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金沢21世紀美術館

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国際シンポジウム:沖縄と東南アジア諸国における現代美術の現状

公開期間:2022年3月31日(木) - 5月31日(火)

インフォメーション

期間:
公開期間:2022年3月31日(木) - 5月31日(火)
お問い合わせ:
金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2801(学芸課)

概要

沖縄返還50周年にあたる2022年、金沢21世紀美術館では現代美術の側面から沖縄について、そして歴史的にも沖縄と海洋で交流のあったアジア、とりわけ東南アジア諸国との関係について考える展覧会「Sea Lane:島々への接続」を予定しています。
かつて、海は島と島を隔てる「壁」であり、一方で島と島をつなぐ「道」でもありました。かつての琉球王国は、現在のインドネシア、マレーシア、タイなどと交易し、文物が行き交う経由地となり、様々な人や物が出会う場となっていました。海を巡る沖縄の歴史を辿れば、そこには各地との豊かな交流と、時には対立する厳しい現実という両側面が存在していました。
人が移動するほど、言語や人種、ルーツ、文化、性、常識といった互いの差異が顕在化します。そのような中、作家たちは目の前の現実を真摯に見つめ、応答してきました。本展覧会は沖縄や東南アジア諸国で固有に育まれた文化、そして決して目を背けてはならない歴史を土台に生まれた現代の表現を紹介することで、沖縄とその周辺諸国との関係について考察するものです。

本シンポジウムでは、本展覧会出品予定作家である2名のアーティストに登壇いただき2部構成で行います。第1部は、シンガポールという地理的にも歴史的にも特異な文化をもつ国そのものにフォーカスし、作品制作をするチャールズ・リム・イー・ヨン氏による基調講演です。彼がなぜ、自国の過去を振り返らなければならなかったのか、歴史から紐解く土地や自然環境、そして国の成り立ちについて、資料や映像をベースに発表します。第2部では、沖縄で活躍するインスタレーション作家、阪田清子氏がこれまで制作してきた作品を中心に、アジア近現代美術史家である韓国人研究者、金惠信氏と対談します。内地の人間として沖縄へ移住し、自己のアイデンティティを問われ続けてきた彼女が、沖縄で制作し、沖縄から作品を発信することの意味を語ります。

本シンポジウムを土台に展覧会では、沖縄を軸にそこから海を介して広がる島々における美術の今を通して、アジア文化圏の独自の文化的発展を紹介し、当該地域に内在する諸問題について考えていきます。

プログラム

基調講演:「消滅する島々」
チャールズ・リム・イー・ヨン(アーティスト/シンガポール)


本基調講演は、Part1とPart2から成る。Part1では作家の作品制作の原点でもあり、制作活動のテーマともいえるシンガポールの複雑な歴史、知られざる歴史についての紹介である。Part2では、Part1の内容を踏まえ、作品や制作プロセスに踏み込み、作家の問題意識を明確にする。
※part2は近日公開します



ディスカッション:「阪田清子作品について:沖縄で制作し、沖縄から発信すること」
阪田清子(アーティスト・沖縄県立芸術大学准教授/日本)
金惠信(アジア近現代美術史・沖縄県立芸術大学教授/韓国)


新潟県出身の作家、阪田清子が沖縄県立芸術大学への進学をきっかけに、沖縄で制作し、発表し続けることになった経緯とその意義を、作家自身のこれまでの制作を振り返りながら、アジア近現代美術史家の金惠信氏との対談を通して探求する。





登壇者プロフィール

Photo by Toni Cuhadi.
courtesy of STPI – Creative Workshop & Gallery, Singapore

チャールズ・リム・イー・ヨン(Charles Lim Yi Yong)

1973年シンガポール生まれ、シンガポール在住。
オリンピックなどに出場するセーリングの選手として活動したリムは、水や海洋に関する深い知識や経験を背景に、「海」というレンズを介してシンガポールの社会や政治状況、生態系や環境に対して多角的に言及する「SEA STATE」という一連の作品を2005年より発表している。継続して制作する「SEA STATE」は、マニフェスタ7(イタリア、2008)をはじめとする様々な国際展で発表され、2015年の第56回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、シンガポール館においてその集大成が公開された。その後も、あいちトリエンナーレ2016、シドニー・ビエンナーレ(オーストラリア、2017)、釜山ビエンナーレ(韓国、2020)など数々の国際展にて発表している。また、アーティストコレクティブ「tsunami.net」の一員としてドクメンタ11(ドイツ、2002)にも参加している。

阪田清子(Kiyoko Sakata)

1972年新潟県生まれ、沖縄県在住。美術家。沖縄県立芸術大学美術工芸学部准教授。「不確かな⽴ち位置の集合体」をテーマに、家具や⽇⽤品・⾃然物などを素材として⽤い、⽇常を問いただすインスタレーション作品を発表。
近年の主な展覧会に、「Sugar and Salt」SoolSool Center(2021/韓国)、「ゆきかよう舟」ホテル アンテルーム那覇 GALLERY 9.5 NAHA(2020/沖縄)、「Present Passing: South by Southeast」Osage Gallery(2019/香港)、「新・今日の作家展2018―定点なき視点」横浜市民ギャラリー(2018/横浜)、「水と土の芸術祭」ゆいぽーと(2018/新潟)、「開館10周年記念展『邂逅の海―交差するリアリズム』」沖縄県立博物館・美術館(2017-18/沖縄)、「大地の芸術祭 もう一度見たい名作展」越後妻有里山現代美術館キナーレ(2017/新潟)、「PYEONGCHAG BIENNALE」(2017/韓国)、「対岸―循環する風景」砂丘館(2016/新潟)、など。

金惠信(Hyeshin Kim)

ソウル(韓国)生まれ。沖縄県在住。美術史家、美術評論家。学習院大学哲学博士。沖縄県立芸術大学美術工芸学部教授。専門はアジア近現代美術史。研究テーマは、女性アーティストと表現、ジェンダーとイメージ、ディアスポラの美術。主な著書:『韓国近代美術研究 植民地期「朝鮮美術展覧会」にみる異文化支配と文化表象』(ブリュッケ 2005)、『現代韓国美術における女性と表現~ユン・ソクナムイの「作業」』(中世日本研究所 2008)。編著:『交差する視線―美術とジェンダー〈2〉』(ブリュッケ 2005)。主な論文:「官展のおんなたちが語るもうひとつの東アジアの近代」、「往返之間:戦前台湾与東亜文学美術的伝播与流動」(國立政治大学図書館 2017)、「韓国の西洋美術史ー大学美術史学科と近年の研究」、鈴木杜幾子編著『西洋美術:作家・表象・研究ーージェンダー論の視座から』(ブリュッケ 2017)、「繰りかえしと語りのしぐさをかたちにする」、李静和編『残傷の音-「アジア・政治・アート」の未来へ』(岩波書店 2009)

主催/ほか

主催:
金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
助成:
公益財団法人ポーラ美術振興財団