期間:
2011年7月17日(日)
14:00〜15:30
2011年7月17日(日)
14:00〜15:30
金沢21世紀美術館 レクチャーホール
入場無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)
先着80名
金沢21世紀美術館 学芸課
TEL 076-220-2801
なぜ、優れた美術品は時空を越えて、鑑賞者の心を惹きつけ、揺さぶるのだろう?そこには、どのようなエネルギーが隠されているのか?作品から観念を剥奪し、素材のみに依存する物質に戻したとき、美術品としての意味もしくは価値は減少・喪失されるだろうか?
本レクチャーでは、実験的に17・18世紀の日本近世絵画をデジタル画像化し、細部に焦点を当てて拡大する。そうすることによって、画題やイコノグラフィーを奪い取られた作品は、代償として、金箔の上で光を放つ岩絵具の粒子の姿を現す。そのとき、作品は、まるで数百年の間守ってきた沈黙を破り、秘められた旋律を奏で出すように感知されるのだ。それは、明らかに作者の意図するところではない。鑑賞者の感動を引き起こす美しさは、宇宙の意図に他ならない。ナオミ・スカーの「部分言説」とビル・ブラウンの「感覚理論」を踏襲し、日本近世絵画における、工芸的素材の美しさに反応する人間の感覚を読み解きたい。
美術史家。立命館大学アートリサーチ・センター客員研究員。ホノルル在住。ハワイ大学修士課程終了後、京都大学留学・京都国立博物館研修を経て、ブリティッシュ・コロンビア大学博士号取得。主な研究課題は、中国の画題が描かれている日本近世絵画。また、古典文化と現代美術の関連を考察する。
主要論文:「風俗《曲水宴図》の思想と変容―月岡雪斎と窪俊満を例として―」『風俗絵画の文化学』松本郁代・出光佐千子編、思文閣出版、2007;“Transmission of Meanings: A Study of Shen Wai Shen (Body Outside Body) by Xu Bing,” Contemporary Chinese Art: A Philosophical and Cultural Consideration, State University of New York Press, 2011.