超高級住宅街に隣接して、万人に開放された海がある。そこは異なる社会層の人々が一時的に結束する「液状的なパブリック・スペース」として機能している。出品作の《無題#1-#14 (サーファー) 》は、ぼんやりとした夢想的な雰囲気や高揚していく感覚に満ちている写真群である。キャサリン・オピーは言う。「見る人が浮遊感を覚え、境界の向こうにはみだし、海へ、空へ、時間も空間も宙づりになる場所へ、満たされはしないけれども期待に胸のふくらむ瞬間へ流れてゆくように感じてほしいと思い、この場所を選んだ。」彼女は、常に身の回りの物事に思いを巡らしている。荘厳な玄関の住宅、変貌していく町のショッピングモールやコミュニティ、ウォール街、ミシガン湖の氷で作った小屋、レズビアンの家庭生活、自身の息子の友達。これらの写真作品によってオピーはアメリカの身体的及び社会的風景を探求するのである。

(1961年サンダスキー / オハイオ州生まれ、ロサンジェルス在住)


《無題 #2 (サーファー) 》

2003
カラー・プリント, エディション 5/5
127 x 101.6 cm
オルブライト=ノックス美術館蔵
George B. and Jenny R. Mathews Fund, 2004
©Catherine Opie
Courtesy: Regen Projects, Los Angeles