スコットランドの作家であるジム・ランビーは、欧米のギャラリーや美術館空間の床や階段をビニールテープで覆うインスタレーションでよく知られている。出品作品の《プラザ》はスコットランドのグラスゴーの街角でランビーが目撃した光景から着想を得ている。それは買い物帰りの客の赤いビニール袋の底部の穴から牛乳が滴り落ち、本人は全くそのことに気づいていないという光景であった。《プラザ》の7つの買い物袋は、人が袋いっぱいの食料を運ぶ時に想定される高さで壁につるされる。袋からわき出るように色のついた液体が流れ、床へ落ちていくにつれて事態は抽象化される。ランビーは絵画と彫刻という境界は勿論、日常生活とアートの境界をも曖昧にしてゆく。
(1964年エアドリー / スコットランド生まれ、ニューヨーク、グラスゴー在住)
《プラザ》
2005
エナメル塗料、ビニール袋
サイズ可変
オルブライト=ノックス美術館蔵
Mildred Bork Connors, Elisabeth H. Gates and
Arthur B. Michaels Funds, 2005
©Jim Lambie