映画の極意 vol.10 ポルトガル映画祭2010

2010年11月5日(金) - 2010年11月7日(日)

インフォメーション

期間:

2010年11月5日(金) - 2010年11月7日(日)
※下記上映スケジュール、最新版をご確認ください。

会場:

金沢21世紀美術館 シアター21

料金:

<全席自由>
・1回鑑賞券=1,200円
・1日鑑賞券=3,000円
<友の会会員限定>
・フリーパス券=5,000円
※購入時、および入場時に会員証をご提示ください

チケット取扱:

1回鑑賞券、フリーパス券は当日受付にて販売いたします。
1日鑑賞券のみ 9月17日(金)より発売。
・金沢21世紀美術館ミュージアムショップ
 TEL 076-236-6072
・チケットぴあ(Pコード:462-261)
 http://t.pia.jp/(電子チケットぴあ)
 TEL 0570-02-9999
・ローソンチケット(Lコード:57945)
 http://l-tike.com/(ローチケ.com)
 TEL 0570-000-777

託児サービス:

※3歳児以下の入場はご遠慮願います。
託児サービスをご利用下さい。
有料・要申込(お問合せ TEL 076-220-2815)

お問い合わせ:

金沢21世紀美術館 交流課
TEL 076-220-2811

概要

映画の極意vol.10 シネマテーク・プロジェクト第3弾
日本ポルトガル修好通商条約150周年
ポルトガル映画祭2010
― マノエル・ド・オリヴェイラとポルトガル映画の巨匠たち


※<上映時間の変更のお知らせ> 9月29日更新
上映時間に変更がありました。下記スケジュール最新版をご参照ください。


2010年は日本とポルトガルの修好通商条約150周年を迎えます。日本にとってポルトガルは1543年種子島の鉄砲伝来にまでさかのぼる長い交流の歴史をもちながらも、その文化や芸術についてはまだまだ知られていない部分も多い国です。

今回の映画祭は、両国の修好150周年を記念して、百歳を超えてもなお現役で映画を作り続ける巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ、『コロッサル・ユース』など今若い映画ファンの間でカルト的人気を博すペドロ・コスタ、またこれまで公開が切望されながら実現しなかったジョアン・セーザル・モンテイロなど、錚々たる監督たちの日本初公開作品5本を含む魅力あふれる作品群をまとめて見ることができる貴重な機会です。

また今回はプレトークに、映画批評・映画研究で活躍中の三浦哲哉氏をお迎えし、ポルトガル映画の魅力について語って頂きます。どうぞお見逃しなく!


・シネマテーク・プロジェクト
全国の映画上映のための専門施設を持ち、映画史的、批評的なプログラムの上映を行っている文化施設が連携し、これまで上映される機会のなかった映画史上重要な作品を巡回上映していくプロジェクト。
金沢21世紀美術館 / 京都「駅ビルシネマ」 / 広島市映像文化ライブラリー / 神戸アートビレッジセンター / 山口情報芸術センター[YCAM] / せんだいメディアテーク / 高知県立美術館 / 川崎市アートセンター / アテネ・フランセ文化センター / 福岡市総合図書館 (本年度巡回地)


・映画の極意シリーズとは?
「映画の極意」シリーズは、金沢21世紀美術館シアター21を会場に、政治、社会、哲学、生と死、消費文化、人間の不条理、遊び、時代と娯楽、映像美といったテーマごとにセレクトした作品の上映とゲストによるトークを合わせて行う企画です。


・過去の「映画の極意」
vol.1「ジェームズ・コバーン / 男の極意」 2004/12/10〜12
vol.2「ニッポン映画 / 青春の極意」 2005/1/14〜16
vol.3「フレデリック・ワイズマン / 人間観察の極意」 2005/6/25, 26
vol.4「成瀬巳喜男 / 女性映画の極意」 2006/1/28, 29
vol.5「鈴木則文 / エンタテインメントの極意」 2006/7/15〜17
vol.6「スクリーンで観る傑作アートフィルム」 2007/3/17,18
vol.7「アイドル映画の極意〜少女がつくった時代〜」 2007/9/3〜13
vol.8「Talk & Cinema フランス映画の秘宝」 2009/7/18〜20
vol.9「ジャック・ロジエのヴァカンス」 2010/7/17〜19

上映スケジュール

  • ※11月5日(金)4本目の上映開始時間が18:00から18:30に変更となりました。

    日程
    ※各回開場は上映時刻の15分前・入替制
    11/5(金)12:00-
    13:45-
    16:30-
    18:30-
    アニキ・ボボ(71分)/マノエル・ド・オリヴェイラ
    トランス(126分)/テレーザ・ヴィラヴェルデ
    カニバイシュ(101分)/マノエル・ド・オリヴェイラ
    神の結婚(154分)/ジョアン・セーザル・モンテイロ
    11/6(土)10:30-
    13:00-
    14:00-
    16:30-
    18:50-
    春の劇(91分)/マノエル・ド・オリヴェイラ
    《三浦哲哉氏によるプレトーク》(30〜40分)
    黄色い家の記憶(122分)/ジョアン・セーザル・モンテイロ
    トラス・オス・モンテス(111分)/アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ
    骨(98分)/ペドロ・コスタ
    11/7(日)10:30-
    13:00-
    14:00-
    16:50-
    19:50-
    過去と現在昔の恋、今の恋(115分)/マノエル・ド・オリヴェイラ
    《三浦哲哉氏によるプレトーク》(30〜40分)
    神曲(142分)/マノエル・ド・オリヴェイラ
    私たちの好きな八月(147分)/ミゲル・ゴメス
    ラスト・ダイビング(91分)/ジョアン・セーザル・モンテイロ

プログラム

  • 三浦哲哉氏によるプレトーク

    2010年11月6日(土)、7日(土)  各日13:00-
    ※ご入場には本鑑賞券が必要です。

    三浦哲哉 Tetsuya MIURA
    福島県生まれ。フランスのバッス・ノルマンディー・カン大学映画演劇学科DEAコース卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程単位取得退学。在学中はフランスの映画作家ロベール・ブレッソンについて研究。現在、非常勤講師を務めながら「キネマ旬報」などにテキストを寄稿。博士論文として「サスペンス映画論」を執筆中。訳書に『ジム・ジャームッシュ インタビューズ』がある。

  • アニキ・ボボ Aniki Bóbó

    1942年 / 71分 / モノクロ
    監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
    撮影:アントニオ・メンデス
    出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ

    オリヴェイラの長篇デビュー作。陽光降り注ぐポルトの街を舞台に、躍動するアナーキーな少年少女たちを縦横無尽に活写してネオレアリズモの先駆的作品と見なされる。「アニキ・ボボ」とは警官・泥棒という遊びの名前。 幼い恋の冒険を「罪悪」と「友愛」の寓意へ変貌させる演出のスケール感はすでにして巨大。

  • 写真提供:Colecção Cinemateca Portuguesa-Museu do Cinema

    春の劇 Acto da Primavera

    1963年 / 91分 / カラー / 日本初公開
    監督・脚本・撮影:マノエル・ド・オリヴェイラ
    出演:ニコラウ・ヌネス・ダ・シルヴァ、エルメリンダ・ピレシュ、マリア・マダレーナ

    16世紀に書かれたテキストに基づいて山村クラリャで上演されるキリスト受難劇の記録。自ら「作品歴のターニングポイント」と述べる本作でオリヴェイラが発見したのは「上演=表象の映画」という極めて豊かな鉱脈だった。一見して不自然な「虚構」のドキュメントだけが喚起する謎と緊張。前人未踏の「映画を超えた映画」の始まり。

  • 過去と現在 昔の恋、今の恋 O Passado e o Presente

    1972年 / 115分 / カラー
    監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
    撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
    出演:マリア・ド・サイセット、
    マヌエラ・ド・フレイタス、ペドロ・ピニェイロ

    長篇劇映画第三作。ヴィンセンテ・サンシェスの同名戯曲を監督が自ら映画用に翻案。『フランシスカ』に至る「挫折した愛の四部作」の第一部にあたる。現在の夫に心を開かず、事故死した最初の夫への想いを募らせる妻ヴァンダを中心に、過去と現在、死者と生者の間を交差する奇妙な愛が描かれる。

  • カニバイシュ Os Canibais

    1988年 / 101分 / カラー
    監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
    撮影:マリオ・バローゾ
    出演:ルイス・ミゲル・シントラ、
    レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドーリア

    『過去と現在』から音楽を担当してきたジョアン・パエスとともに作られたオペラ・ブッファ映画。厳かに進行する貴族たちの晩餐会は、やがて、タイトルが予告する驚愕の食人場面へ。人間と動物、人間と機械、見せかけと本質・・・・・・ ヴァイオリンの調べに乗ってあらゆる境界が軽々と犯される。

  • 神曲 A Divina Comédia

    1991年 / 142分 / カラー
    監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
    撮影:イワン・コゼルカ
    出演:マリア・ド・メデイロス、ミゲル・ギリェルメ、ルイス・ミゲル・シントラ


    「精神を病める人々の家」の表札が掲げられた邸宅で、アダムとイブ、キリスト、ラスコリーニコフ、 ニーチェのアンチ・キリストら歴史的文学作品の登場人物たちが、信仰と理性と愛についての議論を戦わせる。西洋古典の深奥に分け入りながらも「まったく未知なものとして、絶対的な驚き」とともに再び映像として蘇らせるオリヴェイラ芸術の真骨頂。

  • トランス Transe

    2006年 / 126分 / カラー / 日本初公開
    監督・脚本:テレーザ・ヴィラヴェルデ
    撮影:ジョアン・リベイロ
    出演:アナ・モレイラ、ヴィクトル・ラコフ、ロビンソン・ステヴニン

    サントペテルブルグで暮らしていたソーニャは、より良い暮らしを求めて西ヨーロッパへ向かうが、旅の途中で過酷な現実に直面する。人間の尊厳を奪われる絶望的な状況の中で、奇妙にも、耽美的な夢世界への通路が開かれる。いまポルトガルでもっとも期待される才能のひとりヴィラヴェルデの代表作。

  • 黄色い家の記憶 Recordações da Casa Amarela

    1989年 / 122分 / カラー / 日本初公開
    監督・脚本:ジョアン・セーザル・モンテイロ
    撮影:ジョゼ・アントニオ・ルレイロ
    出演:ジョアン・セーザル・モンテイロ、マヌエラ・ド・フレイタス、ルイ・フルータド

    強烈な存在感で見る者を魅了してやまない痩身の中年男デウス(神)をモンテイロが愉快に自作自演した「ジョアン・ド・デウス」シリーズの第一作。姦淫、盗みなどの悪行に身を任せる天衣無縫のデウスの足跡が、そのままモラリスト的人間考察へと転じる。サッシャ・ギトリやバスター・キートンと比肩する偉大な個性を世界に印象づけた傑作。

  • ラスト・ダイビング O Último Mergulho

    1992年 / 91分 / カラー
    監督・脚本:ジョアン・セーザル・モンテイロ
    撮影:ドミニク・シャピュイ
    出演:ファビエンヌ・バーブ、ディニス・ネト・ジョルジュ、エンリケ・カント・イ・カストロ

    死を想い波止場で淋しげにたたずむ青年に、老人が声をかける。実は自分も人生に飽きている。最後に街に繰り出し存分に遊び、それから死ぬことにしようじゃないか……。ネオン煌めく夜のリスボンで繰り広げられる歌と踊り、酒と官能の宴。絶望と引き替えに許された、底抜けに大らかな人生賛歌。

  • 神の結婚 As Bodas de Deus

    1999年 / 154分 / カラー
    監督・脚本:ジョアン・セーザル・モンテイロ
    撮影:マリオ・バローゾ
    出演:ジョアン・セーザル・モンテイロ、リタ・ドゥラン、ジョアナ・アゼヴェド

    「ジョアン・ド・デウス」シリーズの最終作。「神の使い」から突如巨万の富を与えられたデウスは、それ幸いとばかりに自分の欲望を解禁する。実現した夢のような生活はしかし突如終息し、デウスは自分が破滅しているのを知る……。社会秩序の無効性を一方的に宣告するサド的な放縦さ。欲望と自由をめぐる孤高の省察。

  • 写真提供:Colecção Cinemateca Portuguesa-Museu do Cinema

    トラス・オス・モンテス Trás-os-Montes

    1976年 / 111分 / カラー、モノクロ / 日本初公開
    監督・脚本:アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ
    撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
    出演:トラス・オス・モンテスの住民たち


    ポルトガル現代詩を代表するアントニオ・レイスが、マルガリーダ・コルデイロと共に作った初長篇。川遊びなどにうち興じる子供たちの姿を中心に、遠い山奥のきらきらと輝く宝石のような日々を夢幻的な時間構成により浮かび上がらせる。公開当時、フランスの批評家たちを驚嘆させ、後にペドロ・コスタ監督にも影響を与えたという伝説的フィルム。

  • 私たちの好きな八月 Aquele Querido Mês de Agosto

    2008年 / 147分 / カラー / 日本初公開
    監督:ミゲル・ゴメス
    脚本:ミゲル・ゴメス、マリアナ・リカルド、テルモ・チューロ
    撮影:ルイ・ポカ
    出演:ソニア・バンデイラ、 ファビオ・オリヴェイラ、ジョアキン・カルヴァロ

    新鋭ミゲル・ゴメスの長篇第二作。ヴァカンス期のポルトガル山間部を舞台に、地元の村人、映画製作チーム、音楽フェスティバルの様子をドキュメンタリー的に描く前半部が、やがていつの間にか、途切れることなく、美しい少年と少女のメロドラマを綴る後半部へと移行する。真夏の夜の夢のような脱ジャンル的秀作。

  • 骨 Ossos

    1997年 / 98分 / カラー
    監督・脚本:ペドロ・コスタ
    撮影:エマヌエル・マシュエル
    出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ヌーノ・ヴァス、マリア・リプキナ

    現代映画の最前線をひた走るペドロ・コスタの長篇第三作。リスボン近郊のスラム街フォンタイーニャス地区を舞台に、貧困と無気力にうちひしがれる若者たちの生を透徹した眼差しで描く。劇映画の枠組みを多分に残して作られたコスタ最後のフィルムであり、物語を食い破るように突出するショットの残酷な輝きが際立つ。

関連リンク

クレジット

主催:

金沢21世紀美術館[(財)金沢芸術創造財団]
一般社団法人コミュニティシネマセンター

特別協力:

ポルトガル大使館-カモンイス院
東京国立近代美術館フィルムセンター
川崎市市民ミュージアム
シネマテッカ・ポルトゲーザ

後援:

社団法人日本ポルトガル協会
ポルトガル映画・映像院