ボーダーライン コレクション展 I

2013年4月13日(土) - 2013年7月15日(月)

インフォメーション

期間:

2013年4月13日(土) - 2013年7月15日(月)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館

休場日:

月曜日(休日の場合その直後の平日。ただし、4月30日は開場)

料金:

一般=350円(280円)
大学生=280円(220円)
小中高生=無料
65歳以上=280円

※( )内は団体料金(20名以上)
※ 前売券販売はありません。

音声ガイド:
■館内貸出
一般    200円
友の会会員 100円
*総合案内・チケット販売所にて貸し出します。
*友の会会員は会員証をご提示ください。

■無料ダウンロード
Marubi on the RADIO
「コレクション展音声ガイド」

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 TEL 076-220-2800

未知のものに出会うときに感じる違和感、不安、恐怖。それは、ある種の境界がそこにあることを感じ取っているサインだ。私たちは共通の言語、身体的特徴、ルール、記憶を持つ人々を「内部」として、それに当てはまらない「外部」を知らず知らずのうちに区別し、内と外を分かつ境界を形成している。境界は、安全な内部を脅かす存在として時に外部を排除し、軋轢を生み出すが、同時に、内部と外部が交渉しながら新しいルールを見つけ出し、絶えず更新される流動的なものでもある。境界を介して、私たちは他者や世界という外部をどう捉えているのかを知ることができる。つまり、境界は内部を広げる可能性を秘めた領域であると言うことができるのではないだろうか。今年度コレクション展では、このような視点に立って、境界を「分断するもの」から「繋がり、広げるもの」として捉え直し、コレクション展Ⅰでは身体的境界、コレクション展Ⅱでは社会的・制度的境界に注目し、当館コレクションを展観する。

人間を含め、生命体は膜に覆われた内部を持ち、外部から物質を取り込んでエネルギーとして取り出して生命を維持している。複雑な器官を持つ私たちの身体においては、ある部分では内部は外部であり、別の部分では外部は内部となる。内と外が反転しながら拡張するかのような仕組みは、境界のあり方を示唆しているようである。コレクション展Ⅰでは、私たちにとって一番身近な身体を基本に据え、境界を通じて人間の存在性、世界との関わり方を探る。

金沢21世紀美術館キュレーター 米田晴子

関連プログラム

学芸員によるギャラリートーク

日時:5月26日(日)/ 6月8日(土)/ 6月23日(日)/ 7月14日(日) 各回14:00~(40分程度)
集合場所:レクチャーホール前
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)

作家プロフィール

  • レベッカ・ホルン
    《炎に包まれた8つの髪束》(部分) 1993
    ナイフ8本、ブラシ8本、金属製の構造体、モーター
    H235 x W49 x D29.5 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    ©Rebecca HORN
    撮影:斎城卓

    レベッカ・ホルン Rebecca HORN

    1944年ミヒェルシュタット(ドイツ)生まれ、ベルリン(ドイツ)在住。
    美術学校で制作に用いた合成素材が原因で肺疾患を患い、1968年頃から約3年の療養生活を余儀なくされる。この時の外部からの隔離と孤独の経験が、羽毛のオブジェ、翼、マスクなど身体を拡張あるいは拘束する装具をまとう1970 年初頭以降のパフォーマンスを生む。触れるという親密さとコミュニケーションの切望、身体の脆さとその防御を意識した表現は、映画や立体作品へと展開。さらに社会や歴史から抹消された記憶や悲嘆を見つめたインスタレーション、近年は音楽家と協働制作した音楽や言葉と光を用い、壮大な自然のサイクルと精神世界を考察する作品を発表している。(KC)

  • 木村太陽
    《We know you know we know your pleasure you never know》2006-2007
    ミクスト・メディア サイズ可変
    金沢21世紀美術館蔵
    ©KIMURA Taiyo
    撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ

    木村太陽 KIMURA Taiyo

    1970年神奈川県鎌倉市(日本)生まれ、同地在住。
    美術専門学校にて油絵を学ぶが、次第にインスタレーションや立体へと移行し、1990年中頃より作品を発表し始める。1999年から2度に渡りドイツに滞在し制作。在学中より、ドローイング帳にアイデアや夢日記を描きため、あるいは、ヴィデオで撮りため作品化していく。日用品等の身近な素材やシチュエーションを用いて表現する木村の作品には、独特なユーモアと親しみやすさ、そして気味悪さが混在し、しばしば生理的な不快感を伴う。そうして日常に潜む違和感を見る者の身体的感覚に訴え、ものごとの本質を見出そうとする。(KC)



  • 北川宏人
    《ニュータイプ2005—ブルー》2005
    テラコッタ、アクリル彩色
    H170 x W42 x D30 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    ©KITAGAWA Hiroto
    撮影:木奥惠三

    北川宏人 KITAGAWA Hiroto

    1967年滋賀県大津市(日本)生まれ、東京都(日本)在住。
    金沢美術工芸大学彫刻科を1989 年に卒業した北川宏人は、その当時、日本で盛んであったモニュメンタルな野外彫刻には興味がもてず、常に自身の関心の中心にあった具象彫刻の流れが息づくイタリアへ留学した。イタリアで出会ったテラコッタの古典的彫刻技法に魅了された北川はこれを習得し、日本のアニメーションのキャラクターを彷彿とさせるシリーズ「ニュータイプ」を発表。2005年帰国後は、さらに「ポスト・ニュータイプ」シリーズを展開。一貫して土肌の風合いを生かしてアクリル絵具で彩色する手法により、独特の人間像の表現を開拓している。(FM)

  • 中島晴美
    《WORK-0703》2007
    磁器、手捻り、イングレーズ、透明釉
    H82 x W61 x D42 cm
    個人蔵
    ©NAKASHIMA Harumi
    撮影:斎城卓 (参考作品)
    Courtesy of gallery VOICE

    中島晴美 NAKASHIMA Harumi

    1950年岐阜県恵那市(日本)生まれ、同地在住。
    大阪芸術大学在学中に八木一夫らの前衛陶芸集団・走泥社と出会い、オブジェ制作を始める。大学卒業後、信楽の製陶会社勤務を経て、多治見市陶磁器意匠研究所に勤務した後、2003年より愛知教育大学で後進の指導にあたる。制作過程でみせる土の様々な表情、やきもの独特の質感、土が陶へと変化するプロセスを自らの制作の原点として、水玉の球体が増殖する独創的なフォルムの作品を創り出す。(YS)



  • 小谷元彦
    《ロンパース》2003
    ヴィデオ 約2分52秒
    Music by PIRAMI
    金沢21世紀美術館蔵
    ©ODANI Motohiko
    Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

    小谷元彦 ODANI Motohiko

    1972年京都市(日本)生まれ、東京都(日本)在住。
    東京藝術大学で彫刻を学んだ後、写真や映像といったメディアをはじめ様々な素材を取り入れた作品を発表している。身体や空間に潜む痛覚、忘れられた感覚をいかに視覚化するかを一貫した制作テーマとして掲げ、彫刻概念の拡張を試みている。また身体が変異、拡張するような作品は、身体感覚が希薄になった現代において新たな身体のリアリティを提示する。(YS)



  • アン・ウィルソン
    《逸脱の行動》2004
    ヴィデオ・サウンド・インスタレーション
    Composer: Shawn Decker, Animator: Cat Solen, Post-production Animator and Mastering: Daniel Torrente
    金沢21世紀美術館蔵
    ©2004 Anne Wilson
    撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ

    アン・ウィルソン Anne WILSON

    1949年デトロイト(米国)生まれ、シカゴ(米国)在住。
    アン・ウィルソンは、レースやリネン、髪や糸などの素材を用い、「縫う」「編む」「結びつける」といった手法を駆使しながら、文化的に構築された意味規範や人々の感覚を問うような作品を制作してきた。糸や髪を布に縫いとめた平面作品から、長さ10 メートルにわたる立体作品に加え、映像作品、写真作品を手がける。ウィルソンは、私的で身体的な素材が想起させるある種の感情、糸片や針が紡ぎ出す繊細で複雑な表情に加え、素材が背負う過去の役割や記憶などを、自らの手を通して、濃密で雄弁な世界へと紡ぎ上げている。(YE)



  • 横溝静
    《ストレンジャー (9)》1999
    Cプリント
    H108xW127cm (フレーム含む)
    金沢21世紀美術館蔵
    ©YOKOMIZO Shizuka

    横溝静 YOKOMIZO Shizuka

    1966年東京都(日本)生まれ、ロンドン(英国)在住。
    日本の大学で哲学を学んだ後、イギリスに渡り、大学で美術を学び制作活動を始める。現在まで主に写真やヴィデオを媒体として、個、社会、共同体、あるいは人と人との距離といったテーマのもと作品を制作している。全くの見知らぬ人に匿名で手紙を送り、彼等を窓越しに撮影していく「Stranger」シリーズ(1998-2000年)は、特に自己と他者の境界、私的領域、公的領域といった問題への横溝独自の視線を表す。(MD)



  • FM: FUDO Misato
    KC: KITADE Chieko
    MD: MURATA Daisuke
    YE: YOSHIOKA Emiko
    YS: YONEDA Seiko

クレジット

主催:

金沢21世紀美術館 [公益財団法人金沢芸術創造財団]