まず画家としてスタートし、同時に国際的に名高い美術雑誌『アートフォーラム』を創刊するなど、批評家としても活発に活動してきたジョン・コプランズは、晩年、自らの身体を扱った写真表現に取り組んだ。出品作の《自画像 (背中と手) 》をはじめ、これらの作品では、指、足といったひとつひとつの部分は全体から切り離され、人体を示す最小単位となっている。コプランズは、自身の身体を主題とする写真作品を自画像としてとらえているが、生み出された写真は、より普遍的な性質を持つ。ここでは、しわを帯び、老いていく体が美化されるのではなく、全てが露呈され、日々の生活に偏在するが直視されることのない人間性が示唆されている。

(1920年ロンドン生まれ、2003年ニューヨークにて没)


《自画像 (背中と手) 》

1984
ゼラチン・シルバー・プリント、ボード
エディション 2/6
132.08 x 109.22 cm
オルブライト=ノックス美術館蔵
George B. and Jenny R. Mathews Fund, 1999
©The John Coplans Trust