サイレント・エコー コレクション展 I

2011年4月29日(金) - 2011年7月18日(月)

インフォメーション

期間:

2011年4月29日(金) - 2011年7月18日(月)
10:00〜18:00 (金・土曜日は20:00まで)

会場:

金沢21世紀美術館

休場日:

月曜日(5月2日、7月18日は開場)

料金:

<当日>
一般=350円
大学生・65歳以上=280円
小中高生=無料

<団体>
一般=280円
大学生=220円
小中高生=無料

*前売券販売はありません。

音声ガイド:
■館内貸出し
一般    200円
友の会会員 100円
*総合案内・チケット販売所にて貸出します。
*友の会会員は会員証をご提示ください。
*友の会ファミリーメンバーは代表者のみが割引対象となります。

■無料ダウンロード
Marubi on the RADIO
「コレクション展音声ガイド」

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館
TEL 076-220-2800

「どうしたというのだろう?音楽はためらうように、うねりながらはじまった。散策か行進のように。夜の世界を歩む神のように。ミックの外の世界はにわかに凍りつき、音楽のあのすべり出しの部分だけが、胸の中で赤く燃えていた。そのあとの音楽は耳にもはいらず、彼女はただ拳を固く握りしめ、凍りついたようにすわったまま待ち受けていた。しばらくすると、音楽はふたたびはげしく、声高にうたいだした。もはや神とは何の関係もなかった。これこそミックであり、昼日中を歩むミック、夜をただひとり歩くミック・ケリーだった。・・・この音楽は彼女であり、ほんとうの、ありのままのミック自身であった。」(カーソン・マッカラーズ、河野一郎訳『心は孤独な狩人』新潮社、1972年、pp147-148)

1973 年にルクセンブルグ生まれたツエ・スーメイは、音楽をモチーフとする作品世界で注目されています。カーソン・マッカラーズの小説「心は孤独な狩人」で語られる音楽観、人と音楽の世界と深く共鳴し合うスーメイの代表的な作品を招き入れ、2011年度のコレクション展では、未だ語られたことのない当館コレクションの潜在的世界を展観します。身体、音、技術の融合や連鎖的なつながりの中で生み出される世界こそが音楽であり、かたちが造形芸術である所以も同様に自己、技術、対象の完全な融合によって作り出される世界であるという観点において、コレクション作品の新たな様相を浮き彫りにします。

関連プログラム

学芸員によるギャラリートーク

日時:2011年 5月15日(日)*終了しました
       6月11日(土)*終了しました
       7月9日(土)*終了しました
   各回 14:00〜14:30
集合場所:金沢21世紀美術館 レクチャーホール前
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)

朗読のひととき

日時:6月25日(土)14:00〜14:20 *終了しました
集合場所:金沢21世紀美術館 レクチャーホール前
料金:無料
プログラム:『心は孤独な狩人』より一部朗読(カーソン・マッカラーズ著 河野一郎訳 新潮文庫)
朗読:鍛治裕子

作家プロフィール

  • 《 拘束のドローイング8:誕生の裂片》 2003
    グラファイト、水彩絵具、ワセリン、紙、ポリカーボナイト製フレーム、
    ナイロン繊維、アクリル、ヴィヴァック
    H91.4×W162.5×D104.1cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © Matthew BARNEY撮影:斎城卓

    マシュー・バーニー Matthew BARNEY

    1967年サンフランシスコ(米国)生まれ、ニューヨーク(米国)在住。
    大学で医学を学んだ後、美術と体育学を専攻し、ファッション・モデルなど多彩な経験を持つ。1980年代より彫刻と映像を中心に制作してきている。映像作品では、自らの彫刻作品や自らを登場させている。シリコンやプラスチックなどを巧みに用い、肉体の生物学的な側面に注目する一方で、神話的意匠を繰り返し持ちこむことにより、荘厳な作品世界を作り上げている。 (MD)

  • 陶土 H57×W640×D240 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © FUJII Kazunori

    藤井一範 FUJII Kazunori

    1969年富山県南砺市(旧・井口村、日本)生まれ、同地在住。
    金沢美術工芸大在学中に同大教授であった久世建二の影響を受け、土の物質性に着目する制作態度を学び、独創的な造形のありかたを模索する。在学中に自ら「爆陶」と名付けた独自の表現方法を生み出し、以後、制作の中心となる。「爆陶」とは、成形した土に火薬を仕込み、爆発させたものを乾燥の後、焼成してつくる造形である。爆発という自然の極地と言える現象と、火によってかたちを永久的に残す土という素材の両者に深く関わることで生まれる藤井の造形は、芸術行為の根本に立ち戻るものでもある。 (YE)

  • アニッシュ・カプーア Anish KAPOOR

    1954年ボンベイ(インド)生まれ、ロンドン(英国)在住。
    幼少期をインドで過ごした後、17才で渡英し、1970年代より作品制作を始める。初期には、立体の表面を顔料で覆う作品を多く制作し、後に、岩盤のような床に切り込みや穴をあけ、内部を顔料で覆うことにより洞窟の入口や大地の亀裂を思わせる造形物を作るようになる。また、ステンレス・スチール、漆といった素材、蒸気そのものを作品に取り入れるなど、多様な表現を展開してきた。これらの作品は、常に我々の視覚や日常的な認識の再考を促す。次元を越えて生み出される未知なる世界像には、人間存在、生命へのカプーア独自の眼差しが写し出されている。(MD)

  • 《ピクチャー・オブ・チョコレート:ダイバー(シスキンドにならって)》
    1997
    チバクローム・プリント
    H150×W119.8 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © Vik MUNIZ

    ヴィック・ムニーズ Vik MUNIZ

    1961年サン・パウロ(ブラジル)生まれ、ニューヨーク(米国)在住。
    自らが作ったオブジェ作品を記録するために撮影したことがきっかけとなり、シリーズで写真作品を発表するようになる。それらは報道写真や美術史上の名作をグラニュー糖やトマトソース、チョコレートなどの素材で再現し、撮影したものである。写し出されたイメージの認識、作品へ歩み寄る過程でそのイメージが予期せぬ物体から構成された集合体であることを知覚するといった複数の視点を同時に経験させる作風に見られるように、ムニーズは知覚と現実の認識の関係性を独自なスタイルで表現している。 (KC)

  • 花液、種子/画仙紙H135×W135 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © NAKAGAWA Yukio
    撮影:斎城卓

    中川幸夫 NAKAGAWA Yukio

    1918年香川県丸亀市(日本)生まれ、同地在住。
    叔母が池坊に属していたことから、華道に親しむ。1949年「いけばな芸術」へ送った作品集が造園家重森三玲に認められ、重森が主宰するいけばなの研究集団白東社に参加。1951年池坊を脱退。1956年東京へ転居後は、組織、流派に属さず、弟子もとらずに自己の花を追求する。1984年銀座で「花楽」と題した個展を開き好評を博す。前衛的で革新的な花との取り組み以外にも、ガラスや書を手がける。土門拳に薫陶を受け、自ら写真も撮影する。 (YE)

  • 《伝播》1995-1997
    パラフィン、ガラス、紙、インク、アクリル、水
    H22×W100×D1200 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © Giuseppe PENONE
    撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ

    ジュゼッペ・ペノーネ Giuseppe PENONE

    1947年ガレッシオ(イタリア)生まれ、トリノ(イタリア)在住。
    1960年代末からイタリアを席巻した美術運動「アルテ・ポーヴェラ」を牽引する一人として、今日に至るまで活躍。自然界の粗野な素材をそのまま作品へと用い、その内に隠匿された自然そして人間、特にその身体との関係性をしなやかに提示し、顕在化させる手法で知られている。日本では、「人間と物質」展(東京都美術館、1970年)で初めて紹介された。2004年にはポンピドゥ・センターで、2007年にはヴェネツィア・ビエンナーレで大規模な展覧会が開催され、高い評価を受けている。 (TY)

  • 《構造の漂流》(部分)2002
    陶器
    各H25.4×φ14.2 cm、H9.7×φ25.2 cm(5点組)
    金沢21世紀美術館蔵
    © Martin SMITH
    撮影:斎城卓

    マーティン・スミス Martin SMITH

    1950年エセックス州ブレイントリー(英国)生まれ、ロンドン(英国)在住。
    1970 年代中頃に楽焼の技法を応用した器で陶芸家としてのスタートを切った。80 年代に入ってからは、器を一旦、解体した後、再構成したかのような作品を発表。後に、器の内部の壁に金箔やプラチナ箔を施すようになり、素焼の粗い質感とのコントラストが特徴的な作品を制作。余分な要素をそぎ落としたシンプルな表現の中にとらえられた形体や内部空間の僅かな差異におけるミニマリスト的展開が特徴となっている。 (YE)

  • 《日本海 礼文島》1996
    ゼラチン・シルバー・プリント
    H119.4×W149.2 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © Hiroshi Sugimoto
    courtesy: Gallery Koyanagi

    杉本博司 SUGIMOTO Hiroshi

    1948年東京都生まれ、同地在住。
    1970年に渡米し、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。1974年よりニューヨークに移り、本格的に写真作品の制作を開始する。「劇場」「海景」などに代表される写真作品は、明確なコンセプトと卓越した技術で高い評価を確立している。2000年ハッセルブラッド国際写真賞受賞。2003年からは、歴史をテーマとし、杉本の自作と収集品によって構成される「歴史の歴史」という表現が行われている。精力的に新作発表を続けながら2005年より初の回顧展が日本を皮切りに米国、ヨーロッパを巡回した。 (MD)

  • 《Inner side - Outer side》2005
    漆、麻布(乾漆)
    220×158×85 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © TANAKA Nobuyuki
    撮影:斎城卓

    田中信行 TANAKA Nobuyuki

    1959年東京都(日本)生まれ、石川県金沢市(日本)在住。
    東京芸術大学および同大学院で漆を学ぶ。1980年代後半は、麻布のテクスチャーを残した平面作品を制作していたが、90 年代に入り、乾漆による立体作品を制作。盾状の立体に地の粉を塗り、複雑な凹凸を残して仕上げることで漆の魅力を引き出す作品や、表面を鏡のように磨き上げる作品を同時に展開してきた。2002年頃から、「場」に即し、観る者の身体感覚と建築空間との両者に働きかける作品も手がけている。 (YE)

  • ツェ・スーメイ《 エコー》2003
    ビデオプロジェクション、音
    4分54秒ループ
    個人蔵
    © TSE Su-Mei
    Courtesy of the Artist and Peter Blum Gallery, New York.

    ツェ・スーメイ TSE Su-Mei

    1973年ルクセンブルグ生まれ、ルクセンブルグ、パリ在住。
    幼い頃より音楽とともに生きてきたツェ・スーメイは、音楽演奏の核である、身体、音、技術、自己をとりまくあらゆる事象との関わりや融合にみる世界を起点に、多様な作品群を生み出してきている。《エコー》、《平均律クラヴィーア曲集》、《ヤドリギ楽譜》といった作品において音楽的要素が直接的に表される一方で、彫刻、インスタレーションといった手法の作品においても、素材、自己、技術、対象の融合から生み出される世界、かたちに焦点が当てられている。このような世界像を根底に据えながら、近年では野外での公共彫刻も手がけ、多様な制作活動を展開してきている。 (MD)

  • 《日々の物語》1997-1998
    髪の毛、糸/布
    H183×W587×D4 cm
    金沢21世紀美術館蔵
    © 1997-98 Anne Wilson
    撮影:斎城卓

    アン・ウィルソン Anne WILSON

    1949年デトロイト(米国)生まれ、シカゴ(米国)在住。
    ウィルソンは、レースやリネン、髪や糸などの素材を用い、「縫う」「編む」「結びつける」などの手法を駆使しながら、文化的に構築された意味規範や人々の感覚を問う作品を制作してきた。糸や髪を布に縫いとめた平面作品から、長さ10 mにわたる立体作品に加え、映像作品、写真作品を手がける。ウィルソンは、私的で身体的な素材が想起させるある種の感情、糸片や針が紡ぎ出す繊細で複雑な表情に加え、素材が背負う過去の役割や記憶などを、自らの手を通して濃密で雄弁な世界へと紡ぎ上げている。 (YE)



    KC: KITADE Chieko, MD: MURATA Daisuke, TY: TAKASHIMA Yuichiroh, YE: YOSHIOKA Emiko

クレジット

主催:

金沢21世紀美術館 [公益財団法人金沢芸術創造財団]