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開館

EXHIBITION展覧会

開館15周年記念

現在地:未来の地図を描くために[2]

2019年10月12日(土) -
2020年4月12日(日)

クリス・バーデン《メトロポリス》2004
金沢21世紀美術館蔵
© Chris BURDEN / Licensed by the Chris Burden Estate
photo: KIOKU Keizo

インフォメーション

期間:
2019年10月12日(土) 〜2020年4月12日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで) 前期:2019年10月12日(土)~12月19日(木) 後期:2020年2月4日(火)~4月12日(日)
会場:
金沢21世紀美術館
展示室1〜6、長期インスタレーションルーム、交流ゾーン
休場日:
月曜日(ただし10月14日、10月28日、11月4日、2月24日は開場)、10月15日(火)、11月5日(火)、12月20日(金)〜2月3日(月)、2月25日(火)
料金:
一般=450円(360円)
大学生=310円(240円)
小中高生=無料
65歳以上の方=360円
※( )内は団体料金(20名以上)
音声ガイド:
料金:スマートフォン用アプリケーション(スマートフォン決済/Apple Storeで販売) 490円
   レンタルオーディオガイド 600円 
貸出場所:総合案内モニター前
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

概要

当館は開館15周年を迎え、コレクション収集を開始した開館前の2000年から20年の間に約3,880件に上る作品を収蔵するに至りました。その間、社会の状況は目まぐるしく変化し、コレクション作品もその時代の空気を鋭く読み取る作品が増えていきました。本展では、改めてコレクション作品を見直す中で、多様化、複雑化する現代において自分たちの現在地がどこにあるのかを見据え、未来に向けてどのような地図が描けるのかを考えます。

関連プログラム

マチュー・ブリアン アーティスト・トーク
日時:10月12日(土) 14:00〜15:30
   ※逐次通訳付き(日英)
会場:レクチャー・ホール
料金:参加無料
定員:70名(先着順)
開場:開演の15分前

抽象的な価値

照屋勇賢《金沢21世紀美術館》2019
作家蔵
Courtesy of the Artist and Yumiko Chiba Associates
photo: Yuken Teruya Studio

資本主義の成熟は、世界のあらゆる存在が市場経済に偏った価値づけに従うことを示した。美術作品もまた例外ではなく、市場の価値が作品そのものの価値のように考えられているが、果たしてそうなのだろうか。価値とは極めて抽象的なもので、本来は人によってその基準も本質も異なるものだ。20世紀は人類史上、もっとも経済上の価値に支配され、現在ではますます加速していく傾向にあるが、それ以外に我々が創造できる価値があることを、美術作品を通して再考する。

出品作家:照屋勇賢

身体

沖潤子《つばめ》2015
金沢21世紀美術館蔵
© OKI Junko photo: KIOKU Keizo

古代において身体は、自然と交流し神や精霊を宿すための器だった。しかし、科学の進展とともに、現代においては生命の仕組みが徐々に解き明かされ、身体は分子レベルで操作可能な物質のネットワークへと還元されつつある。高度に合理化された社会環境において身体が新たに獲得/喪失した意味について、また身体に宿る記憶に向き合う芸術家たちの作品を通して、現代において私たちが身体をいかに眼差すようになったのかを問う。

出品作家:田中敦子、アナ・メンディエタ、小谷元彦、沖潤子、イ・ブル

オブジェクトー事象と概念のモデル

ベンアンドセバスチャン
《金沢21世紀美術館:空虚部門》2017
金沢21世紀美術館蔵
© benandsebastian photo:KIOKU Keizo

オブジェクトには固有のデータがあり、その雛形を複製すると空間上に具体的なオブジェクトが作られる。具体的なオブジェクトだけでなく、仮想空間においても同様の手法を用いてシステム全体を思考することができる。21世紀において、美術におけるオブジェクトを考えるとき、データによる仮想化が進行しているため、オリジナル、複製、クローンといったキーワードに加えて、クラス(階級)やインスタンス(事例)にも言及しなければならなくなるだろう。

出品作家:ベンアンドセバスチャン

(ディス)コミュニケーション

泉太郎《30》2017
Exhibition view of Taro Izumi, “Pan,” Palais de Tokyo,
2017 supported by SAM Art Projects.
金沢21世紀美術館蔵
photo: Aurelien Mole

会話によるコミュニケーション以上に、スマートフォンやパソコン上でのやりとりが日常化しつつある昨今、コミュニケーションが成立しているか否かを判断するのはきわめて曖昧な環境にあるといえる。遠くにいる他者と瞬時にコンタクトが取れ、一見誰とでも簡単に意思疎通が叶うような気にさせられるが、それは本当に分かり合えていると言えるのだろうか。声を発することのないやり取りが日々繰り返される現代社会において、何をもってコミュニケーションが成立しているといえるのかを改めて問いかける。

出品作家:泉太郎

コラージュ

金氏徹平《Endless, Nameless #1》2014
金沢21世紀美術館蔵
© KANEUJI Teppei
photo: KIOKU Keizo

コラージュとは、元々「糊で貼り付ける」という意のフランス語の動詞から派生しているが、20世紀初頭、シュルレアリスムやキュビスムの作家たちはこの技法を作品に取り入れ、本来は無関係な諸要素を組み合わせることで、形や構造だけではなく意味をも撹拌し、そこに理知的な解釈を凌駕した創造性を見出してきた。切って貼るという技法のキッチュさとも相まって、コラージュは現代美術においてもしばしば見られる表現である。カラー写真の印刷物によって作品に生々しさが宿る一方、雑誌や漫画といった既成のイメージの氾濫は、パロディやアイロニーを感じさせる。コラージュは、コンピュータ上での「カット・アンド・ペースト」のような処理に慣れ親しんだ私たちの視覚経験にも通じるものであり、造形芸術における一技法を越えて、現代社会における認識そのものを問うパラダイムであるといえよう。

出品作家:金氏徹平、清水晃、草間彌生

視覚の混乱

《SYS*017.ReR*06/PiG-EqN\15*25 (user model) 》
Producer: Mathieu BRIAND
2004/2019
金沢21世紀美術館蔵
Courtesy of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

20世紀におけるテレビやビデオ、映画、インターネットといったメディアの発展は目覚ましく、映像という虚構と現実の境界は極めて曖昧になった。21世紀の現在、SNSを通して日夜流れる大量の映像は、もはや何が真実かわからない状況を加速させている。自分の意志を超えて、見ている映像を無差別・無関係に接続し入れ替え、視覚を揺さぶる本作品は、興味や関心を呼ぶ以上に、現代の視覚の狂騒を批評している。

出品作家:マチュー・ブリアン

KOGEI

上出長右衛門窯+丸若屋《髑髏 お菓子壺 花詰》 2009
金沢21世紀美術館蔵
© Kamide Choemon Gama © Maruwakaya
photo: SAIKI Taku

工芸については、土地に根ざす、歴史的・文化的な出自が明らかな「工芸」から、3Dプリンターや作り手の移動、交流、協働から生まれる、世界性が宿る「KOGEI」への過渡期にあると考える。一方、現代美術は、行きすぎたグローバル化から地域への回帰という「工芸」とは逆の方向に進む勢いが見て取れる。現代の工芸を考える上では、既存のカテゴリーやジャンルの範囲内に収めずに、自由を獲得できる場の創生につなげるという意味で、本展では「KOGEI」と綴り、いったんは既存の価値基準から解き放ち、素材、手法、造形の多様さを主体にした展示を試みる。時代と共にある現代美術と「KOGEI」には、風土、文化、身体性、物質性、社会との関わりなど、双方に共通するキーワードから交差する地点を考察することも可能であろう。

出品作家:「雲龍庵」北村辰夫、寺井直次、山村慎哉、富本憲吉、前史雄、大場松魚、中野孝一、猪倉髙志、ボディル・マンツ、上出恵悟、上出長右衛門窯+丸若屋、青木克世、竹村友里、蓮田修吾郎、畠山耕治、ピピン・ドライスデイル、三代 德田八十吉、見附正康、葉山有樹、北出不二雄、大樋陶冶斎(十代 長左衛門/年朗)、桑田卓郎、スコット・チェイスリング、マイケル・ロウ、ロン・ケント、中川衛、十一代 大樋長左衛門(年雄)、中村卓夫、ルパート・スパイラ、須田悦弘、奥村浩之、橋本雅也、久世建二、板橋廣美、中村信喬、家住利男、田嶋悦子、田中信行、塚田美登里、扇田克也、楢原寛子、ヤン・フィシャル、ヴラディミール・ズビニオヴスキー、宮崎寒雉

創造する風景

曽根裕《ホンコン・アイランド/チャイニーズ》1998
金沢21世紀美術館蔵
© SONE Yutaka
photo: SAIKI Taku

曽根裕は、世界中の大自然、密林、洞窟、砂漠、あるいは都市を歩く。見出される光景は時に目前にありながらも見えない距離を感じさせるような、人の知覚を超えた壮大な物語を内在させながら自律的に偏在しているかのようだ。作家は、自身の経験、記憶、感覚、想像を総動員させながら、そこにあるはずの出来事を、何億年という時間を内包する大理石を彫刻することで生まれる純白の景色として昇華させようとする。そしてあらためて新しい「風景」の創造を試みる。

出品作家:曽根裕

素材と技法

ヤン・ファーブル《昇りゆく天使たちの壁》1993
金沢21世紀美術館蔵
© Angelos bvba / Jan Fabre
photo: SAIKI Taku

20世紀の後半以降、絵画や彫刻、工芸、写真といった従来のジャンルに収まらない、あるいは複数のジャンルを横断するような試みが繰り広げられるようになった。21世紀に入ると、私たちを取り巻く社会状況の変化とともに、美術作品に用いられる素材や技法も加速度的に変化し、もはやジャンルで作品を分類することが不可能な状況になっている。その一因として、西洋中心主義的な美術のあり方が批判され、様々な地域や文化圏の表現が、現代美術の俎上に載せられてきた背景も忘れてはならない。このセクションで取り上げる作品の素材には、錆びた金属、木材、土、虫などフラジャイルなものも少なくない。また、技法もきわめて多様かつ複雑である。こうした作品をいかに保存し、未来へと引き継いでいくかも現代美術館の大きな課題のひとつである。

出品作家:エル・アナツイ、小谷元彦、ヤン・ファーブル、中村錦平、中村康平、中川幸夫、須田悦弘

都市空間

クリス・バーデン《メトロポリス》2004
金沢21世紀美術館蔵
© Chris BURDEN / Licensed by the Chris Burden Estate
photo: KIOKU Keizo

都市空間は、全体像より構造の把握がより重要になっている。人間が地上を歩く以上に、技術革新によって、様々な視点を獲得したためだ。パルテノンに象徴されるような秩序を形成しようとする意思と、それにもかかわらず不定形のまま迷路のように形成されるという、極端な要素の間の緊張が都市を形作る。20世紀に発達したモータリゼーションは、電気化や無人化で大きく変化しつつあり、可視
化されないネットワークの網目はより複雑化していて、今後ともこの傾向は加速されるだろう。21世紀に入り、世界的に都市への集中が見られる中で、都市論は建築や外形だけでなく、交換と流動がダイナミックに交差する生成の場として考える。

出品作家:クリス・バーデン

運転時刻表:
[1] 11:00〜11:30
[2] 13:00〜13:30
[3] 15:00〜15:30
[4] 17:00〜17:30(金・土曜日のみ)

関係性についての考察

Photo: SUZUKI Yoko

世界は様々な「関係」で成り立ち、日常は「関係」によって形作られている。人と人、人と物、物と物といった様々な関係について考察する。安部泰輔は古着やはぎれを素材として作品制作やワークショップを行う。人が使用した古着が集まり、それらが別の形(作品)となって人が触れたり、持ち帰ったりすることで、目に見えない関係性が美術館の外へと拡散していく。また美術館のコレクション作品を軸に滞在制作される安部の作品群は作家とコレクション作品、コレクション作品と鑑賞者、鑑賞者と作家自身、それぞれの関係性を構築しながら、美術館の「日常」へとつながっていく。

出品作家:安部泰輔

滞在制作期間:11月3日(日・祝)~12月19日(木) ※休場日を除く
ワークショップ期間:2020年2月4日(火)~3月1日(日) ※休場日を除く
時間:10:00~18:00
会場:市民ギャラリー横、プロジェクト工房

音声ガイド

ギムホンソック《これはうさぎです》2005
金沢21世紀美術館蔵

「現在地」展の出品作品について、キュレーターが自分たちの視点と声で語ります。どんなコンセプトで、どのように作られた作品なのか、どんなところに注目して見てほしいか、キュレーターたちがそれぞれテキストを書き、読み上げた金沢21世紀美術館オリジナルのオーディオガイドです。

料金:スマートフォン用アプリケーション(スマートフォン決済/Apple Storeで販売) 490円
   レンタルオーディオガイド 600円 
貸出場所:総合案内モニター前

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]