ピーター・コインが制作に使用する素材は魚の死骸、枝や根、泥、藁、ワイヤー、そして、羽、動物の毛皮、毛、ワックス、パール、シルク・フラワーと多岐に渡る。出品作の《無題#978ガートルードとジュリアナ(ホイットニー・ウィメン)》は高さ3m以上、幅5m以上の重量感のある壁のような彫刻である。アメリカのホイットニー美術館の創始者と初代館長を既製のマリア像で表している。表面を覆う石膏の白色により、作品は儀式的な要素を備える。裏側は、未完成な荒々しい様相を呈し、「現在私たちが生きている世界に非常に近いもの」を示していると作家は言う。コインは日本文化、とりわけ、大江健三郎、安部公房などの文学に影響を受けており、特に1992年の日本での調査滞在は、彼女の作品の特徴を決定づけた。

(1953年オクラホマ州生まれ、ニューヨーク在住)


《無題#978 ガートルードとジュリアナ (ホイットニー・ウィメン) 》

1999-2000
ミクスト・メディア
365.76 × 523.24 × 134.62 cm
オルブライト=ノッックス美術館蔵
Anonymous Gift in honor of Marian Griffiths, 2001
©Petah Coyne