期間:
2012年9月9日(日)
14:00~15:30
2012年9月9日(日)
14:00~15:30
金沢21世紀美術館 レクチャーホール
無料
金沢21世紀美術館 学芸課
TEL 076-220-2801
美術作品は一種の「物」である。本レクチャーは、ハワイアン・アートと日本美術を例として、なぜ人は物にこだわるのだろうかという、素朴な問題に物の精神性(スピリチュアリティー)を絡めて追求する。従来、唯物論と観念論は二項対立の両極として捉えられてきた。しかし、可視される物の背景にある不可視の観念に影響されずに、物自体について考えることは無理であろうとする、ビル・ブラウンの「物質感覚論」や、ニコラス・トーマスが提唱した「譲渡することができない物質(Inalienable objects)」といった理論を背景に、人が物に夢中になる理由を探る。ハワイと日本文化の共通点として、アニミズムと物の関係が挙げられよう。美術作品を紹介しつつ、ハワイに伝わる「マナ・カプ・ヘイアウ」と、日本の「もののあはれ・もののけ」といった精神世界の比較を試みたい。
ホノルル在住日本美術史家。ハワイ・パシフィック大学美術史学講師。立命館大学客員研究員。ハワイ大学修士課程終了後、京都大学留学・京都国立博物館研修を経て、2011年ブリティッシュ・コロンビア大学博士号取得。主な研究課題は、中国の画題が描かれている日本近世絵画。また、古典文化と現代美術の関連を考察する。主要論文:「風俗《曲水宴図》の思想と変容―月岡雪斎と窪俊満を例として―」『風俗絵画の文化学』思文閣出版、2009年;「《蘭亭図》の図像解釈学―「楊模」と「庾蘊」のイメージを中心に―」『アートリサーチ』立命館大学紀要Vol.12、2012年等。