、ケムニッツ(ドイツ)在住。
ヴィジュアル・アーティストとしての活動以外に、サウンド・アーティスト、レコードレーベル「ラスター・ノトン(raster noton)」の主宰者として活躍。大学ではランドスケープ・デザインを学んだカールステン・ニコライは、事象を個別としてではなく、複合的な全体として捉え、絵画、彫刻、建築、サウンド、自然科学、哲学など様々な領域を融合させながら、新たな領域の創出を探求している。近年は空間を変容させることによって、鑑賞者が実際に視覚的・音響的な体験をする実験室のような作品を発表している。
1971年埼玉県さいたま市(日本)生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。
1992 年より写真作品の制作を開始。1994 年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1995 年、同学大学院芸術学研究科映像芸術専攻を中退し、同年の個展にて《潜る人》のシリーズを発表。水の中とダイバーを撮ったこの《潜る人》、富士山と登山者を撮った《フジヤマ》などに見られるように、野口の作品には、被写体との微妙な距離がつくり出す浮遊感と透明感が漂う。
また、野口は、視界に入った光景を撮るのではなく、むしろ自身が求めるイメージに向かって視点を定めていく。こうした制作姿勢は、《フジヤマ》以降、野口の制作の主流となり、数々のシリーズ作品として結実している。
1932年ドレスデン(旧東ドイツ)生まれ、ケルン(ドイツ)在住。
東ドイツ政府の下、美術教育を受けたが、西ドイツ旅行中に出会った抽象表現主義に強い影響を受け、ベルリンの壁のできる半年前にデュッセルドルフへ移住。1962年に新聞の写真を元にした《机》を発表。以後、あらゆる存在を反映する基盤として「シャイン」(光、見せかけ、仮像)をテーマとし、高度な絵画技術をもって多様なスタイルを同時期に並行させ、可視性と不可視性、写真と絵画、現実と虚構との境界を行き交いながら、「見ること」を探求し続けている。
1954年ゲルデルン(ドイツ)生まれ、デュッセルドルフ(ドイツ)在住。
当初画家を志し、デュッセルドルフ芸術アカデミーでゲルハルト・リヒターのもとで学ぶ。その後、写真を撮り始め、1976 年同アカデミーに開設した写真科へ移籍、ベルント&ヒラ・ベッヒャーに師事。都市の街路、家族の肖像、歴史上の名画とその前に佇む鑑賞者のいる美術館空間などを大型カメラで撮影し、シリーズとして制作している。様々な場所や状況をある一定の視点と法則に落とし込む撮影手法により、内包される感情、文化、社会とそれらの差異、さらには、被写体と写真家、作品と鑑賞者といった多重の関係性を浮き彫りにする。
1948年東京都生まれ、ニューヨーク及び東京在住。
1970 年に渡米し、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。1974 年よりニューヨークに移り、本格的に写真作品の制作を開始する。「劇場」「海景」などに代表される写真作品は、明確なコンセプトと卓越した技術で高い評価を確立している。2000年ハッセルブラッド国際写真賞受賞。2003年からは、歴史をテーマとし、杉本の自作と収集品によって構成される「歴史の歴史」という表現が行われている。精力的に新作発表を続けながら2005年より初の回顧展が日本を皮切りに米国、ヨーロッパを巡回した。2008-09年、当館にて「杉本博司 歴史の歴史」展を開催。
金沢21世紀美術館 [公益財団法人金沢芸術創造財団]