デイヴィッド・ハモンズの作品は、ギャラリーや美術館で展示されることを前提とするものではなく、しばしば通りや空き地といった場所で直接制作される。出品作の《バスケットボール・ドローイング》は、バスケットボールのゴールと同じ高さの10フィート (約3m) の一枚の紙が用いられ、バスケットボールがバウンドすることによって付いたハーレムの通りの土に覆われている。額装され、展示室の壁に立て掛けられた作品の後ろ側には古いスーツケースが一つ置かれている。土という反芸術的素材やボールのバウンドという制作プロセスによって出来上がった、ミニマルなグレイの画面は、閉ざされた美術館という芸術界のシステムの枠組みの中へ、ハーレムの活気や不屈の精神を放っている。

(1943年スプリングフィールド / イリノイ州生まれ、ニューヨーク在住)


《バスケットボール・ドローイング》

2001
ハーレムの土/紙、スーツケース
294.64 x 116.84 x 30.48 cm
オルブライト=ノックス美術館蔵
George B. and Jenny R. Mathews Fund, 2001
©David Hammons