デイヴィッド・バチェラーは「都会にはきらきら輝く眩しい色彩照明と、艶やかで鮮やかな蛍光面が満ち溢れている。わたしにとって色彩はまさに商用絵具、ライトニング・ジェル、ネオン、アクリルの色見本帳から始まる。」という。バチェラーは、工業原材料の色をシンプルで抽象的な構造に置き、あるがままの色の状態を浮き彫りにする。出品作の《ハックニーロードのスペクトルI》は、古い倉庫で使われていた台車がその下に広がる光の支持体になっている。彼自身が「艶やかなモノクロームを敵視するレディメイド」と称するこの作品は、現代の都市環境の要素を抽象化して凝縮している。

(1955年ダンディー / スコットランド生まれ、ロンドン在住)


《ハックニー・ロードのスペクトルI》

2003
既製の台車、蛍光灯、電気コード
オルブライト=ノックス美術館蔵
Harold M. Esty, Jr. Fund, 2004
©David Batchelor