EXHIBITION展覧会
主催展覧会2023
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コレクション展 2:
電気-音2023年11月18日(土) - 2024年5月12日(日)
現代の私たちは、自然の環境音から人工の電子音まで、あらゆる「音」と共に生活しています。 音は単なる「聞く・聴く」行為だけでなく、「身体」の感覚を通じて、私たちと世界を結びつける 力を持っています。 当館のコレクションにおいて、「音」と深く関わる作品は「電気」という自然現象でありエネルギーでもある要素とは切っても切り離すことはできません。なぜなら、「音」の記録や再生には「電気」は必要不可欠な存在だからです。そこで、本展では「音」と「電気」の双方、そしてその関係性に焦点を当てて、作品から発せられる電気的な繋がりに耳を傾けていきます。また、本展では、不可視の音が、痕跡や素描、電気信号やデータに変換されてきた美術の動向を探求します。音に形を与えるプロセスや変換の方法論は、レコーダーやプレイヤーなどの「音響再生産技術」の進化 と密接に関係しており、その発達は「記録と再生」や「保存と修復」といった現 代アート全般に関わる課題を浮き彫りにするでしょう。本展は、こうしたテーマ を通し、単にサウンド・アートにとどまらない、科学や哲学などの幅広い領域とかかわりながら、視覚的/音響的に展開されるコレクション作品を紹介します。 髙木遊(アシスタント・キュレーター)
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第38回国民文化祭 第23回全国障害者芸術・文化祭 いしかわ百万石文化祭2023 金沢21世紀美術館特別展
チョコレート
至高の名を与えられしもの2023年10月28日(土) - 2023年11月3日(金・祝)
開催趣旨 茶の湯や和菓子を好むイメージが強い金沢ですが、チョコレートの消費においても全国トップクラスです。最近は、特色のあるチョコレート作りに取り組む若手のショコラティエが活躍するなど、金沢の食文化に厚みを加えつつあります。 展覧会「チョコレート 至高の名を与えられしもの」では、世界中の人々に愛されるチョコレートにまつわる工芸作品の展示や手話通訳付きのキュレーターによるギャラリーツアー等の開催を通して、チョコレートを愛する「ショコラの街・金沢」にてその魅力をお伝えします。 展覧会概要 ヨーロッパ植物学者カール・フォン・リンネ(Carolus Linnaeus)によって命名された「テオ ブロマ・カカオ」は、ギリシャ語で「神々の食べ物」を意味します。このカカオの原産地は中南米の高地、つまり紀元前グァテマラに栄えていたマヤ、そして現在のメキシコにあたるアステカに遡り、その価値は貨幣の地位に押し上げられるほどでした。その後、大航海時代の17 世紀頃、カカオはスペインを介してヨーロッパにもたらされ、緩やかに宮廷から上流階級を中心に嗜好品あるいは滋養飲料として広まっていきました。カカオに砂糖、肉桂、ヴァニラなどを混ぜた「この上なきもの」(nec plus ultra)となった「チョコレート」は、上流階級から市民階級へと、 また近代化に伴い大衆化して、今日まで世界中で嗜好品として愛されています。 本展覧会では、国内に残る稀覯本や資料によってカカオの通った道を紹介し、人々がカカオを受容した歴史と文化を紐解きながら、チョコレートにまつわる現代美術作品や、チョコレートに見立てることを楽しむ工芸的作品などを紹介します。 また、チョコレートを素材に独自の技術で造形に取り組む、ステファン・ルルー氏の作品も金沢にて初公開します。多彩な種類でそれぞれの好みに合わせて選ぶことが出来るチョコレートが贈り物として重用され、贈る者・贈られる者双方に喜びをもたらしてくれます。「特別な何か」を渡す機会と現代の贈与のかたちをチョコレートを通して考えます。 黒澤浩美(チーフ・キュレーター)
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D X P (デジタル・トランスフォーメーション・プラネット) ―次のインターフェースへ
2023年10月7日(土) - 2024年3月17日(日)
デジタルを食べる!? ―身体と一体化するテクノロジー デジタルテクノロジーによってこの地球という惑星、そこに住む「私たち」の生き方や感性はどのように変わっていくのでしょうか。20世紀から繰り返されてきたこの問いに対して2023年、いままでとは全く違った惑星の姿が出現しようとしています。人新世とよばれ、見えないネットワークやAIによるコントロールにひたされたこの惑星DXPでは、テクノロジーと生物との関係が日々新たに生成されています。 DXP展は、アーティスト、建築家、科学者、プログラマーなどが領域横断的にこの変容をとらえ、今おこっていることを理解し、それを感じられるものとして展開するインターフェースとなります。注目のテクノロジーであるAI、メタバースやビッグデータで構成される一つのリアリティ、そしてヴィジョンとしてのDXPは衣食住も含めた総合的なライフの可能性を提案します。 金沢21世紀美術館 長谷川祐子、髙木遊、原田美緒、杭亦舒、本橋仁
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Alex Da Corte Fresh Hell
アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄2023年4月29日(土) - 2023年9月18日(月)
現代は、あらゆる場所が視覚に訴える様々なイメージで埋め尽くされています。感情や時間や空間など、本来は見ることが出来ないものまで視覚化しようという中で、クリエイターや発明家は、妄想の世界に分け入っては、より深い物語を伝えるにはどのようにしたらよいか、人間の深層心理に働くイメージとは何かについて、絶えず思考しています。 アレックス・ダ・コルテは、自分にとってなじみ深いと感じるオブジェやアイコンと戯れながら、それらの本来の意味を解体/再構築する作品で知られる作家です。テレビ、映画、コミック、アニメーションなどを中心に大衆文化や消費文化、美術史、デザインなど、様々なソースからインスピレーションを得る点に特徴があり、映像、彫刻、絵画、インスタレーションなど多様なメディアを駆使しながら、アメリカ中産階級の視覚文化をサンプリングしています。どの手法においても鮮やかな色彩と形にこだわりが見られ、見慣れたモチーフも美術史に関する広範な知識と繊細で独特な感性によって、濃厚で優美なアッサンブラージュとなります。人々を誘引する魅力がある一方で、孤独や不安といった、言葉に出来ない人間の情感にも訴え、理性的に整理された領域でなく、奇妙な妄想の世界で人々を踊らせるような魅力をまといます。 アジアの美術館で初めてとなるアレックス・ダ・コルテによる本展覧会では、最近作を含めた全11点の映像インスタレーション作品などを紹介します。圧倒されるような大きな箱型のスクリーンに投影される、様々にサンプリングされたイメージは、実体も無く、コケティッシュでおかしいのですが、深く関わるほど心がかき乱されるような不思議な魅力があります。「新鮮な地獄」とは、視覚情報が押し寄せる中で、現代社会の消費文化を定義するようになった欲望と記憶と知覚の関係にも踏み込み、氾濫するイメージがもたらすものは何か、といった問いにも、私たちを向き合わせています。
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コレクション展1
それは知っている:形が精神になるとき2023年4月8日(土) - 2023年11月5日(日)
形と精神の関係は、世界を認識し解釈する能力に関わる普遍的なテーマとして、古来より芸術作品を通して探求され続けています。精神や生命が生み出すエコロジー(生態学)とは何かを問い続けたグレゴリー・ベイトソンは、形と形の相互の関係やそれぞれのパターンをつなぐ大きなネットワークとしての「精神 Mind」がある、とも述べています。目に見える、見えないを問わず、自然、社会、言葉、夢といった様々な形のパターンは世界の至る所に生じています。私たちは日々、形同士の関係や類型からおのずと生じる、個人の心よりも大きなシステムとしての精神をどこかで感じています。こうしたパターンや構造は、地球や生態系の基礎となる関係やつながりが生み出す大きなネットワークの一部であり、私たちが世界を解釈し、相互作用する方法の背景となるものではないでしょうか。このような大きなテーマに挑むため、形やパターンがどのように私たちの知覚や世界の理解を形成するか、そして「精神」と呼べるようなものとどのように結びついているかを、美術の歴史もまた考え続けています。本展では、1960年代から最新の作品まで、絵画、立体、写真、映像、インスタレーションといった多様な当館コレクション作品と、本展に合わせて招へいしたアーティストの作品を組み合わせることで、様々な形同士の関係が知っている精神のプロセスをめぐる旅へと誘います。
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コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the Islands 航路 - 島々への接続
2022年11月3日(木・祝) -
2023年3月19日(日)沖縄復帰50周年にあたる2022年、金沢21世紀美術館では、現代美術の側面から沖縄について、そして歴史的にも沖縄と海洋で交流のあったアジア、とりわけ東南アジア地域やオセアニア地域の作家の表現を通して、この地域特有の島嶼性という観点に着目した展覧会「コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the Islands 航路 - 島々への接続」を開催します。古来より海は島と島を隔てる「壁」であり、一方で島と島をつなぐ「道」でもありました。かつての琉球王国は、現在のインドネシア、マレーシア、タイなどと交易し、文物が行き交う経由地となり、様々な人や物が出会う場となっていました。海を巡る沖縄や周辺諸国の歴史をたどれば、そこには各地との豊かな交流と、時には対立する厳しい現実という両側面が存在していました。人が移動するほど、言語や人種、ルーツ、文化、性、常識といった互いの差異が顕在化します。そのようななか、作家たちは目の前の現実を真摯に見つめ、応答しています。 本展覧会は、沖縄や東南アジア・オセアニア地域で固有に育まれた文化、そして決して目を背けてはならない歴史を土台に生まれた現代の表現を7名のコレクション作家と3名の招へい作家の作品によって紹介します。さらに、島々で育まれた多様性と、海洋を巡る他地域からの影響にも目を向け、海を隔てて存在する島と島とが、そしてそこに住まう人々がどのような関係を築いてきたのか作品を通して考察するものです。 ●作品リスト・解説
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時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの
2022年10月1日(土) - 2023年3月5日(日)
イヴ・クラインは、吸い込まれるような鮮やかで深い青―インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)―で有名な、青の作家として知られています。荒廃した戦後の「タブラ・ラサ(白紙)」ともいえる状況から、彼は新しい人間性を探求する作家として、彗星のごとく登場しました。クラインが20歳の時、詩人のクロード・パスカルと彫刻家のアルマンとともに過ごしたニースの浜辺で、3人で「世界を分割する」ことを思いつきます。クラインが欲したのは「青空」であり、空に向かって署名することで、空とその無限性を作品として手にしたとされるエピソードは、彼の「非物質性」、「精神の自由」、「空間への飛翔」、「宇宙的な想像力」への関心を示しています。 また、アクションやパフォーマンスを通し、最も非物質的で精神的であると考えた「青」に代表される色や火、水、空気などを用いることで、芸術を物質として見せるのではなく、「感性」を通して触れられるようにしました。若き日に来日したクラインは、柔道の黒帯を取得し、精神と身体の関係を探求したことでも知られています。 同時代、廃墟から立ち上がり、自分の身体や物質、空間の関係をゼロから見直すような実験的な芸術の試みとして、イタリアでは空間主義運動、ドイツなどでは「ゼロ」、日本では「具体」などが展開されました。本展は、イヴ・クラインを中心に、こうした同時代作家、さらに現代の作家を加えて、彼らの芸術に共通する「非物質性」というテーマを浮かび上がらせます。 私たちは、現在、気候変動やウィルス、インターネット情報環境など無数の「見えないもの」が起こす混乱の中で、実体が見えない不確かさの中にいます。それゆえに、クラインの非物質性が生み出す感性や精神性の探究は、ポストインターネット世代を含む現代の芸術家たちの創作にインスピレーションを与えています。本展は、いま、ここにないものを感じ、想像し、不確かな現在を乗り越えていく喜びと力を私たちに与えてくれることでしょう。
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特別展示:オラファー・エリアソン
2022年7月23日(土) - 2022年9月11日(日)
オラファー・エリアソンは1990年代初めから、写真、彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築など、多岐にわたる表現活動を展開してきました。とりわけアートを介したサステイナブルな世界の実現に向けた試みにおいて国際的に高い評価を得ています。 本展覧会は、エリアソンのエコロジーと、再生可能エネルギーへの関心から生み出された作品《太陽の中心への探査》を収蔵後初めてお披露目するものです。本作品は、ガラスで覆われた多面体と太陽光発電ユニット(ソーラーパネル及び蓄電池等電源供給システム)により構成されています。作品の中心部に光源が取り付けられており、そこから突き出したアームの先のライトがゆっくり回転することによって、部屋の中央に固定してつられたガラスの多面体があたかも回転しているかのように、光が動いて部屋を照らし出します。スタジオ・オラファー・エリアソンの開発した偏光フィルターが装着されたガラスの多面体からの光は部屋全体に銀河のように輝くリフレクションを投射し、見る者を作品世界へと没入させ、魅了します。それは我々の生存に欠かせない太陽とその周囲を公転する惑星との関係を想起させるとともに、この世界を成り立たせている構造や法則への志向も見てとれます。光庭に設置したソーラーパネルから得た電気エネルギーを得て動く本作品は、地球環境の不可逆的な変化に見舞われている私たちに、伝統的な進歩史観への再考を促し、持続可能な社会に向かう新しい視点を呼び覚まします。本展覧会を通じ、現在のエコロジー下における芸術の可能性と、複合多面体と光の反射が生み出すマジカルで新しい知覚体験をお楽しみください。
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金沢21世紀美術館と国立工芸館の所蔵作品によるコラボレーション展
「ひとがた」をめぐる造形
2022年7月23日(土) - 2022年9月11日(日)
あなたの目の前に高さ40センチほどの、人の形をした作品があります。あなたは「人形」だと思いますか。それとも「彫刻」だと思いますか。また、その作品がヤキモノだったとしたら「陶芸」でしょうか。さらにそれが等身大だったらどうでしょう。このように、人の形をした造形の中には、大きさや素材・技法などを手掛かりにしてそれが何であるかを考えることが少なくありません。しかし、それが作品を鑑賞することに重要かどうかは判断が難しいことがあります。 現代の若者像を着想の原点に、陶による表現で作品を構築する北川宏人(1967年生まれ)や、伝統的な博多人形の技法を用いつつ、ロマンあふれる作品を生み出す中村信喬(1957年生まれ)らの人の形をした造形「ひとがた」を通して、あらためて「工芸」や「美術」を考える機会とします。 ゲスト・キュレーター 唐澤昌宏(国立工芸館館長)
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コレクション展1 うつわ
2022年5月21日(土) - 2022年10月16日(日)
本展は、2021年度収蔵作品を含む当館コレクション作品を中心に、現代美術における「うつわ」を様々な視点からご紹介する展覧会です。 「うつわ」という言葉は、特定の働きをする入れ物から道具、人の度量の大きさまで、幅広い意味に用いられるように、容器としての機能を持つものはもちろん、そうした実用性からは抜け出た概念を持つものがあります。 「うつわ」の歴史をひも解いてみると、日本の縄文土器は、集落を中心とした集団生活において、採集した木の実や動植物を保存したり、食物を煮炊きしたりするための器具として重宝されました。その一方で、まるで太古の生命リズムをかたどったような躍動感あふれる装飾や文様を施したものが多く遺されており、実用性ばかりでなく、高い装飾性も評価されています。日々の生活を営むための道具として、また祭しや儀礼に欠かせない祭式具として、古来より人々の生活や信仰を助けた「うつわ」には、人間界と自然界とをつなぐ重要な役割があったことが想像できます。 また、肉体のことを、魂が宿る「うつわ」と言うことがあります。生死のサイクルにおいて魂は永続的であり、容器としての身体にその都度転入を繰り返す、という考え方です。身体を「うつわ」として考えてみると、その容器に宿った魂が、五感を可能にする身体を通じて自然界や聖なるものと結びつき、古い記憶を呼び覚ますような感覚をもたらすこともあるかもしれません。 このように「うつわ」という言葉に様々な意味が宿っていることを心に浮かべながら、生活に最も身近なものである「うつわ」を多様な角度から見つめることで、「うつわ」に込められた意味や価値について考えるきっかけとなることを目指しています。
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特別展示:マシュー・バーニー
2022年5月21日(土) - 2022年9月11日(日)
マシュー・バーニーは、彫刻と映像の密接な関係を通して、身体感覚とバーチャルな情報感覚の融合を試みる、21世紀を代表する世界的なアーティストの一人です。1980年代より彫刻、映像、パフォーマンス、またそれらを融合させた作品を多く手がけ、現代美術の分野において注目を集めてきました。 本展は、バーニーが1980年代後半より制作を始めた、主にドローイング、映像、彫刻から構成される『拘束のドローイング』シリーズの9番目の作品《拘束のドローイング9》を中心に、同作品映像やモチーフ、登場人物などを紹介する関連作品を展示します。 《拘束のドローイング9》は、2005年に金沢21世紀美術館で開催されたバーニーの国内初の大規模個展において、シリーズ新制作として世界初公開されました。捕鯨や茶道といった日本文化をテーマに、映画、彫刻インスタレーション、写真など多彩なメディアで展開される本作品は、日本を中心に撮影され、日本文化に対する新鮮なヴィジュアルの解釈がなされています。アイスランド出身の音楽家ビョークが映画音楽と展示インスタレーションの音楽を担当し、映画においても共演するなど、話題を呼びました。 そのタイトルから連想されるように、『拘束のドローイング』には、ドローイングを行う際に身体に拘束、制限を与え、そこから生まれる未知の形に挑戦するという意味があります。公開から17年を経た現在においても、人間の身体とそれを取り巻く世界、あるいは身体内での活動、エネルギーの問題を主題とする作品に込められたメッセージは私たちの心に強く響きます。本展を通じ、普遍的なテーマである人間の身体と環境、その関係性における作家独自の視点とその作品世界をお楽しみください。
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ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ:どこにもない場所のこと
2022年5月3日(火・祝) - 2022年9月4日(日)
韓国を代表するアーティストデュオ ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホは、ユニットを結成した当初の2009年より「現代世界における芸術の社会的機能と役割は何か」と問い直すプロジェクト「News from Nowhere」(ウィリアム・モリスの小説からインスピレーションを得て名付けられた)を展開し、さらに様々な領域の専門家との対話と意見交換を介した協同のための実践的なプラットフォームを提唱してきました。こうした考え方をもとに、彼女たちは現代社会における諸課題を抽出し、作品を介してそこに生きる我々へとメッセージを投げかけます。 疫病や戦争といった古来より人類を苦しめてきた災いが、今なお、強大な脅威として存在しつづけていることを認識せざるを得ない現在。この不穏な時代に彼女たちが、こうした脅威、歪みや矛盾、そして抑圧を孕む世界を、今を生きるアーティストとしてどのようにとらえ、いかなる変革をめざしているのか、作品を通して感じ取っていただけることでしょう。当館の建築空間を活かして展示されるそれぞれの作品は、独立したものでありながら何処かで連環しており、会場全体が彼女たちの多層的な作品世界になっています。彼女たちの日本国内では初となる大規模な個展をぜひお楽しみください。
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甲冑の解剖術―意匠とエンジニアリングの美学
2022年5月3日(火・祝) - 2022年7月10日(日)
戦国時代から江戸時代にかけて、戦いの場で、武士の誇りと力の象徴として独自の展開を遂げた甲冑。蒔絵や金工、組ひもなど工芸的な技と斬新な意匠を駆使した美学と、防具としての機能性やエンジニアリングの発達。これらの魅力を現代アーティストによる空間デザインで展示します。細部や構造をデジタル解析したライゾマティクスによる映像や、甲冑を現代人の身体のリアリティにしなやかにつなげるナイル・ケティングの空間デザインを通して、甲冑は現在の私たちに語り始めます。
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コレクション展2 BLUE
2021年11月20日(土) - 2022年5月8日(日)
光のスペクトルにおいて、赤の長い波長がまっすぐ進むのに対し、青の短い波長は四方に拡散し、空間のなかに溶け込んでゆきます。手につかむことのできない空や水に象徴されるように、青はその深みにおいて認識される色であり、それゆえに古代より人々の憧憬の念を掻き立ててきました。地上に目を移しても、青い色をした自然物は非常にめずらしく、ラピスラズリは洋の東西を超えて珍重されてきました。また、かつて映画監督のデレク・ジャーマンが「ブルーは目に見える闇の色」と語ったように、青は光と闇、生と死のあわいに現れる色でもあります。そして人々が内省へと向かう今にあって、青は私たちの心にもっとも浸透する色と言えるかもしれません。 本展覧会では、金沢21世紀美術館のコレクションを中心に、絵画、彫刻、工芸、映像といったジャンルを横断しながら、国内外のさまざまな文化圏の作家による多様な青の表現を紹介します。また、当館の恒久展示作品であるレアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》やジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》、アニッシュ・カプーアの《L’Origine du monde(世界の起源)》にも新たな光を当てることになるでしょう。そして、招へい作家として、青い色彩と光が印象的なドローイング・アニメーションを制作してきた画家/映像作家の石田尚志の作品も展示します。それぞれの作家が織りなす青の世界を、ぜひ体感してください。
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特別展
ぎこちない会話への対応策—第三波フェミニズムの視点で
2021年10月16日(土) - 2022年3月13日(日)
本展覧会は、ゲストキュレーターのアーティスト・長島有里枝が、1990年代以降に活動を始めた10作家の作品について、フェミニズムの視点から新たな解釈可能性を見いだす試みです。 93年のデビュー以来、長島は、自身を含む同世代の女性写真家をくくった「女の子写真」というカテゴリーに疑問を持ちながら、作品制作と執筆活動を続けてきました。80年代のメディアが喧伝した揶揄的なフェミニスト像に違和感を持っていた若い長島は、「フェミニスト」と自称することを避けつつも、常に男性中心主義的な価値観への問題提起を作品にしてきました。当時の若者のフェミニズム的実践を見えにくくしたそのような態度は、日本における第三波フェミニズムの一つのあり方であったと考える長島は、「運動」や「連帯」の形を取ってこなかった作家たちの作品にもその要素が見いだせるのではないかといいます。このような考察に基づき、長島が9名の作家との対話を経て選んだ作品をご紹介いたします。 目の前の状況に対応するために生み出される様々な実践を、バリエーションに富む作品の中に見いだす機会となれば幸いです。
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特別展
フェミニズムズ / FEMINISMS
2021年10月16日(土) - 2022年3月13日(日)
1990年代以降のフェミニズムは、欧米の若い女性たちを中心にポピュラー文化と結びつき、メディアを通して広がっていきました。日本でも若い女性たちの活躍がメディアを通して紹介され、まさに「ガール・ムーブメント」の様相を呈していました。しかし日本の場合、女性たちからのマニフェストという以上に、ムーブメントがメディアに利用され、女性たちを消費していった側面があったことは否めません。1986年の男女雇用機会均等法、1999年の男女共同参画社会基本法などの法律が整い、男女平等社会が実現したかのように見えましたが、現実社会には結婚や家族という制度、異性愛という社会的規範、女性らしさ男性らしさという通念など、個人と社会の狭間に行き場のない違和感があふれていました。 2020年代の今、インターネットを介して異議を発する小さな声と声がつながり、社会が変わろうとしています。女性のためだったフェミニズムが、社会に違和感を持つあらゆる人たちの力になろうとしています。近年、フェミニズムは複数形で語られ始めました。世代や時代、所属する国家や民族、それぞれの環境や価値観によってフェミニズムの考え方や捉え方は異なります。複数形のフェミニズムが発するメッセージは、多様な考え方を認め合うことこそが社会にとって重要で必要だという視点です。本展ではアーティストたちがそれぞれのまなざしで、ジェンダーを、身体を、社会をどう捉えるのか、そしてその先に何を見ているのか、日本におけるフェミニズムの表現の一端を9名のアーティストの作品からご紹介します。 ●出品リスト・解説
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コレクション展1 Inner Cosmology
2021年6月15日(火) - 2021年11月3日(水・祝)
日々の暮らしの中で、自分たちの力ではどうにもすることができないことがたくさんあります。そうしたことに直面するとき、人々は特定の神仏や森羅万象に宿る神々に思いを告げたり、自分自身の心に問いかけることで、自分だけでは到達することのできない果てしない宇宙に身を浸し、その超越的な力をたよりに、日々の変わらない幸せを願いながら生活を営んできました。私たちの暮らしに寄り添うように、昔も今も私たちの日々の近くには様々な祈りや宗教、内省的な営みがあります。 美術や音楽、そして踊りといった芸術の1つの源泉もこうした日々の営みのそばにありました。見ることのできない世界を現前させる芸術は、人々を果てしない宇宙へと導くメディアとしての機能を担っていました。そうした芸術の役割は、時代が変わっても私たちが日々の安寧を願い暮らし続ける限り、形を変えて現代美術にも表れているのではないでしょうか。本展では、当館のコレクション作品を中心に「宗教」「祈り」「内省」をテーマに現代美術を読み解きます。 この展示を通じて、さまざまな「宗教」「祈り」「内省」の形から垣間見る世界中のあらゆる文化を見つめる機会を持つことで、今日の美術に新たな視点を示すばかりでなく、そうした多様な宗教文化への理解を促す機会となることも期待します。
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特別展
日常のあわい
2021年4月29日(木・祝) - 2021年9月26日(日)
2020 年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、発生から1年以上がたった現在も収束の兆しが見えないままです。世界中で人々の日常はすっかりその姿を変えてしまいましたが、日本はもとより地震や台風などの自然災害が多く、いつ日常が脅かされるかもしれない不安や緊張と隣り合わせで過ごしてきた人も多いでしょう。 本展覧会は、私たちが意識せざるをえなくなった「日常」について、今一度見つめ直すものです。そもそも日常を日常たらしめているものは何でしょうか。生活の中のちょっとした習慣や日課、家族や地域の中で共有されている約束ごと。とりたてて変化のない時間の流れや風景。しかしながら、当たり前に繰り返されている営みであっても、人によって、家族によって、異なる個々の日常が紡がれています。本展では、意識しないと見過ごしてしまう生活のなかのささやかな創造行為に着目した作品や、突然の喪失や災害に向き合う心の機微を捉えた作品、そして形を変えて続いていく日常をあらわにする作品を介して、日常と非日常のあわいにある「現在」を浮かび上がらせます。 出品リスト
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コレクション展 スケールス
2020年10月17日(土) - 2021年5月9日(日)
ある物や空間について、思っていたより大きい、思っていたより小さい、と感じることがあります。それは、その物や空間の「サイズ」のみによるのではなく、それを経験する身体の位置や視点、また身体に記憶されているものや空間との関係の中で相対的に生まれる経験です。本展覧会では、数値化することのできる「サイズ」に対し、関係性の中で伸縮する「スケール」に焦点を当てます。 それぞれプロポーションの異なる7つの展示室で、当館所蔵作家による作品をご紹介します。風景、空虚、音の響き、人の記憶、植物や無機物の持つ時間の流れ…作品が扱う世界は計測し難く、尺度を切り替えるたびに別の姿を現すでしょう。身体の中で絶えず構築される複数のスケールについて、考える機会となれば幸いです。 出品リスト
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ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス
2020年9月19日(土) - 2021年2月28日(日)
ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースは、共にヨーロッパが誇る芸術の歴史を素地に、他に類を見ないユニークな表現で世界に知られる美術家です。この度、はじめて、二人だけの作品で空間構成をする二人展「ダブル・サイレンス」を開催します。 20世紀の終わりから加速したグローバル化の波は欧米を出発して様々な地域に押し寄せ、波頭が割れるように各所に影響を与えました。同時に各地域からは様々な事や物や人を吸い上げて大きなうねりとなり現在に至り、今や文字通り世界全体を覆い尽くしています。いわゆる「現代美術」もまた、この流れと軌を共にしています。ベルリンの壁が崩れた後、美術もまた周縁化することで、いかに地域の歴史文化の独自性を持つかが問われてきました。そして30年ほどが経過した今、美術ではグローバル化と周縁化の間で、地域性に起因する文化差異が重要というよりは、そもそも普遍的な価値とは何かについての内省が始まっています。なぜこのような状況が加速しているかは、いくつか考えられますが、情報の高速化によって世界同時性を実現した現代社会では、価値の普遍性の探求は、特定の地域に限らないことに気づき始めたからではないでしょうか。そしてCOVID-19によって、芸術における内省はグローバル化しています。長きにわたり人間の普遍的価値を探求してきたヨーロッパの美術史を踏まえ、ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースもまた、同時代を生きる彼らの内省を私たちと共有しています。バロック美術の伝統を受け継ぎ、人間の暗部を描き出すボレマンスの絵画作品。「建物としてのセルフ・ポートレイト」をコンセプトに、身体の断片が印象的なマンダースの彫刻作品。それぞれメディアは違えど、いずれも複雑な心理状態や関係性を深く掘り下げています。 「ダブル・サイレンス」は沈黙や静寂の中で、作品を通して彼ら自身が対話する空間と時間に、ボレマンスとマンダースが人々を誘う展覧会です。英語の「ダブル」という単語には、掛け合わせや足し上げによる二重や二倍といった意味もありますが、「二つ一緒」「明らかに異なる局面」「対を成す」など、実に多彩な意味が含まれます。いずれも一筋縄ではいかないボレマンスとマンダースによる二人展には、実にふさわしい展覧会名です。 この機会に、80点余りの作品がSANAAによる建築と呼応する空間に足をお運びください。
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de-sport : 芸術によるスポーツの解体と再構築
2020年6月27日(土) - 2020年9月27日(日)
本展は、東京2020オリンピック・パラリンピックを翌年に控え、芸術の視点からスポーツの意味を問い直す展覧会です。展覧会名「de-sport」(デスポーツ)は、中世フランス語で「楽しむこと」を意味する「desport」(デスポール)」と、英語で「スポーツの解体・再構築」を意味する「deconstructed sport」(デコンストラクテッド・スポーツ)をかけあわせた言葉です。スポーツは、その起源をたどれば、「日常の労働から離れた遊び」を意味し、音楽や演劇、絵画、舞踏などの芸術も含むものでした。磨き上げられた身体と技巧を誇示し、勝敗を競うことをエンターテインメントとして商品化する現代のスポーツに対して、本展はその起源に立ち返り、芸術の視点から、遊戯、身体、国家、戦争、非言語コミュニケーションといった今日の諸問題などを映し出す社会的構造物としてスポーツを再考します。9カ国10作家の芸術的視点から解体・再構築されたスポーツをぜひ観戦してみてください。 なお、本展覧会名は、本展出品作家の寒川裕人(ザ・ユージーン・スタジオ)の個展「supervision / Desport」に触発されています。 ※会期変更にともない風間サチコの作品展示はなくなりましたが、作家は関連プログラムに参加予定です。 ●出品リスト・解説
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内藤礼 うつしあう創造
2020年6月27日(土) - 2020年8月23日(日)
小さなひとが立ち、水が落ちるところに大地が広がり、糸やリボンが揺れるときに風が生まれ、ビーズやガラスが光をまねき入れる――内藤礼は、空間と対話しながら自然のエレメントや繊細なモチーフを組み合わせ、またカンヴァス上に淡い色彩を重ねることで、根源的な生の光景を出現させてきました。 このたびの個展では、『「人(わたし)が作る」を超えること』を問い続けてきた作家が、はじめて「創造」と向き合います。それは人が自らを主体であると認め、人になろうとする行為だと作家はいいます。人と自然、わたしとあなた、生と死、内と外、そして人と作品のあいだに生じる移し、写し、映し、遷し。「うつしあう」両者のあいだに顕われる生気、慈悲、それらとの一体感のうちに、生へと向かおうとする「創造」の瞬間が見出されるのです。 会場となるのは、大小さまざまな展示室や光庭、それをつなぐ通路によって構成される空間。日中は天候や時間によって変化する自然光がその空間を満たし、夕刻になると明かりが灯ります。そこにはどんなにささやかであっても作家の手による創造があり、それを見て、感じる人の創造と共鳴することによって、ひとりひとりの認識が解放されてゆきます。訪れる人は、通路と展示室、生の内と外を行き来し、見ることと見られることを繰り返しながら、生のヴィジョンをつかんでゆくことになるでしょう。
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チェルフィッチュ × 金氏徹平
消しゴム森
2020年2月7日(金) - 2020年2月16日(日)
『消しゴム山』(劇場版)と『消しゴム森』(美術館版)は、演劇作家・岡田利規が、2017年、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市を訪れ、津波被害を防ぐ高台の造成工事で変わってしまった風景を見たことに始まります。嵩上げのための土砂は周辺の山を削り取って賄われているため、かつてあった風景は驚異的な速度で変貌し、岡田は、もはや人間的な尺度を大きく逸脱するものだったと言います。度重なる環境の変化に向き合う人間中心主義に対しての疑いをもって、チェルフィッチュの新作の構想は全く新しい考え方に基づく「演劇」に発展していったのです。そもそも、そうした自然の作り変えをする人間は環境の一部であるにもかかわらず、対立するかのような関係にあると考えていることこそ疑うべきなのでないか。これを演劇に援用すれば、観客は舞台上で展開される話や役者に向き合うというより、その場に存在する環境の一部でしかないのではないか。舞台美術と呼ばれるものでさえ、観客との関係においては上下左右のない、等価に存在しているのでないか。人間中心主義ではない、環境に対する演劇を構想し、そして、それを実験してみようということですから、『消しゴム森』はいろいろな意味で、いわゆる一般的な「演劇」とは大いに異なるのです。岡田利規のこうした投げかけに応えるのは、1997年から主宰する劇団チェルフィッチュとセノグラフィーの金氏徹平です。金氏徹平は空間における物や人の存在と関係について、これまでも岡田と共に実験を繰り返してきています。 『消しゴム山』は、逃げ場のない舞台空間で流れる時間に従って進行していきましたが、金沢21世紀美術館のギャラリースペースでの公演『消しゴム森』では、観客が空間と時間を自由に選択することができます。どこから、どの順で、どこまで観ればいいのかと考えている「あなた」も『消しゴム森』の一部となるので、もはや観客とすらいうこともできないかもしれません。 『消しゴム山』と『消しゴム森』には岡田利規の「映像演劇」の手法も取り入れられています。「映像演劇」とは、舞台映像デザイナーの山田晋平とともに取り組み始めた新しい形式の演劇であり、演じている映像を観る人々が現実とフィクションの間で揺れ動く、曖昧さを創出するものです。 どうぞ、時間の許す限り『消しゴム森』の一部となって壮大な実験にお立ち会いいただき、「演劇」の定義を大幅に更新していくチェルフィッチュ、岡田利規、金氏徹平による新作をお楽しみください。 黒澤浩美(チーフ・キュレーター)
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開館15周年記念
現在地:未来の地図を描くために[2]後期
2020年2月4日(火) - 2020年4月12日(日)
当館は開館15周年を迎え、コレクション収集を開始した開館前の2000年から20年の間に約3,880件に上る作品を収蔵するに至りました。その間、社会の状況は目まぐるしく変化し、コレクション作品もその時代の空気を鋭く読み取る作品が増えていきました。本展では、改めてコレクション作品を見直す中で、多様化、複雑化する現代において自分たちの現在地がどこにあるのかを見据え、未来に向けてどのような地図が描けるのかを考えます。
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開館15周年記念
現在地:未来の地図を描くために[2]前期
2019年10月12日(土) - 2019年12月19日(木)
当館は開館15周年を迎え、コレクション収集を開始した開館前の2000年から20年の間に約3,880件に上る作品を収蔵するに至りました。その間、社会の状況は目まぐるしく変化し、コレクション作品もその時代の空気を鋭く読み取る作品が増えていきました。本展では、改めてコレクション作品を見直す中で、多様化、複雑化する現代において自分たちの現在地がどこにあるのかを見据え、未来に向けてどのような地図が描けるのかを考えます。
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開館15周年記念
現在地:未来の地図を描くために[1]
2019年9月14日(土) - 2019年12月19日(木)
金沢21世紀美術館は2004年の開館から15周年を迎えます。その節目を記念して、展覧会「現在地:未来の地図を描くために」を開催します。本展は、コレクション作品を中心に、私たちの未来を見つめるために立つ、今ここを「現在地」として、時代と共に歩んでいく作家たちの世界への眼差しを捉えて紹介するものです。開館からわずか15年間ではありますが、その間に収集した約4,000点に及ぶコレクション作品の数々は、20世紀終わりから21世紀の今日までの目まぐるしく変化する世界について、芸術的な視点から考察することができます。この世界に生きる表現者たちは、どのような未来の地図を手に入れて進んでいくのか。芸術によって認識する、私たちそれぞれの現在地を明らかにしていく機会とします。
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粟津潔 デザインになにができるか
2019年5月18日(土) - 2019年9月23日(月)
金沢21世紀美術館では2006年度から現在に至るまで約2,939件の粟津潔作品・資料の寄贈を受け、調査を続けてきました。2007年度には、受贈作品のうち1,750 点を一挙に公開し、粟津の活動に関わった多数の表現者による証言、ワークショップ、パフォーマンスを展開する企画展「荒野のグラフィズム:粟津潔展」を実施しました。その後、2014年度から2018年度まで全5回シリーズで開催した「粟津潔、マクリヒロゲル」では、パフォーマンスや建築、写真などをテーマに調査を行い、多角的に粟津の世界観を紹介してきました。 粟津潔没後10年に当たる2019年、これまでの調査研究の成果として粟津潔展を再び開催いたします。本展では、粟津潔ご子息である粟津ケン氏を企画監修に迎え、粟津作品に貫かれる民衆へのまなざし、そして「社会をいかにデザインするか」という視点から、粟津のデザインの本質を明らかにしていきます。それはまた今を生きる私たちにとっても今後の社会を考える上で重要な視点となるはずです。さらに本展にあわせ、粟津潔アーカイブを全件データベース公開し、一部の作品についてはオープンデータ化もすすめています。まさに今、展覧会というメディアを通して、複製こそヒエラルキーのない「民衆のイコン」であるとした粟津の精神をマクリヒロゲルことに挑みます。 ●展覧会の構成(pdf) ●出品リスト(pdf)
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大岩オスカール 光をめざす旅
2019年4月27日(土) - 2019年8月25日(日)
大岩オスカールは、光あふれる鮮やかな色彩とダイナミックな空間構成によって、ときに批評やユーモアを交えながら現代社会を生き生きと描き出してきました。1965年にブラジルのサンパウロで日本人の両親のもとに生まれ、東京、ニューヨークと移動しながら制作を続ける大岩の作品には、一人の生活者としての視点と、どこか客観的な俯瞰の視点が共存しています。自らの暮らす都市や社会、環境問題をテーマに、写真や印刷物、インターネット上のイメージを自在に組み合わせることで、現実と虚構、人工物と自然、光と影のあいだで揺らめく独特の世界観を生み出しているのです。本展覧会では、近作を中心とした60点あまりの作品と、金沢21世紀美術館の27メートルの壁面に描かれるドローイングを通して、大岩のヴィジョンに迫ります。また、ゲストアーティストとして作曲家のチャド・キャノンを招き、画家の作品からインスピレーションを得て生み出された壮大な交響曲と絵画の融合を試みます。大岩が世界を旅しながら絵画の中に追い求めてきた「光」は、今を生きることの複雑さの先にある希望を思い起こさせてくれるでしょう。
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起点としての80年代
2018年7月7日(土) - 2018年10月21日(日)
1970年代のコンセプチュアルでストイックな表現に対する反動から、80年代の日本では絵画や彫刻の復権が唱えられ、好調な経済状況を背景として、色彩豊かで伸び伸びとした筆遣いの「ニュー・ペインティング」などが広まりました。しかし、90年以降の美術は、むしろ「おたく」など80年代のサブカルチャーに影響を受けた表現が主流となります。そのため、それ以降、80年代の美術は参照されることが少なくなってしまいました。近年、「具体」や「もの派」など1970年代までの戦後日本美術に関する研究が国内外で急速に進んでいます。今こそ、70年代と90年代のはざまにある80年代の日本美術について深く見つめる時期に来ていると言えます。約30年を経た今日から振り返ると、80年代は、今日の美術において重要なインスタレーションという形式、作品制作への参加や社会との関係への意識、オルタナティブ・スペース、 メディア・アート、「美術」という制度を相対化する視点、日常性や軽やかさを大切にする感性などが新たに生まれた、充実した時代であったことがわかります。本展では今日の視点から80年代の日本の美術を見詰め直し、「起点」となる作品を紹介します。
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アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意
2018年4月28日(土) - 2018年8月19日(日)
アイ・チョー・クリスティン(Ay Tjoe Christine, 1973-)はインドネシアの西ジャワ州バンドン出身の、インドネシアで活躍している現代アーティストです。彼女はドライポイントなどの凹版印刷の技術を習得した後、テキスタイルデザイナーとしてキャリアを積み、2000年頃からアーティストとしての活動を本格的にスタートさせました。 キリスト教の説話や精神的主題に基づいて表現を行うアイ・チョーの作品は、人間の不完全性や二面性についての深い洞察に裏付けられています。とりわけ絵画における飛び散るような色彩の断片は自身の揺れ動く感情の在りようを示す一方、カンヴァスの余白との魅力的な調和をみせる抽象化されたイメージには、万物と人間との関係性を探求するアイ・チョーの真摯な姿勢が現れているようです。 アイ・チョーの日本の美術館での初個展となる本展は、活動初期のドライポイントやドローイング、具象から抽象の間で表現の可能性を探求してきた油彩画群、ソフトスカルプチャーや大規模なインスタレーション、さらに本展のために制作された新作の大型絵画など、約50点の作品を通して、およそ20年にわたる多角的な創作活動の成果をご紹介いたします。
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ジャネット・カーディフ & ジョージ・ビュレス・ミラー
2017年11月25日(土) - 2018年3月11日(日)
ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーは、高度な音響・メディア技術と独創的な造形を駆使して、「聞く」「見る」といった複合的な知覚経験を伴う独特な世界を創り出します。いったん、彼らの作品世界に足を踏み入れると、まるで魔法にかけられたかのように、見えないものが見え、聞こえない音が聞こえるかのように、一瞬で現実を飛び越えて彼らの物語に没入してしまいます。 本展では日本初公開作品となる8点のインスタレーションをご紹介します。一つひとつの展示室が独立した、ユニークな構造を持つ金沢21世紀美術館の空間を生かし、ひとつの展示室でひとつの作品を展示していますが、全体は作品ごとに違う物語が共鳴するように展開しています。つくり込まれた作品の細部に至るまで、見て聞く楽しみは尽きることがありません。知覚や価値観を揺さぶられながら、次々と現れる物語の世界をゆっくりとお楽しみください。世界的に高い評価を得ているジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーの作品世界を余すこと無く体験できる、絶好の機会となることでしょう。
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日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念展
日々の生活 – 気づきのしるし Everyday Life – Signs of Awareness
2017年8月5日(土) - 2017年11月5日(日)
デンマークと日本は、それぞれの歴史や文化を背景に、ときに影響し合いながら発展してきました。特に、機能と実用性に加え、美しい意匠をまとった優れたデザインは、両国の文化的アイデンティティと美意識を示すものとして、極めて高い評価が与えられています。 デンマークは、建築、家具、生活用品をはじめ、福祉、教育、交通網など、国のグランド・デザインも含めた優れたモデルを構築して、屈指のデザイン大国として世界の人々の強い関心を集めてきました。一方の日本は固有の文化・思想に基づき、時代の象徴となるデザインを創造し、小型でシンプルな形を可能にした技術力、素材の特徴を最大限に引き出す伝統の技とその継承によって、デザインの分野でも独自の価値を提案し続けています。本展では、日本とデンマークのデザイナー、建築家、アーティストによる、日常を豊かにする気づきの「現れ」を紹介し、デザインを通して両国の現代の暮らしに見るモノとコトについて考察します。
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池田学展 The Pen ー凝縮の宇宙ー
2017年4月8日(土) - 2017年7月9日(日)
極めて細いペン先から壮大な世界を描き出すアーティスト、池田学(1973-)。1日に握りこぶしほどの面積しか描くことができないという画面は、緻密な描写や壮大な構成によって裏打ちされた、現実を凌賀(りょうが)するかのような異世界の光景を現出させ、米国をはじめ世界的に大きな評価を得ています。本展は、池田の画業の全貌を紹介する、初めての大規模な個展です。中でも米国ウィスコンシン州のチェゼン美術館の滞在制作プログラムにより3年にわたって制作された新作《誕生》は必見です。
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トーマス・ルフ展
2016年12月10日(土) - 2017年3月12日(日)
トーマス・ルフ(1958年ドイツ、ツェル・アム・ハルマースバッハ生まれ)は、アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきた存在です。 本展では、世界が注目する写真家の、初期から初公開の最新作までを紹介します。ルフは初期に発表した高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品で注目されました。それ以降、建築、都市風景、ヌード、天体などさまざまなテーマの作品を展開、それらを通じ、現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークなヴィジョンを提示してきました。 私たちの視覚や認識に深く組みこまれた写真というメディアそれ自体も、ルフ作品の重要なテーマのひとつです。ルフは自ら撮影したイメージだけでなく、インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで、あらゆる写真イメージを素材に用い、新たな写真表現の可能性を探究しています。 作品選択や展示構成にルフ自身が参加するなど、作家の全面的な協力を得て実現する今回の展覧会では、未発表の新作を含む作品世界の全貌を紹介します。
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生誕百年記念
井上有一
2016年1月2日(土) - 2016年3月21日(月)
戦後の日本現代美術を代表する井上有一(1916〜1985年)の生誕百年を記念する大回顧展です。有一は、戦後まもなく世界的に高い評価を得た数少ない日本の現代の書家です。 有一は、紙と墨からなる「書」を現代芸術の文脈の中で、個人の表現物として開花させました。本展では、初期から晩年までの200点を越える代表作によって井上有一芸術の核心に迫ります。 出品作品は、1955年、抽象表現主義と呼応した抽象書「作品」シリーズ、1957年、サンパウロ・ビエンナーレ国際展に出品した初期の代表作《愚徹》、ボンドや凍らせた墨など、素材と描法に工夫を凝らした《好》《母》《風》などの60年代、思想と生き様の一致した《貧》などの70年代、また70年代末から80年代へと晩年に向かい豊かな世界を形成した 《鳥》 《月》 《刎》 《鷹》 などが並びます。 一字書だけでなく、他の代表的なスタイルの作品も展覧されます。戦争の悲惨さを自らの体験によって作品化した《東京大空襲》 《噫横川國民學校》などの多文字書、語りながら書いた 「言葉書」シリーズの《草野心平詩 蛙誕生祭》 《宮沢賢治童話 よだかの星》などのコンテや鉛筆、木炭による書、死に向き合って制作された《宮沢賢治童話 なめとこ山の熊》、臨書《顔氏家廟碑》 《上》、また絶筆ともいえる《心》。有一が生涯こだわった型破りで自由な書の世界を、生涯にわたって制作した作品群の紹介を通じ、回顧展形式で紹介します。 本展キュレーター 金沢21世紀美術館館長 秋元雄史
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ザ・コンテンポラリー2
誰が世界を翻訳するのか
2015年9月19日(土) - 2015年12月13日(日)
2015年度の金沢21世紀美術館展覧会事業は、「ザ・コンテンポラリー」と題し、今日の世界を照射する現代美術の作品について考察しています。 春・夏の「ザ・コンテンポラリー1 われらの時代:ポスト工業化社会の美術」では、日本の美術の現在を知るうえで重要と考える「関係性」「日常」「メディア」「ヴァナキュラー」の4つのキーワードを手がかりに、特に2000年以降に活躍が目覚ましい作家10組による作品を紹介しました。 続く秋・冬の「ザ・コンテンポラリー2 誰が世界を翻訳するのか」は、異なる文化に立脚した現代美術作家たちが、自らが属する共同体を取り巻く世界の有り様をどのように捉え、伝えていこうとしているのか、特に異文化間を「移動」「横断」していくことが常態化している現代社会においては、あらゆる関係が流動的であり、これまでに描かれた歴史や価値観も、誰がそれを伝えるのかによって、さまざまな意味を浮き彫りにします。本展は特に周縁地域から爆発的に生まれ続ける多様な作品を生への「実践」と捉え、私たちと同じ時代に別々の場所で別々の時間を生きる人々が、世界をどのように見ているのかについて、考えていきます。 美術の領域に現れる作品は、「ABC」や「あいうえお」といった決まった記号(コード)による表現とは異なり、さまざまな素材や方法を自由に組み合わせることで、曖昧でユニークな表現を可能にしています。ひとつの作品は作り手から発せられる言葉や振る舞いであり、個人的なことであれ共同体のことであれ、作り手が、自身を取り巻く世界をどのように認識しているかの表れだといえるでしょう。では文化的背景が異なる土壌から生まれる表現について、私たちはどのようにアプローチすべきなのでしょうか。特に20世紀後半までの西欧中心史観が見直されたポスト・コロニアル批評を経た現在、多くの表現者が西欧によって翻訳された言葉や振る舞いでなく、自らの言語で正当に理解されるための翻訳行為を取り戻そうとしています。また、たえず多方向から押し寄せる表現が異文化間の混交によってあらたな意味を持つとしたら、誰がそれを翻訳するのかで大きく意味を変えてしまうことに注意を払う必要があります。見る者との間に共感関係を創出する展覧会という創造の場において、異なる視点に立つ表現を捉え、文化(作品)が世界を翻訳することを見届ける試みとなることを目指すものです。 金沢21世紀美術館 チーフ・キュレーター 黒澤浩美 ※本展展覧会名は同名の書籍「だれが世界を翻訳するのか」真島一郎(編著)人文書院、2005年 に借りたものです。
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ザ・コンテンポラリー1
われらの時代:ポスト工業化社会の美術
2015年4月25日(土) - 2015年8月30日(日)
いつの時代にあっても、時が経てば、自ずと「コンテンポラリー(同時代)」が変わります。同時代の美術を対象とする金沢21世紀美術館も開館してから10年が経ちました。これを機に、「ザ・コンテンポラリー」と題して改めて美術の今を問い直す3つの展覧会を開催します。本展はその第一弾として日本に焦点をあて、主に2000年以降に活躍する作家10人(組)をご紹介します。 キーワードは「関係性」「日常」「メディア」「ヴァナキュラー」です。日本はいま、自動車産業や建設業といった工業を中心とする社会からサービス業や情報産業へ軸足を移した社会へと変化してきています。また、少子高齢化や地方の疲弊の進行、孤独死の増加といった新たな社会問題が生まれる中で、その緩和や解消の方法のひとつとして「つながり」をつくろうとする試みや、「地域」の魅力を再評価しようとする動きも強まっています。一方、SNSやスマートフォンによる常時接続の普及など個人メディアが刻々と発達と進化を遂げる時代でもあります。本展ではこのような今の日本の姿を「ポスト工業化社会」という言葉で表しました。こうした時代に生きる10人(組)の作品を通じて、今の美術を探ります。
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開館10周年記念
レアンドロ・エルリッヒ ーありきたりの?
2014年5月3日(土) - 2014年8月31日(日)
レアンドロ・エルリッヒ(1973年ブエノスアイレス/アルゼンチン生まれ、モンテビデオ/ウルグアイ在住)は、金沢21世紀美術館にとって特別なアーティストのひとりです。「レアンドロのプール」の愛称で多くの人々に親しまれている作品《スイミング・プール》は、妹島和世+西沢立衛/SANAAの設計したこの美術館において、ひときわ大きな役割を果たしてきました。90年代はじめから湧き出るように出現した多様な表現の中で、誰もが共有できる物や事を通して現実の認識に変容をもたらす作風は、現在まで続く現代美術の特徴のひとつとして指摘することができます。《スイミング・プール》は「プール」というありきたりのものを未知で新しい要素と組み合わせて非日常化してしまうことで、見る側の問題意識を誘発している作品です。日常の中に大胆に介入して、常識的な見方でそのものの存在に反応してしまう私たちの姿を見事に映し出し、同時に親しみやすさや気軽さによって、人々が作品に向き合ったときに創造力を惜しみなく発揮して、全身で受け止めることが身につくように促してくれています。現代美術が以前にも増して人々に愛されていることに大きく寄与しているのは間違いありません。本展は《スイミング・プール》の他に最新作を含む17点を紹介する、日本で初めての個展となります。またそれが開館10周年を迎える2014年の記念の年に開催できることは大きな喜びです。つねに外に向かってひらかれている、交感の場を提案するエルリッヒの作品世界を、ぜひお楽しみください。
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柿沼康二 書の道 “ぱーっ”
2013年11月23日(土) - 2014年3月2日(日)
柿沼康二は、1970年生まれ。現在東京を拠点に活躍する書家です。5歳から筆を持ち、父である柿沼翠流、手島右卿、上松一條に師事しました。「書はアートたるか、己はアーティストたるか」との命題を立て、既存の書に収まらない新たな書の地平に挑み続けてきました。 柿沼康二の作品の特徴は、書の古典に立脚した今日的な表現にあります。書の原理を問いつつ今日の美術として書を捉えていこうとしています。「吸って吐いて、自由な書!」とは、柿沼康二の目指す書の在り方です。表現スタイルには、いくつか代表的なものがあります。古人や能筆家との対話の場である臨書。臨書から形式発展させ、他者の言葉を柿沼流に作品化する「エンカウンター(出会うこと)」。書の原理である墨を使って絵画的に展開する超大型の作品群。あるいは、大型の作品での例が多い制作プロセスを観客と共有するパフォーマンス。ひとつの言葉にこだわり、それを執拗に繰り返す「トランスワーク」。書を時間的、空間的に発展させて、巨大なスケールで展開したインスタレーション。 このように、柿沼康二の書は、書、現代アート、サブカルチャーと関連して展開した今日的な表現です。それは、明日へと向かう希望の書であり、自由で、未来に向かって開かれた、可能性としての書です。本展では、代表作約700点で柿沼康二の書の世界を紹介します。 本展キュレーター・金沢21世紀美術館館長 秋元雄史
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イザベル&アルフレド・アキリザン「住む:プロジェクト—もうひとつの国」
2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)
イザベル&アルフレド・アキリザンによる《In-Habit(住む)》は、生産―消費の流れを示すダンボールを使って作る「家」を積み上げた、壮大なインスタレーション作品です。本作品は、ボルネオ島サバ州海岸部一帯を拠点にして暮らすバジャウ族の人々を参照しています。バジャウ族は船上または海の浅瀬に高床式住居を構え、一生を海の上で暮らす漂海民ですが、グローバル化の波を受けて、近年その暮らしぶりに変化が見られると言われています。アキリザンはバジャウ族を通してアジアの現状を俯瞰し、経済的かつ文化的グローバライゼーションによって支えられている価値観が、画一化の危険性を拡張しているという現実に対峙しています。彼等自身もフィリピンに生まれ、現在はオーストラリアに移住して制作を続けていますが、「どこに住むか」「どのように住むか」について考えるプロジェクト「もうひとつの国」によって、あたりまえのことと考えてきた「住む」自由を脅かすような急速な世界情勢の変化に対して、個々人が直面する問題を共に考える場を提案し続けているのです。 今回の金沢でのプロジェクトは、地域の人々がバジャウ族の人々の暮らしに思いをはせながらダンボールで家を作り、それらが作品の一部として展示されます。美術館の近隣にあるアートスペースや金沢市内の学校などでも家作りのワークショップを行う予定です。また、会期中の週末には展示室内にワークショップ・ブースを設け、美術館を訪れた人々が作品の中でダンボールの家を作ることもできます。それらも次々に作品に付け加えられ、金沢の「もうひとつの国」が拡大していきます。
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工芸未来派
2012年4月28日(土) - 2012年8月31日(金)
「工芸未来派」展は、工芸の“現在性”と“世界性”を問う企画展である。つまりこの企画は、工芸が今の表現であり世界共通の表現であるか、という疑問から生まれた展覧会である。 今日の工芸は、他の視覚メディアと同様にポストモダンな時代状況を生きている。アニメーション、マンガ、デザイン、現代アートと同様に、工芸は新たなイメージを紡ぎ出す今日の表現メディアなのである。 それは工芸独自の技法を用い、工芸独自の歴史観を参照しながらも、これまでの工芸とは明らかに異なったアプローチをしている。 例えば、工芸の視覚イメージは、これまでは遠く離れていたアニメーション、マンガ、デザイン、現代アート等と通底している。また、発表の仕方も作家それぞれの独自性を持ち異なっているが世界に向けたものである。このように、ある傾向の作品は大きくは同一の方向を持ち、今日の表現として世界に向けて発信している。 このような表現をとりあえずは、“新しい時代の工芸”“未来に向かう工芸”として、工芸の「未来派」と呼んでみたい。12名の作家による展示は工芸一色であるが、“ 今日のアート”として着目してほしい。 (本展キュレーター:金沢21世紀美術館長 秋元雄史)
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特別展示
池田亮司
2023年11月18日(土) - 2024年5月12日(日)
金沢21世紀美術館では、今年のテーマ「アート× 新しいテクノロジー」にあわせ、「特別展示:池田亮司」を開催します。国際的に活躍するアーティスト・作曲家である池田亮司は、緻密なリサーチに基づいた没入型のコンサートやインスタレーション、また舞台作品やパブリックアートなど、多岐にわたる活動を展開しています。2000年代初頭から自然科学領域のビッグデータを創造的に扱うことにより、この世界を新たな視点で認識するための表現を追求してきました。本展では、未発表を含む映像作品23点から構成される新作インスタレーション《data.gram [nº6]》が展示されます。「data.gram」は、池田による大規模なオーディオビジュアルインスタレーション「data-verse」三部作 (2019-2020) を再構築した新シリーズであり、目に見えない素粒子のミクロな超微視的世界から、観測可能な宇宙の果てのマクロな超巨視的世界まで、自然界のさまざまなスケールを探求する試みです。今回の新作を通して、自然界の調和と混沌に対し、私たち自身の知覚や認識が試される良い機会になることでしょう。
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第38回国民文化祭 第23回全国障害者芸術・文化祭 いしかわ百万石文化祭2023 金沢21世紀美術館特別展
Rhizomatiks 「Kanazawa Radiance View」
2023年10月14日(土) - 2023年11月26日(日)
DX化によって社会や私たちの暮らし、未来はどのように発展していくのでしょうか?金沢の街の細部や風景を新旧あわせて織り込み、未来都市の新しいヴィションとしてつなぐデジタル映像が美術館のエントランスで来館者をお迎えします。 さまざまな金沢の名所を立体的に撮影したデータを、最先端の映像処理技術を用いて新たな映像に昇華させます。真鍋大度とNosaj Thingによるオリジナルの音楽とが融合することで、まだ見ぬ表現を織り成していきます。 ※ 【映像作品「デジタルアートが見せる金沢の未来(仮称)」】のタイトルは 【Rhizomatiks「Kanazawa Radiance View」】に変更となりました。
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コレクション特別展示+コミュニケーションプログラム
奈良美智 ―Dog-o-rama
2023年4月29日(土・祝)〜9月18日(月・祝)
本展では、奈良美智《Dog-o-rama》をはじめ《Lonely Moon/Voyage of the Moon》、そして収蔵後初めての展示となるドローイング群を紹介します。いずれも奈良が当館の「開かれた」機能を前提に構想した奈良美智展「Moonlight Serenade ― 月夜曲」(2006–2007年)で生まれたものです。《Dog-o-rama》は、奈良の重要なモチーフである「犬」によってくりひろげられるプロジェクト型作品です。犬の着ぐるみをまとった子供たちが美術館の中を巡ることにより、作品世界が拡がっていく「Pup Patrol」と、人々から持ち寄られた古着等の布類を詰め、全長7メートルの巨大なぬいぐるみ「Pup King」を完成させる「Pup Up the Dog」の2つのプロジェクトから成ります。本プログラム展示では、ボランティアとともに古着収集を行い、来場者を巻き込みながら「Pup King」を完成し、「Pup Patrol」では子供たちによる館内パトロールが行われます。《Dog-o-rama》で作品に参加しながら、ドローイングや皿絵の作品など空間全体で奈良の作品世界を体感するとともに、犬に扮した子供たちの活動をとおして美術館における作品鑑賞のあり方を再考する機会となるでしょう。
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虚影蜃光 ー Shell of Phantom Light
2023年4月8日(土)〜9月18日(月・祝)
工藝美術家、池田晃将(1987-)は螺鈿技法を用いて、データや電気信号といった実体のないものや想像上の動物を描写する作品を発表しています。雨のように降り落ちる数字、角度によって動きを見せる電子回路のような模様。玉虫色の貝の光は、今日の人間の生活を根底から支えている、電流とデータを表しています。骨貝のような長い水管溝を持つ巻貝、5対の翅を持つトンボ。表面に施された螺鈿加飾が、偶像の崇高性を虚構の造形にもたらしました。池田の創造行為は、まるで蜃気楼を吐き出すかの如く、この世に存在しない風景を具現化する貝の妖怪「蜃」のようです。 本展は、池田が制作活動を始めて約10年間の作品を前後期に分けて全14点紹介します。生物、鉱物標本と玩具や書籍など、本人の所蔵品と作品が一堂に展示される会場に、池田による博物誌を目の当たりにすることで、その奇想天外な造形の系譜を直感的に体験していただきます。また、微小の器型で精妙な世界観を表現するために、池田は伝統的な漆技法を伝承しながら、素地の制作に切削機、螺鈿チップの切り出し作業にパルスレーザーなどの新技術を導入しました。作品制作中の各工程及び繊維業界との協働の成果である螺鈿帯の制作風景を映像にて紹介します。
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アペルト18
顧剣亨 陰/残像2023年4月8日(土)〜9月18日(月・祝)
顧剣亨(こ・けんりょう)は「デジタルウィービング」という複数の写真をピクセルごとに編み込む独自の手法によって、まるで織物のような質感を持つ写真作品を生み出し、イメージの背後に潜在している文脈を表現します。本展では、中国・福建省の原始林などの世界各地の森を高解像度カメラで撮影した大型の新作シリーズを紹介します。その大きさゆえにイメージの全体を「平面」というフレームのなかに圧縮・縮小してしまうことなく、鑑賞者の目線の活発な動きを誘発し、森の陰影が持つ亡霊のようなざわめきや畏怖の感覚を呼び起こします。同時に、複数のイメージを手作業で縦・横 1列ずつのピクセルを反復して編み込んでいく特徴的な手法によって、作家の意図を超えた無意識的な揺らぎが生じ、地球が生み出した自然のスケールの時空間が複雑な形で閉じ込められます。顧の作品は、私たちが共通してもっている惑星的な記憶に刺激を与え、森の持つ多時間性・多言語性・多場所性を残像のように脳裏に刻むことによって、ますます加速する大量の視覚情報の中で麻痺している現代の鑑賞者の感性に変化をもたらすでしょう。
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lab.5 ROUTINE RECORDS
2022年10月1日(土)〜2023年3月21日(火・祝)
本展は、金沢21世紀美術館デザインギャラリーを作品展示の場所としてだけでなく、調査・ 研究・実験の場として開きつつ、そのプロセスをプレゼンテーションすることを目的に2017年より始動した〈lab.〉(laboratoryの略)シリーズの第5弾です。今回は、近年あらゆる分野を横断して福祉とアートの新しい可能性を試みる、気鋭の福祉実験ユニット「ヘラルボニー」 の新プロジェクト「ROUTINE RECORDS」をご紹介します。金沢市内の特別支援学校や福祉施設、他県の福祉施設に通う知的障害のある人が習慣的に繰り返す、日常の行動(ルーティン)から生まれる音を丁寧に紡ぎ、音楽として届ける試みです。会場では、個々の音の視聴コーナーや、ルーティン音をプロの音楽家が実験的に生成する楽曲の視聴、鑑賞者がルーティンによって生まれた音をリミックスし、新しい音楽を制作できるDJブースなどを設け、聴取した音が音楽となる創造的なプロセスを多角的に体験することができます。本展を体験した鑑賞者が、多様な背景を持つ他者への理解を深め、気づきを促す機会となることを期待します。
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アペルト17 SCAN THE WORLD [NEW GAME]
2022年10月1日(土) - 2023年3月19日(日)
SCAN THE WORLD(STW)は、石毛健太(1994年、東京都生まれ)とBIEN(1993年、東京都生まれ)の2名のアー ティストが中心に行っている、ハンディスキャナで街をスキャニングするプロジェクトの総称です。STWは路上表現の現在形のうちの一つであり、同時に誰もが参加できる新しい遊びでもあります。 本展[NEW GAME]では、金沢21世紀美術館の長期インスタレーションルームが、STWに参加するための集合場所へと変貌します。そこには古代遺跡より出土したかのような巨大な石碑が浮遊し、来訪者にSTWの方法を伝えています。そして、この石碑を解析・研究するように、STWの過去の実践だけではなく、新たな参加者との未来の実践が展示されます。 また、STWはウェブサイトを制作します。このウェブサイトは今回の展示の中心であり、これまでに実践されてきた遊びと、これからの遊びをつなげるプラットフォームでもあります。ここでは誰もが街のテクスチャのデータをアップロード・鑑賞することができます。世界中の場所や人がイメージと遊びを共通項につながることができるのです。 石毛健太とBIENは金沢に長期滞在し、会期中の半年間、参加者を募りながらSCAN THE WORLDを実践し続けます。STWは、まちに開かれ、金沢21世紀美術館をスタート地点にして、まだ見ぬプレイヤー達とともに、現在進行形の路上の遊びとしての進化を続けることでしょう。 scan-the-world.net 2022- In Cooperation with: Konel inc. Design: NUMATA Sou
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アペルト16 AKI INOMATA Acting Shells
2022年4月9日(土) - 2022年9月11日(日)
AKI INOMATA(1983-)は、人間と生き物との関係に着目し、動物と共に制作した作品を多く発表しています。本展「Acting Shells」は、INOMATAによる進行中のプロジェクト「貨幣の記憶」を中心に構成されています。2015年より開始されたこのプロジェクトは、真珠貝の中に現代世界の各国の通貨のシンボルとなる肖像を融合させることで、「貨幣の化石」を作り出す試みです。人類は、古代から貝殻を重要な貨幣の一つとして用いてきました。仮想通貨や電子マネーが席けんし、物理的な貨幣と置き換わろうとしている今日、本プロジェクトは、あえて貨幣の歴史を遡ることで、過去と現在を横断し、私たちを取りまく経済・社会システムを新たに見つめ直す機会を鑑賞者に与えます。 一方、貝殻(shell)は本来、貝の身を守るシェルターや「やど」の役割を果たしています。本展は、ヤドカリやアサリなど、私たちと異なる生物種にとっての「シェル」の意義を多角的に捉え、人間社会や生命の進化史と、彼らの能動的な振る舞い(act)との結びつきを考えます。INOMATAの作品は、他の生物種や私たちにとっての多様な「シェル」の意味合いを提示し、様々な時空間への想像力に働きかけるでしょう。
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ジェフ・クーンズ × ベルナルド
2022年4月9日(土) - 2022年9月11日(日)
ジェフ・クーンズ(1955年、ペンシルバニア州ヨーク生まれ、ニューヨーク在住)は、ポップカルチャーのアイコンをはじめ、人々の目を引き付ける日常的な表象を用いた作品により世界のアートシーンをリードしてきました。本展では、フランスのリモージュを代表する磁器ブランドのベルナルドとの協働によって精巧に作られたクーンズの代表作「セレブレーション」シリーズをご紹介します。 オリジナルの「セレブレーション」シリーズは、1990年代半ばに制作されたクーンズにとって重要な作品です。パーティを彩る動物型のバルーンという安価で軽やかなモチーフが、鏡面仕上げのステンレススチールによる巨大な彫刻となって現れるとき、低俗さと高級さ、純粋さと魅惑、はかなさと永遠という対極的なコンセプトが作品の中で重なり合います。それは、1年の中の特別な1日を祝うだけでなく、生のサイクルを祝う作品でもあります。 80年代より陶器を素材とした作品を手がけてきたクーンズは、今から10年前、「セレブレーション」シリーズを磁器によって再現するというプロジェクトをベルナルドに依頼しました。磁器の街として名高いフランスのリモージュで1863年に創業されたベルナルドは、精巧な職人技による卓越した品質を守り続ける家族経営のブランドです。しかし同時に、創造性と技術革新の最先端をゆく姿勢により、これまで国際的に著名な現代アーティストたちとのコラボレーションも行ってきました。透明感のあるカラフルな色、全体の微妙なバランス、そしてとりわけ作家が強く求めた、光を反射する滑らかな表面……複雑かつ入念にデザインされたクーンズの作品を忠実に再現するにあたり、ベルナルドのモデラー、装飾家、釉薬職人たちは、新たな専門技術の開発に取り組みました。 クーンズとベルナルド、新たなことに挑戦し、完璧を追求し続ける両者の姿勢と、職人たちの技術が結実した作品を、ぜひご高覧ください。
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アペルト15 冨安由真 The Pale Horse
2021年10月30日(土) - 2022年3月21日(月・祝)
冨安由真(1983-)は、心霊現象や超常現象、夢の世界などを題材に、現実とも非現実とも判別しがたい空間演出を特徴とする、インスタレーション作品を多く発表しています。見るものの知覚や感覚に揺さぶりをかけるような作品世界は、五感、時に第六感を刺激し、ともすれば忌避されがちな不確かで見えないものへの意識を促し、知覚体験の本質を問います。 本展のために制作された新作のインスタレーション作品は、冨安が幼少期に見た夢に構想を得ており、その夢に現れた一軒の小屋を作品の舞台としています。小屋にかけられた絵画《The Pale Horse 蒼ざめた馬》に登場する一頭の馬は、新約聖書のヨハネ黙示録にて「死」を象徴する騎士が乗った蒼ざめた馬に着想を得たものです。展示空間に足を踏み入れた鑑賞者を、現実と虚構とが交錯し合う、奇妙で幻想的な体験へと誘う作品です。 近年では従来の表現メディアである絵画とその周囲を含んだ空間の見せ方や手法に、そのダイナミズムを増している注目作家が手がける、体感を重要視して構築された作品世界は、鑑賞者に対し、見えないものを知覚させるような、新しい体験の機会を創出します。 ハンドアウト
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アペルト14 原田裕規「Waiting for」
2021年6月15日(火) - 2021年10月17日(日)
原田裕規(1989年生まれ)は、クリスチャン・ラッセンや心霊写真など、ある時代の視覚文化の中では確かな位置を占めているにもかかわらず、美術史の周縁にある存在を扱ってきました。 本展は、作家にとって2年ぶりの新シリーズ「Waiting for」を含む映像インスタレーションによって構成されます。 原田は、2017年より、不用品回収業者などによって回収された引き取り手のない写真を集めはじめました。《One Million Seeings》(2019)では、作家自身が、それらを一枚一枚手に取り、見つめる様子が映し出されます。誰かによってかつて見られ、そして見放され、いずれ記憶からも歴史からも消えていくであろうイメージに対して視線を投げかける行為は、24時間にもおよびます。 一方、新作の映像作品《Waiting for》では、オープンワールドゲームの製作に用いられるCGI(Computer-generated imagery)の技術による「100万年前/後の風景」が映し出されます。完全に人工的につくられた世界には、地球に現存する全ての動物の名前を呼び続ける声が響きわたり、強い不在の感覚が呼び起こされるでしょう。 一見対照的な二作品ですが、いずれにも、膨大な情報と向き合い、それを身体化しようとする人間の姿が記録されています。こうした行為を、作家は「Waiting(待つこと/待ちながら)」という言葉で表現しています。かつてあった存在を見つめ、訪れるかもしれない何かを待つ。それは、出来事の前と後に挟まれた空白の時間に身を委ねる行為と言えます。本展は、人々が日々膨大な量の情報を手にすると同時に手放していく現代において、世界と向き合う一つの態度を示す機会となるはずです。 ハンドアウト
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特別展示
ダグ・エイケン: アイ・アム・イン・ユー
2021年4月29日(木・祝) - 11月23日(火・祝)
本展では、所蔵作品の中から当館初展示となるダグ・エイケン《アイ・アム・イン・ユー》を紹介します。ダグ・エイケンは、映像、写真、彫刻、建築的介入からサウンド、インスタレーション、映画まで多岐にわたる作品を手掛けることで知られています。 本作品は、5つのスクリーンで構成された映像インスタレーション作品です。アメリカ郊外の日常的な風景の中で、人間、自然、人工物、幾何学的な図形といったイメージが少女のささやく声や手拍子のリズム、ピアノの旋律に合わせて軽快に重なり、見る者は幻覚のような映像の流れの中に引き込まれます。物語に明確な輪郭がないまま断片化した映像が反復的に繰り返されるうちに、その捉えようのない流動状態の力と速度が身体的に経験され、鑑賞者は映像と音の渦中を彷徨いながら作品を体感することになります。 ダグ・エイケンによる映像インスタレーションのダイナミズムを金沢21世紀美術館の大空間で体感していただける貴重な機会となるでしょう。
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デザインで あそぶ まなぶ つながる コドモチョウナイカイ
2021年4月3日(土) - 2022年3月21日(月・祝)
建築家の式地香織を中心に2014 年に発足したコドモチョウナイカイ事務局は、デザインを通じて子どもたちが自ら課題を発見し、創造的に問題を解決する、柔らかな「理性や感性」を育むワークショップ・プログラムを企画・運営する団体です。子どもたちによるデザインチーム「コドモチョウナイカイ」の活動を見守り支える事務局という役割を担っています。「コドモチョウナイカイ」のデザイン活動は最終的に「おまつり」として完成し、地域とつながります。おまつりをデザインした子どもたちは、おまつりを楽しむたくさんの子どもたちや家族、地域の人たちを目の当たりにします。また、自分たちの活動に寄り添い、暖かく見守るたくさんの大人と触れ合います。コドモチョウナイカイプログラムにおける「おまつり」は子どもたちの成功体験や社会参加の場となっていきます。本展では、2014 年からのコドモチョウナイカイの活動を概観しながら、金沢版コドモチョウナイカイとして、デザイン教育のプロセスを子どもたち、地域の方々と体験するとともに、「デザインで」何ができるのか、金沢での「おまつり」開催に向けて活動をしていきます。 〈展覧会の要素〉 コドモチョウナイカイのアーカイブ 2014年の設立以来、コドモチョウナイカイが取り組んできた活動を壁面で紹介します。コドモチョウナイカイでは、おまつりづくりをみんなのプロジェクトと して共有するために、毎年テーマを設定し、ファッションや建築など様々なデザインを切り口に、そのテーマにアプローチしていきます。 誰でも参加型ワークショップ「みんなでつくろう!デザインの森」 デザインギャラリーのガラス壁面を生かして、来場した方なら誰でも参加できるワークショップ を開催します。4月のスタートは「みんなでつくろう!デザインの森」。ガラス壁面に植えられた抽象的な「たね」からどんな木が成長してくるのか。みんなで考えて描いてみましょう。みんなでつくったデザインの森は、金沢版コドモチョウナイカイの活動の拠点となります。 進行形の金沢版コドモチョウナイカイ 金沢のクリエイターたちと一緒に、金沢版コドモチョウナイカイは展開します。1年をかけてどんなことが起こるのか、子どもたちが中心になってつくっていく予定です。まずは6月のファーストコドモミーティング、「デザインで何ができるのか」を考え、みんなで共有できる「テーマ」 探しから活動をスタートします!
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アペルト13 高橋治希 園林
2020年12月19日(土) - 2021年5月9日(日)
人は「庭園」を巡るとき、何を思うのでしょうか。一人たたずむときも、親しい人と会話しながら楽しむときも、何かしら気持ちを切り替える場所として、庭園はあるのではないでしょうか。高橋治希(1971- )は、美術館の空間に庭園としての「園」を作り出します。一貫して、風景や自然をテーマにインスタレーション作品を制作してきた高橋が、社会に対して声高に叫ぶ作品ではなく、もっと個人的な作品との出会いを生み出したいと行き着いたのが「園林」でした。園林とは、中国の庭を総称する言葉です。園林は、人がゆっくりと巡り歩くにしたがって、さまざまな風景と出会う構造を持っています。一つひとつの風景に思想があり、人生のあらゆる場面が凝縮されています。自分自身の歩みによって、それぞれの人生が心に映し出され、人と宇宙がつながります。 金沢21世紀美術館に作り出される園林には、水があり、山があり、光があり、闇があります。何種にも及ぶ野草は、私たちが共に生きている植物たちです。光を透過する白磁は、触れれば砕けてしまうもろさも持っていますが、大切に扱えばそのままの形で永遠に残り続けます。硬質さともろさを併せ持つ風景から、人生のはかなさや、消えてはまた巡る記憶の数々がより一層強く意識されるに違いありません。 園林は、自然を素材としていますが、決して自然ではありません。複雑な思想を映し出し、見る人を想定しながら造形される「作品」です。高橋は、西洋の美術史の文脈から意識的に離れ、見る人それぞれの精神性を映し出す園林を展示空間に創造し、東洋的なインスタレーション作品の在り方の追究を試みます。
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村上慧 移住を生活する
2020年10月17日(土) - 2021年3月7日(日)
村上慧(1988- )は、東日本大震災のあった2011年3月に武蔵野美術大学造形学部建築学科を卒業しました。震災をきっかけに発泡スチロールを素材にした自作の家を担いで歩き、国内外で移住を繰り返すプロジェクト「移住を生活する」を開始しました。 本プロジェクトは、東日本大震災で多くの人々が家を失ったこと、震災後のコミュニティの衰退、そして震災の直前に友人たちと家を借りる契約をしたけれど、すぐには移動できなかったことへの疑問に始まりました。必要以上に物や金を蓄えるために生きる日常や、公私に空間を分化する社会的な条件や理由について探るこのプロジェクトは、個人の生活がどのように社会に影響を与えるのかを考察します。 本展は、2019年に当館のコレクションとなった作品《移住を生活する 2015.5-2018.9》に加え、村上がプロジェクトを開始した2014年4月5日から現在まで続く「移住を生活する」の全貌を展示する初めての機会となります。 村上が家を担いで移動した先で出会った人々、景色、出来事をつづった日記、ドローイング、写真、そして村上が歩いたルートをたどる地図によって構成される展示空間は、まるで村上とともに移住を生活し、村上が思考し葛藤したその只中にいるかのようでもあります。また、会期中「移住を生活する」を下敷きに始まった「広告看板の家」プロジェクトの最新作も美術館の庭に設置されます。 社会の中で感じ取った違和感や疑問をユニークな方法で私たちに提示し議論の場を作る村上の作品を通して、震災以後の日本の社会で生きることについて向き合い、改めて自分自身の力で考える機会となることを期待しています。
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私たちの、私たちによる、私たちのための美術館
2020年7月18日(土) - 2021年3月21日(日)
2019年10月、金沢21世紀美術館は開館から15周年を迎えました。金沢市の中心部に位置する美術館は、「まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館」を特徴の一つとし、これまで美術館活動を行ってまいりました。 時が経ち、当時は目新しく見えた美術館の存在も改めて意識することは少なくなってきたかもしれません。また15年の月日は美術館を取り巻く金沢の様子を大きく変え、特に観光地の一つとして有名になった美術館には多くの観光客が訪れるようになった一方、途切れない観光客の波に押されて、金沢市民の「日常」とはだんだんかけ離れたものになってきているのかもしれません。 本展は、15年経った今改めて、「私たちの美術館」を「私たち」が考えるための機会です。「まちに活き、市民とつくる」という想いが込められて始まった美術館は、今の金沢の人々にどう映っているのでしょうか。またどんな未来を描くことを期待されているのでしょうか。様々な切り口から、今の「私たちの美術館」を問いたいと思います。 この展覧会を作るのは、アーティストではなく、ほかでもない金沢21世紀美術館の主人公である地域に住むみなさんや来場者の声。インタビューや「ミュゼミ」と呼ばれる金沢市民を対象に行うゼミを通して、これまでの美術館・これからの美術館について考える参加型の展覧会です。 美術館に来る人も、これから美術館の仲間になる人も、それぞれに「私たちの美術館」と思えるきっかけに、また美術館にとっても展覧会を通じて聞こえたみなさんの声からこれからの美術館を考える、そうした機会になることを期待しています。
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アペルト12 安西剛 「ポリ-」
2020年6月27日(土) - 2020年11月23日(月)
安西剛(1987年生まれ)は日用品、とりわけ安価で大量に出回っているプラスチック製品を主な素材とし、それらの機能や意味を無効化し、オブジェクトとして提示したときに、人々がどうそれを見るのか、どう関係するのかについて考察しています。 不思議な動きをする日用品、ゴミとなるはずのプラスチックの梱包容器から模られた彫刻、プラスチックの断片をなぞったドローイング…。カラフルで楽しげで、どこか子どもの遊びの延長のようにも見える安西の作品は、しかし、見知ったものが知らない動きや表情を見せる様子に、どこか得体のしれない気味悪さも感じさせます。 展覧会のタイトル「ポリ-」はポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど、プラスチックと総称される多くの素材の接頭語である「ポリ(poly)」からきています。この言葉には「多数の・多種の」という意味があり、また化学分子が結合して重合した状態を表す接頭語でもあります。石油が原料とは知っているものの、私たちの多くはその違いをほとんど認識せず、作られ方もわからないままそれらを「プラスチック」として認識し、日々の生活の中で使っています。 世界的にその使用量や処理方法について問題になっている昨今、一方で、それが無いという状況を想像できないほど、あまりにも日常的に使われているプラスチックと人間との関係性について、「近いのに遠い、不思議な距離感」と安西は語ります。この展覧会を通して、自分たちを取り巻く社会の不可解さや不確かさについて問いかけます。
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lab.4 Space Syntax
2019年10月12日(土) - 2020年6月14日(日)
私たちは「空間」の中に生きています。さまざまな方法で私たちは空間を認知し、一方で空間が変われば私たちの行動も変わります。つまり空間のレイアウトと人間の行動とは深く関係していると言えます。その関係を解き明かす鍵は一体どこにあるのでしょうか。lab.シリーズの第4回となる本展では、「つながり」や「関係性」という視点から分析や調査を進め、この鍵の在りかを探ります。 そのキーワードとなるのが〈Space Syntax〉です。Space(空間)と、Syntax(言語学における統語論=語と語の関係をもとに意味を導く仕組み)を組み合わせたこの言葉は、1970年代にロンドン大学バートレット校(建築学・都市計画学)のビル・ヒリアー教授が提唱した理論名であり、またその実践に取り組む法人の商標でもあります。空間レイアウトの分析に科学的なアプローチを採り入れ、人間の認知や行動との関係を考察する〈Space Syntax〉の理論と実践は、近年、都市・建築空間デザインの新たな手法として注目されています。 本展は、こうした〈Space Syntax〉の理論と実践を紹介しつつ、会期中を通して金沢21世紀美術館の館内で二つの調査・分析を展開していきます。一つ目は室内行動調査です。機械学習など新しいテクノロジーを用いた映像解析手法を導入し、館内の通路を行き交う人がどのような動線をたどるのか、いつどこで立ち止まり座るのかを観察し、空間レイアウトと人間の認知・行動との関係を分析します。二つ目は当館の展覧会ゾーンを調査の対象とし、来場者の動線調査を行います。この美術館が持つ空間レイアウトの特性を分析し、そのポテンシャルを掘り起こすことで、金沢21世紀美術館の新しい可能性を探ります。 こうした調査活動は、lab.1 OTON GLASSやlab.2 Sightでも活躍したリサーチサポーターの協力を得て進められ、本展の会場となるデザインギャラリーに集積・更新されていきます。ガラスで覆われた透明のlab.に、空間レイアウトと人間行動との関係を解き明かす鍵が見つかるかもしれません。 本展アーカイヴ・サイト
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アペルト11 久野彩子 都市のメタモルフォーゼ
2019年7月6日(土) - 2019年9月23日(月)
久野彩子(1983年東京都生まれ)は、ロストワックス鋳造技法を用いて作品を制作します。ロストワックスとは、ロウで作った精密なカタチを鋳物に置き換える手法で、彼女の作品は硬質で重厚な金属の質感と共に、細部にまで技巧を凝らした表現も併せ持っています。本展では、金属と向かい合い、鋳造と対話するように真摯な態度で制作する彼女の作品群を紹介します。「都市」をテーマに、様態を変えながら増殖し、構築されていく都市のうごめく姿を想起させるものとして、堅牢な金属に施された高密度の造形美を展観します。 キュレーター 立松由美子
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特別展示
名和晃平 Foam
2019年4月27日(土) - 2019年8月25日(日)
名和晃平は本展において、泡と光のインスタレーション作品「Foam」を展示します。次々と終わりなく湧き出る小さな泡が次第に寄り集まり、泡の集合体(フォーム)として有機的な構造を自律的に形成してゆく様子を表現します。生成と消滅というシンプルなプロセスを繰り返す個々の泡は、代謝や循環を支える細胞の本質的な振る舞いと類似しており、見る者に生命の根源を連想させます。
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佐藤浩一 第三風景
2019年4月6日(土) - 2019年9月23日(月)
この度金沢21世紀美術館は、今日でもなお視覚中心的な作品が多数を占める中、視覚のみならず、非視覚的な感覚、聴覚・嗅覚をも揺さぶる新たな表現を取り上げ、美術館活動の次なる可能性を探求する展覧会を開催します。こうした特徴的な表現を、これまでlab.シリーズなど数々の実験的な取り組みを紹介してきたデザインギャラリーで取り上げます。 佐藤浩一(1990-)は、人類学や植物学への関心から、これまで様々な境界線上を曖昧に揺れ動く存在の可能性を考察してきました。「わたし」と「わたしならざるもの」の合間にある、見えないけれど確実にあるその境界を問い、これらの存在がその間で揺れ動きながら共生するこれからを、映像やインスタレーションのみならず、音や香りといった非視覚的なメディウムをも複合的に組み合わせながら表出しています。 本展のタイトル「第三風景」は、風景の進化を自然のみに委ねた空間を指し示すフランスを代表する庭師ジル・クレマンが提唱した概念で、都市の空き地や農村の放棄地・国境地帯など、人間が顧みない、あるいは抑圧している場所を、あえて生物多様性を受け入れられる特権的な場として積極的に評価した言葉です。様々な要素が複雑に混在し得る第三風景は、これからの私たちの社会における、人と植物の関係性の在り方に示唆を与えるものであるといえるかもしれません。本展はこの象徴的な言葉を起点に、イチジクの生殖をテーマとした「Mutant Variations」を通して、佐藤浩一の現在地を俯瞰します。 ※予定していた展示替えは都合により中止となりました。
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アペルト10
横山奈美 LOVEと私のメモリーズ
2019年4月6日(土) - 2019年6月30日(日)
横山奈美(1986- )は、日々の生活の中で消耗されていくもの、廃棄されていくものをモチーフに絵画を制作しています。通常見向きもされない捨てられる運命をもった、いわば主役にならないものを主役にすることで、そのものに本来備わる意味や用途から離れ、これまでとは異なる見え方、横山によれば「そのものが持つ根源的な存在感や美しさ」を提示します。 本展は、近年、横山が精力的に取り組んでいる「愛とは何か」「美とは何か」というテーマと向き合った作品群で構成されています。愛をテーマに造形されたネオン管を絵画に描いたネオンシリーズは、ネオン管の主役ともいえる美しい光の部分と、裏側で見えないよう隠される器具や配線の部分とを同等に描き出すことで、理想や憧れとともに誤魔化せない、見られたくない部分をも顕在化させます。また、本展タイトルにも使われた木炭ドローイングのシリーズ作品《LOVEと私のメモリーズ》は、少女とラブという名の犬との思い出をつづった場面が描かれています。人間好みにどんどん品種改良が進む犬が短命であるというニュースをきっかけに、愛犬へと向けられた「愛(LOVE)」について考察します。 横山は、ちまたに流布し、あまりに軽々しく多用される「LOVE」という言葉への疑問や違和感、あるいは複雑で深刻な感情を作品に落とし込むことで、私たちの日常にありふれる「LOVE」という言葉の意味を問いかけ続けています。本展では約30点の油彩画とドローイングにより、横山の問いかける「LOVE」を通して、物事の本質について探求する機会となるでしょう。
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コレクション展 アジアの風景 / 粟津潔、マクリヒロゲル5
2018年11月3日(土) - 2019年5月6日(月)
アジアからあふれ出る様々な表現は、土地の歴史や文化と密接に結び付きながら、伝統と急速なグローバル化の間での模索や試行が続いています。ポスト工業化や技術革新の波にもまれながら、「人間はどこに向かって行くのか」という普遍的な問いを投げ掛ける作品を中心にご紹介します。 会期前半はス・ドホ《家の中の家ー 1/11スケールー原型》を展示します。 これは彼がアメリカに留学して初めて暮らした縮尺1/11の洋風建築の中に、 よく見ると、幼少期に韓国で過ごした間取りが埋め込まれています。ザイ・クーニンは、マレー族がイスラム化する前の文化の様相を明らかにしようと、初代のマレー王ダプンタ・ヒャン・ジャヤネサに関する研究と創作実践から成るプロジェクトの集大成を発表します。宇治野宗輝《プライウッド新地》のサウンド・スカルプチャーは、レトロな雰囲気を色濃く残した日常品の「都市」が出現します。ここ近年、2020 年のオリンピック・イヤーに向けて、昭和の高度経済が成長した時代のような熱気を帯びて日本全体が熱病に冒されているようです。宇治野の作った動く都市は、ユーモラスな動きとともに物質文明に激しく問い掛けているように感じられます。照屋勇賢の《遥か遠くからの未来より》では、沖縄出身で現在ニューヨークを拠点にしている照屋が伝統的な琉球着に、ジュゴンや軍事用ドローン、沖縄の110人以上の人々のモチーフを染めあげた作品を提示します。ジュン・グエン=ハツシバは、政治や社会の大きなうねりの中で犠牲となった、名もない人々の姿を美しい映像で表現しています。2001年から発表している難民や少数派の映像作品から10 年後、2011年に東北の被災された方々に捧げる近作も紹介します。 「アジアの風景」と題して、アジア地域から世界を見続け、変成する現代社会を照射する作品をセレクトし展観します。 粟津潔、マクリヒロゲル5 粟津潔のブック・イラストレーション 粟津潔の調査展示を行う「マクリヒロゲル」シリーズの最終回として、粟津潔の本の挿絵、特に子どもに向けたイラストレーションの世界をご紹介いたします。粟津作品は大人を対象にしたものがほとんどですが、数は多くないものの絵本や童話などの挿絵も手掛けています。子どもだろうとこびない大胆な構図と色彩で描かれ、ペン画では線描の繊細さ、配色の妙が際立っています。初期作品の平野威馬雄著『レミは生きている』(1958 年)の挿画は、ベン・シャーンの影響が見てとれますが、「あいのこ」としての生き方に苦しむ主人公の表情が幾多にも表現される秀作です。また、吉増剛造著『さわる』(1983 年)は、ふわふわと水の中を漂っているような不思議な感覚の本ですが、印刷とは異なる原画の白地に描かれた美しい水彩画の色彩に驚かされます。原画にはおそらく粟津自身と思われる印刷の指示も書き込まれており、手描きの原画から印刷へと展開する際の思い切りのよさも見られます。粟津潔の子どもたちへの柔らかなまなざし、また「印刷」を存分に楽しむ粟津ならではのスタイルも感じていただける展覧会です。
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アペルト09
西村有 paragraph
2018年10月6日(土) - 2019年3月24日(日)
西村有(1982- )は、日常の何気ない風景や行為、「生活の中の充足した時間」の断片を1枚の絵の中に複雑に重ね合わせることで一つの風景を構築します。それは、まるで小説家が言葉を紡ぎ、文章を構成し、ひとつの物語を作り上げる行為のようでもあります。ふと目にした風景、気持ちがいい空気。個人的で小規模だが、人間誰しもそうしたものに支えられているのではないか、と西村は言います。西村が描く対象は常に具象的でありながら、その独特でぼんやりとしたタッチや色調がどこか現実から遠く離れた場所かのような印象を与えます。 本展のタイトル「paragraph」は、「段落」とか「ひとまとまり」という意味で、ひとつの作品をひとつのパラグラフとして見たときに、展示室全体に散りばめられた絵画をじっくりと見る/読むことで、西村が描き溜めてきた日常の豊かな時間と風景が物語となって語りかけてくるはずです。いつまでもその空間で、西村の絵画と向き合い、いくつもの物語を想像したくなる、そんな展覧会となることでしょう。 本展では、13点の大小さまざまな新作を、鑑賞者が物語の中に入り込むかのような構成でご紹介いたします。
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東アジア文化都市2018金沢
変容する家
2018年9月15日(土) - 2018年11月4日(日)
日中韓のアートと出会うまちなか展覧会 東アジアのアーティスト22組が考える「家」を訪ねて、散歩に行こう! 我々の生きる現代では「家」は一つの社会システムとして構造化されています。建築的・物理的な 「家」は一般化しやすいのですが、表面化しない感情 、慣習や文化全般に融解している「家 」は 、多角的に考察されなければ、その意味を捉えることは困難です。とりわけ、グローバル化によって移動が常態化した今日において、人々の「家」はどこにでも、いくつもあるのか、 あるいはどこにもないのか。この問いを起点に、金沢の街なかに存在する使われていない日常空間を探し出し、日本、中国、 韓国の現代美術作家が「家」をテーマに作品を発表します。
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東アジア文化都市2018金沢 コア事業連携企画
邱志杰(チウ・ジージエ) 書くことに生きる
2018年9月8日(土) - 2019年3月3日(日)
チウ・ジージエは、幼少から学んだ「書」を表現の中心に置き、書くことを通じて、普遍的で根源的な人間の存在について問い直してきました。生誕の地である福建省は、かつて海上貿易が盛んだったこともあり、交易や移住による交流が豊かな地域です。彼のダイナミックで自由な視点を持った作品群は、そうした土地の文化にも大きな影響を受けたと考えられます。本展では、世界の有り様を俯瞰し、人と物事の関係を記述することに自身の存在を重ねる、チウ・ジージエの創造とその魅力に迫ります。
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lab.3
DeathLAB:死を民主化せよ
2018年7月7日(土) - 2019年3月24日(日)
都市における「死」をめぐるさまざまな問題―人口集中とそれに伴う深刻な墓地不足、少子高齢化、無宗教を支持する人の増加、火葬の二酸化炭素排出による環境負荷など―を考えれば、これまでにない葬送の方法を発明しなくてはならないことは当たり前の話かもしれません。 コロンビア大学の「デスラボ」は、このような課題に正面から向き合い、環境、時間、空間といった街の多種多様な制約に対応できる「死」の未来を、宗教学や建築学、地球環境工学、生物学などを横断して探求する最先端の「死の研究所」として世界的に注目されています。 この展覧会では、デスラボを主催するコロンビア大学准教授のカーラ・ロススタインとともに、「郊外へ疎外される『死』をいかに街に生きた形で取り戻すのか」「現代の都市文化に見合う『生と死の循環』とは何か」「個人が死者を追悼する空間でありながら、都市のインフラストラクチャーにもなるような公共空間はどのように実現できるのか」といった問いに対する革新的な可能性を建築模型や映像資料を通してご紹介します。
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アペルト08
七搦綾乃
2018年4月28日(土) - 2018年9月24日(月)
七搦綾乃(1987-)は山や森などの雄大な自然や、虹や霧などのはかなく消えていく自然現象をテーマとし、そこに独自の解釈や見立てを交えて木彫作品にします。本展で出品される、「rainbows edge」のシリーズでは、乾燥させたバナナの柄など、干からびた植物の形態と、布をかぶった自身の姿を合体させています。乾燥してよじれた植物のパーツと滑らかに仕上げられた布(身体)の部分が合体した様子は、若さと老いが同居しているような、もしくは布の中に奇妙な生物が隠れているような不穏な印象を与える一方で、仏像や神像のような静ひつさや、見てはいけないものを見てしまったような畏怖をも感じさせます。 みずみずしい生物が、年老い、枯れて、乾燥し、ゆっくりと形を変えていく、その変化の中に美しさを見いだす七搦の視線は、それらを忌避しがちな現代社会に生きる我々の価値観を大きく揺さぶることでしょう。
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ルナ・イスラム 《縮尺(1/16インチ=1フィート)》
2018年4月28日(土) - 2018年6月24日(日)
所蔵作品の中から1点を選び、当館初展示となるルナ・イスラム《縮尺(1/16インチ=1フィート)》をご紹介いたします。 ルナ・イスラムは、アイデア、主題、形式における概念あるいは知覚や認識を変容させるような影響力に常に関心を置き、初期の映像やインスタレーションでは実験映画、前衛映画を参照し、映画的語彙を自身の方法論へと発展させました。イメージ、形式、手法を分析、検証し、真実とフィクション、視覚と建築空間との関係、「見る」と「見られる」との関係、物語の解釈を混乱させながら、独自の観点で捉えた表現を構築しています。 本作品は、映画『狙撃者』(英国、1971年)の一場面で使われた、イギリス北東部の地方都市ゲーツヘッドにある立体駐車場を舞台に制作された2画面の映像インスタレーションです。建設時構想されたが実現されなかったレストランを営業中と設定し、2人の若いウェイターと2人の老紳士の客が配されます。ある瞬間から役が入れ替わり、実体とセット、建築とその模型がアップテンポな音楽とともに交錯し始めます。役者のまなざしや仕草、カメラワーク、画面の切り替え、照明、音楽等、サスペンス映画の語彙を用いながら空想と現実の間を飛躍する様が軽やかに描かれています。スクリーンが前後に設置されるため、見る者は全てを把握することができないまま、錯綜する世界を彷徨います。
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コレクション展 見ることの冒険
2018年1月27日(土) - 2018年6月24日(日)
見ることは、多くの人にとって、当たり前の行為ですが、意識を持って見るということは案外に難しく、それゆえに色々なことを見過ごしてしまいがちです。 美術館という場所は、作品を「見ること」、「愛でること」、「考えること」に適した場所です。美術作品を鑑賞することが好きという方も、苦手という方も、この展覧会にご来場いただいた方に、「まずは作品をよく見ることから始めましょう」と言いたい。展覧会「見ることの冒険」はそこから始まります。 作品に、いつもより気持ちの上でもう一歩近づいてみる、いつもより10秒長く立ち止まってみる、見尽くしたと思っても、もう少し見てみる。そこから、見えていなかった細部に気づいたり、様々な想像をめぐらせる時間が生まれるかもしれません。そこで得られる様々な発見や驚き、感動は、冒険物語のそれと変わらないと思います。 どうか積極的に作品と向き合い、自分自身の冒険譚を紡いでください。 (本展キュレーター 山下樹里)
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ローカル・テキスタイル 1
TO&FRO うすく、かるく
2017年11月18日(土) - 2018年6月24日(日)
「ローカル・テキスタイル」シリーズの第一弾は「TO&FRO」を取り上げます。「TO&FRO」は、金沢市とかほく市の会社「カジグループ」によるトラベルギア(旅行用品)ブランド。ブランド名は「行ったり、来たり」という意味で、気軽な旅をイメージしたものです。 カジグループは、非常に細い糸を使用し、薄くて軽いナイロンの生地を生産しています。この生地は、世界中のアウトドア製品を展開するブランドやスポーツ製品に使用されていて、「TO&FRO」はこの生地を使ったオーガナイザーなどのプロダクトの自社ブランドです。当展覧会では、このオーガナイザーのほか、様々な布のサンプルを展示します。 石川県は、織物業とともに織機をつくる工業も発達させてきました。カジグループは、グループ内で一貫したテキスタイル開発や生産を行う事が可能であり、分業されがちな織物業で、細く切れやすい糸でも均一にテンションをかけられるなど高い技術力で、薄い生地を織ることを可能にしています。高機能化によって海外の安価な大量生産品に対抗することは、日本の繊維産業の未来を考える上で重要な指針を与えてくれるでしょう。
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泉太郎 突然の子供
2017年10月7日(土) - 2018年3月25日(日)
泉太郎(1976- )は、映像、パフォーマンス、ドローイング、絵画、彫刻といったあらゆるメディアを交錯させたインスタレーションを主な表現手法とし、国内外で精力的に作品を発表しているアーティストです。泉の作品の特徴として、日常の事物や時には大勢の人々を巻き込みながら、一見、無意味とも思える行為を映像に収めることで、日常に潜む不条理な体験を描き出す点が挙げられます。時間と空間、実像と虚像、表と裏、自由と不自由といった私たちが当然のように切り分けている常識を捏ねくり回し、思いがけない方向から問いを投げかけます。 本展では新作8点の発表と1点の本の作品に取り組みます。シアター空間と長期インスタレーションルームでは作家にとって初めてとなる長編映画作品とポスターやポップコーン屋台で構成された作品《B:「レンズは虎が通るのをはっきりと捉えていたのだ」》を、レクチャーホール周辺では、見る/見られることに着目した映像作品《D:「夜はくしゃみを我慢した瞬間から始まるの?だとしたらお兄さん、長いくしゃみをしていきませんか」》、言語と映像についての問いかけから生まれた《古い名前、先客》など、金沢での長期滞在中に徐々に制作された作品が館内各所に展示されています。一つの作品がまた次の作品へと影響し呼応していくその制作過程は、まるですべての作品が必然的に生まれてきたかのように一つの環となって立ち現れてきます。また、これら映像やインスタレーション作品と並行して、言葉を代替し、それを超えるような伝達方法について探る本の作品《暗いネズミ色の本》にも取り組みます。 長らく泉が探求し続け、決して解決することのない永遠に広がる問いかけである映像やイメージと身体や意識との捻れた関わりについて、これまでの取り組みを踏まえつつも、全く新しい方法で提示する極めて挑戦的な展覧会です。
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lab.2
Sight
2017年8月5日(土) - 2017年11月5日(日)
視覚経験を全く新しいものに変える感覚拡張デバイス「Sight」の開発に取り組むプロジェクト(和家尚希、鈴木良平、伏見遼平、宗像悠里)の活動を紹介します。イルカやコウモリが音を手掛かりに空間を移動し餌をとるように、目にする映像を音に変換することで視覚の世界を「聴く」デバイスの開発状況をプレゼンテーションしつつ、継続的なリサーチの場として開きます。 ※実験室や研究室を意味する「laboratory」の短縮形である「lab」を冠したこの展覧会シリーズでは、会場となるデザインギャラリーを単なる作品展示の場所として用いるのではなく、調査・研究・実験の場として開きつつ、そのプロセスをプレゼンテーションします。本年度は「知覚の拡張と補完」をテーマに「lab.1 OTON GLASS」(4/28〜7/23)を紹介。
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ヨーガン レール 文明の終わり Jurgen Lehl The End of Civilization
2017年8月5日(土) - 2017年11月5日(日)
自然とともに暮らし、その尊さを伝えてきたデザイナー、ヨーガン レール(1944-2014)が「最期の仕事」に選んだのは、深刻な環境の問題に向かい、海岸に打ち寄せられた廃品のプラスティックから美しい照明を作り出すことでした。決して自然に還ることのないプラスティックが、再び実用の場を与えられ輝き出します。 また、展覧会ではこれらの照明と共に、ヨーガン レールが、その唯一無二の美しさに魅了され、長い時間をかけて拾い集めた、ババグーリ/瑪瑙石を展示いたします。この対照的な展示には、2014年に急逝したヨーガン レールの、自然への敬意をもって生きることの強いメッセージが込められています。
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コレクション展2 死なない命
2017年7月22日(土) - 2018年1月8日(月)
人工知能や遺伝子工学の発達によって「生命の編集」「機械との共存」「不死」といった主題が注目されるよう になり、これまでの生命観や倫理観がいま問われています。今回の展覧会では、当館のコレクションから9 作家を選び、「命が死によって消え去る」という従来の生命観に対して「死なない命」のあり方について考え させる作品を紹介します。さらに4作家の生物を媒体とした1930年代から今日までのテーマに沿う表現を 加えることで「新たな生命を造形する意味」や「人工的な自然を生きることの可能性」など、当館所蔵作品の 意味を新たな角度から読み直し、生命の「いま」について考えます。
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アペルト07
川越ゆりえ 弱虫標本 Insect Specim en of a Coward
2017年5月27日(土) - 2017年9月24日(日)
川越ゆりえ(1987-)は「人の感情の蠢きを虫にしたら」と発想し、心の動きを仮想の虫の姿態に呼応させて、幻想的な世界を表現します。擬人化ならぬ擬虫化したモチーフは、さらに、昆虫標本に仕立てられ、人間 の滑稽さや愛すべき表情にも見えてきます。今回の個展では最新作を含め代表作《弱虫標本》(2013)などを展示、川越が愛おしいと語る様々な感情たちや弱虫たちの世界を紹介します。
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コレクション展1 PLAY / 粟津潔、マクリヒロゲル4 海と毛布ー粟津潔の 写真について
2017年4月29日(土) - 2017年7月23日(日)
PLAYは「遊ぶ」という意味だけでなく「演じる、演奏する、競技する、振る舞う、行動する」といったように、私たちの日常に起きている能動的で積極的な行為を表すことばです。そのように考えてみると、私たちの毎日はPLAYの連続で、それは個人の人生を、広くは人類の文化を構築しているとも言えるのかもしれません。 本展では、これら多義的な意味を持つPLAYをキーワードに12名のコレクション作家による作品を紹介します。鑑賞者の体験をとおして新しい発見や発想を促すものから、アーティストの日常の行為や思考の集積、演技や競技を作品に取り込むものまで多様な拡がりを認めることができます。本展をとおして、人類に備わる本質的な機能であるPLAYが、作品にどのように立ち現れてくるのか、あるいは、鑑賞者と作品とがどのような関係性を結ぶことができるのか考えてみたいと思います。そして、展覧会そのものが、鑑賞者の皆様に様々なPLAYを促すきっかけとなることを期待しています。 粟津潔、マクリヒロゲル4 海と毛布ー粟津潔の 写真について 金沢21世紀美術館は、約3000点の粟津潔の作品・資料をコレクションしています。「粟津潔、マクリヒロゲル」は2014年より開催している小特集シリーズで、粟津のコレクションを毎回異なる切り口で紹介しています。4回めにあたる今回は、粟津潔が撮影した写真作品についての調査を軸に展示を行います。
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lab.1
OTON GLASS
2017年4月8日(土) - 2017年7月23日(日)
父親の失読症をきっかけに開発が進められている〈OTON GLASS〉。視覚的な文字情報を音声に変換することで「読む」行為をサポートする眼鏡型のデバイスです。ディスレクシア(難読症、読字障がい)の補助をはじめ、外国の街を歩く際など、文字を読むことが困難なさまざまなシーンでの「読む」能力の拡張を目指す〈OTON GLASS〉の取り組みを紹介します。さらに会場内には〈OTON GLASS〉のプロトタイプを装着し、実際にその機能を体験できるスペースを設け、開発者による実用化に向けた研究のプロセスを可視化します。既存のテクノロジーを組み合わせつつ、革新的なデバイスの開発に取り組むスタートアップの「現場」にぜひ立ち会ってください。
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アペルト06
武田雄介
2017年1月21日(土) - 2017年5月7日(日)
武田雄介(1985年、広島生まれ)は金沢美術工芸大学で油絵を専攻し、2014年に同大学院博士後期課程を修了、現在も金沢を拠点に制作を続け、絵画、写真、映像、音といった様々な素材を組み合わせたインスタレーションを発表してきた。武田は昨年10月より当館のプロジェクト工房をスタジオとして日々制作を進めており、本展ではこうした当館での滞在制作活動から生み出される最新の作品群を紹介する。絵画、映像、ドローイング、塑像など多様なメディアはそれぞれ独立した作品として展示空間に配置されるが、一方でそれらは「イメージの奥行き/イメージの湿度」を通奏低音としつつ、層状に重なり合い、切断され、ずれ、変容し続け、不定のもの、あるいは未分明のものとして私たちの眼前にとどまる。こうした作品とその相関は「可視と不可視」「現実と虚構」といったイメージが包含する座標軸を浮動させ、私たちの知覚に揺さぶりをかけるだろう。
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工芸とデザインの境目
2016年10月8日(土) - 2017年3月20日(月)
「工芸」か「デザイン」かー。 工芸とデザインはものづくりという点では同じであるが、両者は異なるジャンルとして区別される。しかしながら、それらをつぶさに観察するまでもなく、両者の間には「デザイン的工芸」また「工芸的デザイン」とも呼べる作品あるいは製品があるように思われる。 本展覧会では、「プロセスと素材」「手と機械」「かたち」「さび(経年変化)」といった観点から工芸とデザインを見つめ直すことによって、それらの曖昧模糊とした境目を浮き彫りにする。それと同時に、最先端技術の発達などによって多様化が進む両者の新たな地平を考察する。
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カタチのたたずまい
2016年10月8日(土) - 2017年3月20日(月)
展覧会「工芸とデザインの境目」の開催に合わせて、技術や素材に重きをおきながら金沢およびその近郊で制作活動をおこなう若手工芸作家4名に焦点をあてた展覧会を開催いたします。「用の美」(あるいは「用と美」)を追求することから生まれ、いわゆる工芸でありながらデザイン的な傾向を示す、洗練された形態(カタチ)を特徴とする作品を展示いたします。 これからの石川の工芸を担う若き作家たちの作品をとおして、工芸における新たな可能性を探ります。
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アペルト05
樫木知子 ~Daydream~
2016年9月17日(土) - 2017年1月9日(月)
京都をおもな活動の舞台とする画家、樫木知子(1982年、京都生まれ)。樫木は繊細かつ流麗な描線と透明感のある穏やかな色彩によって、白昼夢のような幻想的な世界を画面に紡ぎ出します。人物をはじめ、多様なモティーフを多層的に描き重ねる樫木独自の描法は、臨場感のある不可思議な絵画空間を現出させ、その異次元世界に観る者を誘い込みます。 本展では京都市立芸術大学大学院在籍中に制作した《タイルの部屋》(2010年)や、本展のために新たに制作した3点の作品など、全7点を展覧します。
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コレクション展2
ダイアリー / 粟津潔と建築
2016年9月10日(土) - 2016年11月27日(日)
ダイアリー ダイアリーとはラテン語の「一日」を指す「diēs」を語源とした、個人的な日記や日誌を意味することばです。書かれた、あるいは描かれたダイアリーには日々の記録が時間の積層として現れ、そこからは記憶、身体、痕跡、日常、反復といった要素を読み取ることができます。さらに個人が自らのために記したダイアリーは、パブリックに開かれることで「歴史」の一部ともなり得ます。 本展はこうした多様な拡がりを持つ「ダイアリー」というキーワードを手がかりとして、8名のアーティストによる作品を紹介します。過去の行為や出来事の記憶がかたちを伴って作品として現れるとき、私たちはそこにどのような「ダイアリー」を発見できるのでしょうか。 粟津潔、マクリヒロゲル 3 粟津潔と建築 金沢21世紀美術館は、約3000件の粟津潔の作品・資料をコレクションしています。「粟津潔、マクリヒロゲル」は、2014年より開催している小特集展示のシリーズで、粟津のコレクションを毎回異なる切り口で紹介しています。 3回目にあたる本展は、「建築」がテーマです。粟津は、1960年代の前衛的な建築運動「メタボリズム」に参加したことを契機に、多くの建築家と協働しながら空間的、環境的デザインを展開し、さらに、印刷メディアを通じて建築運動にも寄与しました。大衆に開くことを目指したモダニズムのデザインに、日本の伝統を再解釈して繋げた点に、粟津の独自性があります。本展では3つのセクション「メタボリズムと万博」「建築家との協働」「建築雑誌のデザイン」に分け、粟津のデザインが同時代の建築運動と共鳴し、それを豊かに増幅させた軌跡を紹介します。
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公演「わかったさんのクッキー」関連プログラム
ちがったさんのラッキー
2016年8月11日(木) - 2016年9月4日(日)
展覧会「ちがったさんのラッキー」では、金氏徹平さん(アーティスト)が集めた素材の中から選んだ物を身につけながら、いつもとちょっとちがう自分になることができます。 岡田利規さん( 演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)は「いろんな物をいつもとちがう使い方をして撮った写真」を見て、お話をつくり、展示します。写真の登場人物は「ちがったーズ」という本展のコミュニケーターです。素材選びや組み合わせ、そしてできあがった姿かたちにまつわるお話づくりなどを会場で皆さんとご一緒します。 物や人とふれあいながら、いつもとちがった発見ができたあなたは、とってもラッキー!?
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no new folk studio「Orphe」
2016年5月21日(土) - 2016年9月25日(日)
履き手が動くと楽器のように音を奏で、さまざまな光と色を放つ新感覚シューズOrphe(オルフェ)。ユーザーの動きに反応して奏でられる音と光の軌跡は、身体の動作によって生み出されます。no new folk studioは菊川裕也が2014年に立ち上げたスタートアップ事業です。音楽を生業にしたいと楽器を作りはじめ、音楽系ハッカソンで靴の形をした楽器Orpheのプロトタイプを開発しました。その後もエンジニアやデザイナーらとの恊働によりその精度を高め、いよいよ本格的な販売が始まります。靴や楽器といった固有の何かではなく、あらゆる境界やジャンルを乗り越えるOrpheは、ユーザーの使い方次第で無限の可能性を秘めています。 本展では、Orpheを履いたダンサーが真夜中の美術館を縦横無尽に駆け巡る映像作品《Motion-Score》をご紹介します。ダンサーの動き(Motion)が音と光に変換され奏でられることから、動きがまるで楽譜(Score)のようです。3面スクリーンでは3つのテーマに基づき映像が展開されます。美術館内を自由に歩き廻る「回遊」、Orpheをまるで楽器のように操る「協奏」、そしてOrpheの音と光が建物と呼応し合う「反響」。次世代クリエイター集団が作り出す音楽インターフェースOrpheをご堪能ください。
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コレクション展1
Nous ぬう
2016年5月21日(土) - 2016年9月25日(日)
「Nous」とはフランス語で「わたしたち」を意味する言葉です。「わたしたち」は女性たちであり、また男性たちでもあります。ものを作り出すこと、思いを形にすることに女性と男性の区別はありません。ただ、その手法としての「手芸」を取り上げてみれば、この言葉はおもに女性の創作活動として認知されてきたという歴史があり、暮らしのなかで何かを表現したいと感じた女性たちの多くは、絵筆よりも身近にある、針と糸を思わず手にしてきました。 ひたすらに針をすすめる時間の恍惚感、家族のために縫うことの幸福感と疎外感、自分のために縫うかけがえのない時間、縫うことには多くの思いが込められています。また、縫うことによって生まれる衣服は、着る人そのものを伝えるものでもあります。日常の延長で生み出される作品に、名付けようのない些末で複雑な感情が表現されています。鑑賞者である「わたしたち」のこれまで意識しなかった感情も、これらの作品を通すことによって浮かび上がってくるのではないでしょうか。5名のコレクション作家と、4名のゲスト作家をあわせ、9名の女性作家の作品を展示し、手芸とアート、そしてジェンダーについて考えていきます。
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アペルト04
Nerhol Promenade / プロムナード
2016年5月21日(土) - 2016年8月28日(日)
紙、印刷物の彫刻作品に取り組んできた彫刻家 飯田竜太、グラフィックデザイナーとして平面/視覚情報と向き合ってきた田中義久、その二人の邂逅から生まれたアーティスト・デュオがNerholです。物質とイメージといった別の角度から、互いに「紙」という日々大量に消費される流通物と向き合ってきた二人の協業は、大量の像を刻んだ紙の彫刻作品を生み出し、独特の立体感を持つヴィヴィッドな姿とともに見るものに鮮烈な印象を与えてきました。 Nerholは本展覧会にて、街路樹を少しずつ輪切りにししながら撮影された一枚一枚の写真を、大きく引き伸ばして束にし、刻み込んで制作された新シリーズ「multiple – roadside tree」や鏡面紙を用いた新作を発表します。美術館全体を遊歩の場としてとらえ「プロムナード」と名付けられた本展では、見る角度や距離によって多様な表情を見せる新作を通して、回遊することから現れてくる作品との関係について問いかけていきます。 山峰潤也(金沢21世紀美術館 アシスタント・キュレーター)
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SUPERFLEX One Year Project ― THE LIQUID STATE / 液相
2016年4月29日(金) - 2017年3月12日(日)
SUPERFLEXは、コペンハーゲン(デンマーク)を拠点に活動するヤコブ・フィンガー、ラスムス・ニールセン、ビョルンスティエルネ・クリスチャンセンの3人によるアーティスト・ユニットです。現代社会における既存の制度や枠組みに言及しつつ、コミュニティに対して働きかけ、新しい公共空間の創出を提案しています。 今回は、金沢21世紀美術館の建物を微生物を培養する「シャーレ」に見立て、コミュニティとの関係を「培養」「発酵」「醸成」の3つのキーワードで読み解く、約1年間にわたるプロジェクトに取り組みます。
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西京人—西京は西京ではない、ゆえに西京は西京である。
2016年4月29日(金) - 2016年8月28日(日)
2007年に小沢剛(1965年生まれ、埼玉県在住)、チェン・シャオション(1962年生まれ、北京在住)、ギムホンソック(1964年生まれ、ソウル在住)の3人のアーティストが、西京から来た人を意味する「西京人」という名でコラボレーションチームを結成。北京でも東京でもソウルでもないアジアのどこかの国、「芸術を愛する人々が住む国」について物語るというプロジェクトをスタートさせました。西京は、現実からかけ離れた創造上の出来事というだけでなく、我々が生きる現代という時代を照射した語として読むことが出来ます。今回はこれまでの作品の中から、《第3章:ようこそ西京に—西京オリンピック / 西京冬季オリンピック》 《第4章:アイラブ西京—西京国大統領の日常》 《第4 章:アイラブ西京—西京国の学校》と、最新作となる《第5章:西京は西京ではない》などを発表します。また、同世代で同時代を生きる3人が、独立したひとりのアーティストとして発表してきた近作の中から、歴史への対峙や哲学的考察を含むインスタレーション、映像、絵画、パフォーマンスなどの作品も紹介します。
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アペルト03
坂野充学 可視化する呼吸
2016年1月30日(土) - 2016年5月8日(日)
本展では、坂野充学が2012年に制作した5面のスクリーンによる映像インスタレーション《Visible Breath》を展示する。坂野は、1977年石川県鶴来町(現白山市)に生まれ、同地で育ち、現在は東京と石川を拠点に活動する映像作家である。坂野は東ロンドン大学で美術と映像制作を学び、帰国後、映像による作品を制作してきたが、近年、地元鶴来の祭りなどの伝統に関心を持つようになった。その調査を受けて生まれたのが本作品である。「鶴来」が「剣」と同音であり、鉄の生産を通じて古代から出雲や大陸との交流があったことをモチーフに制作された。鶴来の伝説に坂野の解釈をちりばめたフィクショナルな内容で、文化の交流をめぐって、見る人の様々な想像力を喚起する。 鷲田めるろ(金沢21世紀美術館 キュレーター)
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コレクション展2 歴史、再生、そして未来
2015年11月28日(土) - 2016年5月8日(日)
本年度のコレクション展Ⅰは、私たちにとっての「いま」を問いかける機会としました。それに続くコレクション展Ⅱは、近年新たに収集された作品の紹介とともに、既存のコレクションを再解釈することによって私たちの「未来」を考察する展覧会です。様々な国において、また国内の諸地域においても社会的な価値観が短期間で変化してゆく21世紀のなかで、現代美術はどのような可能性を持つのでしょうか。「歴史」や「再生」というテーマのもと、これからの私たちがたどる道程を皆さんと共に想像する機会となれば幸いです。 また昨年に続き、「粟津潔、マクリヒロゲル2」も同時開催します。今年度のタイトルは「グラフィックからヴィジュアルヘ:粟津潔の視覚伝達論」。1955年の第5回日本宣伝美術(日宣美)展にて《海を返せ》で日宣美受賞以降の日宣美展の出品作品ほか、1960年代の粟津潔のグラフィック及び表現を紹介します。
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廣村正彰「金沢でJunglin'」おぼろげ
2015年11月21日(土) - 2016年5月8日(日)
デザインという言葉に含まれる「美」と「思考」が様々な問題解決の糸口を与えてくれます。それはデザインのすべきことをさらに拡張していき、デザイン自体のフィールドを大きく広げているのです。周辺から本質を見ると未来が見えてくる−デザイナー廣村正彰がデザインワークの思考プロセスで金沢の風景を読み解き、金沢21世紀美術館デザインギャラリー空間で新作を展開します。 2010年より始まった、デザイナー廣村正彰による映像インスタレーションのプロジェクト「Junglin’ジュングリン」。本展では新作「おぼろげ」を展示します。「知っている」と思っていた風景は、視点の少しの変化で簡単におぼろげなイメージになってしまいます。しかし、そのおぼろげな風景は、絵葉書の写真のような記号的なイメージからは遠く離れ、その場所の原始的な姿を見せてくれます。私たちが普段どのように風景を見ているのか、また見落としているのか、本作品を通して体験してください。
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ザ・コンテンポラリー3
Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊
2015年9月19日(土) - 2016年3月21日(月)
情報に生命は宿るかーバイオテクノロジーとアートの融合 新しい技術が普及した近未来の問題を題材にした作品で国際的な議論を巻き起こしてきたアーティストユニットBCLが、現在の日本のポップカルチャーの代表格としてインターネット上で世界的な人気を誇る歌声合成ソフト「初音ミク」に遺伝子と細胞を与え、生命/非生命の境界、そして二次創作や芸能/芸術のはざまで育まれる現代日本の特異な想像力の可能性を探究します。
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アペルト02
樫尾聡美 生命の内側にひそむもの
2015年9月19日(土) - 2016年1月17日(日)
本展「樫尾聡美 生命の内側にひそむもの」は、今まさに興りつつある新しい動向に目を向けて、新進気鋭の若手作家を個展形式で紹介するシリーズ「アペルト」の第2回目です。 樫尾聡美は、加賀友禅をはじめとする染色の伝統をふまえながら、刷毛による色挿しやシルクスクリーン等の技法による、繊細で精密な表現をおこなっています。飛行機や電車など日常的なモチーフを取り入れた、幾何学的な装飾を特徴とする作品のイメージは、生命の細胞をも連想させ、布を多層に重ね合わせた立体的なフォルムは、有機的で生命力溢れる姿で現れています。 本展では、樫尾が2014年より展開している展示空間に合わせた天井吊りの作品を紹介します。 内呂博之(金沢21世紀美術館 コンサベーター/キュレーター)
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コレクション展1 あなたが物語と出会う場所
2015年5月26日(火) - 2015年11月15日(日)
今回の「コレクション展1」のテーマは、「あなたが物語と出会う場所」。古くから人は様々な物語を作り出してきました。自然物や身の周りの道具、また人の生活や一生といった身近な存在、宗教、また宇宙や歴史といった我々を創りだした大きな時間や空間からもたくさんの物語が生まれています。美術もそれに寄り添い、たくさんの物語を作品として表現してきました。 この展覧会では、金沢21世紀美術館のコレクションを中心に13点の作品を紹介します。何かの物語が込められている作品が展示されている一方で、見る側が展示された作品やそれの置かれた空間から自分だけの物語を紡ぎだす場合もあります。自分の作る物語はそこにある作品に向き合うことで変化し、これまで自分ですら気づかなかった新たな思考へと繋がっていくことでしょう。 島々のように点在する七つの展示室(恒久展示 カプーア作 “L’Origine du monde”を含む)を巡りながら、作品と出会うことによって、自分のこころの中にどんな物語が生まれるのでしょうか。
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ARCHITECTURE FOR DOGS 犬のための建築
2014年12月6日(土) - 2015年5月10日(日)
「犬のための建築」は、デザイナー・原研哉氏のディレクションのもと、犬の尺度で建築を捉えなおすことで 新たな建築の可能性を模索する、犬と人間の幸福のための真摯な建築プロジェクトです。 2012年11月に公式サイトがオープンし、世界をリードする建築家・デザイナー13組がデザインした「犬のための建築」13作品が、フリーダウンロードできる設計図と共に公開されました。公式サイトでは、設計図をもとに自作した「犬のための建築」の写真を投稿することができ、インタラクティブな交流の場にもなっています。また2012年12月にマイアミの「Design Miami/」にて最初の展覧会が開催された後、ロサンゼルスのロングビーチ・ミュージアム、TOTOギャラリー・間、四川省のZHIアート・ミュージアムに巡回した後、今年2014年に金沢21世紀美術館でも展覧会を開催する運びとなりました。本展では、「犬のための建築」28件31点が、長期インスタレーションルーム、デザインギャラリーと交流ゾーンにかけて一堂に展示されま す。柴犬・スピッツ・パグといった具体的な犬種を特定してデザインされ、それぞれの建築家・デザイナーの個性もにじみ出ている作品の数々をじっくりとご堪能いただけます。 デザインギャラリーでは、「人間と犬のスケールを調整する装置」というコンセプトはそのままに、10数種の形態バリエーションに展開した原研哉氏による《D-TUNNELのボレロ的展開》が、実寸大もしくは縮尺模型として公開されます。また、東京展で投稿された一般の方からのアイディアの中から選ばれた《すきま椅子》は日本初公開となります。 「犬」を通して「建築」の領域を広げてくれる本展覧会、どうぞご期待ください。 企画・ディレクション:原研哉 共同企画:Imprint Venture Lab 参加作家:アトリエ・ワン、伊東豊雄、MVRDV、隈研吾、コンスタンチン・グルチッチ、妹島和世、トラフ建築設計事務所、内藤廣、坂茂、藤本壮介、ライザー+ウメモト、原デザイン研究所、原研哉
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ジャパン・アーキテクツ
3.11以後の建築
2014年11月1日(土) - 2015年5月10日(日)
2011年3月11日に起きた東日本大震災は、建築家と建築界に大きな意識の変化をもたらしました。津波の圧倒的な破壊力に、建築物を強化するだけでは解決できない問題を突きつけられると同時に、人と人との繋がり、地域と人の関係といったソフト面からのアプローチがいかに大事かを考えさせられたのです。さらに未曾有の惨事となった原発事故はエネルギー問題に対しての意識と危機感を急激に高め、環境やエネルギーとの関係に配慮した設計が、今までに増して切実に求められるようになりました。さらにマクロに見ると、少子高齢化に向かい、住宅や公共施設がだぶつくと言われるこれからの日本において、建築家がどのような役割を果たし、どのような未来を描こうとするのか、批判と期待の両方をもって問われるでしょう。こうした社会の変化に自分なりの考え方や手法で向き合う25組の建築家の取り組みを紹介します。
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ジャパン・アーキテクツ
ジャパン・アーキテクツ 1945-2010
2014年11月1日(土) - 2015年3月15日(日)
「ジャパン・アーキテクツ1945–2010」はポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館副館長のフレデリック・ミゲルー氏を監修・キュレーターにお迎えして、戦後日本において大きな役割を果たしてきた日本の建築家たちによる150を超えるプロジェクトを考察し、戦後日本建築史を紹介する展覧会です。戦後に焦土化した国土を復興し始めた1945年から2010年までの65年間を、ミゲルー氏は6つのセクションに分け、各セクションのコンセプトに対応するカラー・コードを用いて、戦後日本建築を独自の視点で刺激的に読み解いています。本展は、日本建築の資料を多数所蔵するパリ・ポンピドゥー・センターからの出品を含め、建築家たちの思考の過程を示す貴重なオリジナル作品約300点によって、日本における建築家たちの業績を展観します。
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鈴木康広「見立て」の実験室
2014年9月13日(土) - 2014年11月24日(月)
「鈴木の見立て+みんなの見立て=見立ての実験室」 日常生活で「これは何かと似ている」と思うことがあります。このように、あるものを別のものとして表す技法を「見立て」といいます。鈴木康広は船の航跡をファスナーに、剣玉の赤い玉をリンゴに見立てるなど、見慣れたものや現象を独自の視点で捉え、世界の見方を広げる作品を発表しています。 今秋、金沢21 世紀美術館は美術館や金沢のまちを見つめ直す機会として、見立てをテーマとするプロジェクト展示を鈴木「室長」、そしてプロジェクト・メンバーである「研究員」とともに実施します。 鈴木康広の「ものの見方や捉え方」を体感しませんか? きっとあなたの「ものの見え方」にも変化がうまれることでしょう。
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アペルト1
金光男 White light White heat
2014年9月13日(土) - 2014年11月24日(月)
本展「金光男(KIM Mitsuo) White light White heat」は、今まさに興りつつある新しい動向に目を向けて、新進気鋭の若手作家を個展形式で紹介する新しいシリーズ「アペルト」の第1回目です。 金光男はシルク・スクリーンの技法を使って、イメージの反復と、反復にたぐりよせられたイメージ間の関係性を模索しています。板にパラフィン・ワックスを薄く敷き、その上にシルク・スクリーンで画像を転写しただけでなく、その表面に熱を加え、パラフィン・ワックスが溶融してイメージが崩壊する寸前で固められた作品群。イメージが完全に崩れ、パラフィン・ワックスと共に溶け出したインクの部分は無地に戻り、虚無な空間として残されています。平面でありながら、ワックスの盛り上がりによってかき乱された表面は、そのまま金自身の身体行為の痕跡でもあるのです。フェンスや梯子の、崩れてはっきりとしない輪郭によって、曖昧な境界の向こう側に、もうひとつの光の世界が感じられます。素材と技法の特徴を生かしながら、相対する現象が同じ世界にあることを暗示させ、本来のあるべき姿から本質を失っている状態を可視化しようとしています。 立松由美子(金沢21世紀美術館 コンサベーター/キュレーター)
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粟津潔、マクリヒロゲル 1
美術が野を走る:粟津潔とパフォーマンス
2014年9月13日(土) - 2014年10月13日(月)
風景と物の因果律、偶然的な出合い。チャンスオペレーション。そうした部分を人間は見ているのだと思う。 粟津潔「美術が野を走る」(『造形思考ノート』p.112より) 粟津潔(1929-2009)は第二次世界大戦後、荒野と化した東京で映画と美術雑誌を教科書に、山手線車中や路傍の人々を写生し独学で絵を学びました。ポスター《海を返せ》で1955年日本宣伝美術会賞受賞を経て、デザイン、印刷技術によるイメージの複製と量産自体を表現として拡張、「私はすべての表現の分野に、その表現の境界を取り除くだけではなく、階級・分類・格差・芸術に現れた上昇と下降も、取り除いてしまいたいと決断する」 と述べ、様々なジャンルを横断、実験的な表現に挑み続けました。粟津の作品は、ポスターやブックワーク、建築に表れ、町に拡がって行きました。1960年には「メタボリズム」に、大阪万博では、EXPOランド、日本館構想計画にも参加しています。私たちにもなじみ深い高速道路の標識のフォントデザインも粟津によるものです。 当館は、粟津デザイン室のご厚意により2006年から受贈を開始し、約2786件所蔵。2007年に開催の「荒野のグラフィズム」展では1750件が紹介されましたが、未発表作品や制作過程、実験的行為の手がかりとなる資料、メモなどが多数あり、現在も調査研究を続行中です。 今年からシリーズ「マクリヒロゲル」と題し、多角的な切り口で未発表作品を含め粟津の世界を紹介します。第一弾となる本展では、アーティストの浜田剛爾の主宰による<Performance>にて1977から79年に粟津が実践したパフォーマンスに着目。浜田は、後に、「アートは、社会的流儀や世界的大義に対して、超越・隔絶した存在であることが、アートが唯一誇っていいことだと思うんです。そのことが否定されたときには、戦う気持ちがあります。僕にとっては、そのこと全体がパフォーマンスと同義だからです」*と語ります。本展はこの視座に立ち、既存のヒエラルキーを解体していった粟津潔の開拓精神を、今日様々な領域で活躍する表現者たちとともに、実践していきます。 金沢21世紀美術館キュレーター 北出智恵子 *「Interview:08 浜田剛爾:偶然を取り込み、形のないものの力を信じて」 北川フラム『アートの地殻変動』、美術出版社、2013年、p.116
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コレクション展 II 感光と定着
2014年9月13日(土) - 2014年10月13日(月)
2014年度、「透過と反射」に続くコレクション展のテーマは「感光と定着」です。この2つの言葉は光をとらえ、像をつくるまでのプロセス、つまり「写真」を指しています。 写真は絵画や彫刻に比べると新しい表現領域です。「今、ここ」を留めおきたいという強い願望は、光の作用によって化学的な変化を引き起こす方法を、さらにはその変化を像として定着させる方法を編み出しました。1826年にニエプスが最初の写真画像をつくりだすことに成功し、続く30年代にはダゲールとタルボットがそれぞれ別の方法で、写真の実用化に道を開いて以来、現在まで約180年にわたって絶え間ない進化を遂げてきた写真。化学や工業といった技術的な発展と、あるいは社会情勢や美術の動向と深く結びつき、独特の歴史をつくってきました。 当館では「1980年以降に制作された新しい価値観を提案する作品」を、作品収集の大きな柱としていますが、この「1980年以降」は特に写真にとって極めて大きな変化が訪れた時代なのです。デジタル技術の進化は暗室作業に代わる新たな画像加工の方法を容易にし、フィルムからデジタルへの移行はカメラそのもののメカニズムに大幅な変更を加えました。 もちろん大きな変化が初めてというわけではありません。180年余の歴史の中で写真は幾度と無く革新の時期を迎えました。例えば1920年代から30年代にかけて、コンパクトカメラの開発やフィルムの改良、そして印刷技術との連携などを通して、写真に革新的な状況がもたらされましたが、「1980年以降」はそれを超えるような変革でした。こうした過渡期に、はたして写真家やアーティストは、光をどのように扱い、そして定着させてきたのでしょうか、あるいは写真をどう捉え、写真を用いてどのような表現をつくりだしてきたのでしょうか。今一度、彼らの取り組みに注目し、当館のコレクションから選んだ写真作品を展観します。
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橋本雅也 間(あわい)なるもの
2014年5月24日(土) - 2014年8月31日(日)
「橋本雅也 間(あわい)なるもの」では代表的なふたつのシリーズを紹介する。 ひとつは花のシリーズである。鹿の骨と角から生まれた彫刻で、誕生は一頭の鹿の死から始まる。橋本は猟師に同行し、冬山で一頭の鹿の死に立ち会う。鹿は、骨、肉、皮となって、橋本の元に残った。白い花を彫り、スイセン、さくらなどの作品となった。2010年の作である。 もうひとつは橋本自身が断髪した髪をモチーフにして制作した髪飾りの作品である。自身の存在論的問いかけが髪を仲介して作品となった。大きくても15,6センチほどのサイズで、水牛の角と漆で出来ている黒くつややかな作品である。2009年の制作である。
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好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム フードクリエイション+東京大学総合研究博物館
2014年4月26日(土) - 2015年3月31日(火)
※「好奇心をあじわう小部屋」、「好奇心の祝宴」は10月13日で終了いたしました。 今年金沢21世紀美術館は開館10周年を迎えました。「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」は、みなさんとともにこれを祝う「祝宴」の場をつくりあげるプログラムです。その中心となるのは、あらたな「食」の価値を提案する諏訪綾子が主宰するフードクリエイションと、<驚異の部屋>をつくりだす東京大学総合研究博物館。博物館の原点でもある「好奇心」に立ちかえりながら、「あじわい」をテーマに据えた、ユニークなプログラム「好奇心をあじわう小部屋」と「好奇心の祝宴」を開催。あじわいのプログラムは街中へと広がっていきます。
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中村好文 小屋においでよ!
2014年4月26日(土) - 2014年8月31日(日)
建築家・中村好文は、長年にわたってクライアントの暮らしに寄り添った普段着のように居心地のいい住宅をつくってきました。この展覧会は、中村が子供のころから心奪われ、同時に「住宅の原型」として位置づけてきた小屋に関する考察と展示を通じて「住宅とはなにか?」を問い直す企画です。会場は「長期インスタレーションルーム」と「光庭」ですが、光庭には、エネルギー自給自足を目指すひとり暮らし用の小屋「Hanem Hut」を原寸サイズで展示いたします。 3.11以降、エネルギー問題や環境汚染の問題は、ますます避けて通ることのできない重要なテーマとなってきています。この小屋の展覧会が、そうした問題解決への糸口となり、提案となることを願ってやみません。
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コレクション展 I 透過と反射
2014年4月12日(土) - 2014年9月21日(日)
開館10周年を記念し、これまでに収集してきたコレクションの中から初公開や久々の展示となる作品を中心に、コミッションワークや金沢ゆかりの作家の作品を含め、当館の収蔵作品21点を展観します。 「コレクション展Ⅰ 透過と反射」では、光を透過し、あるいは反射する素材が用いられた立体作品をはじめ、自己の反射としての自画像やレンズを通すことで像を得る写真など、さまざまな表現から浮かび上がってくる「透過と反射」がテーマとなっています。 古来より人間は、透明な物質や磨き上げられた表面に強い関心を示してきました。美術でもまた作品が窓や鏡にたとえられてきたように「透過と反射」は繰り返し登場してきた概念です。透明性の高い素材や鏡面の技法が生み出す効果は、私たちに大きな驚きと直感的な愉しみを与え、さらにそれぞれの作品に眼を凝らすことで透けて見えてくるもの、映し出されるものは私たちの視覚のチャンネルを変え、新しい思考を誘発します。 本展を見終わってもう一度美術館を散策したとき、美術館を覆う円形のガラス壁や、ここそこにある大きな透明の扉にはどんな姿が映し出され、その向こうにはどんな光景が広がっているでしょうか。
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フィロソフィカル・ファッション 3: ミントデザインズ ‒ happy people
2013年12月7日(土) - 2014年5月18日(日)
目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案するクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。その第三弾として「mintdesigns(ミントデザインズ)」を取り上げます。 勝井北斗と八木奈央によるファッション・ブランド「ミントデザインズ」は、独自に開発するテキスタイルのユニークさを生かした衣服のデザインが注目されてきました。一方で、食器や家具、和菓子など、異業種とのコラボレーションにも積極的に取り組み、そのデザイン領域を拡大し続けています。衣服にとどまらず、日常生活の時間を豊かにするためのプロダクトデザインを目指す彼らの活動は、「流行」と同義ではない「ファッション」の可能性を提案しています。 本展は、「happy people」をテーマに、ミントデザインズの衣服を日常へ浸透させる実験です。東京と金沢で暮らす人々が、それぞれの日常空間のなかでミントデザインズに出会う、その瞬間を展示します。 金沢21世紀美術館キュレーター 平林恵
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ボーダーライン コレクション展 II
2013年9月28日(土) - 2014年3月16日(日)
私たちは様々な場面で内部と外部を区別しています。内部は、言語、身体的特徴、記憶など共通のルールにもとづいて形成され、外部との間にはしばしば摩擦や軋轢が生じます。しかし、内部と外部はその境界において交渉しながら新しいルールを見つけ出し、境界は絶えず更新されています。つまり、境界は内部を広げる可能性を秘めた領域でもあるといえるのではないでしょうか。今年度のコレクション展は、このような視点に立って、境界を「分断するもの」から「繋がり、広げるもの」として捉え直す試みです。 「ボーダーライン コレクション展 I 」では、私たちにとって一番身近な身体を基本に据え、内と外の関係を考察しました。「ボーダーライン コレクション展 II 」ではそれを社会的な境界へと広げ、当館コレクションを展観します。 進化の過程で巨大な大脳を持つようになった人類は、意識という内部を獲得しました。私たちの社会には、自己と他者、国境、民族、ジェンダーなど様々な境界が存在しますが、そのほとんどは実際に線が引かれているわけではなく、人間が意識の中で引いた線であり、それが制度化されたものです。本展では、8作家の表現を通して、人間の意識が作り出した境界に時に立ち向かい、時に横断しながら、境界を介して外部と接することで自己という内部の領域を拡張していこうとする人間の可能性を探ります。 米田晴子(金沢21世紀美術館キュレーター)
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フィオナ・タン|エリプシス
2013年8月3日(土) - 2013年11月10日(日)
フィオナ・タンは1966年、インドネシア・ブカンバル(スマトラ島)生まれ、現在アムステルダム在住の映像作家です。中国系の父とオーストラリア人の母を持ち、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住んだという経歴から、多様な文化圏を往来しながら、その複雑さや多層性を自らの内に認める作家でもあります。インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム《May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)》(1997)は、彼女の文化的多元性を象徴するものとして注目を集めました。 フィオナ・タンの映像表現は、イメージを断片にして再び構成し直すことで、本質や事実にどうしても届かないもどかしさや曖昧さを創出しています。写真やヴィデオに映ったひとつのイメージは揺るぎないのに、事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語が、見る者にさまざまな憶測を要求してくるのです。展覧会「フィオナ・タン|エリプシス」では、初期を代表する《Linnaeus’ Flower Clock(リンネの花時計)》(1998)(金沢21世紀美術館蔵)から近作《Rise and Fall(ライズ・アンド・フォール)》(2009)、《Seven(セブン)》(2011)まで、映像、写真、インスタレーション作品を紹介し、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものです。
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フィロソフィカル・ファッション 2: ANREALAGE “A COLOR UN COLOR”
2013年7月12日(金) - 2013年11月24日(日)
目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案するクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。第二弾では、身体や衣服への独自の考察から生まれるコンセプチュアルなデザインと、細部まで徹底的にこだわったものづくりで注目されるファッション・ブラン「ANREALAGE(アンリアレイジ)」を紹介します。 日常(A REAL)、非日常(UNREAL)、時代(AGE)をコンセプトとするANREALAGEのデザイナー、森永邦彦は、私たちが普段気に留めることのない「日常」を解析し、「非日常」を抽出、フォーカスする手法で衣服をつくり出します。 5000個ものボタンを縫い付けたスーツや数百枚の布地をパッチワークで仕立てたジャケットで見せた驚異的な手仕事と膨大な時間。球体や三角錐、立方体、さらにはプロポーションを極端に変えたボディに合わせて衣服をつくるという、極めてコンセプチュアルな「かたち」へのアプローチ。レーザーカットによる繊細なカットワークや太陽光によって色が変化する素材など最先端技術を取り入れる実験精神。時代を捉えつつファッションの本質を問う森永のものづくりは、常に驚きをもって迎えられてきました。しかし、その探求と実験は、森永の「作品」として完結するものではなく、あくまでもANREALAGEの「商品」としてリアルクローズに還元されることで、消費者を巻き込み、時代に社会に浸透していくのです。 今回、森永が掲げたテーマは “A COLOR UN COLOR”。ファッションのなかで移ろう「色」について、ファッション・デザイナーとしての問いのかたちを、透明なギャラリー空間につくり出します。 金沢21世紀美術館キュレーター 平林恵
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島袋道浩:能登
2013年4月27日(土) - 2014年3月2日(日)
島袋道浩は世界中を旅しながら、人間の生き方やコミュニケーションのあり方に関する作品を制作してきました。本企画は能登特有の風習や産物に興味をもった島袋が能登を旅し、アーティストならではの視点で発見したことを元に新作を作り上げる、1年間の長期プログラムです。金沢を中心とした若い人たちに芸術活動参画の機会を提供する「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」の第7弾として、4月より約28名のボランティア・メンバーが活動をしてきました。メンバーは作家と一緒に能登を訪れ、作家の作品制作に参加したり、メンバー通信『能登へ』を発行したりしています。展示を見てメンバー通信を読んだ人は、能登の魅力を感じるとともに、作家の能登への視点に触れることで、普段の身の回りの様々なものに対しても以前と少し違う視点を持つことができるでしょう。
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内臓感覚 — 遠クテ近イ生ノ声
2013年4月27日(土) - 2013年9月1日(日)
内臓は太古からの生命の記憶・リズムが封入された器官と解剖学者の三木成夫(1925-87)は説き、我々の行動や感覚、こころの働きに及ぶ鋭い考察によって各方面に大きな影響を与えました。本展はこの視点に学びつつ、人間の諸感覚の中でもより原始的・根源的な「内臓感覚」を手がかりに、その内なる感覚に響き、語りかけ、新たな知覚の目覚めにつながる現代の表現を巡っていく試みです。 本展で取り上げる国内外13組の作家−ルイーズ・ブルジョワ、長新太、ナタリー・ユールベリ&ハンス・ベリ、加藤泉、草間彌生、アナ・メンディエータ、中川幸夫、サスキア・オルドウォーバース、オル太、ピピロッティ・リスト、志賀理江子、ビル・ヴィオラ、渡辺菊眞−は、絵画や彫刻、写真、映像、絵本、建築、インスタレーション、パフォーマンスなどの作品において、原初的な身体性と絡む感覚や意識、情動、あるいは身体の内軸である内臓と密やかに共鳴する自然の生命記憶を意識的/無意識的に捉え、作品において浮かび上がらせてきました。 2011年の東日本大震災および原子力発電所事故以降、放射能への我々の漠然とした不安、不快感に代表されるように、自然環境や社会経済システムの綻びや不安が現実となる今、個々の体の内部は何を感じ、何を発しているのでしょうか。本展において、来場者と作品との出会いの瞬間に生じ、交錯するであろう、あらゆる感覚や反応を手がかりとして、今に生きる我々が、自分と自分以外の存在の「遠くて近い生の声」に耳を澄まし、感じ、考える場となることを願います。 金沢21世紀美術館キュレーター 吉岡恵美子
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ボーダーライン コレクション展 I
2013年4月13日(土) - 2013年7月15日(月)
未知のものに出会うときに感じる違和感、不安、恐怖。それは、ある種の境界がそこにあることを感じ取っているサインだ。私たちは共通の言語、身体的特徴、ルール、記憶を持つ人々を「内部」として、それに当てはまらない「外部」を知らず知らずのうちに区別し、内と外を分かつ境界を形成している。境界は、安全な内部を脅かす存在として時に外部を排除し、軋轢を生み出すが、同時に、内部と外部が交渉しながら新しいルールを見つけ出し、絶えず更新される流動的なものでもある。境界を介して、私たちは他者や世界という外部をどう捉えているのかを知ることができる。つまり、境界は内部を広げる可能性を秘めた領域であると言うことができるのではないだろうか。今年度コレクション展では、このような視点に立って、境界を「分断するもの」から「繋がり、広げるもの」として捉え直し、コレクション展Ⅰでは身体的境界、コレクション展Ⅱでは社会的・制度的境界に注目し、当館コレクションを展観する。 人間を含め、生命体は膜に覆われた内部を持ち、外部から物質を取り込んでエネルギーとして取り出して生命を維持している。複雑な器官を持つ私たちの身体においては、ある部分では内部は外部であり、別の部分では外部は内部となる。内と外が反転しながら拡張するかのような仕組みは、境界のあり方を示唆しているようである。コレクション展Ⅰでは、私たちにとって一番身近な身体を基本に据え、境界を通じて人間の存在性、世界との関わり方を探る。 金沢21世紀美術館キュレーター 米田晴子
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フィロソフィカル・ファッション 1: FINAL HOME
2013年1月12日(土) - 2013年6月30日(日)
目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトでファッションを提案し続けるクリエイターを紹介するシリーズ「フィロソフィカル・ファッション」。その第一弾として、ファッションデザイナー津村耕佑によるプロジェクト「FINAL HOME」を取り上げます。 「家をなくしてしまったとき、人を最後にプロテクトするのは服になる」 — このコンセプトをもとに生まれたナイロンコートは、「究極の家」を意味する「FINAL HOME」と名付けられました。コートに備えられた多数のポケットに、新聞紙を詰めれば防寒着に、非常用グッズを入れれば避難着になります。 1994年の「FINAL HOME」誕生から現在までに、日本は、阪神・淡路大震災、東日本大震災という未曾有の災害に見舞われました。そして津村はファッションデザイナーとしての使命を軸に、ファッションと社会や環境との関係性を考察し続けてきました。 本展では、「FINAL HOME」の活動を通して、「衣服」そして「ファッション」の役割について考えます。
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ス・ドホ|パーフェクト・ホーム
2012年11月23日(金) - 2013年3月17日(日)
ス・ドホは1962年韓国に生まれ、ソウル大学校卒業後、アメリカに移って絵画と彫刻を学びました。マイノリティとして暮らす他国の文化とのせめぎ合いや葛藤を独自の視点で見つめ直しながら、繊細で端正な表現に反映させ、世界的にも高い評価を得ています。特に「空間をスーツケースに納めて運ぶ」という発想から始まった「ファブリック・アーキテクチャー」のシリーズは、光を通す半透明な薄い布で作られ、自身が住んでいた家全体や、階段や廊下、門などといった、内と外、或は公と私を分け隔てる境界を象るものです。現在もロンドン、ニューヨーク、ソウルを拠点にして、作品発表やプロジェクトのために世界各地を移動し続けているス・ドホにとって、「家」について言及することは、自らのアイデンティティに関わる疑問の延長上にあります。 本展では金沢21世紀美術館の空間に合わせた最新作を含めて紹介し、ス・ドホの「家」を訪れる私たち自身が、「家」について省察する機会とします。
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ソンエリュミエール、そして叡智
2012年9月15日(土) - 2013年3月17日(日)
近代市民社会は経済発展及び科学技術により豊かさと自由を獲得してきたかにみえる。情報化社会において迅速さ快適さ手軽さが幸福であり、有益な価値であると見なされてきた。しかし同時に、その利益を追求するために人間生活はますます管理されることになった。つまり、自分が属する社会の制度と権力に支配されているということである。2011年3月の東日本大震災と福島での原子力発電所事故は、安全と幸福と自由という社会の基盤を根底から覆した。人間の自由を実現するための民主主義社会が選びとってきた経済システムや社会システムは、今や人間社会の継続を脅かすものとなってしまった。 「ソンエリュミエール、そして叡智」では、そんな絶望の中にありながら、世の中の矛盾に正面から向き合い、立ち続けようとする人間の可能性を探る。ここに紹介される作家の作品は、人間社会を鋭い眼差しで捉え、その膿みをあぶり出す。あるいは絶望自体も取り込み、半ば自虐的ともいえる手法で、それでも生き抜こうとする現代人の姿を映し出そうとする。彼らの表現は、不自由で身動きのとれない人間社会の構造を暴く。絶望を未来への種として、苦痛と混沌の渦中にもがくはかなくも生命ある存在として人間の有り様を見つめる。 金沢21世紀美術館キュレーター 北出智恵子
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matohu 日本の眼 日常にひそむ美を見つける
2012年7月21日(土) - 2012年11月25日(日)
なにげなく通り過ぎるいつもの風景に、新鮮な美が息づいている。日本人にとって、美は超越的な概念ではなく、自然や日常の中にひそんでいる様々な層を繊細に見つめることでした。すなわち「日本の眼」とは歴史のなかで日本人がゆっくりと培ってきた、「美に気づく視点」なのです。 服飾ブランドmatohu まとふ(まとうと読む)は、2005年のデビュー以来、「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトにした独自のスタンスで、東京コレクションにおいて異彩を放ってきました。そして2010年から「日本の眼」をテーマに、日本の美意識をひとつずつ取り上げ、毎シーズン服で表現する挑戦を続けています。金沢21世紀美術館デザインギャラリーでは、「かさね」「無地の美」「映り」「やつし」などをキーワードに、日本の美意識の再発見とその表現を、matohuの最も代表的なアイテム「長着(ながぎ)」―コレクションテーマにそって同じデザインで作り続けられている服―を通して展示します。 歴史の経糸を貫く感性が、現代の生活にどう生かされ、個々人の生活に気づきと豊かさをもたらすのか、そのヒントを見つけに来てください。
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Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之
2012年5月3日(木) - 2013年3月17日(日)
「Aloha Amigo! フェデリコ・エレロ×関口和之」は、金沢若者夢チャレンジ・アートプログラムの第6弾です。このプログラムは、18歳から39歳までの若者に芸術活動参画の機会を提供し、人間形成へ貢献することを目的としています。今年は、音楽家であるウクレリアン関口和之と美術家フェデリコ・エレロとの出会いによって、音楽と美術の世界が融合する長期プロジェクトを開催します。フェデリコ・エレロが作り出した色彩豊かな造形空間のなかで、「Aloha Amigo - ウクレレのある生活 - 」と題されたウクレレ・プロジェクトが行われます。エレロの伸びやかで繊細な絵画と音楽が共鳴する大空間のなかで、コミュニケーションの多様性や自己表現の可能性を問いかけます。
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コレクション展
ソンエリュミエール - 物質・移動・時間
2012年4月28日(土) - 2012年11月4日(日)
光には闇があり、音には無音がある。それぞれは対概念ではなく、ひとつの事がもつ性質である。フランス語で「ソン(son)」は音、「リュミエール(lumière)」は光を意味する。「ソンエリュミエール」は、1952年にフランスで最初に開催されたイヴェントに由来し、以後、照明と音響効果を用いて史跡や有名建築を語る豪華なスペクタクルショーのことを指すようになった。太陽が沈んだ闇夜に人工光が輝き、音楽が流れ、名所の謂れが語られる光景は煌びやかで幻想的である。同時にその効果は表面的で場の固有性は光と音の華やかさに取って代わられ画一化されてしまう。 過剰な情報が氾濫し、莫大なエネルギーが消費される現在、私たちは機械計測的に刻まれる時間に束縛されて日々の生活を送っている。支配的制度としての時間から解放された時、私たちの知覚は変容し、見慣れた現象が新たなかたちをとって姿を現す。光の流れ、音の移動、月の満ち欠け、鉱物に流れる時間—有機的な時空間の中では、流れる時の方向は多様で、個々の経験は計り知れない多義性を帯びた旅となる。 本展覧会では、現代の美術家をそんな旅人と捉え、特に物質、移動、時間をキーワードに世界を見つめ直す。粟津潔、秋山陽、ヤン・ファーブル、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、木村太陽、岸本清子、草間彌生、ゴードン・マッタ=クラーク、カールステン・ニコライ、ゲルハルト・リヒター、サイトウ・マコト、田嶋悦子、マグナス・ヴァリン、アンディ・ウォーホル——彼らは物質の性質と力を習得することによって、自己、イメージ、行為といった非物質的な存在に、物理的なかたちを与える。あるいはまた、物質に依ることで立ち現れる造形表現は、エネルギーの運動態として私たちの眼前にあらわれ、未知なる体験をもたらすとも言える。 ここに切り拓かれた思惟の宇宙を遊泳する旅はつかのまではかなくとも、またとない瞬間として確実に鑑賞者ひとりひとりに記憶されることだろう。
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Olive1982-2003 雑誌『オリーブ』のクリエイティビティ
2012年2月25日(土) - 2012年7月1日(日)
なぜ『オリーブ』 なの? 80年代から90年代にかけて少女時代を過ごした女性たちにとって雑誌『オリーブ』は、人気が高かったというだけでなく、特別な雑誌でした。かつてオリーブ少女と呼ばれた読者たちは、いま30代、40代となり、オリーブの感性がいまなお生活のなかに息づいています。ファッション誌でありカルチャー誌であった『オリーブ』の誌面には、心地良いライフスタイルの提案とクリエイティブな視点が存分に込められていました。本展覧会では、バックナンバーの分析と、『オリーブ』の制作に関わった人たちと読者たちの声を集め、『オリーブ』の本質に迫ります。そして、時代を代表する『オリーブ』という一雑誌から、「雑誌の時代」を検証するとともに、「現在」としての少女文化(ガーリッシュ・カルチャー)について考えていきます。
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押忍!手芸部 と 豊嶋秀樹『自画大絶賛(仮)』
2011年11月23日(水) - 2012年3月20日(火)
効率や分かりやすさを優先する現代社会のなかで、自由であるはずの創作活動にまで、私たちはマニュアルを求めていないでしょうか。つくること、つくるものに対して理由や評価の基準を求めていないでしょうか。高度な技術をもつ「部長」石澤彰一が、手芸の経験や技術をもたない「男前部員」と結成した「押忍!手芸部」は、「不器用上等!」を宣言し、技術やルールより、個人のつくりたい気持ちやつくる楽しさを尊重する活動を続けてきました。7人の部員を中心としたユーモアあふれる伸びやかな部活動は、ものづくりに当たり前のように横たわる既成概念を、鮮やかに覆してみせます。 デザイン、アート、音楽、イベントプロデュースなどジャンル横断的な活動で注目されるアーティスト、豊嶋秀樹は、人や場との出会いを表現の出発点とし、モノや人、場との関係から、次々と新たな出来事を作り出してきました。従来の枠組に収まらない多様な活動は、媒介者でもあり表現者でもある豊嶋独自の視点で組み立てられています。 本展では、「押忍!手芸部」と豊嶋秀樹が初めて出会います。豊嶋は「押忍!手芸部」の精神を読み解いて展示空間を構成し、「押忍!手芸部」はその空間で部活動を展開します。
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モニーク・フリードマン展
2011年11月23日(水) - 2012年3月20日(火)
フランスを代表する女性作家のひとり、モニーク・フリードマンの本格的な個展を金沢21世紀美術館で開催します。マティス美術館(フランス)やエルメス財団ラ・ヴェリエール(ベルギー)、パサージュ・ドゥ・レッス(フランス)を始めとする各地での個展や、ポンピドゥ・センター(フランス)による「彼女たち@ポンピドゥ・センター」展への参加などにより、高い評価を確立しているフリードマンを、日本のみならずアジアの美術館として初めて紹介します。 1970年代終わりから作家活動を開始したフリードマンは絵画制作を中心に据え、色と光の表現をカンヴァス、顔料、パステル、紐、紙などの素材を用いて追求してきました。自身の身体と素材との親密で双方向的なダイアローグの中で浮かび上がっていく色やイメージには、時には作家自身も気がつかなかった自らのルーツや過去の記憶の断片が表出し、我々ひとりひとりの記憶や心をも揺さぶります。 近年では、ガラスやプレキシグラス、紙や布などを用いたサイトスペシフィックなインスタレーションも手がけているフリードマン。作家のこれまでの代表作から、当館の建築空間との対話で生まれた新作インスタレーションまで、計13点の作品を展示します。明るく白に満ちた当館の空間に、フリードマンは独自の色と光を放ち、我々の心と空間に不思議な余韻を残すことでしょう。
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ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画修復プロジェクト展
2011年10月22日(土) - 2012年2月12日(日)
グエン・ファン・チャンはベトナムが誇る近代絹絵のパイオニアとして知られる画家です。「ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画修復プロジェクト展」では、彼が家族のもとに遺した作品3点が日本の多くの有志の熱い思いによって修復されるまでを紹介します。グエン・ファン・チャンの絹絵は、絹地に水彩で描かれ、何度も画面を洗浄しながら描くというその独特の手法ゆえ、温湿度や光の影響を受けやすく、高温多湿の本国では傷みの進行が懸念されていました。今回修復が試みられた3点を初公開するとともに、3年に渡る困難な修復への道程を綴るドキュメンタリー映像によって、ベトナムを愛する日本の民間の人々の力で成し遂げられた偉業をお伝えします。
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サイレント・エコー コレクション展 II
2011年9月17日(土) - 2012年4月8日(日)
「どうしたというのだろう?音楽はためらうように、うねりながらはじまった。散策か行進のように。夜の世界を歩む神のように。ミックの外の世界はにわかに凍りつき、音楽のあのすべり出しの部分だけが、胸の中で赤く燃えていた。そのあとの音楽は耳にもはいらず、彼女はただ拳を固く握りしめ、凍りついたようにすわったまま待ち受けていた。しばらくすると、音楽はふたたびはげしく、声高にうたいだした。もはや神とは何の関係もなかった。これこそミックであり、昼日中を歩むミック、夜をただひとり歩くミック・ ケリーだった。・・・この音楽は彼女であり、ほんとうの、ありのままのミック自身であった。」(1) カーソン・マッカラーズの小説「心は孤独な狩人」で語られる音楽観、人と音楽の世界と深く共鳴し合うルクセンブルグ出身のツェ・スーメイの《エコー》《ヤドリギ楽譜》を軸として、「サイレント・エコー コレクション展II 」では、当館コレクションの潜在する未だ語られたことのない世界の展観を試みる。 《エコー》《ヤドリギ楽譜》で提示される、身体、音、技術、自己をとりまくあらゆる事象との関わりや融合から生み出される世界を根底に据え、こうした音楽観を出発点に、かたちが造形芸術である所以も同様に自 己、技術、対象の十全な融合によってこそ作り出される造形芸術の世界を紹介する。この試みは、「工芸的造形」という概念をめぐって近年展開されている視座を起点としている。「素材/自然/環境/他者に寄り添い、自らを物事の生成のプロセスに投げ入れ、親密な交流を図ることによって、固有の技術を見いだしつつ新しいかたちを生み出す造形及び造形行為」(2) という美術表現を評価する新しい眼差しに依り、ツェ・スーメイ、アニッシュ・カプーア、粟津潔、山崎つる子、久世建二、角永和夫による、自己、他者、素材といったあらゆるものとの対話の営みを検証する。 彼らの作品にみる静かな対話や共鳴の様相は、人がこの世界とどのように関わり、生きるかという人間の存在性について物語り、どんなに困難な時代においても新たな可能性、希望を我々に示し続けるだろう。 (1) カーソン・マッカラーズ、河野一郎訳『心は孤独な狩人』新潮社、1972年、pp147-148 (2) 不動美里「生成のプロセスの只中にあるもの」『オルタナティブ・パラダイス〜もうひとつの楽園』金沢21世紀美術館、2005年、pp.8-11。近年の工芸的造形論の展開については、村田大輔「ロン・ミュエック- 対話というかたち」(『ロン・ミュ エック』フォイル、2008年)、「反重力構造 ‒「歴史の歴史」というかたち」(『杉本博司 ‒ 歴史の歴史』新素材研究所、 2008年)、「“ニットカフェ・イン・マイルーム”というかたち」(『広瀬光治と西山美なコの“ニットカフェ・イン・マイルーム”』金沢21世紀美術館、2009年)、「What would Hiroshi Sugimoto Do? What would Museums do? Deified Artist and Museum Hiroshi Sugimoto’s“History of History”」(AAS-ISS Joint Conference,2011年、 https://www.asian-studies.org/Conference/index.htm)を参照されたい。
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Inner Voices ー 内なる声
2011年7月30日(土) - 2011年11月6日(日)
世界の中に自分の居場所を見つけていく過程で作り上げられるアイデンティティを、人々はどのように引き受けていくのでしょうか。多様な表現を以て時代に向き合う現代美術の作家の中で、自己への縛りをはねのけて自分にとって可能な道を探し続けようという意欲は、女性の作家たちに強く見受けられます。なぜなら、既存の価値観や古い現実のパラダイムを脱し、もうひとつの現実を自ら作り出すことは、権威や通念から自由であろうとすることー自己決定の自由の獲得が、女性にとっては重要なことだからです。 本展は、経済成長とともにグローバル化の波を受けてきた1960年代以降に生まれた女性作家たちに注目し、生の困難さと可能性の両面を人間に見る、彼女たちのInner Voicesー内なる声に耳を傾けます。彼女たちは通説的に「女性的」であることを示すイメージや価値に対して、あるいは差異によって起きることへの誤解や無理解を、対立や抵抗ではないかたちで乗り越えようとしています。芸術表現において自由であることが、女性にとってのみならず、世界において同程度に普遍的で重要であることも彼女たちの実践=作品が示してくれることでしょう。 *シルパ・グプタ《I Keep Falling At You》は9月10日から公開します。
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art-ZINE:冊子型アート・コミュニケーション
2011年6月11日(土) - 2011年9月25日(日)
「ZINE(ジン)」とは、表現したい人がコピーやプリンター等で少部数作り、販売/交換する冊子のことを指します。本展ではアート表現として制作されたZINEを「art-ZINE(アートジン)」と呼び、アートにおける新たな表現の場として着目します。ZINEは本来、複数部発行されるもので、一品制作のアート作品とは異なり、「アート・ブック」とも区別されます。既存の書籍流通システムを通さず、独自の流通で作り手と読み手をつなぐZINEは、新たなコミュニケーションをもたらすアート表現としての可能性が期待されます。 会期中、公募により集まったart-ZINEも会場内の書棚に並んでいきます。集まった一冊一冊から、みなさんと一緒に「art-ZINEとは何か」について考えていきたいと思っています。
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イェッペ・ハイン 360°
2011年4月29日(金) - 2011年8月31日(水)
デンマークの若手作家、イェッペ・ハインの、美術館における日本で初めての個展。7つの展示室と廊下を舞台に、観客との関係を生み出すユーモアあふれるインスタレーション作品など10点を展示します。タイトルの「360°」には、全方位に開かれた金沢21世紀美術館の建物にちなみ、見る人との関わりを大切にしたいという思いと、鏡や光を使った回転する作品などによって、空間がぐらつくような体験を引き起こしたいという思いが込められています。空間と戯れる、参加体験型の展覧会です。
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サイレント・エコー コレクション展 I
2011年4月29日(金) - 2011年7月18日(月)
「どうしたというのだろう?音楽はためらうように、うねりながらはじまった。散策か行進のように。夜の世界を歩む神のように。ミックの外の世界はにわかに凍りつき、音楽のあのすべり出しの部分だけが、胸の中で赤く燃えていた。そのあとの音楽は耳にもはいらず、彼女はただ拳を固く握りしめ、凍りついたようにすわったまま待ち受けていた。しばらくすると、音楽はふたたびはげしく、声高にうたいだした。もはや神とは何の関係もなかった。これこそミックであり、昼日中を歩むミック、夜をただひとり歩くミック・ケリーだった。・・・この音楽は彼女であり、ほんとうの、ありのままのミック自身であった。」(カーソン・マッカラーズ、河野一郎訳『心は孤独な狩人』新潮社、1972年、pp147-148) 1973 年にルクセンブルグ生まれたツエ・スーメイは、音楽をモチーフとする作品世界で注目されています。カーソン・マッカラーズの小説「心は孤独な狩人」で語られる音楽観、人と音楽の世界と深く共鳴し合うスーメイの代表的な作品を招き入れ、2011年度のコレクション展では、未だ語られたことのない当館コレクションの潜在的世界を展観します。身体、音、技術の融合や連鎖的なつながりの中で生み出される世界こそが音楽であり、かたちが造形芸術である所以も同様に自己、技術、対象の完全な融合によって作り出される世界であるという観点において、コレクション作品の新たな様相を浮き彫りにします。
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ピーター・マクドナルド: 訪問者
2011年4月16日(土) - 2012年3月20日(火)
「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム:美術館はメディエーター」 今年度の「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」(*1)では初の試みとして海外のアーティストに着目。イギリス在住の若手アーティストで世界が注目するピーター・マクドナルドを招聘し、アート・プロジェクトを展開します。「描くこと」を通じて、人と関わり、ジャンル、ジェンダー、国境、日常と非日常、といった境界を軽やかに超えてゆくマクドナルドを核とし、メンバー(*2)が彼の活動に参画することによって、コミュニケーションの多様性と可能性を体験します。館内での絵画作品展示(長期インスタレーションルーム)と壁画インスタレーション制作(展示室13)に始まり、一年を通してこれらの空間を舞台に様々なプログラムを随時併催します。マクドナルドと若者たちが金沢の町や人と交流しながら、作家の絵画世界が町のなかに徐々に浸透し、絵画という根源的な表現言語を通じて、人と人、人と場がしなやかにつながることを目指します。 *1 スウェーデンのストックホルム近代美術館の「ゾーン・モデルナ」の方法論を導入し、平成19(2007)年に立ち上げた金沢21世紀美術館の独自のプログラム。18~39歳の若者を主要な対象とし、アーティスト・イン・レジデンス、ワーク・イン・プログレス、ワークショップを組み込んだ長期プロジェクト型の展覧会。プログラム参加者は、共同作業を通じて、自己像や世界像を再発見し成長していく。過去4回の国内での成果を踏まえ、平成23年度より当館の美術館活動のキー概念「美術館はメディエーター」を集大成するモデルケースとして本事業を展開する。 *2 メンバー: 壁画制作メンバー(活動期間:4/20〜6/5):9名 プロジェクト・メンバー(活動期間:6/5〜2012/3月末):12名
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MADE IN JAPANの置時計 1960年代を中心に
2011年2月5日(土) - 2011年5月29日(日)
今なお新鮮な印象を与える昭和の置時計。鮮やかなプラスティックの色彩や流線型のフォルム、遊び心がある文字盤など斬新なデザインに驚かされます。本展では、金沢在住のコレクター山田訓氏が集められた約1000点の国産置時計のうち約400点を紹介いたします。これだけの国産置時計を一堂に揃えて展示するのは全国でも初めての試みとなります。日本の戦後デザイン史の一端を伝える国産置時計の魅力にぜひ触れてみてください。 ○「MADE IN JAPANの置時計 1960年代を中心に」解説書がダウンロードできます。 ダウンロードはこちらから(PDF: 2.5MB)
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ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
2011年1月8日(土) - 2011年3月21日(月)
時代の乾いた雰囲気や、被写体との独自の距離感で知られるホンマタカシの写真。建築、波、東京の子ども、郊外風景など、さまざまなテーマを手がけ、その多くが長い時間をかけてシリーズ化されています。物語や感情を表現することを嫌い、被写体をただ映しとるというドライな視点は、表現か記録かを問われた時代から進んで、そのどちらに寄ることもない「ニュー・ドキュメンタリー」の名にふさわしいものといえます。ホンマは写真家としての活動をはじめた当初から、「ドキュメンタリーとしての視点」を持ちつつ、写真そのものに「アートとしてのアプローチ」をすることで、写真表現の持つ可能性に挑んできました。特に最近では、現実の世界や時代と向き合う一方で、より主観的な表現を追求したホンマの創作活動の幅は大きく広がってきています。 本展では、従来のプリントのみならず、写真を元にしたシルクスクリーン、双眼鏡でのぞき込んで鑑賞するインスタレーション作品、イメージを集積した本、絵画など、さまざまな手法やメディアを用いた最新作を紹介しながら、写真が映し出す現実を通して「見ること」の意味を考え、写真とはいったい何か、に迫ります。雪山での鹿狩りの痕跡を追った《Trails》や、それに主題を得た絵画作品、ライフワークとして東京の風景とひとりの少女を撮影しつづけている《Tokyo and My Daughter》や《Widows》は、主人公となる人間の家族アルバムから見つけた写真を再撮影し、写真に映る人々が向けた家族や親しい者たちへの視線に時を超えて介入していきます。新作《re-construction》はホンマが雑誌の表紙や編集を手がけたページの中面を再撮影し、本の体裁で作られた作品集で、展覧会のチラシやポスター、その校正刷りも含まれ、ホンマがさまざまな媒体を軽やかに横断する軌跡がよく現れています。
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桑山忠明展/Untitled: Tadaaki Kuwayama
2011年1月8日(土) - 2011年3月21日(月)
1961年の初個展から50年、既存の芸術概念に挑み、「ピュア・アート(純粋な芸術)」を探求し続ける現代美術家、桑山忠明。 東京藝術大学で日本画を学んだ後、1958年に渡米した桑山は、日本画の素材を用いながらも、画面から意味や感情を極限まで排除した絵画で、独自の表現を確立しました。 1970年代には、ニュートラルな色と無機質な素材の選択により、作品は物質性を帯び、1990年代になると、複数の人工的なパネルが連続する空間表現へと展開します。 本展は、プロポーションの異なる大小の展示室や光庭など、当館の特徴ある建築空間を最大限に生かした新作《金沢21世紀美術館のためのプロジェクト》を通じて、現在進行形の桑山芸術を体感する機会となるでしょう。
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本当のデザインだけがリサイクルできる
Only honest design can be recyclable. D&DEPARTMENT PROJECT
2010年10月9日(土) - 2011年1月30日(日)
時代の移り変わりに伴い、次々と生み出される新しいデザイン。時代や流行に激しく左右される現代の消費サイクルにおいては、物だけでなく、デザインそれ自体も消費され続けています。D&DEPARTMENT PROJECTは、既に生み出されているデザインや商品の中にも長寿命のものがあることに目を向け、そんな商品だけをセレクトして販売し、その後、再び消費者から買取り、そして販売し直すという消費の現場からのリサイクルを提案し実践しています。売り続け使い続けることができる仕組みがあれば、新しいマーケットの創出やデザインの浪費を避けることができるという新たな試みは、デザインが社会に貢献するひとつのかたちを呈示するものです。 本展では、消費者が手放した物の中からロングライフデザインとして保持し続けていくべきものをD&DEPARTMENT PROJECTがセレクションして買い取り、もう一度販売し直すという一連の活動を3期に分けて展示します。 ■ナガオカケンメイによるステートメントはこちら Only honest design can be recyclable.
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ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス
2010年9月18日(土) - 2010年12月25日(土)
光と色が移ろいゆく果てしないトンネルの行程。ネズミとクマは街に繰り出し、芸術や哲学を通して人間社会の不条理を見つめる。身の回りの物たちは危ういバランスを保ち佇む。即興的な連鎖反応を繰り返しながら、一つのガラクタからもう一つのガラクタへと辛うじて伝わるエネルギー。約90点の粘土が象る大小様々なこの世の出来事が織りなすパノラマの傍らには、世界各地の空港の風景が浮遊する。人生や世界について誰もがふと思い浮かべそうな問いが現れては消え、止むことなく空中を漂う。小さなモノクロ写真にはおとぎ話のような光景が黒く柔らかな輪郭で映る。平穏で何気ない日常は、驚異と混沌、悲劇と喜劇、憂鬱と虚無に満ちている・・・ ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイスは写真、立体、映像など様々なメディアを柔軟に操り、身近な光景や事物に真摯な眼差しを向け、意味のずれや解釈の多様さを綿密な計画と偶然性によって提示し、皮肉とユーモアを織り交ぜながら人間社会の本質を浮き彫りにします。独自の美学に貫かれた彼らの表現の妙と百科全書的世界をお楽しみください。 Image:The Least Resistance 1980-81 film still camera: Jürg V. Walther
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Collection Exhibition: Invisible Reality
コレクション展「目には見えない確かなこと」
2010年9月11日(土) - 2011年4月10日(日)
1980年代以降に制作された作品を中心とする当館コレクションを紹介する展覧会です。複雑な視点を織り交ぜ、価値観の変化や転換と呼応する先鋭的な作品を展示し、現代社会の諸問題を問いかけます。
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みかんぐみ「みかんぐみのアイディアワークショップ -みんなのがっこう」
2010年6月12日(土) - 2010年9月26日(日)
「みかんぐみのアイディアワークショップーみんなのがっこう」は、子ども達の学びの場である「小学校」について、みんなで考えるプロジェクトです。ここでいう「みんな」とは、建築家グループみかんぐみと、モデル校となった金沢市立新竪町小学校6年生21名、金沢工業大学建築学科13名を中心に、学校関係者や校区を取り巻く地域の人々など、このプロジェクトに関わる全ての人々のことです。 「小学校」を取り巻く環境そのものへの認識やアプローチやプロセスも含め、みかんぐみは次の5つのキーワード―環境、建築計画、コミュニティ、アート、地域学をテーマにワークショップを行います。ワークショップという手法をとるのは、思考のトレーニングをするためです。専門家からの提案のみが優れているという受け入れ方ではなく、自分たちで必要と思うことをどのように実現していくかを共有し、新しい価値の発見や目標の獲得につなげていこうという試みです。
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高嶺 格:Good House, Nice Body ~いい家・よい体
2010年4月29日(木) - 2011年3月21日(月)
パフォーマンスからインスタレーション、映像、写真作品に至るまで多彩なアプローチのもと、常に自身の体験や身体を絡めながら社会的論点を炙り出してきた現代美術家、高嶺格。「Good House」と「Nice Body」の2つのプロジェクトから構成される本展では、約1年の会期の中で、我々が生きていく上での根本的な拠り所でありながら、日常の中で愚鈍になりがちな「家」と「体」についての我々の感覚や認識を、プロジェクトに関わる多くの協働者とともにライブに問い直していきます。
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Alternative Humanities 〜 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル × 舟越 桂
2010年4月29日(木) - 2010年8月31日(火)
ヤン・ファーブル(1958年アントワープ、ベルギー生まれ)と舟越桂(1951年盛岡市生まれ)---本展は現代美術をリードする作家の大規模な二人展であると同時に、それぞれの創造の源泉を歴史的名画に表れた宗教的図像のなかに探り、21世紀の人間性とは何かを考えようとするものです。 ベルギーに生まれたヤン・ファーブルは、15-16世紀フランドルの宗教画と呼応しながら、自身の血で描いたドローイングや動物の骨や剥製など有機的素材から成る彫刻によって矛盾に満ちた人間の存在を問いかけます。 一貫して楠の木彫に取り組む舟越桂によって生み出される異形の人間像は、現代を生きる人間の内面を雄弁に語り、日本文化の一大変革期である幕末明治の観音像にみられる日本人の複雑な心情や死生観との共鳴を示します。 本展は、ルーヴル美術館の現代美術担当キュレーターとして活躍中のマリー=ロール・ベルナダック氏との共同制作によって実現するものです。また、企画アドバイザ—の高階秀爾氏と古田亮氏が美術史研究の視座から、二人の現代美術家と壮大な人間の歴史とのつながりを総合的に検証します。約190点にのぼる作品が集い、古今東西が出会う場となる本展は、洋の東西や時代を超えて今に息づく人間の精神のかたちを問います。
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八谷和彦《OpenSky》プロジェクト
2010年4月29日(木) - 2010年8月31日(火)
八谷和彦の《OpenSky》は「個人的に飛行装置を作ってみるプロジェクト」として開始され、実際に乗られる1人乗りのジェット・グライダーの実現を目標にしているものです。2010年、最終段階に入った《OpenSky》の全貌を、設計書やテスト飛行記録映像などを交えて紹介します。
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ミナ ペルホネン The future from the past 未来は過去から
2010年1月16日(土) - 2010年5月30日(日)
「未来は過去から」。デザイナー皆川 明により1995年に設立されたブランド「ミナ ペルホネン」は2010年で15周年を迎える。時を経ても色あせない魅力をもち、身につけるたび気持ちが高揚する洋服を目指し活動を続けている。手描きの図柄から、刺繍、織りやプリントなどの手法で何百という生地を生み出してきたファッションブランドにとって、これまで積み重ねてきたデザインは未来をかたちづくる源である。今回は2点の対比するドレスを展示。過去のデザインをアーカイブとして繰り返し復刻する一方で、絶え間なく新しいデザインを生み出していくミナ ペルホネンの、未来と過去のつながりを表現する。 ■本展のドキュメントを下記からダウンロードできます。 ミナ ペルホネン The future from the past 未来は過去から EXHIBITION DOCUMENT
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Olafur Eliasson "Your chance encounter"
オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき
2009年11月21日(土) - 2010年3月22日(月)
色や光を駆使した作品によって、人間の知覚の仕組みに問いかける作品で知られる現代美術作家、オラファー・エリアソン。金沢21世紀美術館は、開館5周年記念展として、新作を中心に構成する大規模な個展「Olafur Eliasson Your chance encounter / オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき」を開催します。 光、影、色、霧、風、波などの自然界に見られるさまざまな要素によって特徴づけられるエリアソンの作品群は、科学的な仕組みを問うものではなく、現象を作り出す仕掛けは作品の中で明らかされています。そのために、人々は却って「見る」という行為を純粋に楽しみ、取り巻く環境の中に新しい発見や体験をする機会とすることができるのです。また、エリアソンはSANAAが設計・デザインした美術館を建築的・機能的に深く読み解き、金沢21世紀美術館を成り立たせる、さまざまなファクターに大胆に挑みます。美術館の建築の特徴を生かし、作品を介して内と外を親密に関係づける試みや、回遊性や水平性を生かすように、展示室のみならず通路や休憩スペースにも作品が展示されます。 エリアソンは新世代の美術館機能を担う金沢21世紀美術館が「まちにひらかれた美術館」として社会的機能を果たしていることにも注目し、美術館が社会から切り離された芸術を鑑賞するためだけの空間ではなく、社会や都市の環境と深く関わることができるという可能性を、展覧会を通して再提案します。 ■展示風景 動画はこちら
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Fun with color patchwork by Yuko Tobo
当房優子の色合わせの楽しみ
2009年11月14日(土) - 2010年1月11日(月)
ふだんの暮らしの中で、好みの色合わせを気軽に楽しむことができたら。それがちょっとだけ、役に立つものだったらいいな。 そんなシンプルな思いが、色とりどりの布でバッグを作るきっかけになりました。残った小さな布も活かしたくて、マフラーとブローチも作りはじめました。特別に個性的ではない布も、色の合わせ方によって、さまざまな表情をみせてくれます。 家に眠っている布、着なくなった服など、身近な素材を用いて「あなたの色合わせ」を楽しんでみませんか。 当房優子
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コレクション展 「shiftー揺らぎの場」
2009年9月12日(土) - 2010年4月11日(日)
ふとした瞬間、何かをきっかけに、見慣れているはずの風景が違った世界に見え、全く別の意味を帯び始める。このような視点や感覚の転換、移動、変異は誰でも大なり小なり経験したことがあるだろう。膨大な情報や物質が氾濫する現代の社会において、麻痺しつつある身体や感覚、既成概念の輪郭のみをなぞって通り過ぎるだけの思考。ここでもう一度立ち止まり、自身の感覚や思考を開放し、今、目の前にある世界や通り過ぎてきた過去、自らの身体感覚のゆらぎや変化、新たな認識や知覚に身を任せてみたらどうだろう。本展で紹介する作品は、そういった視点の移動、感覚の変化、価値観の転換を我々に促し、働きかける。ガラスに囲まれた空間の内と外が緩やかに連続する中、日常と非日常が多層的に混在し関係しあう当館の建築的特徴を意識しつつ、5周年を迎える本年のコレクション展では、「shiftー揺らぎの場」をキーワードに、「私」を含む様々な物事を繋ぎとめる境界の揺らぎを探る。
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きりのなか - ブルーノ・ムナーリの絵本世界
2009年9月12日(土) - 2009年11月3日(火)
霧のように無彩色の空間で、わたしたちは夢想の世界へと誘われる。濃霧をぬけて目前にあらわれる色彩が、わたしたちの記憶を呼び覚ます。暖かい色、冷たい色、重い色、軽い色、色は目に映るだけではなく、個人の心の働きに影を落としていく。 ブルーノ・ムナーリは自分自身を語るのに「発明家」、「著述家」、「建築家」、「プロダクトデザイナー」、「グラフィックデザイナー」、そして「こどもと遊ぶ人」という言葉をのこしている。そのムナーリが色や形、そして素材を視覚言語とする絵本《きりのなかのサーカス》を生み出した。 本展では、絵本《きりのなかのサーカス》を創造の可能性に挑んだムナーリの代表作としてとらえ、彼自身が監修し制作した7枚のスクリーンに着目した。絵本ではトレーシングペーパーを用いて巧みに霧の中の情景を表現したムナーリは、大きな紗のスクリーンにプリントすることによって、絵本とは異なる次元で表情豊かな霧の中のイメージを現出させている。当館デザインギャラリーにおいて、ムナーリ作のスクリーンをダイナミックに構成することにより、体感できる絵本世界《きりのなかのサーカス》を創出する。 また、絵作りゲーム《つけたり・とったり》は、モノをさかさまにしたり、裏返したり、対立させて考えること、また、中身を変えずに重ねていくこと、異なるモノに転用させることなどの、デザインを考える上で必要な手法が盛り込まれた遊具である。動物や風景などが象られたプラスティックカードを重ねることによって、会場内のライトテーブルの上に無限に物語が生まれてくる。 本展は、来場者が自由に回遊し、さまざまな知覚体験を通して、創造力の源であるムナーリの「ファンタジア」に触れることのできる場となる。
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未完の横尾忠則ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの
2009年8月1日(土) - 2009年11月3日(火)
絵画、デザイン、映画、演劇、音楽、文学・・・ジャンルを横断しながら、目にしたもの、耳にしたもの、あらゆるものごとを自身に入力し、独自の流儀で変換出力して世界像を変容する横尾芸術の本質——それは、「未完」であること。 「未完」の横尾ワールドを、表から裏から、中から外から、ひっくり返して探検する本展は、横尾忠則の未完成交響詩。 ■アトリエの中に眠っていた未完の絵画大放出 ・未発表作品、未完成作品、落選作品<展示室11> ■アトリエの外では未完の絵画大発生 ・PCPPPと横尾工房で生まれた作品<展示室7、8、プロジェクト工房> ■未完の人間=横尾少年が自己複製を繰返す未完のイコン ・「ピンクガール」=永遠の少年が夢み続けるマドンナ。<展示室9、10> ・「ルソー」=横尾の複製行為は歴史に残る無礼講<展示室14> ・「Y字路」=行き先不明のY字路こそ横尾の居場所<展示室7・8ほか>
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広瀬光治と西山美なコの “ニットカフェ・イン・マイルーム”
2009年4月29日(水) - 2010年3月22日(月)
「広瀬光治と西山美なコの“ニットカフェ・イン・マイルーム”」は、金沢若者夢チャレンジアートプログラムの第三弾で、金沢21世紀美術館で展開される長期プロジェクト型展覧会です。当館の展示室13において、広瀬光治と西山美なコ制作による作品《ニットカフェ・イン・マイルーム》が展開されます。 卓越した技術で独自のニット表現を展開するニット界の伝道師・広瀬光治と個人や共同体にとっての「あこがれ」や「理想」の世界を独自の造形言語によって追求してきた西山美なコ。二人のコラボレーションによって、「ニットカフェ・イン・マイルーム」という空間が展示室に作り出され、この場をプラットフォームとして、鑑賞者に向けた様々な編物プロジェクト、ワークショップが展開されます。一年間という長期プロジェクトを通して、「編む」という行為や創造の意義、可能性を探ります。
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愛についての100の物語
川崎和男のPeace-Keeping Design
2009年4月29日(水) - 2009年8月30日(日)
PKD(デザインによる平和維持活動)は、医学博士である川崎和男が提唱する理想を具体的に目に見える形で提案するデザインの力を最大限に活用するプロジェクトである。注射器を扱ったことがない人でも安全に接種できるワクチンの開発を含め、紛争地域や災害時の救援医療現場におきる解決困難な課題に対して創造的かつ総合的なアプローチによって、諸問題への最適な解決策を見いだし、かつ実現に取り組むデザイン力を紹介する。
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開館5周年記念展
愛についての100の物語
2009年4月29日(水) - 2009年8月30日(日)
世紀の移行と価値の転換期、悲惨な戦争と混乱の渦中に2009年が訪れ、私たちを取り巻く環境の異変は容赦なく速度を増すばかりです。そして、私たちの心身は、傷つき、飢え、乾き、彷徨いながら、太古から変わらぬ生命活動を日々営んでいます。 人間にとって「愛」ほど不可思議なものはないでしょう。哲学者の谷川徹三は「愛に対立するのは、憎しみではなくて冷淡と無関心である」と述べています。私たちは「愛」を、自分たちの儚い生命の拠り所としてきました。そして今ほど、その「愛」が問われている時代もないのではないでしょうか。 開館5周年を迎える金沢21世紀美術館は、円形ガラス張りの透明性・水平性・多方向性が全展示室で稼働する開放系に、あらゆる既存の境界を超えて、人文、社会、自然科学の各分野の研究者や活動家、そして美術、音楽、文学、身体表現等、多様なジャンルの大勢の表現者たちを招き、「愛」をめぐって語り合う場を創出します。 展覧会「愛についての100の物語」に様々なかたちで立ち現れる表現は、いつでも誰かに受けとめられ、語られ、変貌することを待っています。物語とは、出会いの場で交わされる“オープン・ダイアローグ”(開かれた対話)そのものなのです。美術館で絶え間なく生成する対話を通じて、無数の物語があふれ出すことでしょう。
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金沢と環境デザイン まちづくりと共に歩むデザイン
2009年2月28日(土) - 2009年4月19日(日)
金沢のまちづくりとデザインの関係を考える機会として、環境デザイン各分野の専門家:田中寛志(ディスプレイデザイン)、坂本英之(都市・建築デザイン)、角谷修(インテリアデザイン)、鍔隆弘(庭園・ランドスケープデザイン)の4人のディレクターの恊働により研究・制作された作品群やその考え方を展示します。今後の金沢のまちづくりの可能性やデザインの役割についてご来場された皆様と共に考えたいと思います。
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大森伃佑子とマエダサチコ
不自由な夢
2008年12月13日(土) - 2009年2月22日(日)
ベット、人形、レース、ハイヒール、蝶、鳥、花、手袋、リボン、つけ襟、毛皮のコート、まくら、マント、ウエディングドレス、キャンドル… 展示は、キャンドルアーティスト、マエダサチコによるキャンドルを軸に、スタイリスト大森仔佑子が追い求めてきた「かわいいもの」がぎっしりと詰まった空間となる。そこはいつも憧れと夢の世界がある。 そして、その夢の世界は必ずその先へつながっている。 大切にしているかわいいものたちのその先にあるものを、集めることによって改めて感じてみたい。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/yokoomori.html
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- 有料
杉本博司 歴史の歴史
2008年11月22日(土) - 2009年3月22日(日)
杉本博司は2003年より「歴史の歴史」という表現活動を行ってきました。この「歴史の歴史」は、アメリカ、カナダの様々な美術館を巡回しながら、その都度変貌してきました。本展では、杉本の新規収集品や自作が含められる新たな「歴史の歴史」が展開、これまでの「歴史の歴史」を総括する大規模な展覧会になります。
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- 自分たちの生きる場所を自分たちでつくるために -
金沢アートプラットホーム2008
2008年10月4日(土) - 2008年12月7日(日)
「金沢アートプラットホーム2008」は金沢21世紀美術館が金沢の街を舞台に行う、プロジェクト型の展覧会です。公園や商店街、街中の空き家などを活動の場に、19組のアーティストが形式にとらわれない作品を展開。多くの人が参加するワークショップが行われ、また街中でたくさんの展覧会が開かれます。アートを通して人が出会い、新しい出来事が起こる。そして人々に対話が生まれ、社会の様々な部分に架け橋ができ、街がより豊かな場所へと変わっていく。この秋、街の人々と織りなすアートが、金沢にあふれます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/k_plat/
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金沢アートプラットフォーム2008 インフォメーションキューブ
2008年10月4日(土) - 2008年12月7日(日)
金沢21世紀美術館のデザインギャラリーが、友の会のメンバーによる情報スペースとなり、おすすめコースの他、あらゆる情報が集まります。まずはここで情報収集しましょう。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/k_plat/howto.php
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「shell - shelter:殻 - からだ」
コレクション展II
2008年9月13日(土) - 2009年4月12日(日)
「もうどこにも安全なゾーンはなくなる」 ---ドミニク・ゴンザレス=フェルステル《安全地帯のアン・リー》より 『コレクション展』では、現代社会の価値観の変化や転換と呼応する先端的な作品を紹介し、現代社会の諸問題を問いかけます。 『コレクション展II』のキーワードは、「shell - shelter:殻 - からだ」。本展で紹介する様々な身体のイメージは、価値判断の基準、感情・精神の抜け殻、あるいは己であり続けるためのシェルター、生と死、等を暗示するものとして登場します。 それらの作品は、既存の価値観に疑問を呈し、現代に漂う孤独と不安、無力感、人々の間の距離感を浮き彫りにしながら、人間の生存可能な場を新たに見出そうとしています。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/collection/2008_2/index.html
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サイトウ ・マコト展:SCENE [0]
2008年8月2日(土) - 2008年11月3日(月)
グラフィック・デザインの領域で国際的に知られるサイトウ・マコトによる初の個展。80〜90年代、斬新な表現によってグラフィック・デザインの常識を破り、時代を塗り替えてきたサイトウ・マコトが、本個展において長年あたためてきた絵画作品を約50点初公開します。サイトウが21世紀の世界に向けて発信する注目の新作展です。 サイトウのこれまでの幅広い創作活動は、「見る」という行為への無限の問いかけのなかで形作られてきました。デザインの領域で活躍する一方で、1990年代半ばからは本格的に絵画の研究も始めています。今回サイトウは、幼少のころから親しみ、自身にとって特別な意味をもつ映画から一瞬のショットを切り取り、デジタルという現代のフィルターを通して大胆に解体するなど、これまで一貫して培ってきた現代への鋭い視点を反映した絵画作品を発表します。本展は、このように「見る」行為を「描く」という行為へと拡げた、サイトウの現在を展観するものです。 作品のなかの人物像は、いずれも体温を感じさせない冷ややかな空気に包まれています。温かさやナチュラルさといった癒しを安易に求める昨今の風潮に挑むかのように、温度のないゼロ地点-SCENE [0]-からうごめきだす不穏な世界。独自のモチーフとテクスチャーにより創出されるサイトウの絵画空間は、時代の新しい感触をとらえ、現代に生きる私たち自身の姿を容赦なく映し出します。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/saitou/index.html
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フードクリエイション 食欲のデザイン展 -感覚であじわう感情のテイスト-
2008年7月19日(土) - 2008年9月28日(日)
“胃までコンセプトを届ける”ことをモットーに展開するフードクリエイション。本展覧会のコンセプトは「感覚であじわう、感情のテイスト」。様々な食材を組み合わせ、驚きや喜びなどの感情を表現していきます。そして、会期中約30回行われるフードパフォーマンスで実際にその表現を「味わって」いただきます。これまでにない「味わう」ことをテーマした展覧会、「食欲のデザイン」空間へ是非お越し下さい。 <フードクリエイション> 諏訪綾子が主宰するコンセプチュアルなフードを提供する<フードクリエイション>。テーマ性のあるフードは、視覚だけでなく、味覚をもデザインしていく。特に本展では、<sensuous food, emotional taste>をコンセプトとして、感情を表現する味を提案していく。そのオリジナルな活動の注目度は高く、2008年度は、各種企業のテーマにそったパーティケイタリングに留まらず、101TOKYO ART FAIRのオープニングパーティや伊勢丹フードエリア1周年のパーティなどその活躍の場はますます広がっている。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/foodcreation.html
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〈金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム〉
日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式 meets NODA [But-a-I]
2008年5月31日(土) - 2008年10月19日(日)
「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」*の第2弾として、野田秀樹(劇作家、演出家、役者)を迎え、空間・時間の表現者を目指す若者を対象にワークショップを行います。 2007年度、日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式において同プログラムを牽引し、野田秀樹とは舞台美術を通じて交流のあるアーティスト日比野克彦が、アートに演劇の要素を導入し、美術館における表現の拡大をはかります。野田秀樹は、「美術館の展示室」という自身にとっての「アウェー」の場との交信をすることで、プロジェクトを通じて表現の新たな可能性を探ります。 会期中はプロジェクト工房にてワークショップが行われるほか、館内の[展示室13]には[But-a-I](舞台)が出現し、観客を巻き込んだ展示が進行します。 ★詳細はこちらから http://www.kanazawa21.jp/exhibit/hibinoda/index.html * 金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム スウェーデンのストックホルム近代美術館で成功を収めている高校生対象の教育普及プログラム「ゾーン・モデルナ」をモデルとし、金沢21世紀美術館において若者を対象に立ち上げられたプログラム。 2007年度にはその第一弾として、日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式が開催されました。 日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式 http://www.kanazawa21.jp/exhibit/asatte/index.html
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コレクション展I
2008年5月27日(火) - 2008年7月21日(月)
当館のコレクションを紹介するコレクション展では、複雑な視点を織り交ぜ、人々の価値観の変化や転換と呼応する先鋭的な作品を展示し、現代社会の様々な局面を問いかけます。 コレクション展1では、8人の作家による40点の、様々な表現を紹介します。 出品作家の1人、トルコ出身のジャナン・ダグデレンの作品は、自身を取り巻く外の環境とのつながり、文化的アイデンティティを問いかける作風が特徴です。この展覧会では、4つの作品が展示され、「故郷」や「家」をテーマに、その在り方の不安定さを問いかけます。 空間性と身体性を強く意識した作品で世界的に高い評価を受けているエルネスト・ネトによる《身体・宇宙船・精神》は、「ライクラ」という非常に伸縮性の高い布で、有機的で巨大な生命体のような形をした作品です。この作品には実際に中に入ることができます。人の肌のような感触の布、草花の香りが用いられた本作品は、自分をとりまくありとあらゆるものとのつながりを、私たちの身体と精神に直接働きかけます。 また、村上隆の初期の活動を代表する《シーブリーズ》も必見です。底に車輪とテールランプのついた巨大なボックス状の前後にはシャッターがついています。このシャッターは一定時間間隔で開かれると同時に中から直視できないほどの強い光を発します。 その他、ガブリエル・オロスコ、ヨハン・グリモンプレ、日比野克彦、カールステン・ニコライ、川崎和男の作品が展示されます。彼らの表現を通じて、現実の認識や価値観、知覚の有様について、そして自分をとりまく世界について、様々な視点で捉えた表現をぜひお楽しみください。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/collection/2008_1/index.html
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ロン・ミュエック展
2008年4月26日(土) - 2008年8月31日(日)
目下、現代美術界において最も注目されている作家の一人、ロン・ミュエックの日本初の大規模展です。映画やテレビ番組用の模型作りの経歴をもつミュエクは、シリコンやファイバーグラスといった素材を使い、古典的な鋳造技法によって、人間の身体を精緻な彫刻によって表現します。髪や皮膚の下の血管まで克明に描出する極限のリアリズムと巨大であったり極小であったりするサイズの非現実性とが相俟って、現代の人間の存在を鮮烈に突きつけます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/mueck/index.html
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金沢をブリコラージュする。糸崎公朗写真展
2008年4月18日(金) - 2008年7月13日(日)
写真を立体的に組み立てて3次元化するフォトモ(フォト+モデル)で知られる糸崎公朗が、金沢の路地をひたすら歩き回り、独自の視点で金沢の街を切り取ります。 視点をつないでいく「ツギラマ」や、街に生息する小さな虫たちを壮大なスケールで撮影した「デジワイド」など多様な手法で表現される、視点・思考・テクノロジーの切り貼り=ブリコラージュで誰もが見逃していた金沢を表現します。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/kimioitozaki.html
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世界屈指の中国・韓国陶磁の名品の金沢里帰り展
美の求道者 安宅英一の眼 安宅コレクション
2008年2月9日(土) - 2008年3月20日(木)
安宅コレクションは、かつて日本の十大商社の一つであった安宅産業株式会社が、事業の一環として収集した約1,000点に及ぶ東洋陶磁のコレクションです。その収集を一貫して推進・指導し、厳しい眼をもって比類ないコレクションにまで築き上げたのが安宅英一氏(1901-94)でした。安宅氏は同社の取締役会長を務め、その後、相談役社賓として会社の経営に参画しました。しかし、その足跡は、むしろ美術品コレクター、あるいは第二次世界大戦以前からの日本のクラシック音楽界のパトロンとして知られています。 安宅家は、石川県石川郡金石町(現金沢市金石町)の豪家で、英一氏の祖父・幸吉氏の代に金融業、肥料、衣料などを商って加賀有数の豪商となり、父・彌吉氏は雑貨輸入業に専念、貿易商の名門、安宅産業の基礎を築きました。鈴木大拙、西田幾多郎の最大の後援者としても知られます。 同コレクションは、安宅産業の終焉の後、最終的には安宅産業の主力銀行であった住友銀行を中心とする住友グループ21社から大阪市に寄贈されました。大阪市はそれを受けて昭和57年に大阪市立東洋陶磁美術館を設立し、現在に至っています。高麗・朝鮮時代の韓国陶磁並びに漢時代から唐・宋・元・明時代の中国陶磁を主とする安宅コレクションは質の高さにおいて世界屈指の内容であり、国の内外から高い評価を得ています。 今回、この門外不出のコレクションから、大阪市立東洋陶磁美術館の監修により厳選された国宝2点、重要文化財11点を含む珠玉の名品56点を展示します。金沢ゆかりの世界的コレクションの里帰り展を通じて、東洋陶磁の美しさ、楽しさをご堪能下さい。 ★詳細はこちら http://www.kanazawa21.jp/ja/04event/event_one.php?id=811
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荒野のグラフィズム:粟津潔展
2007年11月23日(金) - 2008年3月20日(木)
戦後まもない頃よりグラフィック・デザインの先駆者として常に第一線で活躍してきた粟津潔は、草創期の心境を「すべては荒野だった」と述べています。 粟津は、1977年のサンパウロ・ピエンナーレに出品した代表作《グラフィズム》をはじめとする絵画やドローイング、映像、舞台美術、彫刻、装丁など、幅広いメディアを横断して膨大な数の作品を手がけてきました。本展は、それらの相互に有機的に繋がる創作活動全体を眺望し、作家粟津潔の全貌を紹介する大規模な個展です。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/awazu/index.html
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大巻伸嗣 Liminal Air -descend-2007
2007年11月3日(土) - 2008年4月6日(日)
金沢21世紀美術館はこの10月に開館3周年を迎えるにあたり、デザインギャラリーのガラスに囲まれた空間を最大限に生かした、大巻伸嗣のインスタレーション作品を展示する。美術館内通路を歩きながらふと作品に出会えるという展示室内でありながら展示室外でもあるような、これまでにない展示空間となるであろう。 今回展示される「LIMINAL AIR」は、大巻作品の軸になる花シリーズに対して、線シリーズともいうべき作品で、繊細で軽やかな印象の花シリーズに対して、線シリーズは空間を変容させるという大巻作品のもつ特性をより純化したものであるといえよう。白い面により立体的に構築された空間は迫力をもって迫ってくる。しかしながら、その内部空間に入ったならば、幾束ものロープが直接肌に触れ、その糸の触感はあくまでも柔らかであり、硬質な視覚的印象とのギャップは、感覚的な衝撃をわたしたちに与えるに違いない。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/liminalair.html
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コレクション展 II
2007年9月15日(土) - 2008年4月13日(日)
金沢21世紀美術館のコレクションを紹介します。とりわけ、複雑な視点を織り交ぜ、社会の価値観の変化や転換と呼応するような作品を展示し、社会における人間の表現を問い直します。
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開館3周年記念:美術館・友の会共同事業
金沢の包み紙展
2007年9月14日(金) - 2007年10月21日(日)
デザインギャラリーでは、今年度より、金沢のデザインについて考えていくシリーズを展開していきます。その第1弾として、私たちが日常で目にし、手にする身近なデザインのひとつである「包み紙」について取り上げます。 地域の方々のご協力により、現在使われているものから、懐かしい包み紙まで約100点もの包み紙が集まりました。日常にあふれる「包み紙」という何気ない素材にはそれぞれの店の思いが託され、デザイン化されています。個々の包み紙のユニークさばかりでなく、集まってみると金沢らしい共通点が明らかになってきました。 包み紙のデザインから金沢の文化までも感じていただけることと思います。 〈包み紙のあゆみ 〉 包み紙が一世風靡した時代は終わってしまった?かつて、包み紙は広告としての宣伝効果もあり、きれいな包み紙趣味として集める人たちもたくさんいました。改めて「包み紙」のあゆみを振り返ってみます。 〈金沢の包み紙:デザイン分析〜和菓子を中心に〜 〉 包み紙の読み解き方のヒントを紹介します。「ジャンル」「パターン」「モチーフ」「色」「時代」などのキーワードから、それぞれ包み紙の個性が見えてきます。 〈友の会プロジェクトチームによる 金沢の包み紙文化〉 プロジェクトチーム5名がそれぞれ、特徴ある包み紙を責任担当。一枚の包み紙を深く知ることによって、デザインの背景にある金沢の文化が一層浮き彫りになっていきます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/tsutsumigamiproject.html
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〈金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム〉
日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式
2007年8月7日(火) - 2008年3月20日(木)
10年以上にわたり全国各地で地域に即した制作活動を続けてきたアーティスト日比野克彦が、アートスクールを開校。美術館と町を舞台に金沢を拠点としたアートのネットワークを構築します。アートが人と地域をつなぎ、金沢から全国へと伝播していく実験的なプロジェクトです。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/asatte/index.html
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パッション・コンプレックス:オルブライト=ノックス美術館コレクションより
2007年8月1日(水) - 2007年11月11日(日)
コリー・アーケンジェル、シュテファン・バルケンホール、デイヴィッド・バチェラー、ルイーズ・ブルジョワ、ソフィ・カル、ジョン・コプランズ、ピーター・コイン、ダン・フレイヴィン、デイヴィッド・ハモンズ、モナ・ハトゥム、ジム・ランビー、キャサリン・オピー、ローリー・シモンズ、ジェフ・ウォール、ジリアン・ウェアリング 。1862年以来、常に「今」を映し出すアーティストに注目してきたアメリカのオルブライト=ノックス美術館の壮大なコレクションより、現代を代表する傑出した15作家の作品約40点を展観します。 彼らは、生活のなかのごくありふれた風景や、人のふるまいを鋭い視点でとらえています。その作品は、ビニール袋や蛍光灯など日常の身近なものをモチーフとしながら、サイズや色の変換など単純な操作によって、忽然と未知の、非日常の世界を私たちの前に現出させます。 作品の、一見すると明快で美しく、親しみやすい装いのもとに隠された、逃れがたい過去の記憶や執着、日常に潜む不条理や現実逃避への欲望 —— 先鋭的で勇敢な作家たちとともに、普段は心の奥深くに隠された激情の領域にお出かけください。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/p_complex/
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ガーリッシュ・カルチャー
GIRLISH CULTURE <リカちゃん>少女のあこがれ史 40年
2007年7月21日(土) - 2007年9月9日(日)
最近、「ガーリィ」や「ガーリッシュ」という言葉が使われるようになってきています。女の子を表す「ガール(GIRL)」からきているこれらの言葉は、ややマイナスイメージに使われる「少女趣味」という言葉に対し、もっと女の子が大好きな、女の子っぽいアイテムやデザインを堂々と楽しもうという意気込みにも感じられます。 今回の展覧会は、ガーリッシュの元祖とも言える「リカちゃん人形」に焦点をあてます。今年40周年を迎える「リカちゃん人形」は、時代とともに変化する女の子のあこがれを形にしながら、40年という長い間に渡って人気を保ち続けているといえるでしょう。リカちゃんの40年をたどりながら、女の子がずっと変わらずあこがれているもの、あるいは時代とともに移り変わるものを見ていきます。 (1)あこがれのヒロイン 少女マンガから誕生したリカちゃん 女の子なら誰だって少女マンガのヒロインに憧れたことがあるのではないでしょうか。リカちゃんが生まれた1967年はまさに少女マンガの人気が急に高まりだした頃。なかでも人気の牧美也子さんの絵がリカちゃんのモデルになりました。完璧な美人というよりは、ちょっと鼻ぺちゃでかわいい女の子というリカちゃん。身近なヒロインは、たちまち女の子たちの人気者になりました。 (2)あこがれの職業 リカちゃんファミリーの華麗なるキャリア リカちゃんファミリーをみまわしてみると、その華麗なキャリアに圧倒されます。ママはファッションデザイナー、パパは世界を飛び回る指揮者、おじいちゃんは外交官、おばあちゃんはスイス大使館勤務とあこがれの職業が勢ぞろい。いったいリカちゃんは大人になったら何になるのでしょうか。第一生命調査による2006年女の子の憧れの職業ベスト3は、1位食べ物やさん、2位保育園・学校の先生、3位看護婦さん。リカちゃんやリカちゃんのお友達も、憧れの職業にチャレンジしています。 (3)あこがれの暮らし マイホーム・ドリームの変遷 リカちゃん人形のはじまりは、リカちゃんハウスからってご存知ですか? 子どもたちが楽しめるドリームハウスを作ろうというプロジェクトがやがて、そのハウスに暮らす女の子の人形をも生み出しました。リカちゃんの住む家はいつだって、あこがれの生活がいっぱい。子ども部屋が始めて登場したり、2階建ての家、大きなリビングの家、そして今はハートヒルズと、リカちゃんの住まいは時代とともに変化していきます。最初はヨーロッパ風の豪華な家具や装飾品に囲まれていたリカちゃんのうちは、しだいにシンプル・モダンに変わってきます。でも、やっぱり女の子の大好きなピンクや白、パステルカラーは欠かせません! (4)あこがれのファッション 最先端のガーリッシュ・ファッション ガーリッシュを代表するリカちゃんとしてはファッション抜きに語ることはできません。リカちゃんは女の子のかわいらしさとかっこうよさをとことん追求する女の子です。フリフリドレスももちろん大好きだけれど、近頃はブランドにも目覚め、いろんなファッションに挑戦しています。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/girlishculture.html
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うめめ:ここは石川県の部屋 梅佳代写真展
2007年6月9日(土) - 2007年7月16日(月)
今年度木村伊兵衛賞受賞、注目を集める写真家、梅佳代は石川県柳田村の出身。ありふれた日常のちょっと「へん」な呼吸感、絶好のシャッターチャンスをつかむ感性は天才的です。金沢21世紀美術館にあらわれる「うめめの部屋」には、梅さんが大好きな「じいちゃん」や家族、風景の写真いっぱい。映像にも初挑戦。現在は東京に住み自称都会人となった梅佳代さんの石川感たっぷりあふれる写真の世界にご期待ください。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/umeme.html
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我が文明:グレイソン・ペリー展
2007年4月28日(土) - 2007年8月31日(金)
「私の作品は、毒入りの宝物のようなもの。宝物だけど、呪われている。深い無意識の底から運ばれてきたそれらを「発掘」することは、考古学であり、心理学なのだ」 巨大な壺に描かれた殺風景な郊外の町並みやブランド・ロゴに女装した少年たち。華やかな装飾のはざまには様々な社会問題や暴力の場面が浮き上がり、女装した作家の姿もしばしば登場します。グレイソン・ペリーが生きてきた道のりと深くリンクするという点で、彼の作品は、自身の「文明」をたどる重要な発掘物といえます。愛するクマのぬいぐるみも、殺伐とした郊外風景も、自身の女装趣味さえも含まれる彼の文明は、「未開」に相対する「文明」をクリティカルに照射する試みでもあります。 1960年、チェルムズフォード(英国)生まれのペリーは80年代半ばから、暴力、偏見、性的抑圧、文化や信仰、自己とは何であるかといった諸テーマに関し、ユーモアやファンタジーを交えつつ、鋭い視点で捉えた作品を発表してきました。彼が主に手がける陶芸作品では、古典的な形の壺の表面に描き重ねた現代的主題と、豊かな色彩や装飾との重層的な絡まり合いが見る者の想像を膨らませます。陶芸のみならず、彫刻、写真、版画からキルトやドレスのデザインに女装という行為まで、ジャンルを超えた活動と強烈な表現内容で国際的な注目を集め、2003年には英国のターナー賞を受賞しました。日本初の個展となる本展では、初期から近年までの作品に多数の新作を加え、我々をペリーの「文明」を巡る旅へといざないます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/perry/index.html
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コレクション展 I
2007年4月28日(土) - 2007年7月16日(月)
金沢21世紀美術館のコレクションを紹介します。とりわけ、複雑な視点を織り交ぜ、社会の価値観の変化や転換と呼応するような作品を展示し、社会における人間の表現を問い直します。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/collection/2007_1/index.html
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「ピノッキオ」と「最後の晩餐」からの衣・食・住(WEARING・EATING・LIVING)」
LAST SUPPER ラストサパー
2007年4月14日(土) - 2007年6月3日(日)
まるで物語のなかに紛れ込んだかのようなカラフルでチアフルな新居幸治(アライコウジ)の服は、ピノッキオのイメージから作られている。とんがり帽子やほかほかの靴下。つま先の大きな靴。昼間は静かに行儀のよくしていても、みんなが寝静まると動き出しそうな人形たちのような服。そして、これらの服が特別なのは椅子が必ずセットになっていることにある。椅子があって初めて服が完成している、あるいは、椅子を着るために服があるような感覚。 多摩美術大学建築学科を卒業後、ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学んだ新居は、建築の延長線上で洋服を捉える。それは構成的な洋服ということではなく、服を住居や家具と同一線上に考えていくということ。家具がやがて服になり、服がやがて家具になり家になるような、柔らかな連なりである。これが舞台であれば、それぞれの衣装は引き立つようにデザインされるであろうが、新居の洋服はひとつひとつは強烈に個性的であるけれども、椅子にすっぽりと入ることによって、服を着たまま家具に溶け込んでしまうような心地よさをもたらすに違いない。 「LAST SUPPER」は、服は「ピノッキオ」から、インスタレーションはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をイメージしながら、ファッションを単独のものではなく「衣・食・住」の関連のなかで生活の一部としてとらえていく。「LAST SUPPER」は、ファッションだけでないファッション展、なのである。
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アトリエ・ワン いきいきプロジェクトin金沢
2007年4月1日(日) - 2007年9月17日(月)
塚本由晴と貝島桃代の2人の建築家ユニット「アトリエ・ワン」が、金沢の街を調査し、いきいきとした空間を提案します。これまで「動く家具」や「移動する教室」など、地域での調査をもとにユニークな提案を行ってきたアトリエ・ワン。本プロジェクトでは、地域の活動と建築家とのコラボレーションの可能性を探ります。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/atelier_bow_wow/index.html
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開田裕治展〜21世紀につなぐ幻想とロマンの系譜〜
怪獣と20世紀の夢
2007年2月24日(土) - 2007年4月8日(日)
開田裕治はパッケージアーティストである。プラモデルは、箱に描かれた絵から想像され、それを手に入れるかどうかが決定される。そこでは脇役であった怪獣やメカが主役となって新たなドラマが構築される。よりドラマチックに、より幻想的に、より魅惑的に、パッケージアートはその中に収められたものの魅力を最大限に引き出すものである。パッケージアートだから表現できる世界がそこにある。 パッケージアートの世界は、戦車や飛行機など手がけた小松崎茂を第一人者とし、今日では特撮やアニメーションのキャラクターがその主流を占める。なかでも開田裕治は映像の世界をはるかに凌駕した魅惑の幻想世界をリアルに描写する、今を代表するパッケージアーティストだといえる。絵画的なイラストレーションではなく、幻想としてリアリティを追求する開田裕治のパッケージアートは、光と影を効果的に配したその色彩と質感表現に特徴がある。怪獣たちの空想のドラマを描きだすパッケージアーティスト、開田裕治のオリジナリティに迫る。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/ja/special/kaidayuji/index.html
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MEGANE FACTORY
2007年1月6日(土) - 2007年2月18日(日)
メガネって不思議だ。いつも見慣れた自分の顔がガラッと変わる。いや、メガネひとつでいつもの顔が変えられるのだから、こんなに面白いことはない。「メガネは顔の一部です」というCMもあったけれど、まさにそのとおり。ファッションともいうけれど、顔にのっかっているんだから、これは最重要課題。洋服とは比較にならないほどの使命を帯びているのだ。 金沢美術工芸大学には「メガネ部」がある。製品デザイン専攻の学生が中心となって日夜メガネのデザインについて考えている集団である。学生だから、若いからという言葉は使いたくないが、その発想の斬新さは、頭の柔らかさゆえ。これまでにない新たなデザインのメガネが、部の伝統とともに次々と生み出されていく。 学生たちが考えたメガネが現実のものとなったのは、福井県眼鏡協会の協力があってのことである。福井県眼鏡協会が主催する「メガネデザインコンペ」にメガネ部が参加し、受賞をきっかけにプロダクトが作られることとなった。まさに産学官協同プロジェクトによってこれらのメガネが生み出されたのである。今回の展示はメガネ部が中心となって企画してくれた。斬新なメガネと共に、見せ方へのこだわりも存分に発揮して、未来のメガネ工場がデザインギャラリーの誕生する。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/megane.html
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リアル・ユートピア〜無限の物語展
2006年11月23日(木) - 2007年3月21日(水)
「わたしは一度だけ自分に空想を許しました。木の枝ではためいているビニールシートと、柵という海岸線に打ち上げられているごみのことを考えました。半ば目を閉じ、この場所こそ、子供の頃から失いつづけてきたすべてのものの打ち上げられる場所、と想像しました。いま、そこに立っています。」 —カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(土屋政雄訳)※ 日常と非日常の錯綜、人間の種のあり方が攪乱する現実、個人が均一化されそれを当然なものとして受け入れることを強制する社会、危機的な状況にありながら束の間の幸福感を希求する生活。このような世界の断片を日々経験しながらも、我々は人間の愛、友情といったヒューマニティ、直感的で感覚的なものを常に探求し、そこから手繰り寄せられるような「ここではないどこか」という未来的な理想郷を求めています。 「リアル・ユートピア〜無限の物語」は、人間の認識の模様や我々が生きる世界を、多様な時間軸と空間軸が錯綜する流動的なものとしてとらえ、それらの諸相を物語る4人の作家とともに新たな世界を探求する展覧会です。人間による創造とリアリティの境界、さらには、その複雑な関係を探るイ・ブルの作品、生と死、自己と世界の関わりを無限の創造により探求する草間彌生の作品、強烈な社会批判と個という存在や表現のあり方をパフォーマンスや絵画をとおして体現した岸本清子の作品、独特の皮肉やユーモアを織り交ぜながら繊細な世界を構築する木村太陽の作品。彼らの作品世界は、個人の現実認識や創造の多様性、そしてその社会性や共同体との複雑な関わりを示唆し、また人間が、自身のルーツを探り、さらにはユートピア的な場所での自らのあり方を求めながら、「いま、ここ」を生き抜いている模様を描いています。これらの営みは、多様な時空を駈けめぐりながら、自身の存在をどのように世界に位置付けるかについての探求作業ともとらえられます。 これらの作品において体験される、過去、現在、未来、そして現実と理想という様々な枠組みが解体されながら螺旋状に結びつく諸相や、その際限ない結びつきのプロセスのなかで無限に生み出される新しい世界像をとおして、本展は、我々が生きる世界についての再考を試みます。 ※カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳『わたしを離さないで』早川書房、2006年、p344 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/real_utopia/
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アーティストによるクリスマス・デコレーション
服部睦美 ムーヴィング・クリスマス
2006年11月3日(金) - 2006年12月24日(日)
クリスマスには、街中がにぎやかに飾られ、赤や緑や輝く色彩が楽しい気持ちを盛りたてます。ちかちかと光り輝くクリスマスツリー、だぼだぼの衣装を着た不慣れなサンタクロース。私たちのクリスマスは、そんなありきたりの色やかたちで表されてしまうものなんだろうか。もっと個人的で特別な日であるように思うのに。 服部睦美さんのクリスマスのイメージは、そんな気持ちにこたえてくれるように思うのです。小さな街の風景のなかに、小さな羽を持った不思議なものたちがふんわりと漂い、また次のクリスマスへと進んで行きます。服部さんの手が打ち続けた金属の輝きは、無数の光の屈折となって、クリスマスの日に芽生えたすべての感情を受け止めてくれるかのようです。空想の中をたゆらいながら、クリスマスのイメージは連なり、時を紡いでいくのです。もしかしたら、赤い飛行機は贈り物を乗せて、猛スピードで駆け抜けてゆくのかも知れない。けれど、超高速の飛行機も服部さんのイメージのなかでは、ときどき気まぐれの風が駆け抜けるように、クリスマスを渡っていくのです。 これからのクリスマスは、自分の心の感じるままにデザインしてあげてもいいのではないでしょうか。「アーティストによるクリスマス・デコレーション」は、自分らしいクリスマスを過ごして欲しい、そんな思いから始まります。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/movingxmas.html
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金沢ファッション産業創造機構「創作セレクト展」
2006年10月14日(土) - 2006年10月29日(日)
新たな生活の新提案として開発された、伝統工芸の方々によるカーテンの房飾りや、外国人アーティストのデザイン画をモチーフした浴衣や洋服など、伝統の技術が息づく、感性豊かな新商品が展示されます。 ★詳しくは「かなざわごのみ おしゃれメッセ」サイトをご参照ください。 http://www.oshalemesse.com/
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奈良美智展「Moonlight Serenade -月夜曲」
2006年9月30日(土) - 2007年3月21日(水)
国際的に活躍するアーティスト、奈良美智の世界観絵画・彫刻作品の展示によって紹介します。また、奈良自身が金沢にて滞在制作を行いながら、音楽、パフォーマンスといった他分野の活動を始動させ、制作プロセスから成果までをトータルに展観します。新作インスタレーション《Voyage of the Moon》の展示をはじめ、2003年以降、共同制作を続けている大阪のクリエイティブユニットgrafが構築する「小屋」や「カフェ」を舞台に、巨大ぬいぐるみの共同制作プロジェクト「Pup Up the Dog」や小学生の子どもが犬の着ぐるみを着て美術館を探検するプロジェクト「Pup Patrol」、イヴェント開催などジャンルを横断したクリエイティブな時空間が創出されます。
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artificial heart:川崎和男展
2006年9月16日(土) - 2006年11月12日(日)
タワシ、メガネ、インテリア、車椅子、コンピュータ、ロボット、家庭用原子力発電機から人工臓器まで、常に新たな地平を目指して飛行するデザイナー川崎和男の大規模な個展。キーワードは「いのち・きもち・かたち」。「21世紀はデザインが日本を変える、世界を救う」と主張し、最先端の技術を駆使しながら、あくまでも「手でデザインする」ことの価値を唱える川崎のデザインワークを映像と音楽を取り込んだ体験型の展示空間によって紹介する。とりわけ、ビートルズの曲を仕組んだ12のオブジェによるインスタレーション《PLATON'S ORGEL》(プラトンのオルゴール)は必見。
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ThinkingSketch Project
シンキングスケッチ プロジェクト
2006年9月2日(土) - 2006年10月19日(木)
シンキングスケッチ(ThinkingSketch)は新しい発想のデザインソフトです。これまでのデザインソフトは、人があらかじめイメージを持っていなければならず、いくらコンピュータを使っても、結局は、絵の得意でない人には難しいものばかりでした。シンキングスケッチは、人のイメージに頼らず、コンピュータと人が対話しながらデザインを作り上げていくソフトです。○や△などの幾何学形態、あるいはいたずら描きやデジカメ写真が「アートのたね」となり、重ねたり組み合わせたり並べたりしながら、新しいデザインイメージを次々生み出していきます。この「シンキングスケッチ」で、あらゆる角度からシンキングスケッチによるデザインのユニークさを体験してみてください。 ・デザインギャラリー「アートゲノム/ArtGenom」 シンキングスケッチでイメージを作り上げるプログラムのことを「アートゲノム」=アートの細胞と呼んでいます。アートゲノムと、そこから細胞分裂のように生まれていったデザインイメージ展示します。 ・会議室3「メディアテーブル/NediaTable」 メディアテーブルはシンキングスケッチを手軽に体験することができる専用テーブルです。直感的な操作でオリジナルのデザインイメージを作り出すことができます。気に入った作品はWEBギャラリーに展示することができます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/thinkingsketch.html
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コレクション展II
2006年9月1日(金) - 2007年4月12日(木)
新規収蔵作品を含む9作家34点を展示します。うち29点は開館後初公開の作品です。展示にあわせ、田中敦子《作品(ベル)》の試作を行いました。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/collection06_2/index.html
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スノードーム展 小さな小さな雪の世界
2006年7月7日(金) - 2006年8月27日(日)
スノードームを知っていますか?世界中のお土産として売られているので、一度は、逆さまにして雪を降らせたことがあるのではないでしょうか?本展ではスノードーム美術館のコレクション5000点以上の中から約200点を展示いたします。夏だからこそ、心に残る小さな雪景色を思い出してみませんか? ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/snowdome.html
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井上 剛 展 ガラスとその空間
2006年5月18日(木) - 2006年7月2日(日)
卯辰山工芸工房出身であり、本年3月まで専門員であった井上剛のガラスによるインスタレーション作品展である。 半透明な艶消し鋳造ガラスの作品は、数字の「0」と「1」をモチーフにしており、「ある」ことと「ない」ことが同時に組み合わされることによって、「実在」と「非在」の不確かさ/あいまいさを示すこととなる。作家最大規模になる新作を含めた10点によるインスタレーション展。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/designgallery/inouetsuyoshi.html
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金沢市・ゲント市姉妹都市提携35周年記念
人間は自由なんだから:ゲント現代美術館コレクションより
2006年4月29日(土) - 2006年8月31日(木)
ベルギーのゲント市と金沢市との姉妹都市提携35周年を記念して、ゲント現代美術館のコレクションから、11作家約70点の作品を紹介します。 出品作家: アルトゥール・バリオ、ヨーゼフ・ボイス、マルセル・ブロータース、カタリーナ・フリッチュ、ファブリス・イベール、アニカ・ラーソン、マーク・マンダース、ブルース・ナウマン、パナマレンコ、リュック・タイマンス、ロイス&フランツィスカ・ヴァインベルガー 出品点数: 約70点(絵画、インスタレーション、立体、映像など) ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/ghent/index.html
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キヌコヤマベ−クラフト 幻想画の世界“春の夜の夢”展
2006年4月4日(火) - 2006年5月14日(日)
金沢美術工芸大学卒業し1960年代初頭に渡米、現在ではアメリカを代表するイラストレーターのひとりとなったキヌコ・Y・クラフトの地元石川県での初めての本格的な展覧会。描かれるファンタジーの世界は、細部まで物語に満ち、どこまでも可憐で華麗である。大画面に描かれた小さな一輪の花までにも輝きが与えられていた。
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コレクション展I
2006年3月21日(火) - 2006年8月20日(日)
1980年代以降に制作された美術作品を中心とする金沢21世紀美術館のコレクションを紹介します。とりわけ、複雑な視点を織り交ぜ、社会の価値観の変化や転換と呼応するような作品を展示し、現代社会における人間の自由や表現を問い直します。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/collection06/index.html
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〜芸術・科学・子どもたちの出会い〜
メビウスの卵展 15年の挑戦 光のアートランド
2006年3月18日(土) - 2006年3月31日(金)
五感で体験するアート&サイエンスの展覧会として、15年間、50回以上開かれている「メビウスの卵展」から、光をテーマに厳選された作品を交流ゾーンに展示。デザインギャラリーには、本郷仁、内倉ひとみ、カスパー・シュワーベの作品が展示され、連日、長蛇の列となった。また、金沢工業大学メディア情報学科と情報フロンティア研究所により、手でみる会場地図「触知地図」の実験も行われた。
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木工家具のニューウェーブ 般若芳行展
2006年2月22日(水) - 2006年3月15日(水)
金沢美術工芸大学出身の般若芳行がひとつひとつ手で作り上げる家具は、それぞれの木が持つ性質を十分に感じとり、無理のない形を作り出す。自然に生み出された曲線によってもたらされるフォルムの美しさが、家具としての心地よい形態と調和していることを実際に触れることによって感じることができた。
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オーストラリア展出品作品による
石川グラフィックデザイン展「石川・金沢ー心と形」
2006年1月22日(日) - 2006年2月18日(土)
石川県内で活躍するクリエイター達が海外で発表する「石川グラフィックデザイン展」の第4回はオーストラリア、アデレードでまさに「石川・金沢」をテーマに開催された。本展はその日本での展示となる。クリエイターが表現する石川・金沢の個性は多様であり、また新鮮でもあった。
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Kanazawa 12 Chairs Exhibition
2005年12月3日(土) - 2006年1月17日(火)
ネクストマルニの思想の背後にあるのは「棲むところとはなにか」、「椅子とはなにか」、「空間とは、そして、日本の間とはなにか」ということ。12人のデザイナーによる12脚の椅子から始まったネクストマルニプロジェクトから日本の美意識へのメッセージを発信していきます。 ネクストマルニセミナー「椅子を考える」 12月11日(日)14:00〜16:00 金沢21世紀美術館レクチャーホールにて 講師:黒川雅之(建築家、ネクストマルニプロデューサー) 参加方法は、 http://www.nextmaruni.com/exhibition/exhibition_index.html をご覧ください。
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Alternative Paradise 〜もうひとつの楽園
2005年11月5日(土) - 2006年3月5日(日)
『Alternative Paradise〜もうひとつの楽園』展は、ジャンルを超えて、「工芸」の現代的価値を問いかける展覧会です。 本展では素材と表現の関係に着目し、国内外の11人の作家による作品とともに、「茶室」を現代的に解釈した隈研吾の≪T-room≫を展観します。水、音、光、土、木、髪、布、映像、ガラス、プラスティック、人工皮膚など、様々な素材が用いられ、既成のジャンルを横断して展開する現代の工芸的造形世界。ここに集う表現に共通するのは、自然を征服し支配するのではなく、むしろ寄り添って親密に交流し、素材を生かし他者を生かしていくという生成の過程に注がれた眼差しのやさしさです。そこには、前世紀のうちに稀薄になってしまった私たちの生の実感を取り戻す手がかりがあるのではないでしょうか。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/alternative_paradise/index.html
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Fiber & Space ー素形への軌跡から純化する領域へー 濱谷明夫展
2005年10月20日(木) - 2005年11月29日(火)
一本の糸から壮大な空間を編み上げる濱谷明夫。金沢駅の「もてなしドーム」開設を記念して設置された作品は軽やかな白い糸の造形であったが、本展での重量感ある黄色い円錐形を二つ重ね合わせたような造形は、ダイナミックで圧倒的な存在感を持っていた。来場者はその糸の間をくぐりぬけることもでき、重量感はやさしく乾いた糸の肌ざわりとともにやがて消えてゆく。素材のもつ特性を生かしきった作品だといえる。
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ゲルハルト・リヒター:鏡の絵画
2005年9月3日(土) - 2005年10月26日(水)
ゲルハルト・リヒターは現代絵画の巨匠として高い評価を受けているドイツの画家です。本展は、リヒターの1960年代から40年にわたる長い画歴を、日本で初めて総合的に紹介する個展です。出品作品約50点は、リヒター自身とデュッセルドルフ(ドイツ)のノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館の全面的協力により、厳選されました。 白黒の写真を元に描いた絵画「フォト・ペインティング」、色見本のような幾何学的な絵画「カラー・チャート」、ロマンティックな風景画や静物画、大胆なモノクロームの「グレイ・ペインティング」、ガラスを用いた作品など、高度な絵画技術をもって多様なスタイルを同時期に並行させながら、一貫して「絵画の可能性」を追求し続けるリヒター。それらの作品は彼が生きてきた時代背景をかいま見せるとともに、時空を超えてつながり合い、新たな地平へと私たちを導きます。 「鏡は、より完璧な絵画である」−− リヒターは、写真と絵画、現実と幻影、具象的なものと抽象的なものといった境界に立ち、同時にそのどちらをも超えて、絵画の根底にある「見るという行為」の意味について私たちに問いかけます。 リヒターの芸術は、膨大な作品をどのように組み合わせて展示するかにより、万華鏡のようにその表情を変えます。本展は、制作された年代を追いつつ、テーマ、スタイル、サイズ等、作品の性格に着目してその並べ方も多様性をもたせました。そんな展示空間は、無辺の可能性を湛えるリヒターの世界へと私たちをいざないます。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/richter/index.html
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珪藻土アートプロジェクト 珪藻土のめぐみ展
2005年8月12日(金) - 2005年10月16日(日)
開館1周年を記念して行われた珪藻土アートプロジェクトは、日本一の埋蔵量を誇る石川県珠洲の珪藻土のアート素材としての可能性を検証するもので、「珪藻土のめぐみ展」はそのプロローグとして開催された。切り出された生の珪藻土と、その珪藻土から発見された古代生物の遺骸を展示するとともに、呼吸する珪藻土の姿を顕微鏡写真で伝え、科学的かつ感覚的に珪藻土を紹介する展示となった。
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加藤裕三の |【おまけ】|の夢
2005年7月14日(木) - 2005年8月7日(日)
赤いパッケージで親しまれるおもちゃ付グリコ −− おもちゃの小箱をあける瞬間のときめきは、多くの人に共有されてきました。グリコのおもちゃは、現在も大人をふくめた「おまけ」(食玩)ブームをつくり出していますが、その80年の歴史に大きな転機をもたらしたのが加藤裕三です。1987年〜1993年に彼が世に送り出した約150点のプラスティック作品は、「動くおもちゃシリーズ」として大ヒットしました。このシリーズは、作家個人による表現と、企業の商品企画が見事に融合した例としても先駆的な意味をもっています。今回の展覧会は、作品と木の原型(プロトタイプ)・アイデアスケッチ・制作図面などを展示し、加藤裕三の豊かな遊びの世界にじかにたっぷり楽しみながら、シリーズ企画自体の独創性を感じ取っていただきます。
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マシュー・バーニー:拘束のドローイング
2005年7月2日(土) - 2005年8月25日(木)
この展覧会は、アメリカを代表する若手現代作家の一人、マシュー・バーニーの日本での初の個展です。また、日本をテーマにした新作の、世界に先駆けてのプレミアム発表となります。 新作『拘束のドローイング9』は、「捕鯨」と「茶道」といった日本の文化をテーマに、映画、彫刻インスタレーション、写真など多彩なメディアで展開される作品です。またパートナーであるアイスランド出身のボーカリスト、ビョークが映画音楽と展示インスタレーションの音楽を担当。バーニーと映画においても共演するなど、話題を呼ぶ内容となっています。 これにあわせて、この展覧会では、1980年代後半より制作している『拘束のドローイング』シリーズすべてを展示します。この『拘束のドローイング』は、主にドローイング、映像、彫刻から構成される連作です。『拘束のドローイング』には、そのタイトルから連想されるように、ドローイングを行う際に身体に拘束、制限を与え、そこから生まれる未知の形に挑戦するという意味があります。人間の身体とそれを取り巻く世界、あるいは身体内での活動、エネルギーの問題を主題とする作品なのです。 クールな視点でとらえられた日本の風景やバーニーとビョークが鯨に変身する華麗な場面による映像、展示空間をうめるダイナミックな彫刻、金沢21世紀美術館という円形で透明な建物の中で心躍る光景が展開されるでしょう。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/barney/index.html
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第100回 杜の賑いインいしかわサテライトイベント金沢会場
TEWAZAニューウェーブ展
2005年6月28日(火) - 2005年7月10日(日)
各地の伝統芸能や文化の魅力を発掘し紹介する人気イベント「杜の賑い」の第100回が石川県で開催されます。 「TEWAZAニューウエーブ展」は、そのサテライトイベントとして21世紀美術館デザインギャラリーに輪島塗、山中漆器、九谷焼といった石川ならではの分野から若手作家を選出し、従来のワクを越えた意欲的な作品を集める特別展です。伝統芸能いしかわの地から生まれた新しい創作の息吹。思わず使いたくなる手のぬくもりと新しい和の感性。現代のアルチザンが創る「用の美の世界」をお楽しみ下さい。
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風景の感じ方 ー九谷焼の色とかたちに記憶を重ねてー 高橋治希展
2005年5月20日(金) - 2005年6月24日(金)
自己のアイデンティティを、故郷金沢に見出し、制作場所を移すと同時に、それまでの映像から九谷へと表現方法を変えた。その根底にある「風景」への偏愛はかえって生の映像よりも草木の連関、そして葉や花びら一枚一枚に描かれる心象風景の重なりによってより鮮烈な印象を与えることとなった。美術館のガラス壁面から見える外部の風景と自然な一体感のある空間となった。
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世界の美術館:未来への架け橋
2005年4月29日(金) - 2005年5月22日(日)
金沢21世紀美術館の設計は、他の美術館建築の調査からスタートしました。各美術館が何を目指し、建築家とともにどのような建物を構想し、実現したか。建物には美術館と建築家が、美術館の存在意義、都市との関係といった問題に向き合い、見いだした、それぞれの解答が示されています。 この展覧会は、1990年代以降に世界各地で構想、実現された25の美術館・博物館建築を紹介するものです。フランク・O.ゲーリー、安藤忠雄など、世界的な建築家たちが設計した美術館建築の模型、図面、写真など約300点を展示しながら、建築に示されたそれぞれの美術館のコンセプトを示します。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/sanaa_museum/index.html
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妹島和世+西沢立衛/SANAA
2005年4月29日(金) - 2005年5月22日(日)
金沢21世紀美術館の建物の設計者、妹島和世と西沢立衛は、1995年に共同設計事務所「SANAA(Sejima and Nishizawa and Associates)」を設立しました。彼らは、独自に展開したデザインを個々の事例に当てはめる従来の建築家とは異なり、情報を収集し、丹念にそれを読み込むスタディを通して、デザインに反映させていく新しいコンセプトモデルを実現するために、多くの試みがなされました。2004年に竣工・開館した当美術館の建物は、外周が全面ガラス張りの円形の平屋で、その中に様々な大きさの直方体の展示室が散在するという構成によって、これまでの美術館にない開放感と自由な流動性を生み出し、高い評価を得ました。建物の「表」と「裏」の関係、「プライヴェート」と「パブリック」の関係など、建築の設計における暗黙の決まり事を解体し、建物を使う人々の間に新しい関係を設定することが、二人の特徴と言えます。 本展は、初期のものから最新プロジェクトに至る二人の建築家の試みを、新しい展示方法によって示すものです。設計途中の多くのスタディ模型やスタディ図面を展示することによって、二人がかたちを生み出す過程を示すとともに、3人の写真家が作家としての視点で捉えた金沢21世紀美術館の写真を展示します。 (1)スタディ段階の図面、模型を多数展示することによって、かたちの生成するプロセスを示します。 SANAAの設計手法の特徴として、条件から引き出される無数のバリエーションを一旦図面や模型といったかたちにして検証してみることが挙げられます。このスタディ段階の図面、模型を多数展示することによって、かたちの生成するプロセスを示します。 これまで建築をテーマにした展覧会では、図面や写真、模型を展示し、完成された建築の概要を提示することが多く見られましたが、この展覧会では、それへ至る過程、つまり建築家の思考と生成のプロセスを示します。 (2)金沢21世紀美術館の写真を展示することによって、SANAAの建物に対する新たな解釈を提示します。 SANAAの建築はホンマタカシ、ルイザ・ランブリ、ウォルター・ニーダマイヤーなど多くの写真家を惹き付けています。それらの写真家が撮影した金沢21世紀美術館の新作写真を展示することにより、SANAAの建物に対する新たな解釈を提示します。 (3)SANAAの作品=金沢21世紀美術館の中で、SANAAのワークを紹介します。 なにより会場の金沢21世紀美術館は、SANAAの代表作。この美術館は、有料・無料ゾーンの区分けを変えることができたり、展示室が独立して散在するといった具合に、これまでにない美術館の特徴を持つと同時に、SANAAの建築に対する考え方が表されています。その展示空間を、SANAAのワークが埋め尽くします。 ★特設サイトはこちら http://www.kanazawa21.jp/exhibit/sanaa_museum/index.html
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うるしの景色 村本真吾・藤野征一郎展
2005年4月1日(金) - 2005年5月14日(土)
石川の伝統工芸のひとつである漆を若い感性で展開する2人の作家の展覧会である。村本真吾は、自然の木々の姿から触発された造形を試み、柔らかいリズムと共に新鮮な印象を演出する。藤野征一郎は一瞬の動きを鋭い感覚で昇華させながら、漆素材による画肌と色彩の変化で新たな造形を生み出す。まさに現代のリリシズムが表現された漆の世界である。
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開館記念展「21世紀の出会い−共鳴、ここ・から」
2004年10月9日(土) - 2005年3月21日(月)
21世紀の今を生きる私たちの「こころ」と「からだ」の新しい感じ方を表現する作品との出会いを作り出す展覧会です。多くの情報に接しながらも、私たちは新たな感性を育み、世界に向けて自分を開いてくれる豊かな体験を求めています。本展では、金沢21世紀美術館という場所のために特別に作られた新作も含め、17ヶ国から招いた約40人の作家たちが、時代の感性を体現する様々な表現を展開します。円形の美術館の中に島のように点在する異なった展示室を訪れると、人々はそこで繰り広げられている作品という名の新しい出来事と出会い、回遊を重ねることによって、様々な時間が流れていることに気づくでしょう。互いに相手の領分を侵すことなく自らの調べを奏でる作品たちは、時に共鳴しあい、観客のこころとからだにポリフォニー(多声唱和)を響かせます。こうした作品との出会いを通して、一人一人が発見、対話、交流することによって、新たな自分と出会い、「ここ」から新しい世紀の輪となって広がっていきます。
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