ご挨拶

金沢21世紀美術館―今年も刺激的な企画をラインナップ
 昨年北陸新幹線が開通し、金沢は新しい時代を迎えました。金沢21世紀美術館にも1年間で200万人を越える大勢のお客様がお越しくださいました。改めて感謝申し上げます。こうした中でも金沢21世紀美術館は、開館以来掲げているミッションにしっかりと軸足を置き、2016年度も展覧会やパフォーミングアーツなど多彩なプログラムを展開してまいります。
 2014年の10周年を機に、当館では3カ年かけて [1] 建築、[2] 現代美術、[3] 工芸という3つのテーマで大規模な展覧会を行っています。3年目を迎えた今年は、その仕上げとして「工芸」にスポットをあてた展覧会を開催いたします。
 その中心となるのが、秋から冬にかけて開催する「工芸とデザインの境目」です。プロダクトデザイナーの深澤直人氏を展覧会監修にお迎えします。工芸とデザインは私たちの暮しの中で機能するという点で共通しています。展覧会では新たな視点から、そうした共通点や違い、可能性などを明らかにしていきます。さらにこの展覧会を核に、金沢市では「第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ」を開催するなど、金沢全体で工芸をキーワードにした企画がラインナップされています。
 それより先、春からは日本、中国、韓国という東アジア3人のアーティストによる企画展を行います。国という枠を越えて、東アジアの中で、金沢21世紀美術館や日本の現代美術の存在を考えるきっかけになればと思っています。冬にはトーマス・ルフの個展を開催。現在では写真は現代アートのジャンルとして確立されています。また現代の様々な映像表現にも写真は影響を与えています。そうした中で重要な役割を果たしたアーティストの国内では初めてとなる大規模な回顧展です。
 これらと並行して当館の収蔵作品を紹介するコレクション展も展開します。当館がこれまで集めてきた作品から、“今”という時代を浮き彫りにしたいと考えています。若手作家を個展形式で取り上げる『アペルト』も継続、長期プログラムとしては、アートを通してコミュニティを考える企画を行います。
 交流事業では当館収蔵作家によるステージや海外気鋭のアーティストによるパフォーマンスのほか、定番のトークや映像などのシリーズも展開していきます。
 訪れる大勢の皆さんに愛される身近な存在となるべく、また現代の表現を発信する拠点として、街のコミュニティの中心としての役割を果たせるよう、今年度も様々な活動を行ってまいります。

金沢21世紀美術館 館長 秋元雄史


秋元雄史
金沢21世紀美術館館長/東京藝術大学大学美術館館長/東京藝術大学大学美術館教授
1955年東京都生まれ。東京芸術大学美術学部絵画科卒業。
1991年から2004年6月まで、ベネッセコーポレーションに勤務。美術館の運営責任者として国吉康雄美術館、ベネッセアートサイト直島の企画、運営に携わる。ベネッセアートサイト直島では、1997年から2002年まで直島・家プロジェクト(第一期)を担当。主な展覧会は、「直島スタンダード」展、「直島スタンダード2」展など、街中の民家、空家、路上など直島全体を会場とした屋外型美術展の開催。 1992年から2004年までベネッセアートサイト直島、チーフキュレーター。2004年から2006年12月まで地中美術館館長/公益財団法人直島福武美術館財団常務理事、ベネッセアートサイト直島・アーティスティックディレクター。
2007年4月から金沢21世紀美術館館長。金沢21世紀美術館では、「金沢アートプラットホーム2008」で金沢の街を舞台にプロジェクト型展覧会の開催。2010年に「第1回 金沢・世界工芸トリエンナーレ」、2013年に「第2回 金沢・世界工芸トリエンナーレ」のディレクターとして、新しい時代の工芸を世界に向けて発信。 2013年「The Co-Curator of Taiwan・Japan-Contemporary Craft and Design/Craft in Flux 2nd International Triennale of Kougei in Kanazawa Exchange Exhibition in Taiwan」(国立台湾工芸研究所 台湾)、International Committee of the 2013 Gyeonggi International Ceramic Biennale(利川セラピア・利川世界陶磁センター他 京幾道 韓国)。2012年「工芸未来派」、2013年「柿沼康二 書の道 “ぱーっ”」、2014年「橋本雅也 間(あわい)なるもの」を企画(3展とも金沢21世紀美術館)。
2013年4月~2015年3月東京藝術大学客員教授、2013年4月〜秋田公立美術大学客員教授、2007年4月〜金沢美術工芸大学理事/経営審議委員も務める。
TOP