ジリアン・ウェアリングは個人的な人間関係や社会的行動 — 私、公、個人を探求する写真や映像でよく知られている作家である。《アルバム》シリーズに属する出品作6点は、古い家族写真に基づき、彼女自身が父、母、母方の叔父、姉、弟、そして17歳当時の自分に変装して、肖像写真を制作したものである。「遺伝子的には繋がりがあるのに、実際にはまったくちがうことに興味を覚えました。ここにいる人たちの全てに、まさしく私の何かが存在している。血はつながっていても、私たちは一人一人まったく違っています。」特殊メイクによる作家の精巧な変装は、自身であることを隠蔽するというより、自身のアイデンティティの様々な局面を露呈する自画像となっている。

(1963年バーミンガム生まれ、ロンドン在住)


左:《母ジーン・グレゴリーとしての自画像、アルバムより》

2003
ゼラチン・シルバー・プリント
144.145 x 125.73 x 3.175 cm

中:《父ブライアン・ウェアリングとしての自画像、アルバムより》

2003
ゼラチン・シルバー・プリント
167.64 x 129.8575 x 2.8575cm

右:《姉ジェーン・ウェアリングとしての自画像、アルバムより》

2003
デジタル・プリント
140.0175 x 114.935 x 3.175cm

上3点すべて:オルブライト=ノックス美術館蔵 Charles Clifton Fund, 2004
©Gillian Wearing Courtesy: Maureen Paley, London